オレのモノになればいいのに。

RuuA

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06.我慢すれば大丈夫

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::葵唯side::

昨日の夏祭りの帰り道。





『好きだ───葵唯』

『へっ……?』

依織くんは優しく私を抱きしめた。

ふわっと香る依織くんの匂い。

大きくて、ガッシリとした依織くんの身体。

私はドキドキが止まらなかった。

嘘でしょ?

依織くんが、私を?

依織くんはそっと体を離した。

『返事は……すぐじゃなくていいから』

『わ、わかった!』





告白……だよね?

思い出すだけで顔が真っ赤になる。

依織くんから告白された……!!

ハグされたとき、すっごく落ち着いた。

その反面ドキドキもした。

これは……私も好きってこと……だよね?

……ちがうかな?

最近、恋愛してなかったから忘れちゃったよ。

どーしよ、なんて返事しよ?

……それに私……

「葵唯、まだ寝ねーの?」

「う、うん……」

悠雅くんは私の体を抱きすくめた。

─ドキン。

恥ずかし……。

……そうなんです。

私、悠雅くんの……セフレになったのです。

悠雅くんとのエッチが忘れられなかった。

あんなに気持ちよくなったのハジメテだし……。

またしたいっておもっちゃったから。

さっきエッチして、今はラブホのベッドで2人で寝転がってる。

そろそろ寝ないと、明日もまたバイトだし。

……だけど、寝れるはずもなくて───

お互い裸だし、悠雅くんが私を抱きしめてるから、背中で悠雅くんの体温を感じる。

心臓の音、悠雅くんに聞こえちゃう……。

「葵唯ってさ抱きしめたくなる体だよな」

「へ!? 急になによ!」

抱きしめたくなる身体って……。

そんなに褒められても困る……!

どんな反応すればいーのよー!

─ぷにっ。

っ……!!

「このぷにぷに感。セフレの中で葵唯だけだからなぁ、こんなにぷにぷになの」

悠雅くんはそう言いながらずっと私の二の腕をぷにぷに。

「はあああ!? 女子に向かってなんてことゆーのよ!」

「あ、ごめん。葵唯女子だったな」

「なにそれ、サイテー!」

そうは言っても、抱きしめる腕を振り払おうとはしない……。

抱きしめられていたい……。

……悠雅くんのセフレさんたちは、きっとキレイで、痩せてて、スタイル抜群で、背も高くて……。

私の正反対の人たちなんだろうな……。

「でも、女は普通よりちょっと肉がないとなぁ。膝枕とかしても気持ちよくねーし」

「アンタが膝枕とか……ガラじゃない」

「そーか? 結構してもらうけど」

─ズキン。

自分で言っといて悠雅くんの言葉に妬いてしまう。

ヤキモチ妬く立場じゃないのに。

彼女なんかじゃないんだから……。

私はシーツに顔をうずめた。

よかった。

後ろから抱きしめられてるから顔、見られなくて済む。

嫉妬にまみれた女の顔ほど醜いものはない。

……嫌われたくない。

ぎゅっとシーツを握る。

「葵唯?」

「おやすみ」

気づかれたくない。

感ずかれたくない。

まだ悠雅くんに包まれてたい────










::悠雅side::

─朝。

「ん……」

もう朝か……。

俺はアクビをして起き上がった。

そーいや、今日登校日だったな。

夏休み唯一の登校日。

めんどくせー……。

でも昼までだし、日数稼ぎに行かねーと。

「んんっ……。あれ? 悠雅もー行くの?」

さっきまで一緒に寝てたサヤが目を覚ました。

シーツがめくれ、あらわになった体を隠そうともせず、服を着る俺に抱きついてきた。

「おう」

「えー! もーちょっとヤってかない?」

「ごめん、また今度な。ハイこれ。精算よろしくな」

そう言って俺は抱きつくサヤの手にラブホ代を握らせた。

「さんきゅー」

サヤは札をヒラヒラさせながらまたベッドへ。

身体の関係ってこーゆーこと。

俺は服を着て、部屋をあとにした。










家に帰って制服に着替え、学校に向かう。

電車一本遅れたからギリギリにしかつかねーんだけど。

ポッケからスマホをだし、SNSを開くと、セフレたちからの通知。

毎日のように誘いが来る。

セフレは全員で6人かな。

ひとりひとり順番にするわけじゃない。

誘いが来てからOKするからほとんど5人のローテーション。

葵唯から誘われたことは一度もない。

だからバイトのあがりの時間が同じで、誰とも約束してなかった時は葵唯と。

まあ、葵唯は三神みたいだしな。

俺にのめり込んでるわけでもない。

今日はリナか。

リナにOKの返事を送り、スマホを直した。

ちょーどついたし。

俺は校門をくぐり、誰もいない校庭を通り抜けていく。

その時、校庭の木陰から女の子が走り去っていくのが見えた。

あの子、今、泣いてた……?

女の子に続いて木陰から出てきた男。

「三神」

「大和!」

「へぇ。告られてたワケだ」

「だったらなんだよ」

「別にー」

三神と一定の距離を置いて下駄箱へ。

三神も結構モテてるみたいだもんな。

まあ、見た目はいいかもしんねーけどな。

「何?」

じーっと見てた俺を怪訝そうに睨む三神。

「別に」

葵唯といるときの三神スマイルはどこへやら。

俺といる時と態度違いすぎだろ。

まあ、三神は俺にだけこんな対抗心むき出しなんだけど。

三神は俺の少し前を歩いて教室に向かう。

俺も行先は同じ。

三神についてってる感じは癪だけど。










───俺と三神は幼なじみ。

昔からこんな仲だったわけじゃない。

幼稚園、小学校の頃は毎日一緒にいて、毎日遊び明かした。

『悠雅』

『依織』

そう呼び合ってた、昔は。

小学生の頃からクラブチームでサッカーをしてる依織は貧乏でクラブチームに入れなかった俺にとって憧れであって、羨ましかった。

クラブチームに入れないなりに俺は練習した。

来る日も来る日も……。

昼休みに依織とクラスのやつらとサッカーするときも小学生なりに本気でプレーしてた。

依織も本気で。

でも、別チームになることはなくて、小学生の間、依織と戦うことは無かった。

──最初はただ、サッカーが上手い依織といい連携プレーが出来たら、って。

それだけだった。

中学生になって、依織とは別々の学校へ。

念願だったサッカー部に入った俺は先輩たちに負けじと練習に励んだ。

その甲斐あって、1年生にして先輩たちをおさえ、スタメンに。

大会で依織の中学と当たることも少なくなかった。

依織はやっぱりスタメンに入ってた。

当たり前だ。

依織の実力なら、スタメンに入れない手はない。

だれがみても依織はスゲープレーヤーだから。

初めて依織と戦った日。

依織に抜かれた。

2度も。

俺は依織を1度も抜くことが出来なくて。

その試合のあと。

『悠雅! お前一段と強くなってんじゃん!』

爽やかな笑顔で褒めてきた依織。

俺は、負けず嫌いだから……。

初めて依織と戦って、負けて……依織の言葉がバカにしてるとしか思わなかったんだ。

───その日から依織と話すことはなくなった。

それから俺はさらに練習に力を入れた。

依織を超えたくて。

何度も依織の中学と試合をした。

勝ったり負けたりの五分五分。

白熱の中学3年間を過ごしたあと、サッカー強豪校のこの高校からサッカーの特待生の誘いを受けた。

依織も同じく。

だけど、また依織とサッカーして気づいた。

依織は技術だけじゃない。

リーダーシップ、判断力、行動力、洞察力……。

人を指揮するだけの能力があった。

そんな依織を近くで見て、嫌気がさしたんだ。

俺は女に手を出すようになった。

近寄ってくる女と片っ端からセックスして、はけ口にした────









─もとを辿ればこんなギスギスしてんのも俺のせいなんだけど。

教室につき、俺は自分の席へ。

休み時間は机に突っ伏してた。

寝ようとしてたわけじゃない。

だから周りの声が聞こえてきた。

「葵唯……」

「な、なに……? 依織くん!」

窓が空いていて廊下の声が聞こえてきた。

なんだ、この2人。

ぎこちなさすぎだろ。

「こ、こないだは……チョコバナナ奢ってくれてありがと……」

「ああ……」

チョコバナナ?

……あー、夏祭りか。

にしてもなにこの気持ち悪い沈黙。

「……こないだの……返事、なんだけど……」

「あ、うん……」

こないだの返事?

もしかして三神、葵唯に告った?

─ガラガラ。

俺は窓を閉め、また突っ伏した。

盗み聞きしてもな。

しょうにあわねーし。










::葵唯side::

「……こないだの……返事、なんだけど……」

「あ、うん……」

「俺、覚悟してるから」

「へ?」

まっすぐに心を決めたような目で私を見据える依織くん。

覚悟?

何の……?

「葵唯、好きだろ? ……大和のこと」

─ドキン。

な、なんで……。

うそ、バレてるの……?

もしかしてみんな感ずいてたりするの……!?

胸が鼓動を早めた。

「だけど……葵唯を諦める気はない。片想いのままでいさせてくれないかな?」

「え、あ……その……うん……」

「よ、かった……」

依織くんは力が抜けたように壁にもたれかかった。

安堵したようにほっと息をつく。

「葵唯に引かれたと思った。もう喋れなくなるんじゃないかって」

「そんなこと! でも、嬉しい。ありがと」

そう言って依織くんに微笑みかける。

しゃべらなくなるわけない。

でも、少し……意識しちゃう……。

依織くんが私の事好きだなんて気が付かなかった……。

* * *

「りーんっ! 帰ろー! 今週ね駅前にカフェがオープンしたんだってー!」

放課後、HRが終わってカバンを肩にかけ、凛の元へ。

テレビでも紹介されてたカフェ。

美味しそうなデザートいっぱいあったし、早く食べたい~!

「アレ? 葵唯、今日掲示係じゃなかった?」

「……あ……」

「あ、って……忘れてたの?」

「あーん! またスイーツおあずけ……?」

「夏休み、お互いバイトが休みの日に行こっか」

「うん……」

落ち込む私の気持ちを汲んでポンポンと頭を撫でてくれる凛。

行きたかった~!

なんでこーもスイーツと掲示係カブるかな。

……でも……。

悠雅くんと一緒だから、よしとするか。

* * *

生徒会室に掲示物を取りに行って踊り場に着てみると、そこには悠雅くんの姿は見当たらない。

やっぱり……。

来ない気はしてた。

めんどくさがり屋だし、ゲーム優先だし。

はあ……。

溜息をつきながらポスターを張り替えはじめる。

だけどやっぱり届くわけなくて……。

そーだった……イス持ってこないといけないんだった。

この前は悠雅くんがしてくれたから大丈夫だったけど、今日は私1人。

イスに乗らないと届かないし終わらない。

私はみんなが帰ってガラガラになった教室へイスを取りに行った。

もう……みんな帰るの早すぎなんだから!

まあ、ほとんどみんな部活に行ったんだけど……。

イスを抱えながら階段をゆっくり降り、踊り場につくと……。

あれ……?

掲示板のポスターが新しいのに変わってる……。

なんで?

私、まだ一枚も張り替えてないのに……。

…………もしかして。

私はもう一つの掲示板のところへ駆けていく。

運動不足が裏目に出て、階段を駆け登るだけで息が上がってしまう。

「はぁ……はぁ……はぁ……」

「葵唯? なんでそんな息切れしてんの?」

「やっぱり……」

目の前でポスターを張り替えてる悠雅くん。

息の上がった私を見て笑いながらポスターを画鋲で止める。

掲示係ってこと、忘れてなかったんだ……。

いや……。

体操服にビブスを着ていて、サッカーのソックスを履いてるあたり、部活してて思い出したのかな。

「ポスターも画鋲も置きっぱだったから、マジメな葵唯ちゃんがまさかのサボりかと思って」

「サボるわけないでしょ。アンタ忘れてると思ってたから、私1人だと思ってたし」

息を整えてポスターを替え終わった悠雅くんに近づく。

こんな服装の悠雅くん、初めて見た……。

見た目だけだと爽やかなんだけどなぁ……。

「いちお、俺も学級委員なんで」

そう言って、貼ってあったポスターと画鋲を私の手に持たせた。

「俺、ポスター貼り替えたから、あとはよろしくな」

「はいはい」

「はいは1回だから」



「葵唯って意外とひねくれてるよな」

「はあ!?」

一番言われたくない相手に一番言われたくないこといわれたし!

悠雅くんも人のこと言えないじゃない!

もー!

「アンタもね」

「ちょ来て」

へ?

悠雅くんは私の手を引き、階段を登り始めた。

来て?

どこに!?

私の手をつかむ悠雅くんの手はあったかくておっきい。

依織くんみたいな手。

─ドキドキ……。

胸がドキドキと鼓動を早める。

ついたのは空き教室。

─ガチャ。

うそ、鍵かけた?

一気に鼓動が加速する。

何をされるのか不安と期待とでドキドキしてる。

そっと机にポスターと画鋲を置くと、悠雅くんは私の方へ近づいてきた。

一歩一歩近づく度に身体中が熱を帯びる。

─グイッ。

「んっ……」

悠雅くんは私のアゴをクイッと上向きにさせ、唇を重ねた。

キス……!?

しかも……舌入ってる……!

いきなりすぎて頭が追いつかない!

息……できない。

私は悠雅くんの体を押して顔を離した。

「ぷはっ……いきなり何して……───ん」

離れた顔をまた上げて、キス。

何これ……。

学校でこんなこと……。

いつの間にか私の体は悠雅くんと壁に挟まれてた。

逃げられない……。

逃げたくない……。

体が密着して、心臓のドキドキが悠雅くんに伝わってるんじゃないかって思うぐらい。

深く甘く激しくなるディープキス。

体の力が抜けそうになって、ギュッと悠雅くんのビブスを握る。

それを悟ったのか、悠雅くんは私の腰を支え、頭をぐっと引き寄せた。

「ふぁ……んっ……あっ……」

もう……どーにかなりそ……。

悠雅くんは唇を離し、私を机に押し倒した。

うそ……ここで?

学校でエッチなんてしたら1発で退学もの。

ダメなのに……。

こんなことしちゃダメなのに……。

制服を脱がしていく悠雅くんの手を止めようとしない。

「ダメっ……誰かに……見つかったら……」

「葵唯が声、我慢すれば大丈夫」

意地悪く微笑む悠雅くん。

「そーゆー問題じゃ……あんっ」

悠雅くんは私の言葉なんかお構い無しに愛撫し続ける。

声出ちゃいそ……。

必死に唇を噛み締め、口元を手で抑える。

「ゆ……う、が……くんっ」

「セックスする時だけなんだな」

「へっ……?」

なんのこと……?

「“悠雅”って呼ぶの」

そうなんだ……。

いつもアンタってしか呼んでないと思ってたのに……。

思い返してみると、悠雅くんとエッチするときは大体“悠雅”っていってるきがする。

「さっきもずっとアンタだったもんな」

「気づかなかった……。なんで悠雅くん気づい───ひゃっ」

「黙って」

“なんで悠雅くん気づいたの?”

私の言葉を遮ってまた愛撫をしはじめた悠雅くん。

なんで聞かせてくれないの……?

聞かなきゃ……勘違いしちゃうよ?

悠雅くんが私からの呼び名を気にしてたって……舞い上がっちゃうよ……?

悠雅くんが身体中をキスするたびに電撃が走ったみたいな感覚に襲われる。

もう頭が悠雅くんのことでいっぱいいっぱいだよ。

その時───。

「───でさ、こないだの夏祭りもね」

!!

教室の前、誰かいる!?

女の子の2人組かな。

話し声がだんだん近づいてくる。

体の熱も一気に引いて、冷や汗が流れる。

制服……着なきゃ……!

私は悠雅くんを押し返し、着崩れたブラウスのボタンを留める。

だけど───

「ちょ、なにしてんの……!」

ボタンを留めてた私の両手を頭の上で抑えた悠雅くん。

片手で私の両手首を抑え、もう片方の手で留めたボタンを外す。

小声で悠雅くんを制すけど、聞く耳を持ってくれない。

ダメだよ……。

見られたらどーすんの……。

私だけじゃなくて悠雅くんまで退学に……。

─ガンッ。

「あれ、開かないよ?」

「うそー……鍵あいてないのー?」

えー!

なんでよりによってこの教室なのー!

ドアを開けようとする女子達に見向きもせず、さっきの続きをする悠雅くん。

なんでそんなに余裕ぶっこいてんのよー!

私はそんな余裕もなく、ドアの方にばっかり目がいく。

だけど体は正直だから。

悠雅くんの行動に敏感に反応してしまう。

すぐそこにいるのに……声聞こえたらどうすんの……!

必死に声を押し殺す。

「鍵とりいこ」

「そだね」

そう言って、女子二人組はココから離れていった。

「行ったみたいだな」

悠雅くんは私から体を話して体を伸ばした。

私も起き上がって、机に座る。

「行ったみたいだな、じゃないでしょ! なにシラーっと続きしてんのよ」

「いーじゃん、スリルあって」

「スリルなんていらないー!」

ってか、こんなことしてる場合じゃ!

早くココから出ないと、あの子達帰ってきちゃう!

私は下着をつけて、またボタンを留める。

「なにしてんの」

「いや、見ればわかるでしょ。着直してんの!」

「なんで?」

「なんでって、さっき話聞いてなかったの!? あの子達戻ってきちゃうでしょーが!」

「別にいーじゃん?」

はっ!?

悠雅くんは私の手を取って、教卓の下へ。

「嘘でしょ? アンタやり過ごそーとか思ってない?」

「思ってるけど」

「アンタ本物のバカじゃない? 見つかったらシャレになんないから!」

「だいじょーぶ、だいじょーぶ」

大丈夫じゃないっ!!

体も密着して、距離も近いし……。

悠雅くんが覆いかぶさるような体制。

「鍵取りいくのめんどくさいよね……」

「わざわざ階段昇り降りキツイし」

帰ってきた……!!!

─ドックン、ドックン。

心臓破裂しそう……。

もう、このまま消えてなくなりたい……。

─ガチャっ。

「開いたよ」

「さっさと取っていこ」

忘れ物を取りに来たらしい女の子たち。

息を押し殺して、ぎゅっと目を瞑った。

見つかりませんように……。

見つかりませんように……っ!

すると──

んっ!?

パチッと目を開けて足元に目線を下ろす。

何やってんの……!?

スカートの中に手を突っ込んでる悠雅くん。

すぐそばにいるのに……。

こんな時に……。

不安で涙を溜めた目で悠雅くんを睨むけど、涼しい顔して顔を近づけてくる。

面白がってる……!!

声、出ちゃう……。

ピクンと反応する私のカラダ。

こんな時でも体は正直。

─ハムっ。

っ!!

耳噛んでる!?

悠雅くんは私の耳を何度も何度も甘噛みした。

やめて……。

もう、私……我慢出来ない……。

「あった!」

「よかったあ。早く帰ろ」

「そだねっ」

早く……出てって……。

じゃないともう……。

─ガチャっ。

鍵を閉めた女の子たちは教室をあとにした。

「んはっ!! はあ……はあ……」

よかった……。

なんとかやり過ごせた……。

「楽しかったな」

甘噛みしてた耳に低く囁いた悠雅くん。

「もうっ!」

私は悠雅くんを突き放した。

だけど、私の力じゃ悠雅くんはよろけもしない。

「全然楽しくない! どんだけ私が……」

─ポタっ。

えっ……。

自分の手に水滴が落ちてきた。

私、泣いてる……?

不安が一気になくなって、安心したから……。

「葵唯?」

悠雅くんは驚いたように私の名前を呼んだ。

私自身も驚いてる。

「こわ、かった……見つかったら……悠雅くんも退学に……」

溢れ出る涙は止まらなくて……。

ただただ、本心を紡いでいく。

「ごめん」

悠雅くんの大きな手が私の涙を拭った。

あったかい……優しい手。

あんなことされてもやっぱり悠雅くんが好き……。

嫌いになれない……。

いまだってほら……優しく抱きしめてくれる。

悠雅くんが優しいの知ってるから……。

離れられないよ────

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