断罪の暗殺者~なんか知らんが犯罪ギルドのトップになってた~

流優

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世界の様子

武器屋

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 ――その後、他の面々も書き終わったので、少しだけ目を通して問題無さそうだということを確認してから、再度カウンターのおっさんのところへ持っていく。

「書き終わったぞ」

「おう、確認させてもらう。……これで全員、本当に登録していいのか?」

 怪訝そうな顔で、数枚の登録用紙を見ながらそう言って来るおっさん。

 恐らくは、セイハと燐華の用紙を見て言っているのだろう。

 燐華の分は微妙に書き直させたが、それでも名前と魔法以外は空欄のままだし、セイハに至ってはどうも『メイド』ということに誇りを持っているらしく、「私はまずメイドですので」と書き直すのを拒否されてしまった。

 いや、いいんだけどさ、別に。
 セイハは割と、不思議ちゃんだと思う。

「あぁ、それでいい」

「お、おう、わかった。んじゃあ、ちょっと待ってろ」

 と、俺達から受け取った用紙を持ったまま、強面こわもておっさんは一度後方に下がり、何かの作業をしていたかと思うと、数分後に銅色のドックタグのようなものを人数分持って来る。

「おら、受け取れ」

 おっさんの手渡すソレを受け取ってからチラリと確認すると、先程書いた俺の名前と、『Ⅹ』の刻印がされていた。
 
 随分綺麗に彫刻されているが……ゲームにもあった魔導具的な何かでも使ったのだろうか?

 そこまで金属加工技術が進んでいるとは思えないしな。

「それが冒険者証だ。常に携帯している必要は無いが、だからって無くすんじゃないぞ。場合によっては提示してもらう必要があるからな。しっかり管理しておけ。――以上で、冒険者登録は終わりだ。一つ聞いておくが、お前ら全員一緒に働くつもりなんだな?」

「おう」

「じゃあ、パーティ申請もするか?」

「パーティ?」

 よく聞き慣れたその言葉に、思わずそう聞き返すと、すぐにその説明を始めてくれる。

「冒険者の単位だ。冒険者は魔物の討伐を主に行うことが多いが、戦闘は一人より二人、二人より三人。人数が多い方が楽になるからな。だから、冒険者はパーティを組んで依頼を受けることが多い」

「ふーん……」

 チラリと後ろを振り返ると、頷きを返して来る面々。

「――わかった、じゃあ、俺達でパーティを組む。途中で増やせるんだろうな?」

「勿論。アテがあるのか?」

「あぁ。あと二人、仲間がいる」

「そうか。んじゃあ、とりあえず今の面々を一パーティとして登録しておくぞ。パーティ名はどうする?」

「えっ、パーティ名か……」

 再び後ろを見ると、もはや完全に俺に任せる姿勢らしく、全員特に何も言わない。

 ……君らも、ちょっとぐらいは考えてくれてもいいんじゃないですかね。

 いや、まあこういうのは確かに、ギルドマスターの俺の仕事なんだろうし、横から口を出すのは筋違いとでも思っているのかもしれないけどさ。

「……じゃあ、そうだな……『風心旅団』で登録を頼む。字はこうだ」

「ほう、見たことない字だな。わかった、フーシン旅団だな」

 風心旅団は、ゲームの時の俺達のギルド名だ。
 好き勝手にやる、という意味で付けた。

 微妙に中二っぽさがあるが、実は結構気に入っている。

「よし、これで全ての手続きが終了した。――今後の、お前達の活躍を期待しているぜ」

 そして俺達は、極悪な顔でニヤリと笑ったおっさんを後目に、ギルドを出て行ったのだった。


   *   *   *


「――さて、それじゃあ……どうしようか」

「何だ、考えていたんじゃねぇのか?」

 ネアリアの言葉に、肩を竦めて答える。

「いや、全然。何にも」

「行き当たりばったりか」

「行き当たりばったりだ」
 
 あっさり冒険者登録も終わっちまったし、ジゲル達からもまだ連絡が無いしな。

「そんじゃあ、頭領。どうせやることねぇんだったらよ――」

「お酒は駄目です」

 ネアリアに先んじて、セイハが釘を刺す。

「チッ、わかったよ。じゃあ、とりあえず武器屋でも見に行ってみねぇか? どんなもんが使われてんのか見てみてぇ」

『ほう、お前にして、は、有意義な提案だ』

「そりゃどうも、トカゲ」

 煽り合う二人をスルーして、俺は口を開く。

「……確かに、気になるな。通りに何軒か覗いていたし、ジゲル達から連絡が来るまで、ちょっと行ってみるか」

 そうしてとりあえずの暇潰し先を決めた俺達は、冒険者ギルドの一番近場にあった、人の出入りの激しい武器屋へと足を踏み入れる。

 ――中に入ると、かなり繁盛しているらしく、多くの武装した客が武器を吟味している。

 物は多く、店の壁一面に様々な種類の武器が飾られ、店内に規則正しく並べられた武器のラックにもまた、多くの武器が収まっている。

 一角にはゴツい鎧がズラリと並んでおり、端っこには投げ売りらしく、如何にも安っぽい錆の浮いた武器が乱雑に入れられて売られていた。

「へぇ、色んなもんが売ってんのな」

 本当に、様々だ。

 普通の剣は勿論、サーベルにレイピア、エストック、短剣各種勢揃い。
 モーニングスターに鎖鎌、戦斧と来て、誰が使うのか疑問に思えるサイズのどデカい大剣。

 立地やその武具類の種類の豊富さからして、恐らくここは、ギルドのお抱え的な店なのだろう。

 銃は……おぉ、マスケットみたいなヤツはあるのか。
 やべぇ。カッコいい。ちょっと欲しい。

 そんな、割とワクワクしながら店内を見回していた俺だったのだが……。

『……粗雑』

「あぁ。造りが甘い。使うヤツの気がしれねぇ。駆け出し用だな、ここは」

 どうやら、ウチのギルドの面々からすると不評だったようだ。

「お? そうなのか?」

「見りゃわかんだろ。頭領の持っているソレより相当グレードが下がるぞ。……まあ、ソイツがバカみてぇに上等過ぎるってのもあんだが」

 クイと顎で、俺の腰にぶら下がっている幻刀『妖華』を指し示しながら、そう言うネアリア。

「いや、全然わからん」

「……頭領、アンタはもう少し、物を見る眼を磨いた方が良いな」

 へい、すいません。

 しょうがないねん、武器の質感なんて、流石にゲームじゃ全部一緒だったしさ。

「……短剣類は、そこそこ良い物が揃っていますが」

「へぇ? ……お、本当だ。作っているヤツが違ぇのかもな」

 短剣が置かれている棚をマジマジと眺めながら、品の吟味をする二人。

 俺もまた、その質の差というものを感じてみようと、彼女らの見ている短剣の棚に視線を移した――その時だった。
 
「――へぇ? んで、その『フルーシュベルト』って武器が、命を吸ったと?」

「あぁ。どうもそういう噂だぜ。何でも、すんげー斬れ味でどんなものでもスパスパ斬れちまうそうだが、調子に乗って使っていると、武器が所有者の命を少しずつ少しずつ吸い取って、最後には殺しちまうんだとよ」

「呪い憑きの類か。おっかねぇなぁ」

 何気なく交わされる、二人の男達の会話。

 その会話に、俺は、全身の動きを停止させる。

「……? あんちゃん?」

 隣の燐華が不思議そうにこちらを見上げるが、俺は男達の会話に聞き入っていたため、それに気が付くことはなかった。

 ――語られた、一つの単語。

 『フルーシュベルト』


 それは――

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