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自在剣篇
2.アイアムインドアⅠ
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2021年8月8日日曜日。神奈川県川崎市、私立新川学園前。
午前8時32分、良くも悪くも炎天だった。
× × × ×
7月14日の終業式が終わると、翌日から夏休みを迎える新川学園。
終業式を終え、ホームルームを終え、学校に置きっぱなしの教科書類を持ち帰る用意を一人でしていたバジルの元に、
「ねえ、楠森くん。今暇? ちょっといいかな」
「…………ん? んんっ!? ――は、はひっ!」
一分も予想し得なかった人物の声に、バジルは動揺を隠せない。丸出しの臆病根性で怯える彼に、目の前の少女は温かく微笑みかけた。
言葉は悪いが、『美』の一言で表せてしまいそうな、冷たく儚い美しさでつくられた容貌。
男女を問わず魅了する見事なプロポーションと、校則のとおり正しく着こなされた制服の清潔感に、誰も彼もが心を奪われそうになる。
そんな彼女を形容するならば、完璧美少女の一語に尽きる。
バジルのクラスメートであり、学年一の有名人であり、男子の理想・女子の鑑でもある彼女の名前は、黒崎麻衣。艶めく黒髪がトレードマークの15歳である。
「楠森くんってさ、暁月くんと仲いいんだよね? ……あれ、違ったっけ? とにかくわたしたち、夏休みの最終日に海行こうと思ってるの。それで一緒に出かけて楽しそうだなーって、そう思った人に声をかけてるんだけど……あっ、別に楠森くんへの当てつけとか、そういうのじゃなくってね。今のところメンバーはわたしと暁月くんと江洲さんと、あと郷さんだから。別にいっつも一緒にいるメンバーじゃないでしょ、ね? だから楠森くんと恵光さんも誘おうかと思ったんだけど、恵光さんには追い返されちゃって……それで仕方なく楠森くんだけでも誘おうってことになったの。あっ、そういえば楠森くんを誘おうと思った理由って言ってなかったよね。あれ、言ってなかったっけ? ……まあいいや。とにかく、8月8日の朝9時に、学校の校門前で待っててちょうだい。あっでも、予定がなかったらの話だよ? もしも予定が入ってたら、うーん……困っちゃうし、折角だから番号交換しましょう。――ここに置いとくから、用事で来れなくなっちゃったら連絡してね。あっ、でもドタキャンはだめだからね? わたし的には楠森くんにすっごく来て、欲しい、から……ね? じ、じゃあ、よろしく」
――怒濤のように捲し立てて、麻衣は自身の携帯の番号を書いた紙きれを置くと、バジルの前から逃げるように去っていった。
彼女の連続攻撃が済んだ途端、クラス内の日和を含めた全員の視線が、一気にバジルへと集まった。麻衣と対面した時も話を聞いていた時も、そして今もなおバジルは呆然としている。
「……ジルくん、まーた貧乏くじを引かされたな」
ため息交じりに日和が呟くと、ようやくバジルは現状に気が付いた。
可愛くて優しくて面白い、そんな完璧美少女の麻衣を無視していた、悪役バジル。明らかに自分がアウェイの空気を悟った彼は、瞬間にして顔面を茹で上げる。
いたたまれなくなったバジルと、なぜか責任を感じた日和は同時に教室を飛び出した。
「それで、ジルくんはどうするんだい?」
教室から脱兎のごとく逃げ出した二人。隣で半べそをかくバジルの背中を優しく撫でつつ、日和は少し棘のある声音でバジルに訊ねた。
日和は麻衣が述べたとおり、数日前に彼女の誘いを断っている。しかしバジルは、麻衣に対して断る姿勢を一切見せず、ただ黙って聞いていた。解答を求められた段階で『沈黙』という行為が了解を示していることを、他でもないバジルがよく知っている。昔から人とのコミュニケーションが苦手だった彼だからこそ理解しているのだ。
「だけど……相手が大物すぎて、ついだんまり決め込んでしまった」
「自戒に耽るのもいいけどさ、本当にどうするんだよ……? わたしはちょうどその日に用事があったから断ったけど、ジルくんは違うだろ? 願ってもない好機じゃないか」
「い、一応聞くけど、なんのチャンス?」
開き直ったバジルに日和は突然、本気のデコピンを見舞ってきた。
鉛色の空から僅かに差し込む陽光が、悶絶するバジルの白髪に重厚感を生む。まるで銀色の草がごとく右へ左へと揺れ動く様を、バジルの隣で頬を膨らませた日和はじっと眺めている。
それから一拍置いて、日和は淡々と回答を述べる。
「君はいつも、友人がいなくて一人たそがれているだろう。わたしは君の友人でいるつもりだけれど、残念ながら周りの感想としてそうは見えないらしい」
「ど、どういう……妹とか?」
「つくづく意味不明な奴だよ、ジルくんは……。とにかく、わたしたちはあくまで二人きりの友人であり、君はわたしからさらに交友関係を発展させることはできない。つまり君がわたし以外の友人を求めるのなら、交流の機会を自ら調達する必要があるのさ」
日和の言い分に、バジルは深く頷いている。
バジルのために手助けをしたい反面、自分が交友関係の拡大について役に立たないと自覚している日和は、できる限りの手助けをバジルにしてあげようと必死だ。しかし同時に、日和が交友関係拡大の役に立たないというのは、かなり間違っていると思う。
ピーキーな話題から誰にとっても面白い話題を使いこなせる彼女。またバジルのように人との関わりをあまり持たない人間とも素直に仲良くできる、心遣いもできる。こんな素晴らしい少女と、新天地にて一番最初に出会えたのは、まさにバジルにとって最大の僥倖だといえる。
ここまで他人思いの彼女に頼るのも気が引けるが、バジルが頼みさえすれば、クラスメートとの親睦行事くらい簡単に斡旋してくれそうだ。いや、絶対にしてくれるだろう。
「でも……今の日和の優しさのほうが、俺は好きかな」
「――なっ、何を言っているのかなぁ……全く……」
日和の純粋な親切心が、バジルにはとても嬉しかった。だから感謝を述べる。言葉の選択が微妙にずれている気もするが、それも大凡察したうえで日和は赤面し狼狽した。
「日和が優しいから、なんか勇気出てきた。待ち合わせには行こうと思う」
「『待ち合わせには』って……言い方は本当に、気を付けなよ?」
日和は安心した様子で、同時に呆けたバジルの物言いを揶揄する。
そんな日和の態度は、恋人を通り越してもはや母親のようにも見える――と、ひどく馬鹿げたことを考えた途端に、バジルの口元から笑いが零れた。
「なっ……! そ、それはわたしへの侮辱かなぁ、うん?」
「違う違う。あっ、でもバカにはしてる。『おかん』みたいだなって」
「『おかん』って……わ、わたしはそんな年増じゃないっ!」
「怒るのってそこかよ」
軸のずれた憤りと会話は、二人がアパートに到着するまで絶えなかった。
× × × ×
――と、こういう経緯で本日の奇妙な空間が実現した。
午前9時、学園の校門前に集合した5人の男女。
まず女子陣――多少省略するが、高等部1年のアイドル的存在の黒崎麻衣。そして外見が普通でバジルと深い仲でもない郷愛理、そして1年理数クラスの江洲歌咲。この全員に共通するのは、ルックスや人格からしてバジルとはかけ離れた人種であること。
次いで男子陣――相変わらずの白い髪と仏頂面が特徴的な楠森バジル。そして彼の級友で、こちらもバジルとは全然違う、普通の風貌と人格の少年・萩谷暁月。唯一、二人に共通するのはルックスの良さくらいだろうが、バジルは平常から備わった不機嫌さが相まって、非常に残念な仕上がりである。
「えー……じゃあ、行こっか!」
改まって麻衣が出発を告げると、4人は無言で頷いた。『真っ白な何か』による名状し難い異様さから、そんな雰囲気が限界まで充満していた。お人好しそうな麻衣と愛理が、駅までの道のりで何かと対策を講じてみるも、誘われた時と同様だんまりを決め込むバジルの完全無欠な異物感が全てを無に帰すだけだった。
つまり、遠足に持参するごく一般的な弁当箱にカレーを入れたことにより、出鼻から惨事を招いてしまったということだ。
なぜ予想できなかったのだろうか……。
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
バジルと日和の暮らす『隣人荘』から徒歩15分、新川学園から徒歩5分の距離。
相変わらずの好立地である川崎駅は、この日はかなり空いていた。
「えっと……お台場までどうやって行くんだっけ?」
線路図を眺めながら麻衣が呟く。今回の行き先を横浜から急きょお台場に変えた彼女は、その実ルートも行き方も全く知らないのだ。
すると理数クラスの歌咲が、
「なんか、楠森はそういうの詳しそうだよねー。どう行くの?」
「――へっ!?」
面倒事を丸投げしやがって……。
空虚に悪口もとい嘆きの声を漏らしたバジルは、知らないなりに近くの駅員へ道のりを聞きに向かった。
「あ、あの……」
「――何かご不明な点がございましたか?」
バジルの儚げな声に、朗らかな調子で男性の駅員は訊ねる。
しかし声をかけたものの、コミュニケーション能力が著しく欠け落ちたバジルにはこれ以上の言葉を紡ぐことができない。だからといって他の連れに代弁して貰うのも恥ずかしい。
無自覚に上擦った呻き声を漏らすバジルは、最終的に助けに入った麻衣によって、羞恥心に押し潰されそうにはなったものの、なんとか一命をとりとめた。
「えっと……じゃあ、行こっか……」
デジャヴではあるが、そのトーンはひどく落ち込んでいる。
アニメでいう「テコ入れ」のような海水浴が始まるのは、今からちょうど1時間後――。
午前8時32分、良くも悪くも炎天だった。
× × × ×
7月14日の終業式が終わると、翌日から夏休みを迎える新川学園。
終業式を終え、ホームルームを終え、学校に置きっぱなしの教科書類を持ち帰る用意を一人でしていたバジルの元に、
「ねえ、楠森くん。今暇? ちょっといいかな」
「…………ん? んんっ!? ――は、はひっ!」
一分も予想し得なかった人物の声に、バジルは動揺を隠せない。丸出しの臆病根性で怯える彼に、目の前の少女は温かく微笑みかけた。
言葉は悪いが、『美』の一言で表せてしまいそうな、冷たく儚い美しさでつくられた容貌。
男女を問わず魅了する見事なプロポーションと、校則のとおり正しく着こなされた制服の清潔感に、誰も彼もが心を奪われそうになる。
そんな彼女を形容するならば、完璧美少女の一語に尽きる。
バジルのクラスメートであり、学年一の有名人であり、男子の理想・女子の鑑でもある彼女の名前は、黒崎麻衣。艶めく黒髪がトレードマークの15歳である。
「楠森くんってさ、暁月くんと仲いいんだよね? ……あれ、違ったっけ? とにかくわたしたち、夏休みの最終日に海行こうと思ってるの。それで一緒に出かけて楽しそうだなーって、そう思った人に声をかけてるんだけど……あっ、別に楠森くんへの当てつけとか、そういうのじゃなくってね。今のところメンバーはわたしと暁月くんと江洲さんと、あと郷さんだから。別にいっつも一緒にいるメンバーじゃないでしょ、ね? だから楠森くんと恵光さんも誘おうかと思ったんだけど、恵光さんには追い返されちゃって……それで仕方なく楠森くんだけでも誘おうってことになったの。あっ、そういえば楠森くんを誘おうと思った理由って言ってなかったよね。あれ、言ってなかったっけ? ……まあいいや。とにかく、8月8日の朝9時に、学校の校門前で待っててちょうだい。あっでも、予定がなかったらの話だよ? もしも予定が入ってたら、うーん……困っちゃうし、折角だから番号交換しましょう。――ここに置いとくから、用事で来れなくなっちゃったら連絡してね。あっ、でもドタキャンはだめだからね? わたし的には楠森くんにすっごく来て、欲しい、から……ね? じ、じゃあ、よろしく」
――怒濤のように捲し立てて、麻衣は自身の携帯の番号を書いた紙きれを置くと、バジルの前から逃げるように去っていった。
彼女の連続攻撃が済んだ途端、クラス内の日和を含めた全員の視線が、一気にバジルへと集まった。麻衣と対面した時も話を聞いていた時も、そして今もなおバジルは呆然としている。
「……ジルくん、まーた貧乏くじを引かされたな」
ため息交じりに日和が呟くと、ようやくバジルは現状に気が付いた。
可愛くて優しくて面白い、そんな完璧美少女の麻衣を無視していた、悪役バジル。明らかに自分がアウェイの空気を悟った彼は、瞬間にして顔面を茹で上げる。
いたたまれなくなったバジルと、なぜか責任を感じた日和は同時に教室を飛び出した。
「それで、ジルくんはどうするんだい?」
教室から脱兎のごとく逃げ出した二人。隣で半べそをかくバジルの背中を優しく撫でつつ、日和は少し棘のある声音でバジルに訊ねた。
日和は麻衣が述べたとおり、数日前に彼女の誘いを断っている。しかしバジルは、麻衣に対して断る姿勢を一切見せず、ただ黙って聞いていた。解答を求められた段階で『沈黙』という行為が了解を示していることを、他でもないバジルがよく知っている。昔から人とのコミュニケーションが苦手だった彼だからこそ理解しているのだ。
「だけど……相手が大物すぎて、ついだんまり決め込んでしまった」
「自戒に耽るのもいいけどさ、本当にどうするんだよ……? わたしはちょうどその日に用事があったから断ったけど、ジルくんは違うだろ? 願ってもない好機じゃないか」
「い、一応聞くけど、なんのチャンス?」
開き直ったバジルに日和は突然、本気のデコピンを見舞ってきた。
鉛色の空から僅かに差し込む陽光が、悶絶するバジルの白髪に重厚感を生む。まるで銀色の草がごとく右へ左へと揺れ動く様を、バジルの隣で頬を膨らませた日和はじっと眺めている。
それから一拍置いて、日和は淡々と回答を述べる。
「君はいつも、友人がいなくて一人たそがれているだろう。わたしは君の友人でいるつもりだけれど、残念ながら周りの感想としてそうは見えないらしい」
「ど、どういう……妹とか?」
「つくづく意味不明な奴だよ、ジルくんは……。とにかく、わたしたちはあくまで二人きりの友人であり、君はわたしからさらに交友関係を発展させることはできない。つまり君がわたし以外の友人を求めるのなら、交流の機会を自ら調達する必要があるのさ」
日和の言い分に、バジルは深く頷いている。
バジルのために手助けをしたい反面、自分が交友関係の拡大について役に立たないと自覚している日和は、できる限りの手助けをバジルにしてあげようと必死だ。しかし同時に、日和が交友関係拡大の役に立たないというのは、かなり間違っていると思う。
ピーキーな話題から誰にとっても面白い話題を使いこなせる彼女。またバジルのように人との関わりをあまり持たない人間とも素直に仲良くできる、心遣いもできる。こんな素晴らしい少女と、新天地にて一番最初に出会えたのは、まさにバジルにとって最大の僥倖だといえる。
ここまで他人思いの彼女に頼るのも気が引けるが、バジルが頼みさえすれば、クラスメートとの親睦行事くらい簡単に斡旋してくれそうだ。いや、絶対にしてくれるだろう。
「でも……今の日和の優しさのほうが、俺は好きかな」
「――なっ、何を言っているのかなぁ……全く……」
日和の純粋な親切心が、バジルにはとても嬉しかった。だから感謝を述べる。言葉の選択が微妙にずれている気もするが、それも大凡察したうえで日和は赤面し狼狽した。
「日和が優しいから、なんか勇気出てきた。待ち合わせには行こうと思う」
「『待ち合わせには』って……言い方は本当に、気を付けなよ?」
日和は安心した様子で、同時に呆けたバジルの物言いを揶揄する。
そんな日和の態度は、恋人を通り越してもはや母親のようにも見える――と、ひどく馬鹿げたことを考えた途端に、バジルの口元から笑いが零れた。
「なっ……! そ、それはわたしへの侮辱かなぁ、うん?」
「違う違う。あっ、でもバカにはしてる。『おかん』みたいだなって」
「『おかん』って……わ、わたしはそんな年増じゃないっ!」
「怒るのってそこかよ」
軸のずれた憤りと会話は、二人がアパートに到着するまで絶えなかった。
× × × ×
――と、こういう経緯で本日の奇妙な空間が実現した。
午前9時、学園の校門前に集合した5人の男女。
まず女子陣――多少省略するが、高等部1年のアイドル的存在の黒崎麻衣。そして外見が普通でバジルと深い仲でもない郷愛理、そして1年理数クラスの江洲歌咲。この全員に共通するのは、ルックスや人格からしてバジルとはかけ離れた人種であること。
次いで男子陣――相変わらずの白い髪と仏頂面が特徴的な楠森バジル。そして彼の級友で、こちらもバジルとは全然違う、普通の風貌と人格の少年・萩谷暁月。唯一、二人に共通するのはルックスの良さくらいだろうが、バジルは平常から備わった不機嫌さが相まって、非常に残念な仕上がりである。
「えー……じゃあ、行こっか!」
改まって麻衣が出発を告げると、4人は無言で頷いた。『真っ白な何か』による名状し難い異様さから、そんな雰囲気が限界まで充満していた。お人好しそうな麻衣と愛理が、駅までの道のりで何かと対策を講じてみるも、誘われた時と同様だんまりを決め込むバジルの完全無欠な異物感が全てを無に帰すだけだった。
つまり、遠足に持参するごく一般的な弁当箱にカレーを入れたことにより、出鼻から惨事を招いてしまったということだ。
なぜ予想できなかったのだろうか……。
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
バジルと日和の暮らす『隣人荘』から徒歩15分、新川学園から徒歩5分の距離。
相変わらずの好立地である川崎駅は、この日はかなり空いていた。
「えっと……お台場までどうやって行くんだっけ?」
線路図を眺めながら麻衣が呟く。今回の行き先を横浜から急きょお台場に変えた彼女は、その実ルートも行き方も全く知らないのだ。
すると理数クラスの歌咲が、
「なんか、楠森はそういうの詳しそうだよねー。どう行くの?」
「――へっ!?」
面倒事を丸投げしやがって……。
空虚に悪口もとい嘆きの声を漏らしたバジルは、知らないなりに近くの駅員へ道のりを聞きに向かった。
「あ、あの……」
「――何かご不明な点がございましたか?」
バジルの儚げな声に、朗らかな調子で男性の駅員は訊ねる。
しかし声をかけたものの、コミュニケーション能力が著しく欠け落ちたバジルにはこれ以上の言葉を紡ぐことができない。だからといって他の連れに代弁して貰うのも恥ずかしい。
無自覚に上擦った呻き声を漏らすバジルは、最終的に助けに入った麻衣によって、羞恥心に押し潰されそうにはなったものの、なんとか一命をとりとめた。
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