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第3章
日の沈む少し前
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日の沈む少し前。三人はやっと洞窟にたどりつきました。
「ここですね。」
「こっそり中に入って様子を見ながら、オリーブさんを探した方がいいよね。」
「はい、それが安全だと思います。」
と、シフォンとミントが小声で相談している横で、ソルトは大きく息を吸い、そして、
「娘を返してもらいに来た、勇者ソルトだ!」
と叫びました。
「さぁ、悪者ども、出てこ」
ばっちーん!
ミントのハリセンにより、またソルトは地面に倒れることになりました。
「あ、あ、あ、あんたはあああ!」
「勇者さま、」
怒りで言葉が出てこず口をパクパクさせているミントのあとを、シフォンが続けます。
「その馬鹿は、死んだら直りますか?」
いつもと同じように笑顔で、優しい声なのに、
「シフォン、目が、怖い。」
シフォンが怒ることなんて、ほとんどありません。ソルトはおびえました。
さて、ソルトの声は洞窟内を響いて、ベリーズのところまで届きました。
「お。面白くなってきたねえ。あの子の彼氏かな?」
きゃらきゃらと笑うラズベリーに、ブルーベリーは静かに
「ジャマするやつは消すだけ。」
と告げました。
「こわーい。」
ラズベリーはまた笑います。
「ラズ、あんたはここにいな。私一人で十分だ。」
ブルーベリーは魔法で剣を出現させ、歩き出しました。
入口で三人の人間を見つけます。
「何をやっているんだ?」
男が女二人の攻撃にあっています。仲間われでしょうか。
少し考えたものの、すぐに思い直しました。
「三人とも殺せばいいだけか。」
ブルーベリーは長くて細身の剣を地面にさします。するとあたり一帯の地面がゆれ始め、先のとがった氷のかたまりが次々と飛び出してきます。
三人の中で一番反応が早かったのはシフォンでした。
「散って、動き回って下さい!」
シフォンの状況を判断する能力は非常にすぐれています。ソルトもミントも言われた通りにしました。
氷のかたまりが、シフォンのすぐ近くの足元から突き出しました。
『やってきたのは一人。村人の話によると最低あと一人はいるはず。』
考えながら軽くジャンプをして攻撃をかわし、あたりを見渡します。今立っている場所は広場のようになっていて何もありませんが、それを囲む木々の間になら、いくらでも姿をかくせるでしょう。
ブルーベリーは剣を抜き、今度は大きくなぎ払います。風の巻き起こる音がして、真空波がいくつもおこり、後ろの木々を切り倒していきました。シフォンの耳に、きゃあーというミントの悲鳴が聞こえます。声の様子からして、直撃はしていないようでした。
『大きな技を使うということは、近くに仲間がいないと考えていいでしょう。』
では、もう一人は何をしているのでしょうか。
「まずいですね…。」
オリーブの身が危ないかもしれません。シフォンは小さくつぶやき、視界の右手にソルト、左手にミント、前方は洞窟の入り口と、剣をあやつる女性。と一瞬で位置情報をつかみます。
シフォンは真空波をよけながらソルトのそばへ走り、彼の手をぐっとにぎりしめました。
「シフォン?」
ソルトが、わからないといった表情で彼女を見、
「こんなときに、何いちゃついてるの!」
と攻撃をよけるのに必死なミントが、息を切らしながらも、そう叫びます。
「ミントさん、」
そんな頼りになる仲間の名前を呼び、シフォンはさっと指で魔方陣をえがきながら
「ここはまかせましたよ。」
と笑いかけました。次の瞬間にはミントの目の前からシフォンはソルトと共に消え、
しゅん。
という軽い音で洞窟内に出現し、奥へと走り去って行きます。
「え、ちょっと待ってよ。」
ブルーベリーは舌打ちし、シフォン達を追いかけようとします。
「ああもうー。」
シフォンの言葉の意図がわかったミントは不満を声に変えて、ダガーをブルーベリーに投げつけました。そしてさっと走りこみ、短剣で切りつけていきます。剣と剣がぶつかり合い、金属音が響きました。
「あんたの相手は私よ。」
ミントは自分より長身である相手を見上げ、負けないよう、にらみつけました。
「言っとくけど、私、今すっごくキゲン悪いから。」
「同感だ。私もキゲンが悪い。お前みたいな娘の相手をしなければならないからな。」
ロボットのようなブルーベリーの話し方に、ミントは心の中で怖いよーと泣き、シフォンを恨みました。
「ここですね。」
「こっそり中に入って様子を見ながら、オリーブさんを探した方がいいよね。」
「はい、それが安全だと思います。」
と、シフォンとミントが小声で相談している横で、ソルトは大きく息を吸い、そして、
「娘を返してもらいに来た、勇者ソルトだ!」
と叫びました。
「さぁ、悪者ども、出てこ」
ばっちーん!
ミントのハリセンにより、またソルトは地面に倒れることになりました。
「あ、あ、あ、あんたはあああ!」
「勇者さま、」
怒りで言葉が出てこず口をパクパクさせているミントのあとを、シフォンが続けます。
「その馬鹿は、死んだら直りますか?」
いつもと同じように笑顔で、優しい声なのに、
「シフォン、目が、怖い。」
シフォンが怒ることなんて、ほとんどありません。ソルトはおびえました。
さて、ソルトの声は洞窟内を響いて、ベリーズのところまで届きました。
「お。面白くなってきたねえ。あの子の彼氏かな?」
きゃらきゃらと笑うラズベリーに、ブルーベリーは静かに
「ジャマするやつは消すだけ。」
と告げました。
「こわーい。」
ラズベリーはまた笑います。
「ラズ、あんたはここにいな。私一人で十分だ。」
ブルーベリーは魔法で剣を出現させ、歩き出しました。
入口で三人の人間を見つけます。
「何をやっているんだ?」
男が女二人の攻撃にあっています。仲間われでしょうか。
少し考えたものの、すぐに思い直しました。
「三人とも殺せばいいだけか。」
ブルーベリーは長くて細身の剣を地面にさします。するとあたり一帯の地面がゆれ始め、先のとがった氷のかたまりが次々と飛び出してきます。
三人の中で一番反応が早かったのはシフォンでした。
「散って、動き回って下さい!」
シフォンの状況を判断する能力は非常にすぐれています。ソルトもミントも言われた通りにしました。
氷のかたまりが、シフォンのすぐ近くの足元から突き出しました。
『やってきたのは一人。村人の話によると最低あと一人はいるはず。』
考えながら軽くジャンプをして攻撃をかわし、あたりを見渡します。今立っている場所は広場のようになっていて何もありませんが、それを囲む木々の間になら、いくらでも姿をかくせるでしょう。
ブルーベリーは剣を抜き、今度は大きくなぎ払います。風の巻き起こる音がして、真空波がいくつもおこり、後ろの木々を切り倒していきました。シフォンの耳に、きゃあーというミントの悲鳴が聞こえます。声の様子からして、直撃はしていないようでした。
『大きな技を使うということは、近くに仲間がいないと考えていいでしょう。』
では、もう一人は何をしているのでしょうか。
「まずいですね…。」
オリーブの身が危ないかもしれません。シフォンは小さくつぶやき、視界の右手にソルト、左手にミント、前方は洞窟の入り口と、剣をあやつる女性。と一瞬で位置情報をつかみます。
シフォンは真空波をよけながらソルトのそばへ走り、彼の手をぐっとにぎりしめました。
「シフォン?」
ソルトが、わからないといった表情で彼女を見、
「こんなときに、何いちゃついてるの!」
と攻撃をよけるのに必死なミントが、息を切らしながらも、そう叫びます。
「ミントさん、」
そんな頼りになる仲間の名前を呼び、シフォンはさっと指で魔方陣をえがきながら
「ここはまかせましたよ。」
と笑いかけました。次の瞬間にはミントの目の前からシフォンはソルトと共に消え、
しゅん。
という軽い音で洞窟内に出現し、奥へと走り去って行きます。
「え、ちょっと待ってよ。」
ブルーベリーは舌打ちし、シフォン達を追いかけようとします。
「ああもうー。」
シフォンの言葉の意図がわかったミントは不満を声に変えて、ダガーをブルーベリーに投げつけました。そしてさっと走りこみ、短剣で切りつけていきます。剣と剣がぶつかり合い、金属音が響きました。
「あんたの相手は私よ。」
ミントは自分より長身である相手を見上げ、負けないよう、にらみつけました。
「言っとくけど、私、今すっごくキゲン悪いから。」
「同感だ。私もキゲンが悪い。お前みたいな娘の相手をしなければならないからな。」
ロボットのようなブルーベリーの話し方に、ミントは心の中で怖いよーと泣き、シフォンを恨みました。
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