7 / 36
第3章
日の沈む少し前
しおりを挟む
日の沈む少し前。三人はやっと洞窟にたどりつきました。
「ここですね。」
「こっそり中に入って様子を見ながら、オリーブさんを探した方がいいよね。」
「はい、それが安全だと思います。」
と、シフォンとミントが小声で相談している横で、ソルトは大きく息を吸い、そして、
「娘を返してもらいに来た、勇者ソルトだ!」
と叫びました。
「さぁ、悪者ども、出てこ」
ばっちーん!
ミントのハリセンにより、またソルトは地面に倒れることになりました。
「あ、あ、あ、あんたはあああ!」
「勇者さま、」
怒りで言葉が出てこず口をパクパクさせているミントのあとを、シフォンが続けます。
「その馬鹿は、死んだら直りますか?」
いつもと同じように笑顔で、優しい声なのに、
「シフォン、目が、怖い。」
シフォンが怒ることなんて、ほとんどありません。ソルトはおびえました。
さて、ソルトの声は洞窟内を響いて、ベリーズのところまで届きました。
「お。面白くなってきたねえ。あの子の彼氏かな?」
きゃらきゃらと笑うラズベリーに、ブルーベリーは静かに
「ジャマするやつは消すだけ。」
と告げました。
「こわーい。」
ラズベリーはまた笑います。
「ラズ、あんたはここにいな。私一人で十分だ。」
ブルーベリーは魔法で剣を出現させ、歩き出しました。
入口で三人の人間を見つけます。
「何をやっているんだ?」
男が女二人の攻撃にあっています。仲間われでしょうか。
少し考えたものの、すぐに思い直しました。
「三人とも殺せばいいだけか。」
ブルーベリーは長くて細身の剣を地面にさします。するとあたり一帯の地面がゆれ始め、先のとがった氷のかたまりが次々と飛び出してきます。
三人の中で一番反応が早かったのはシフォンでした。
「散って、動き回って下さい!」
シフォンの状況を判断する能力は非常にすぐれています。ソルトもミントも言われた通りにしました。
氷のかたまりが、シフォンのすぐ近くの足元から突き出しました。
『やってきたのは一人。村人の話によると最低あと一人はいるはず。』
考えながら軽くジャンプをして攻撃をかわし、あたりを見渡します。今立っている場所は広場のようになっていて何もありませんが、それを囲む木々の間になら、いくらでも姿をかくせるでしょう。
ブルーベリーは剣を抜き、今度は大きくなぎ払います。風の巻き起こる音がして、真空波がいくつもおこり、後ろの木々を切り倒していきました。シフォンの耳に、きゃあーというミントの悲鳴が聞こえます。声の様子からして、直撃はしていないようでした。
『大きな技を使うということは、近くに仲間がいないと考えていいでしょう。』
では、もう一人は何をしているのでしょうか。
「まずいですね…。」
オリーブの身が危ないかもしれません。シフォンは小さくつぶやき、視界の右手にソルト、左手にミント、前方は洞窟の入り口と、剣をあやつる女性。と一瞬で位置情報をつかみます。
シフォンは真空波をよけながらソルトのそばへ走り、彼の手をぐっとにぎりしめました。
「シフォン?」
ソルトが、わからないといった表情で彼女を見、
「こんなときに、何いちゃついてるの!」
と攻撃をよけるのに必死なミントが、息を切らしながらも、そう叫びます。
「ミントさん、」
そんな頼りになる仲間の名前を呼び、シフォンはさっと指で魔方陣をえがきながら
「ここはまかせましたよ。」
と笑いかけました。次の瞬間にはミントの目の前からシフォンはソルトと共に消え、
しゅん。
という軽い音で洞窟内に出現し、奥へと走り去って行きます。
「え、ちょっと待ってよ。」
ブルーベリーは舌打ちし、シフォン達を追いかけようとします。
「ああもうー。」
シフォンの言葉の意図がわかったミントは不満を声に変えて、ダガーをブルーベリーに投げつけました。そしてさっと走りこみ、短剣で切りつけていきます。剣と剣がぶつかり合い、金属音が響きました。
「あんたの相手は私よ。」
ミントは自分より長身である相手を見上げ、負けないよう、にらみつけました。
「言っとくけど、私、今すっごくキゲン悪いから。」
「同感だ。私もキゲンが悪い。お前みたいな娘の相手をしなければならないからな。」
ロボットのようなブルーベリーの話し方に、ミントは心の中で怖いよーと泣き、シフォンを恨みました。
「ここですね。」
「こっそり中に入って様子を見ながら、オリーブさんを探した方がいいよね。」
「はい、それが安全だと思います。」
と、シフォンとミントが小声で相談している横で、ソルトは大きく息を吸い、そして、
「娘を返してもらいに来た、勇者ソルトだ!」
と叫びました。
「さぁ、悪者ども、出てこ」
ばっちーん!
ミントのハリセンにより、またソルトは地面に倒れることになりました。
「あ、あ、あ、あんたはあああ!」
「勇者さま、」
怒りで言葉が出てこず口をパクパクさせているミントのあとを、シフォンが続けます。
「その馬鹿は、死んだら直りますか?」
いつもと同じように笑顔で、優しい声なのに、
「シフォン、目が、怖い。」
シフォンが怒ることなんて、ほとんどありません。ソルトはおびえました。
さて、ソルトの声は洞窟内を響いて、ベリーズのところまで届きました。
「お。面白くなってきたねえ。あの子の彼氏かな?」
きゃらきゃらと笑うラズベリーに、ブルーベリーは静かに
「ジャマするやつは消すだけ。」
と告げました。
「こわーい。」
ラズベリーはまた笑います。
「ラズ、あんたはここにいな。私一人で十分だ。」
ブルーベリーは魔法で剣を出現させ、歩き出しました。
入口で三人の人間を見つけます。
「何をやっているんだ?」
男が女二人の攻撃にあっています。仲間われでしょうか。
少し考えたものの、すぐに思い直しました。
「三人とも殺せばいいだけか。」
ブルーベリーは長くて細身の剣を地面にさします。するとあたり一帯の地面がゆれ始め、先のとがった氷のかたまりが次々と飛び出してきます。
三人の中で一番反応が早かったのはシフォンでした。
「散って、動き回って下さい!」
シフォンの状況を判断する能力は非常にすぐれています。ソルトもミントも言われた通りにしました。
氷のかたまりが、シフォンのすぐ近くの足元から突き出しました。
『やってきたのは一人。村人の話によると最低あと一人はいるはず。』
考えながら軽くジャンプをして攻撃をかわし、あたりを見渡します。今立っている場所は広場のようになっていて何もありませんが、それを囲む木々の間になら、いくらでも姿をかくせるでしょう。
ブルーベリーは剣を抜き、今度は大きくなぎ払います。風の巻き起こる音がして、真空波がいくつもおこり、後ろの木々を切り倒していきました。シフォンの耳に、きゃあーというミントの悲鳴が聞こえます。声の様子からして、直撃はしていないようでした。
『大きな技を使うということは、近くに仲間がいないと考えていいでしょう。』
では、もう一人は何をしているのでしょうか。
「まずいですね…。」
オリーブの身が危ないかもしれません。シフォンは小さくつぶやき、視界の右手にソルト、左手にミント、前方は洞窟の入り口と、剣をあやつる女性。と一瞬で位置情報をつかみます。
シフォンは真空波をよけながらソルトのそばへ走り、彼の手をぐっとにぎりしめました。
「シフォン?」
ソルトが、わからないといった表情で彼女を見、
「こんなときに、何いちゃついてるの!」
と攻撃をよけるのに必死なミントが、息を切らしながらも、そう叫びます。
「ミントさん、」
そんな頼りになる仲間の名前を呼び、シフォンはさっと指で魔方陣をえがきながら
「ここはまかせましたよ。」
と笑いかけました。次の瞬間にはミントの目の前からシフォンはソルトと共に消え、
しゅん。
という軽い音で洞窟内に出現し、奥へと走り去って行きます。
「え、ちょっと待ってよ。」
ブルーベリーは舌打ちし、シフォン達を追いかけようとします。
「ああもうー。」
シフォンの言葉の意図がわかったミントは不満を声に変えて、ダガーをブルーベリーに投げつけました。そしてさっと走りこみ、短剣で切りつけていきます。剣と剣がぶつかり合い、金属音が響きました。
「あんたの相手は私よ。」
ミントは自分より長身である相手を見上げ、負けないよう、にらみつけました。
「言っとくけど、私、今すっごくキゲン悪いから。」
「同感だ。私もキゲンが悪い。お前みたいな娘の相手をしなければならないからな。」
ロボットのようなブルーベリーの話し方に、ミントは心の中で怖いよーと泣き、シフォンを恨みました。
0
あなたにおすすめの小説
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
愛しているなら拘束してほしい
守 秀斗
恋愛
会社員の美夜本理奈子(24才)。ある日、仕事が終わって会社の玄関まで行くと大雨が降っている。びしょ濡れになるのが嫌なので、地下の狭い通路を使って、隣の駅ビルまで行くことにした。すると、途中の部屋でいかがわしい行為をしている二人の男女を見てしまうのだが……。
屈辱と愛情
守 秀斗
恋愛
最近、夫の態度がおかしいと思っている妻の名和志穂。25才。仕事で疲れているのかとそっとしておいたのだが、一か月もベッドで抱いてくれない。思い切って、夫に聞いてみると意外な事を言われてしまうのだが……。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
熟女愛好家ユウスケの青春(熟女漁り)
MisakiNonagase
恋愛
高校まで勉強一筋で大学デビューをしたユウスケは家庭教師の教え子の母親と不倫交際するが、彼にとって彼女とが初の男女交際。そこでユウスケは自分が熟女好きだと自覚する。それからユウスケは戦略と実戦を重ねて、清潔感と聞き上手を武器にたくさんの熟女と付き合うことになるストーリーです。
17歳男子高生と32歳主婦の境界線
MisakiNonagase
恋愛
32歳主婦のカレンはインスタグラムで20歳大学生の晴人と知り合う。親密な関係となった3度目のデートのときに、晴人が実は17歳の高校2年生だと知る。
カレンと晴人はその後、どうなる?
冷遇妃マリアベルの監視報告書
Mag_Mel
ファンタジー
シルフィード王国に敗戦国ソラリから献上されたのは、"太陽の姫"と讃えられた妹ではなく、悪女と噂される姉、マリアベル。
第一王子の四番目の妃として迎えられた彼女は、王宮の片隅に追いやられ、嘲笑と陰湿な仕打ちに晒され続けていた。
そんな折、「王家の影」は第三王子セドリックよりマリアベルの監視業務を命じられる。年若い影が記す報告書には、ただ静かに耐え続け、死を待つかのように振舞うひとりの女の姿があった。
王位継承争いと策謀が渦巻く王宮で、冷遇妃の運命は思わぬ方向へと狂い始める――。
(小説家になろう様にも投稿しています)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる