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第4章
お姉さん、防御ばっかになってるよん!
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こちらでもまた、金属音が響いていました。
「お姉さん、防御ばっかになってるよん!」
ラズベリーの両手鎌が迫ってきます。杖でなんとか二つのうち一つを受け止めますが、もう片方で体を傷つけられ、シフォンはあちこち傷だらけです。
シフォンは魔法使いです。杖を防具にしての戦いの訓練も行ってはきましたが、防具では相手を倒すことが出来ません。呪文を唱える時間を作れなければ負けてしまうと、それは彼女にも、そしてラズベリーにもわかっていました。
「はい、次はー、雷もおっことしちゃうよー。がんばってよけないと黒こげでーす。」
対するモンスターは、呪文がなくても簡単な魔法ならば使えます。
ラズベリーの戦い方は、可愛らしいおしゃべりとは対照的に優しさがなく、どんどんシフォンを傷つけ、追いつめていきます。特にねらうのは足でした。シフォンの動きが始めよりにぶいのが、見てとれます。
雷をよけると、その目の前にはラズベリーがいて、鎌でまた足を攻撃される。それを何度くり返されたでしょうか。ついにシフォンはひざをつき、立ち上がろうとついた手にも力が入らずに、倒れました。
「もう、まだ杖を放さないんだから。ラズちゃん怒っちゃうぞ。」
杖をにぎりしめている右手をふみつけられ、シフォンは痛みにうめきます。
満足げに、モンスターの少女は武器をいったん肩に背負って両手を自由にし、シフォンの指から離れた杖を遠くけり飛ばしました。それから、
「ねえ、お姉さん。私結構お姉さんのこと気に入ったのね。」
と、にっこり笑って、手をふみつけたまましゃがみ、シフォンの首元に手をそえて顔を自分の方に向かせます。
「だから、もう戦うのをやめて、私の部下にならない? ちゃんとお給料だってはらいま
すよん?」
愛らしい笑顔と、その右手はまた武器を持ち、かまえているのがシフォンには見えました。
「お断りします。」
シフォンは微笑んで言いました。負けるわけにはいきません。
「そう。残念。それじゃあ、殺して、その体だけコレクションするよ!」
ラズベリーが鎌を振り上げます。
「え、なんで、なんで動かないの?」
大きく右手を上げた状態から、下ろされることはありませんでした。シフォンは小さく笑います。左手の先には小さな魔方陣。自分の流した血で描いた魔方陣です。
「ライ、ララ、ライ、ソン、ロ、シンク…」
シフォンの声は、まるで歌うかのように、なめらかに呪文をつむぎます。今はもう使われていない古代の言葉で、
『あなたを透明な光で包みましょう。
私は歌います。
その光は悪(あ)しきもの全てを浄化(じょうか)します。
ああ、神の子よ。神の子よ。』
と、流れ、洞窟内に響き渡ります。
そして、シフォンは目を閉じます。
「降りそそぐ光は、おわりのはじまり。」
「こんなことって…。」
ラズベリーはつぶやきましたが、しかし、どうしようもありません。
「シャイニ、パ、ガット、ライラ!」
『輝きなさい、贖い(あがない)の光よ!』
光がモンスターを包み込み、またたいて、消えました。そこには何も残っていません。
シフォンは傷ついた足でなんとか立ち上がり、奥へと歩き出します。
「こんなところで立ち止まってはいけません。私の役目は、勇者さまの旅を見届けることなのですから…。」
それは、師匠である魔法使いから与えられた使命でした。
そして、ソルトと出会い、一緒に旅をしていくうちに芽生えた、シフォンの意志でした。
「お姉さん、防御ばっかになってるよん!」
ラズベリーの両手鎌が迫ってきます。杖でなんとか二つのうち一つを受け止めますが、もう片方で体を傷つけられ、シフォンはあちこち傷だらけです。
シフォンは魔法使いです。杖を防具にしての戦いの訓練も行ってはきましたが、防具では相手を倒すことが出来ません。呪文を唱える時間を作れなければ負けてしまうと、それは彼女にも、そしてラズベリーにもわかっていました。
「はい、次はー、雷もおっことしちゃうよー。がんばってよけないと黒こげでーす。」
対するモンスターは、呪文がなくても簡単な魔法ならば使えます。
ラズベリーの戦い方は、可愛らしいおしゃべりとは対照的に優しさがなく、どんどんシフォンを傷つけ、追いつめていきます。特にねらうのは足でした。シフォンの動きが始めよりにぶいのが、見てとれます。
雷をよけると、その目の前にはラズベリーがいて、鎌でまた足を攻撃される。それを何度くり返されたでしょうか。ついにシフォンはひざをつき、立ち上がろうとついた手にも力が入らずに、倒れました。
「もう、まだ杖を放さないんだから。ラズちゃん怒っちゃうぞ。」
杖をにぎりしめている右手をふみつけられ、シフォンは痛みにうめきます。
満足げに、モンスターの少女は武器をいったん肩に背負って両手を自由にし、シフォンの指から離れた杖を遠くけり飛ばしました。それから、
「ねえ、お姉さん。私結構お姉さんのこと気に入ったのね。」
と、にっこり笑って、手をふみつけたまましゃがみ、シフォンの首元に手をそえて顔を自分の方に向かせます。
「だから、もう戦うのをやめて、私の部下にならない? ちゃんとお給料だってはらいま
すよん?」
愛らしい笑顔と、その右手はまた武器を持ち、かまえているのがシフォンには見えました。
「お断りします。」
シフォンは微笑んで言いました。負けるわけにはいきません。
「そう。残念。それじゃあ、殺して、その体だけコレクションするよ!」
ラズベリーが鎌を振り上げます。
「え、なんで、なんで動かないの?」
大きく右手を上げた状態から、下ろされることはありませんでした。シフォンは小さく笑います。左手の先には小さな魔方陣。自分の流した血で描いた魔方陣です。
「ライ、ララ、ライ、ソン、ロ、シンク…」
シフォンの声は、まるで歌うかのように、なめらかに呪文をつむぎます。今はもう使われていない古代の言葉で、
『あなたを透明な光で包みましょう。
私は歌います。
その光は悪(あ)しきもの全てを浄化(じょうか)します。
ああ、神の子よ。神の子よ。』
と、流れ、洞窟内に響き渡ります。
そして、シフォンは目を閉じます。
「降りそそぐ光は、おわりのはじまり。」
「こんなことって…。」
ラズベリーはつぶやきましたが、しかし、どうしようもありません。
「シャイニ、パ、ガット、ライラ!」
『輝きなさい、贖い(あがない)の光よ!』
光がモンスターを包み込み、またたいて、消えました。そこには何も残っていません。
シフォンは傷ついた足でなんとか立ち上がり、奥へと歩き出します。
「こんなところで立ち止まってはいけません。私の役目は、勇者さまの旅を見届けることなのですから…。」
それは、師匠である魔法使いから与えられた使命でした。
そして、ソルトと出会い、一緒に旅をしていくうちに芽生えた、シフォンの意志でした。
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