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第5章
ついでにガナッシュは走ります
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奥に続く道は一本道でしたが、まがりくねっているため、シルヴェーヌの背中は見えたり見えなかったりします。シフォンの魔法で照らしていても暗い道をソルト、ついでにガナッシュは走ります。
「ついでなのはソルトだ!」
曲がり角で消えたシルヴェーヌの背中を追って二人が角を曲がると、先程の場所よりはせまいですが、ぽっかり開いた空間に出ました。
「どこに行ったんだ?」
進むスピードをゆるめて、あたりを見渡します。ソルトの顔の向きに合わせ、魔法の火があたりを照らしました。
「こっちじゃよ。」
と、シルヴェーヌが言いました。ソルトとガナッシュは剣をかまえて、声のした方を向きました。
彼女は笑っています。その前に一人の女性が立っています。
「まさか…。」
「うわ、またなんか出てきた! ふっ、でも敵が何人であろうとこのガナッシュ様には関係ない…」
「オリーブさんなのか?」
ソルトの言葉にその女性は小さくうなずきました。両手は後ろでしばられ、首にはシルヴ
ェーヌの扇が、後ろから手をまわして、つきつけられています。
「誰? 知り合い?」
ガナッシュは状況がつかめずに、ソルトを見て、オリーブを見て、を繰り返しています。
「知り合いもなにも、俺は彼女を助けに来たんだ。」
「ちょっと待て。始めから説明を、」
「さて、この娘、傷つけられたら困るじゃろう?」
ガナッシュの言葉をさえぎり、シルヴェーヌはにやりと口のはしを持ち上げました。
「困るの?」
「何が言いたい?」
「おーい。」
立ちつくすガナッシュを間にはさみ、勇者とモンスターはにらみ合います。
「動かないでもらおうか。動いたら、この娘の首が飛ぶかもしれんからなあ。」
「卑怯者…。」
うなるようにつぶやくソルトと、
「これってかなりピンチなのか?」
誰かに答えて欲しいガナッシュ。
「そっちのもの、」
シルヴェーヌが扇を持ってないほうの手で、脳天気な方を指し、
「え、俺?」
「剣を下においてもらおうか。それを持っていると魔法が効かんからのう。」
と言って、くつくつと笑います。
ガナッシュは何か言い返そうとしますが、それより前にソルトが
「ガナッシュ頼む、置いてくれ。」
と言うので、しぶしぶ剣から手を放しました。
カラーン
剣が落ちる音が洞窟に響き、続いて、シルヴェーヌの笑い声が響きました。
「わらわを傷つけたこと、後悔するのじゃな。重力十倍!」
シルヴェーヌとオリーブのいる場所を中心として重力が変わり、ソルトもガナッシュもその場にくずれ落ちました。
「どこまで意識が持つかな。そうそう、この場所は暗いじゃろう?炎の量を増やせば明るくなるかのう?」
その言葉とほぼ同時にシフォンの魔法の火の玉が大きくふくらみ、大きな音を立てて爆発しました。洞窟全体をゆらす程の衝撃(しょうげき)を間近で受けた二人の上に、さらに火の粉が降りそそぎます。こげくさい臭いが立ち込めました。
「明かりがなくなってしまったではないか。失敗なのじゃ。」
シルヴェーヌは可愛い子ぶって言い、新しく火の玉もいくつも出現させました。また、あたりが明るくなります。
「彼女を、」
ソルトが、苦しい呼吸の中で、言いました。
「オリーブさんを、放せ。」
「そんな口をきいていいと思っておるのか?」
シルヴェーヌが目を細め、扇でねらいをソルトにさだめます。魔法の火の玉が二つ三つ、的の上に落ちました。
「ソルト!」
ガナッシュが立ち上がろうとします。しかし、そんなガナッシュの上にも火の玉が落ちてきました。
「動くなと言ったのが、わからなかったか?」
シルヴェーヌをにらみつけるガナッシュに、
「たえてくれ!」
と、ソルトが声をあげます。
扇をぱちんと鳴らす音がして、
「話が出来るということは、まだまだお仕置きが足りないということか?」
今度は三十もの火の玉が、ソルトとガナッシュにふりかかりました。
「ついでなのはソルトだ!」
曲がり角で消えたシルヴェーヌの背中を追って二人が角を曲がると、先程の場所よりはせまいですが、ぽっかり開いた空間に出ました。
「どこに行ったんだ?」
進むスピードをゆるめて、あたりを見渡します。ソルトの顔の向きに合わせ、魔法の火があたりを照らしました。
「こっちじゃよ。」
と、シルヴェーヌが言いました。ソルトとガナッシュは剣をかまえて、声のした方を向きました。
彼女は笑っています。その前に一人の女性が立っています。
「まさか…。」
「うわ、またなんか出てきた! ふっ、でも敵が何人であろうとこのガナッシュ様には関係ない…」
「オリーブさんなのか?」
ソルトの言葉にその女性は小さくうなずきました。両手は後ろでしばられ、首にはシルヴ
ェーヌの扇が、後ろから手をまわして、つきつけられています。
「誰? 知り合い?」
ガナッシュは状況がつかめずに、ソルトを見て、オリーブを見て、を繰り返しています。
「知り合いもなにも、俺は彼女を助けに来たんだ。」
「ちょっと待て。始めから説明を、」
「さて、この娘、傷つけられたら困るじゃろう?」
ガナッシュの言葉をさえぎり、シルヴェーヌはにやりと口のはしを持ち上げました。
「困るの?」
「何が言いたい?」
「おーい。」
立ちつくすガナッシュを間にはさみ、勇者とモンスターはにらみ合います。
「動かないでもらおうか。動いたら、この娘の首が飛ぶかもしれんからなあ。」
「卑怯者…。」
うなるようにつぶやくソルトと、
「これってかなりピンチなのか?」
誰かに答えて欲しいガナッシュ。
「そっちのもの、」
シルヴェーヌが扇を持ってないほうの手で、脳天気な方を指し、
「え、俺?」
「剣を下においてもらおうか。それを持っていると魔法が効かんからのう。」
と言って、くつくつと笑います。
ガナッシュは何か言い返そうとしますが、それより前にソルトが
「ガナッシュ頼む、置いてくれ。」
と言うので、しぶしぶ剣から手を放しました。
カラーン
剣が落ちる音が洞窟に響き、続いて、シルヴェーヌの笑い声が響きました。
「わらわを傷つけたこと、後悔するのじゃな。重力十倍!」
シルヴェーヌとオリーブのいる場所を中心として重力が変わり、ソルトもガナッシュもその場にくずれ落ちました。
「どこまで意識が持つかな。そうそう、この場所は暗いじゃろう?炎の量を増やせば明るくなるかのう?」
その言葉とほぼ同時にシフォンの魔法の火の玉が大きくふくらみ、大きな音を立てて爆発しました。洞窟全体をゆらす程の衝撃(しょうげき)を間近で受けた二人の上に、さらに火の粉が降りそそぎます。こげくさい臭いが立ち込めました。
「明かりがなくなってしまったではないか。失敗なのじゃ。」
シルヴェーヌは可愛い子ぶって言い、新しく火の玉もいくつも出現させました。また、あたりが明るくなります。
「彼女を、」
ソルトが、苦しい呼吸の中で、言いました。
「オリーブさんを、放せ。」
「そんな口をきいていいと思っておるのか?」
シルヴェーヌが目を細め、扇でねらいをソルトにさだめます。魔法の火の玉が二つ三つ、的の上に落ちました。
「ソルト!」
ガナッシュが立ち上がろうとします。しかし、そんなガナッシュの上にも火の玉が落ちてきました。
「動くなと言ったのが、わからなかったか?」
シルヴェーヌをにらみつけるガナッシュに、
「たえてくれ!」
と、ソルトが声をあげます。
扇をぱちんと鳴らす音がして、
「話が出来るということは、まだまだお仕置きが足りないということか?」
今度は三十もの火の玉が、ソルトとガナッシュにふりかかりました。
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