村八分、塩

おこめニスタ

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続編

褒めてくれなくていいので

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クーヘン「もう一回いくんだなー!!」
ガナッシュ「そう何度もくらってたまるかよ!」
クーヘンが左手をふりかぶります。
ガナッシュはその合間にふところに走りこみ、その足を切り付けます。
クーヘン「イタイー。なにするんだよぉ!」
クーヘンの目には涙がたまっています。
ガナッシュ「な、泣くな!!気がぬけるだろ!?」
クーヘン「もう怒ったぞぉー」
今度は手をぶんぶんふりまわしてきます。
ガナッシュは近付けません。
効果音s  ぱしゅんっ
クーヘン「い、イタイぞぉー!!」
突然、クーヘンが回転をやめます。
ガナッシュ「は?」
効果音s  ぱしゅんっぱしゅんっ
クーヘン「イタイ!イタイイタイ!!」
クーヘンはうずくまってしまいました。
ガナッシュ「な、何が起こってるんだ?」
オリーブ「ガナッシュさん!無事ですか?」
オリーブの声がクーヘンの後ろから聞こえました。

武器を見ていたオリーブは、自分も扱ったことのある武器を発見します。
オリーブ「弓…。」
村の発展を祈り、弓を射る行事があり、オリーブは毎年それに参加していたのです。
オリーブはそれを手にとりました。
と、部屋の外から大きな音とところどころ声が聞こえます。
オリーブ「ガナッシュさんの声…!?」
オリーブが部屋のドアを開けるとそこには横に大きな幽霊の背中があります。
動くものを射たことはありません。
オリーブ(でも、これだけ大きな的だったら、動かない的とほとんど同じだわ。)
オリーブは矢をつがえました。

ガナッシュ「え?お前?え?」
ガナッシュは状況がつかめずに混乱しています。
クーヘン「お前かぁ~」
クーヘンが後ろをむき、涙目でオリーブをにらみつけました。
オリーブはびくっと体をすくませますが、
効果音s  きりりっ
弓をつがえてかまえます。
クーヘン「それは武器庫の…!!もう怒った!許さないんだからなぁ!!」
クーヘンが右手を高く振り上げます…!
効果音s ざしゅ
オリーブに攻撃が及ぶ前に、クーヘンが後ろへ倒れ、それから動かなくなりました。
ガナッシュ「よそ見してんじゃねーよ!」
白く大きな幽霊の向こうにガナッシュの姿を見つけたオリーブは力がぬけて、へたりこんでしまいます。
小瓶でクーヘンを吸い取ったガナッシュが笑顔でオリーブにかけよりました。
ガナッシュ「お前、弓とか使えたんだな!!」
オリーブ「使えるってほどでもないですけど…」
ガナッシュ「いやぁ助かった!サンキューな!」
オリーブ「い、いえ!私こそ、最後助けてもらいましたし…」
ガナッシュ「まぁ、それもそうだな!」
なんだかその言い方がガナッシュらしくってオリーブは笑ってしまいます。
オリーブ「私、初めてお役にたてましたか?」
ガナッシュ「そーだな!褒めてやる!」
オリーブ「褒めてくれなくていいので、」
ガナッシュ「なんだ?」
オリーブ「名前、覚えて下さい。」
ガナッシュ「そのくらい覚えて…」
途中で言葉が消えてゆきました。
やはり覚えてくれてなかったようです。
オリーブ「私はオリーブって言います。」
ガナッシュ「オリーブ、だな!」
ガナッシュはまだ座り込んでいるオリーブの腕をひっぱりあげ、立たせます。
オリーブ「わっ…」
ガナッシュ「覚えてやるよ、あんたの名前。」
オリーブ「は…はいっ!!」


効果音s どかーん
シフォンの描いた魔方陣のためにソルトは吹き飛ばされます。
しかし、ソルトはシフォンを傷つけることができません。
ずっと一緒に旅をしてきました。
ソルトは一生懸命考えます。
ホイップ「ほら、私を倒さないと、彼女はずっとこのままですよ?」
ソルトは剣をにぎりなおし、穴のから見えるホイップをにらみつけます。
効果音s ちゅどーん
しかしホイップに攻撃を仕掛ける前にシフォンから攻撃されます。
ソルト(どうすればいい?)
どうすればよいか分からなくなったとき。いつだってシフォンが教えてくれました。
そして、ソルトは昔シフォンが教えてくれたことを思い出します。

ソルト「シフォンは頭がいいよなぁ」
シフォン「そうですか?」
ソルト「うん。どうやったら敵に勝てるかとかどうして分かるんだ?」
シフォン「どうしてもいわれても…。でも、ヒントをひとつだけ。」
ソルト「ヒント?」
シフォン「まず自分の目的は何かってことをちゃんと考えるんですよ。」

ソルト(自分のしたいこと。…シフォンを助けたい!)
そう、ホイップをやっつけるのが目的ではありません。
効果音s カラーン
ソルトは剣から手を放しました。
ホイップは驚きを隠せない表情をうかべます。
シフォンは人差し指で小さな丸をいくつも描きます。
飛び出して来た小さな光球をできる限りさけながら、ソルトはシフォンのもとへと走ります。
シフォンはソルトの目の前に大きな丸とその中に四角を描きます。
効果音s どっかーん
爆発の煙があたりをつつみます。
ソルトはその爆発を横によけ、シフォンの後ろへと回り、
その体を思いっきり抱きしめました。
シフォンの動きが止まります。
ソルト(…で、どうすればいいんだ?)
とりあえずシフォンの動きを止めることに成功したソルトですが、その先のことは何も考えていません。
ホイップ「まぁ、いいでしょう。彼女ももう限界のようですし。」
ホイップは指をならしました。
とたん、シフォンの体から力がぬけます。
ソルトは慌てて、そのシフォンの体を支えました。
ホイップ「では、私はこれで。」
ソルト「待てっ…!」
ホイップは一瞬で姿を消しました。
追いかけようとしたソルトは自分の腕の中にいるシフォンの様子がおかしいのに気付きます。
ひどくぐったりしています。
ソルト「シフォン!大丈夫か!シフォン!」
杖のない状態であれだけの魔法を使ったのです。体への負担は相当のものでした。
ソルトが何度呼びかけてもシフォンは反応を返してくれません。
ソルト「シフォン!!」

ソルト「ソルトでいいのに。」
シフォン「はい?」
ソルト「呼び方。"勇者さま"じゃなくてソルトでいいよ。」
シフォン「…勇者さまって呼ばれるのは嫌ですか?」
ソルト「嫌じゃないけど、なんでわざわざそんな呼び方するのかなって思って。」
シフォンはほほ笑みました。
シフォン「私からあなたへの期待と信頼の証なんです。
     あなたが勇者であることを私が信じるかぎり、あなたのことをこう呼び続けます。」

ソルト「シフォンがいないと…、俺は勇者なんかじゃないんだ…!」
自分が勇者であることを自分よりも信じてくれているシフォン。
そんな彼女の期待にこたえるため、ソルトはここまでやってこれたのです。
ソルト「シフォン…!!」
シフォン「…勇者、さま…?」
シフォンが目を開けました。
ソルト「シフォン!!よかった…」
シフォンは弱々しくほほ笑み、その手でソルトの頬にふれます。
シフォン「なんて顔してるんですか?」
ソルト「シフォンが心配で…。でもよかった。無事で。」
シフォン「すみません。心配をおかけして…」
そこまで言ってシフォンは自分のしたことを思い出し、悔しそうで、傷ついた表情を浮かべます。
シフォン「私、勇者さまになんてこと…」
ソルトは首をふりました。
ソルト「操られていたんだし…」
シフォン「ですが!」
ソルト「…シフォンさ、操られてる間も俺のこと"勇者さま"って呼んでくれただろ?」
シフォンはとまどいつつもうなずきます。
ソルトは笑いました。
ソルト「だから、いいよ。」
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