沙藍ちゃんは今日も困ってる。

おこめニスタ

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二度目のお部屋訪問⑤(R15)

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お姉さんと妹さんがいるおかげで察しが良いのだと、志樹くんはそう言う。一方の私はといえば兄弟もいなければ中高と女子校で、無知を極めていた。今だって、一体何をもって志樹くんにスイッチが入ってしまったのか本当にわからない。
けれどわからないなりに期待もあった。触れられるのは緊張するけど嫌じゃないし、私のペースを大事にする彼が不意に見せる『わがまま』はいつだって胸をキュンと高鳴らせる。
今日の私は明らかに変だ。自覚はある。でも、
「もっと、強くしても、いい…」
目の前の大好きな人が、悩ましげに眉尻を下げて唇をきゅっと結ぶ。こんな表情も見られて嬉しいと思うのは意地が悪いだろうか。この高揚に身を任せたい衝動も、ひょっとしたら彼を困らせているのかもしれない。
「少しでも痛かったり、嫌だと思ったら言って。絶対」
こくりとうなずいて、いつもなら伏せてしまう視線はそのまま、じっと彼の顔を見下ろし続けた。丸みを帯びた身体のラインを這う手つきが少しずつ大胆になっていくにつれ、ドキドキと騒がしい鼓動の音が聞こえてしまいそうで、息を潜める。密やかな息遣いとたまに混じる衣擦れの音が室内を支配した。
志樹くんはたびたび私と目を合わせては羽のように軽いキスを落とす。
額。
頬。
まぶた。
鼻先。
そのくせ髪を撫でる手はちょっと忙しない。
このまま熱に浮かされて、私からもっとねだってみたらどうなるんだろう。芽生えた悪戯心を行動に移すにはまだ羞恥が勝ってしまうから、そんなの全部奪ってしまうくらいの、キスが欲しい。
だけど、それはもっと先のいつか、今日じゃなくていい。
(だって今は…)
「いっぱい、しよっか。沙藍さんの気持ちいいこと」
たくさん見て、触れて、私ですら知らなかった心の奥底の願いを掬い上げようとしてくれる、あなたにただ甘えたいだけ。
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