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第三章 ジャマイカ編一
第三日目 凄みのサックス
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今日は午後一時にスタジオに入った。
既にダニーが待っていた。ギターを取り出し、自分でできる範囲で準備をしている。
「ダニー」「カズ」挨拶は短いが、二人の付き合いも長い。
「聞いていると思うが、ページとタヨ」彼らは、また新たなスーパーミュージシャンってすぐにわかる「よろしくお願いします」と頭を下げて挨拶した。
ダニーもお辞儀をするように頭を下げ「ライブ日本でもやるのだろう?その時は僕も呼んでくれ」日本が大好きなのだ。
「ダニー、どうする、ローリーを待つか?」
「カズ、やり方忘れてないなら始めよう」
「わかった。五分で準備する」
システムを立ち上げ、プラグを差し込んだ「じゃあ、頭から一回聞いてくれ」
ダニーもロビーリンと同じように曲の途中からギターを弾き始めた「準備オーケィ。レベルは大丈夫?ピアノとユニソンでカッティングすればいいよね?」
「ああ、よろしく」三度テイクし直して、ギターは終了。廊下で二百ドル渡した。
ローリーが来た「ダニー、もう終わったのか?」
「ああ。それにしてもあの子きれいだな」
「みんなそう言うよ。僕も毎日が楽しみの連続だ」
「ローリー、データ処理はまだ終わってないから、宜しく」
「わかった」遅れて来たことは全く気にも留めす、テンションはハイのようだった。
ダニーのレコーディング途中から、サックスのディーンが来ていた。関取みたいな大きさに変わりはなかった。
昨日、電話で中田社長と将生さんと話した。ちょうどページとタヨがプールにいた時間だ。
「ブリッジの八小節ですが、ディーンのソロでいいですか?後で聞いて上手くハマらなかったら、タヨにマイアミで歌ってもらうということで」二人からは問題なしとの回答を得た。
「ディーン、何らかの出版の分配とギャラは払うから、ブリッジの八小節ソロを吹いてくれ。それと、サックス、入れたいところがあればどこでも吹いてくれ」
「いいよ。じゃあ、ソロからいこう。ローリー頭から聞かせてくれ。ブースの準備は?」ディーンは一度コントロールルームでこれまでのセッションがまとめられたラフを聞いた。
「ディーン、ブースは準備できている。いつでも大丈夫だ」
「一つ前のコーラスから。スタート」ローリーはいつも念のためレコードボタンをオンにしていた。
「もう一度同じ場所から」ディーンがサックスを吹き始めた。
「準備ができた。レコードしてくれ」昨夜のロビーリンにしてもギターのダニーにしても、始まったら終わるまでそんなに時間がかからない。これは日本で話に上がったレゲエの残念なところではない。
彼らはみんな経験豊かで、自分のなすべきことを熟知しているから、自然に出来てしまう。その日の最後にレコーディングしたものがベストだと信じている。
「二か所隙間を入れておいた。何かヴォーカルを入れてくれ。別のトラック、ハーモニィーを入れる」頼んではいなかったが、レコーディングのツボを知っていた。改めて凄いと思った。
「タヨ、ページ、どうですかグルーブ感じるでしょう?ディーンの言ってた隙間埋める何か考えてみてください。例えば、ページがラブ?ときいて、タヨがオーイエス、グッドラブと答えるみたいな。当たり前すぎたかな」
「カズさん、それって歌い方だけで、内容はいいと思います、ねえページ」
「僕もいいと思うけど、時間はあるし、もう少し考えてみよう」
「ページ、タヨ、聞こえるかい?」ブースの中からディーンが話しかけてきた。
「ダンスホールこそホーンが必要なんだ。覚えておいてくれ。将来のために」
「わかりました。ありがとうディーン」二人とも身震いをした。
ディーンのセッションがソロパートだったこともあって、さらに素敵な曲に仕上がっていくような、そんな感動を残して終了した。
「スライ、ロビーリン、ダニー、ディーン、年はそこそこいってますよね。みんな演奏が、音が熟しています。若さも感じました。何かいいですね」タヨも同じことを考えていた。
「みんな、いとしいタクシーファミリーの面々です」私は誇らしかった。
「同じ顔触れで公開レコーディングやりたいですね」次のプロジェクトがあるかないかは別にしても、公開レコーディングは是非実現したいと願った。
今回最後のセッション、バックグラウンドヴォーカルのレコーディングだ。女性はいつものステッフと彼女が連れてきた男性パートのウィル。顔見知りではないが、ステッフが連れてくるのだから心配はなかった。お互いに挨拶を交わした。
「コーラスのハーモニィーとサックスソロの所にうーあーだけでいい。コーラスはいつものとおりステッフがメロディーを一回歌って、三声のハーモニィーでいいかい?」
「ウィル、それぞれの音程を歌える?じゃあハーモニィーをユニゾンで、ステッフの主導でいいのかな?コーラス三ヶ所全部歌詞もフローも違うので、宜しく」ローリーが指示を出して、レコーディングがスタートした。
ステッフは三十を過ぎているが、相変わらずかわいい声を出していた。ウィルもきれいなユニゾンでハーモニィーを奏でていた。普段から一緒に仕事をしているんだろうなと思った。きれいなハーモニィーを探す時間と男女のユニゾンであったため、普段のレコーディングよりも時間がかかってしまった。
一連のレコーディングをスタジオ内で見学していたジャッキーはさすがに飽きてきた様子で、スキャンを連れ出して外に出た。ページとタヨは全ての瞬間が大事な時間だった。じっとバックグラウンドヴォーカルに聞きいっていた。
職業人として歌っているステッフに技術的な凄さを感じていた。櫻と遼大とは違った魅力がほとばしっていた。セッションが終わった後は意外とドライにさっさとギャラを受け取って帰っていった。
私は、これまでやって来た日常の作業と変わらない時間を過ごせたことに安堵を感じた。前はだらだらと仕事をしていたローリーは、今回はとてもきびきびと動き回り、とても頼もしかった。意外な一面を見た気分だった。
「ラフミックスに2時間くらいかけてみる。昨日と同じ中華でいいが、ジャッキーに注文してもらっていいかな」
ジャッキーは事務所にいた。最近の政府の悪口や、経済の悪さをスキャンと激論を交わしていた
「昨日と同じでいい。注文してくれるかい?少しメニューは変えてくれ」
「ノープロブレム、サー」彼女とはとても仕事をしやすかった。事務能力にも長けている。頼もしい限りだった。ページがどこまで自分を守り通せるかは、楽しみでもあった。
ローリーが一旦手を止め夕食を取りに事務所に入って来た。
「半分くらい終わった。待つよね?」
「ああ。最後までいる。今日はローリーに任せた」いつもは二人でミックスを行った。タクシーサウンドというブランドで一緒に仕事をしてきた。同じ傾向の音になった。
スタジオには、ローリーとページ、タヨの三人だけだ。独り言をしゃべりながらミックスを行うローリーと対象艇的にページとタヨは静かにじっとしていた。どんどん良くなっていく音の変化を楽しんでいた。
背の高い、八村塁そっくりの男性が入って来た。
「ローリー」
「デヴィン」
「こんばんは。あなたたちがページとタヨだね?この曲のヴァースを書いたデヴィンだ」
「お会いできてよかった。こちらがタヨ。で僕があなたの書いたヴァースを歌うページです」
「タヨ。僕たちの間にもし子供ができたら、きっと素晴らしい美貌と音楽の才能を持った子に育ちますよ。今晩一緒にいかがですか?」デヴィンの女性に対する彼流の挨拶である。
「大変光栄に思いますが、私には将来バージンを捧げる男性が今ここにいます。残念です」
「タヨ、気に入ったよ。ページ、俺でよければいつでも呼んでくれ。いい曲をかくよ」みんな愉快な気分になった。
「僕も大変ページの歌声が気に入った。どうだい僕の声?」デヴィンはラフミックスに合わせて歌い出した。
「最高だね。何か所かエンズをダブルにしていいか?ローリー、マイクは用意できる?」
「いつでも大丈夫だ、デヴィン。でも一トラックだけにしてくれ」デヴィンはブースに入りマイクを通して、準備はできていると言ってきた。
「こんなことよくあるの?ローリー」タヨは嫌な気は全くしていないが、事の成り行きに大変驚いていた。
「そんなにないよ。デヴィン、ロール。いつも通りダブルもお願いだ」デヴィンも上手だった。出しゃばらないくせに、ページのヴォーカルにぐっと厚みが増した。
「デヴィン、次ジャマイカに来るときビデオを撮る。出演お願いするよ、タヨと同じくらいきれいな女性が何人か一緒に来る」ページが勝手に要請した、ジャマイカ風なセクハラ発言だが、本人は気づいてないようだ。ページには、カズさんもみんなも賛成だと確信があった。
「ページ、僕も出るよ。忘れないでくれ」いつものローリーだった。
私もデヴィンと一緒にスタジオに入っていた。一連の流れを楽しく見守った。特に問題はなかった。タヨの受け答えにはかなり驚いたが。
「ジャッキー、君は今夜もすばらしくセクシーだ。今日で会うの三回目だよね。まだオーケィじゃないのか?」デヴィンは去り際にいつもの挨拶を行っていた。
「私にはページがいるの。残念だけど、あなたも素敵よ、デヴィン。いつか機会があるといいわね」
「ああ、そう願いたいものだ」大声で笑いながらスタジオを去った。
ローリーが、ラフミックスはまだかかりそうだというので、カズさんをスタジオに残して、ページとタヨはスキャンにお願いしてダンスをやっている夜のゲットーに案内してもらうことにした。スキャンは何か所か電話し「危険なところだけど行くか?行くなら絶対僕のそばを離れるな」
「わかった、セッションも全部終わったし本当のジャマイカを感じたい、タヨもだ」
「ブル、イーストキングストンに行ってくれ」
ぎらついた男たちと着飾った女たちが壁際にもたれ、片手にはビールを持ち、ゆっくりと口に運んでいる。大音量で音楽が流れている。レゲエだけじゃなくジャスティン・ビーバーなんかもかかっていた。
激しく、セックスを意識したように踊っている女性もいた。彼女の周りには、はやし立てる男たちが輪を作っていた。
銃を自慢して見せびらかしている男たちがいた。煙草を吸っている者もいたが、大半はガンジャを吸っていた。頻繁にこのゲットーをパトロールしている警察のサイレンは町の音にかき消されていた。
「電話してくれれば迎えに来る。それでいいか?あまりここにはいたくない」ブルが聞いてきた。
「1時間くらいで迎えに来てくれ」
「スキャン、タヨがいない」ページが青ざめた顔でスキャンにタヨを見つけ出してくれと、落ち着かない様子で周りを見渡していた。
「タヨは頭もいいし、英語も出来るから大丈夫だとは思うけど、一応はみんなから見ればミスチンだ。何にもなければいいが」スキャンが激しく動く回り始めた。
20分後タヨが戻って来た。名前は知らなかったが、少し離れた場所でここに住んでいるっていう日本人の女性ダンサーと偶然会って、コミュニ―ティの中をいろいろと連れていってもらった。みんなが住んでる家とか。町がどうやって盗電しているとか、別のダンスも見て来た。
「心配した?ごめん。スマホの音聞こえなくて」
「何してたんだ。タヨ。何があってもおかしくないところだ。俺から離れるなと言っただろう。お前たちのことカズから預かってきてるんだ、気をつけろ」スキャンが本気で怒っている。
「本当にごめんなさい。ちょっとだけだと思って。会ったのも日本人だったし、大丈夫だと思ったの」
「僕も心配した。お前は将来の院長夫人なんだぞ」
「え?」
「うん、まあ、そうなるかもしれないと思っただけだ」
何だろう、この震え。プロポーズされたの、私?美雪さんのことどうするの?レゲエは?このプロジェクトは?些細な好奇心が起こした自分の行動をひどく反省した。ページに寄り添って手をつないだ。震えていた。
「何もなくてよかった、本当。スキャンの方から、カズさんには伝えておくと言ってた」
「みんなに迷惑かけたね」タヨは自分を取り戻したようにいつもの冷静さを装っているが、内心もの凄く後悔していた。ページにも、タヨの後悔はつないだ手からはっきりと感じ取れた。
「今日は、このままホテルに戻ろう。スキャン、僕達をホテルに落として、スタジオに戻ってくれ。今日は済まなかった、それとタヨのアドリブはマイアミでやるって言っておいてくれ」
「わかった。オレもタヨから目を離して悪かった。ごめん」
「今日はこのまま一人で部屋にいられない。一緒にいてくれる、ページ?」
ページは優しくタヨを抱いてベッドに横になった。二人とも急に疲れがでて来た。時差も混じっていた。あっと今に眠りに陥った。目が覚めたのは朝七時。
「昨夜は泊めてくれてありがとう。部屋に帰ってシャワー浴びてくる。三十分後に朝ご飯でいい?」
「僕もシャワー浴びる。三十分後で」
私は、彼ら二人と朝食を取った。
「昨夜、色々あったそうですね。スキャンから聞きました」
「ご迷惑おかけしました」
「ジャマイカを軽視してはプロジェクトが進みません。君たちに何かあれば、困る人がたくさんいます。自分は自分で守るしかありませんが、頼れる人にはどんどん頼って下さい。まあ、何もなくて何よりです」
「有難うございます。今日はどうします。僕はスタジオに行ってラフを聞いたり、スライと話したりして過ごしたいと思ってます。タヨも一緒に来るよね?」
「私も一旦スタジオに行きます。ジャッキーと今後の打ち合わせがたくさん有りますから」
「では、お昼はケンタッキーでいいですか?十二時ここを出発で」
「ブルにはその時間に迎えに来るよう、私から連絡しておきます」
「突然ですが、明日の便で帰国しようと思います。もちろんみなさんもです。もうすこしここで過ごしたいとは思いますが、お願いします。日本でやらなければならない事がたくさんあります」
「大丈夫です。直ぐにまた来れるのだし」「私も大丈夫です」二人とも納得している。
「ジャッキー、我々の日本までのフライトを変更してくれ。ルートは同じでいい」
「ニューヨークのホテルも同じでいいですか?」ジャッキーはいつもと変わらず手際がよい。日本まで連れていきたいくらいだ。結局明朝六時発の便に変更ができた。
ローリーが割と早めにスタジオに現れ、ラフミックが出来た、クラウドには上げてあると告げた。
「スタジオのモニターで聞いてみたいな」ページもタヨもそれを楽しみにしてきた。
「五分待ってくれ。準備をする」ローリーはスタジオのコンピューター、ボード、アンプ、スピーカーに電源を入れていき、モニターの準備が整った。
「ラフ、かけてもいいかな」
「お願いします」
ラフミックスとは言うが、素晴らしく調整された音が、ラージスピーカーから流れだした。何度も何度も聞いた。一時間くらいたった。まだ全く飽きなかった。
「ベースもまだロビーのじゃないし、ヴォーカルなどまだいろいろと変更が入ります。最終的にはもっと凄い曲になるでしょう。本当に楽しみです」タヨはステージで自分が歌い、踊っている姿を想像した。
ニューヨークのマジソン・スクエア・ガーデンで何万人の観客が一緒に踊っている、そんなことを考えている。そして独り言のように「よし、絶対に実現して見せるわ」と拳を握った。ページは徐々にタヨとは離れなくなるだろうと、まだ漠然としているが、そんな想いを抱いていた。
スタジオに遊びに来るミュージシャンやアーティストたちと楽しく話をして時間が過ぎていった。私は、ローリーとジャッキーに残り五曲はリモートで制作する、その時のギャラは次回来るときに全額キャッシュで払うなどなど、話をしっかりと固めておいた。
「今晩は打ち上げにしよう。ジャークチキンでいいかな?参加人数は多くてもいい。六時半に現地集合」バナナの葉っぱで蒸し焼きにしたチキン。こちらも大変おいしい。とりあえず我々日本側は一旦ホテルに戻ることにした。
早朝の便で明日の朝も早い。今晩の打ち上げがどこまで続くかわからないので、三人には今のうちからパッキングをしておいた方がいいと勧めた。
タヨ本人から聞いたことだが、彼女は完全無欠な女性に見られているが、実は部屋の中は散らかり放題、洋服は脱ぎっぱなし、下着もホテルのベッドの上に散乱しているらしい。
彼女の違った一面を見れた気がしてなぜかほっとした。今のところ、これ以外の弱点は未だ発見できていないと付け加えておこう。
たった三日の滞在だったが、とても多くのことを経験出来たと、ページとタヨはみんなと乾杯した。ローリーもジャッキーもスキャンも他のみんなも、とても楽しそうだった。珍しくスライも顔を出してくれた。
しきりにタヨと話をしていた。ページはこの時とばかりに体を寄せてくるジャッキーにもさやしく接していた。タヨはちらちらその様子をみていた。
「私は嫉妬深い女なのだろうか。でも、まあ、今晩は打ち上げだ。大目に見てやろう」自分を納得させていた。
パッキングは終わっていた。今夜もページの部屋で朝を待つことにした。誰も寄せつけなかった。
ブルはスキャンとジャッキーを先に迎えに行って、ホテルの駐車場で待っていた。
一番後ろの席にページが座った直後、隙を見ててジャッキーがページの横に乗り込んだ。タヨはしかたなくスキャンの横に座った。
スキャンは空港までの三十分間絶えることなく、次来るときは二人だけの時間を作ってくれとか、俺に家に来ないかとかあからさまな態度で口説いてくる。タヨのことよく理解できていたはず、無駄だと分かっているはずだ。
ジャマイカ的なエンターテイメントなのだろう。そんなことより、タヨには後ろの席が気になった。ジャッキーは相変わらず隙間なくページに身を寄せいる。
恐らく彼の股間もさわっていると思った。ページの表情もまんざらではないように見えた。ページに流れているジャマイカ人の血をもっと濃くしようと種の保存を企んでいるのではないかと勘繰ってしまった。
落ち着かない気分のまま三十分が過ぎ、空港に着いた。搭乗手続きを済ませ、セキュリティーを抜けて、初めてページと二人になれた。私に見てもらおうとするかのように、タヨはページと手をつないだ。ページは嫌がらなかったし、私も二人の感情の変化はいつも感じていた。
密度の濃い時間を過ごした場所からの旅立ちは悲しいものだ。タヨの目には涙がたまった。我々三人は二週間後にはまたこの地に立っているはず。既にその準備も進行中だ。
帰りもニューヨークに一泊した。時間が充分にあったので、マンハッタンまで足を延ばしてみた。場所は彼らに任せた。相当の期間この地に住んでいた彼らはここをよく知っていた。
ミッドタウンでアメリカ人がやっているアメリカ風の日本食を食べに行った。いやらしい内装の店内から想像した料理より、実物はずっとおいしかった。メインを食べ終え、デザートを待つ間にページとタヨが改まって話が有りますと、神妙に背筋を伸ばしている。
「何でしょうか、音楽のことですか、それとも人間関係か何か?」
「ステージネームの件です。ページ&タヨではだめですか?」
「いいですよ。みんなには私の方から言っておきます。医学生と看護師という部分は隠しておきたいと思います。すくなくとも今は」
「君らのことはまだチーム内だけの情報として、外部に漏れないよう、日本に帰って改めてみんなに周知徹底しておきましょう。この点は大丈夫ですか、君らの中で?」
「僕らも今は身分を隠しておきたいです。ばれたからって困ることはありませんが、今のネット社会では、お坊ちゃんのお遊びとも取られかねません」
「世界中で今回の素晴らしい曲がリリースされ、注目を浴びる事になる、その後の発表でいいですか?まじめに取り組んでいることを、色つきの眼鏡を通して見られたくないです」
「タヨの場合は、美しすぎる看護師みたいな扱われかをされる可能性も否定できません。どうタヨは?」
「私も、純粋にエンターテイメントで勝負したいと思います。美しすぎる看護師は、今のところ封印でお願いします」
経済的裏付けがあるからだろうか、タヨに余裕が見て取れる。別に悪い事ではないが、音楽で生きていこうとする多くの者にとって、とてもうらやましい環境であることには間違いない。
「それと、私はとやかく言うつもりはありませんが、二人の関係、どうですか?一応お聞かせ願えませんか」二人がもし、既に将来的にも一緒という状態であれば、それはそれで何らかの情報操作も必要だと思った。
「まだ、長い階段の第一段目に足をかけたところです。お互いたくさんの魅力的な人々に言い寄られてます」
「私は、もう少し上の方まで登っていると思います。でも、私、思うにページは浮気性ですよ、きっと」
「そんなことはありませんが、世間的にはここは謎でお願いします」
「情報の出し方、一番いい方法で実現できるよう、みんなで考えましょう。とにかくまずは一曲目です」
この後少しの間マンハッタンの中を十分ほど歩いて、タクシーに乗り空港の近くのホテルまで帰った。明日は正午初の飛行機なので、九時半にホテルを出れば十分に間に合う。
「では、また明日の朝、一応ですが私は八時ごろ朝食を取ります。その後チェックアウトです」
「わかりました。私たちも明日の朝、同じ時間にレストランに行きます。おやすみなさい」
私はエレベーターを八階で降り、彼らは九階で降りた。
「ページ。私。今日は一人で部屋にいる。少し考えたいことがあって。心配しないで、別に変なことじゃないから」タヨは、今回のレコーディングを自分なりに振り返ってみたくなった。
今までとは全く違う緊張を経験できたこと。恵まれたプロジェクトの中で自分の置かれている立ち位置。将来のこと。唯一の親族である妹のこと。そして、ページのこと。
「いいよ。じゃあ明日の朝」ページはあっさりと返事をした。タヨは少し寂しかった。
帰りは二人とも窓際がいいといって前後の席に変更してもらい、私がタヨの横に座った。十三時間の長いフライトの間、私とページが席を変わったり、映画を見たり、居眠りしたりと、いつも通り時間をつぶした。ビジネスクラスでの豪華な食事が下げられた後、コーヒーが運ばれてきた。
「ねえカズさん、外務省時代のお話を聞かけて下さい」前にもタヨから聞かれたことがあった。その時は軽くスルーした記憶がある。大した話はできないと思ったが、時間もたっぷりあったし、隠し事が無いわけでもないが、話を始めた
。
「私は、キャリアではありませんでした。キャリアってわかりますか?上級職の試験に合格した者だけに将来を約束するシステムです」
「私も一応は試験を受けましたが、人事課の応接室で一人きりでの試験でした。当時の自民党幹事長の推しもあっての中途採用です」
「あら、裏口入学みたいな感じ?グラミー賞で暗躍するようになった素地はこのころからあったのね」タヨはため口になっていた。何の問題もない。
「まあ、そんなところかもしれませんね。でも人事院の進言に基づいた登用だと通知された記憶があります」タヨは興味を持ったようで、続けてと言った。
「仲の良かったキャリアの方からアドバイスがありました。このままここにいても、こことは外務省のことです、将来はない。何か考えた方がいいと。その後レゲエに足を踏み入れるまでに十五年かかりました」
「十五年か。楽しい事も、嫌なことも、いろいろとあったでしょうね?」
「最も悲しかった出来事のこと話していいですか?この瞬間には最もふさわしくない内容ですが」
「怖い話?聞かせて」コーヒーを一口含んで、準備完了ですと、告げて来た。
「マイアミ総領事館に赴任して数日後のことです。民間の飛行機学校で訓練を受け、パイロットの免許を取った邦人がいました。マイアミで恋人と結婚式を挙げるため、双方の両親と兄弟全員の合計七人がマイアミに来ました」
「挙式の後自分が操縦する十人乗りのセスナにみんなを乗せてオーランドに向かいました。両家族みんなで何日か遊び、マイアミに戻るのも彼の飛行でした。これから後のことは、警察の人から聞いた話です」
「マイアミに帰る途中、機体に派生したトラブルを回避できなかったらしく、車道への着陸を試みたそうです。その最中地上数メートルのところで一方の翼が電線にひっかかり機体が反転し、墜落、炎上しました。乗客乗員全員九名が即死でした」
「上司からの連絡で、私は部下の若い女性を伴って現場に直行。車で4時間くらいかかりました。現地では事情聴取と現場検証を行いました」
「墜落したのは民家の庭先で、不幸中の幸いでしたが、他にこの事故に巻き込まれた人はいませんでした。我々が現場に到着する前に墜落場所からは既に機体は撤去されていました」
「現場では、更に遺品の捜索を行いました。指輪一つとほとんど燃えてしまったパスポートの一部、それと一つかみの長い髪の毛をみつけました」
「安置所に向かい、検視官から遺体は体の部分もわかないほど損傷が激しいが、見ますかと言われ、私は断りました。でも一緒に行った若い部下、そうですね、タヨさんと同じくらいの年齢の女性でした、代わりにご遺体に会って来てくれました」
「どこが頭で、どこが足かもわからないほど焼け焦げていたそうです。後日、両家の遠い親戚と言われた方々がマイアミに来られ葬儀と行いました。もちろん、その準備も手伝いました」
「本当にあった話です。こういうことも領事業務といって、日常の仕事の一つです」
「あら、いやだー。本当この瞬間にはふさわしくないわね。もう到着するまで眠れないよう。他には?何か楽しい話はないの?」
「そりゃあ、たくさんありますよ。でも、表には出してはいけないことばかりです。バレれば週刊誌に喜ばれます。それこそ今思えば、かなり暗躍していましたね」
私たちは何時間も、いろんな話をした。タヨは、そんなこともあったの、と驚きの連続だった。概ね私の黒歴史パート1を語り終え、ページと席を代わった。
タヨは、今私から聞いた話をページに話しているようだった。途中二人の笑い声か聞こえた。この一週間で凝縮された時間を過ごしたことが、二人の距離感を縮めたことは間違いないと思った。
長いフライトも終わりを告げ、ようやく成田に到着した。滑走路の横に空港のビル群が見えてきた。日本を出発して日本の裏側まで行って、一週間で日本に戻ってきたことになる。
やっと時差が無くなって来たところにまた同じ時差が来る。一番きつい日程だ。ベルトコンベアから荷物を受け取り、税関を過ぎ、既に連絡しておいた左側のドアを使って外に出た。
間違いなくファッションモデルと思われる装いの千代が中田社長の隣で我々を迎えてくれた。
「いやー。皆さん、お疲れ様。カズさん体は大丈夫?」第一声は中田社長から。
「久しぶりのジャマイカはとても楽しかったですよ。若い二人に刺激されっぱなしでした」
「ページ、おかえりなさい。あ、お姉ちゃんも」
「千代、何よその格好は。もっと地味なのにしてよ、次からは」
「だって、ページにはいつも最高の私を見てもいたいのです。わかって下さいよ、お姉さま」千代は、ページとタヨが二人仲よさそうにゲートから出て来たのを見て、堂々とライバル意識を前面に出すことに躊躇はなかった。
「車は用意してある?早く帰りたい。、やっぱり疲れた」ページが千代をせかせた。
「もう外に用意してある。カズさんのホテルは青山でいいよね?タヨは千代のところでいいのかな」
「有難うございます。助かります。私も少々疲れました。みんな機内ではほとんど一睡もしてませんから」この辺は中田社長の一流の気配りだ。実際あの話の後、タヨは帰りの空の旅の最中ずっと緊張していたようだ。
車の中では、千代が無理やりページの横に座った。後ろに座っているタヨに分からないように体を寄せてきたが、ページはわずかに動いて千代の体をかわした。
実はそれほど悪い気はしていないページだった。高速道路は思ったより混んでなくて、一時間半で青山に着いた。中華街のホテルにチェックインした。
「晩飯、いつもの中華」帰国の報告は出来るだけ早めにするのがマナーだ。ページもタヨもこの辺は心得いるようで、気持ちよく受け答えした。将生さんも来ているらしい。
既にダニーが待っていた。ギターを取り出し、自分でできる範囲で準備をしている。
「ダニー」「カズ」挨拶は短いが、二人の付き合いも長い。
「聞いていると思うが、ページとタヨ」彼らは、また新たなスーパーミュージシャンってすぐにわかる「よろしくお願いします」と頭を下げて挨拶した。
ダニーもお辞儀をするように頭を下げ「ライブ日本でもやるのだろう?その時は僕も呼んでくれ」日本が大好きなのだ。
「ダニー、どうする、ローリーを待つか?」
「カズ、やり方忘れてないなら始めよう」
「わかった。五分で準備する」
システムを立ち上げ、プラグを差し込んだ「じゃあ、頭から一回聞いてくれ」
ダニーもロビーリンと同じように曲の途中からギターを弾き始めた「準備オーケィ。レベルは大丈夫?ピアノとユニソンでカッティングすればいいよね?」
「ああ、よろしく」三度テイクし直して、ギターは終了。廊下で二百ドル渡した。
ローリーが来た「ダニー、もう終わったのか?」
「ああ。それにしてもあの子きれいだな」
「みんなそう言うよ。僕も毎日が楽しみの連続だ」
「ローリー、データ処理はまだ終わってないから、宜しく」
「わかった」遅れて来たことは全く気にも留めす、テンションはハイのようだった。
ダニーのレコーディング途中から、サックスのディーンが来ていた。関取みたいな大きさに変わりはなかった。
昨日、電話で中田社長と将生さんと話した。ちょうどページとタヨがプールにいた時間だ。
「ブリッジの八小節ですが、ディーンのソロでいいですか?後で聞いて上手くハマらなかったら、タヨにマイアミで歌ってもらうということで」二人からは問題なしとの回答を得た。
「ディーン、何らかの出版の分配とギャラは払うから、ブリッジの八小節ソロを吹いてくれ。それと、サックス、入れたいところがあればどこでも吹いてくれ」
「いいよ。じゃあ、ソロからいこう。ローリー頭から聞かせてくれ。ブースの準備は?」ディーンは一度コントロールルームでこれまでのセッションがまとめられたラフを聞いた。
「ディーン、ブースは準備できている。いつでも大丈夫だ」
「一つ前のコーラスから。スタート」ローリーはいつも念のためレコードボタンをオンにしていた。
「もう一度同じ場所から」ディーンがサックスを吹き始めた。
「準備ができた。レコードしてくれ」昨夜のロビーリンにしてもギターのダニーにしても、始まったら終わるまでそんなに時間がかからない。これは日本で話に上がったレゲエの残念なところではない。
彼らはみんな経験豊かで、自分のなすべきことを熟知しているから、自然に出来てしまう。その日の最後にレコーディングしたものがベストだと信じている。
「二か所隙間を入れておいた。何かヴォーカルを入れてくれ。別のトラック、ハーモニィーを入れる」頼んではいなかったが、レコーディングのツボを知っていた。改めて凄いと思った。
「タヨ、ページ、どうですかグルーブ感じるでしょう?ディーンの言ってた隙間埋める何か考えてみてください。例えば、ページがラブ?ときいて、タヨがオーイエス、グッドラブと答えるみたいな。当たり前すぎたかな」
「カズさん、それって歌い方だけで、内容はいいと思います、ねえページ」
「僕もいいと思うけど、時間はあるし、もう少し考えてみよう」
「ページ、タヨ、聞こえるかい?」ブースの中からディーンが話しかけてきた。
「ダンスホールこそホーンが必要なんだ。覚えておいてくれ。将来のために」
「わかりました。ありがとうディーン」二人とも身震いをした。
ディーンのセッションがソロパートだったこともあって、さらに素敵な曲に仕上がっていくような、そんな感動を残して終了した。
「スライ、ロビーリン、ダニー、ディーン、年はそこそこいってますよね。みんな演奏が、音が熟しています。若さも感じました。何かいいですね」タヨも同じことを考えていた。
「みんな、いとしいタクシーファミリーの面々です」私は誇らしかった。
「同じ顔触れで公開レコーディングやりたいですね」次のプロジェクトがあるかないかは別にしても、公開レコーディングは是非実現したいと願った。
今回最後のセッション、バックグラウンドヴォーカルのレコーディングだ。女性はいつものステッフと彼女が連れてきた男性パートのウィル。顔見知りではないが、ステッフが連れてくるのだから心配はなかった。お互いに挨拶を交わした。
「コーラスのハーモニィーとサックスソロの所にうーあーだけでいい。コーラスはいつものとおりステッフがメロディーを一回歌って、三声のハーモニィーでいいかい?」
「ウィル、それぞれの音程を歌える?じゃあハーモニィーをユニゾンで、ステッフの主導でいいのかな?コーラス三ヶ所全部歌詞もフローも違うので、宜しく」ローリーが指示を出して、レコーディングがスタートした。
ステッフは三十を過ぎているが、相変わらずかわいい声を出していた。ウィルもきれいなユニゾンでハーモニィーを奏でていた。普段から一緒に仕事をしているんだろうなと思った。きれいなハーモニィーを探す時間と男女のユニゾンであったため、普段のレコーディングよりも時間がかかってしまった。
一連のレコーディングをスタジオ内で見学していたジャッキーはさすがに飽きてきた様子で、スキャンを連れ出して外に出た。ページとタヨは全ての瞬間が大事な時間だった。じっとバックグラウンドヴォーカルに聞きいっていた。
職業人として歌っているステッフに技術的な凄さを感じていた。櫻と遼大とは違った魅力がほとばしっていた。セッションが終わった後は意外とドライにさっさとギャラを受け取って帰っていった。
私は、これまでやって来た日常の作業と変わらない時間を過ごせたことに安堵を感じた。前はだらだらと仕事をしていたローリーは、今回はとてもきびきびと動き回り、とても頼もしかった。意外な一面を見た気分だった。
「ラフミックスに2時間くらいかけてみる。昨日と同じ中華でいいが、ジャッキーに注文してもらっていいかな」
ジャッキーは事務所にいた。最近の政府の悪口や、経済の悪さをスキャンと激論を交わしていた
「昨日と同じでいい。注文してくれるかい?少しメニューは変えてくれ」
「ノープロブレム、サー」彼女とはとても仕事をしやすかった。事務能力にも長けている。頼もしい限りだった。ページがどこまで自分を守り通せるかは、楽しみでもあった。
ローリーが一旦手を止め夕食を取りに事務所に入って来た。
「半分くらい終わった。待つよね?」
「ああ。最後までいる。今日はローリーに任せた」いつもは二人でミックスを行った。タクシーサウンドというブランドで一緒に仕事をしてきた。同じ傾向の音になった。
スタジオには、ローリーとページ、タヨの三人だけだ。独り言をしゃべりながらミックスを行うローリーと対象艇的にページとタヨは静かにじっとしていた。どんどん良くなっていく音の変化を楽しんでいた。
背の高い、八村塁そっくりの男性が入って来た。
「ローリー」
「デヴィン」
「こんばんは。あなたたちがページとタヨだね?この曲のヴァースを書いたデヴィンだ」
「お会いできてよかった。こちらがタヨ。で僕があなたの書いたヴァースを歌うページです」
「タヨ。僕たちの間にもし子供ができたら、きっと素晴らしい美貌と音楽の才能を持った子に育ちますよ。今晩一緒にいかがですか?」デヴィンの女性に対する彼流の挨拶である。
「大変光栄に思いますが、私には将来バージンを捧げる男性が今ここにいます。残念です」
「タヨ、気に入ったよ。ページ、俺でよければいつでも呼んでくれ。いい曲をかくよ」みんな愉快な気分になった。
「僕も大変ページの歌声が気に入った。どうだい僕の声?」デヴィンはラフミックスに合わせて歌い出した。
「最高だね。何か所かエンズをダブルにしていいか?ローリー、マイクは用意できる?」
「いつでも大丈夫だ、デヴィン。でも一トラックだけにしてくれ」デヴィンはブースに入りマイクを通して、準備はできていると言ってきた。
「こんなことよくあるの?ローリー」タヨは嫌な気は全くしていないが、事の成り行きに大変驚いていた。
「そんなにないよ。デヴィン、ロール。いつも通りダブルもお願いだ」デヴィンも上手だった。出しゃばらないくせに、ページのヴォーカルにぐっと厚みが増した。
「デヴィン、次ジャマイカに来るときビデオを撮る。出演お願いするよ、タヨと同じくらいきれいな女性が何人か一緒に来る」ページが勝手に要請した、ジャマイカ風なセクハラ発言だが、本人は気づいてないようだ。ページには、カズさんもみんなも賛成だと確信があった。
「ページ、僕も出るよ。忘れないでくれ」いつものローリーだった。
私もデヴィンと一緒にスタジオに入っていた。一連の流れを楽しく見守った。特に問題はなかった。タヨの受け答えにはかなり驚いたが。
「ジャッキー、君は今夜もすばらしくセクシーだ。今日で会うの三回目だよね。まだオーケィじゃないのか?」デヴィンは去り際にいつもの挨拶を行っていた。
「私にはページがいるの。残念だけど、あなたも素敵よ、デヴィン。いつか機会があるといいわね」
「ああ、そう願いたいものだ」大声で笑いながらスタジオを去った。
ローリーが、ラフミックスはまだかかりそうだというので、カズさんをスタジオに残して、ページとタヨはスキャンにお願いしてダンスをやっている夜のゲットーに案内してもらうことにした。スキャンは何か所か電話し「危険なところだけど行くか?行くなら絶対僕のそばを離れるな」
「わかった、セッションも全部終わったし本当のジャマイカを感じたい、タヨもだ」
「ブル、イーストキングストンに行ってくれ」
ぎらついた男たちと着飾った女たちが壁際にもたれ、片手にはビールを持ち、ゆっくりと口に運んでいる。大音量で音楽が流れている。レゲエだけじゃなくジャスティン・ビーバーなんかもかかっていた。
激しく、セックスを意識したように踊っている女性もいた。彼女の周りには、はやし立てる男たちが輪を作っていた。
銃を自慢して見せびらかしている男たちがいた。煙草を吸っている者もいたが、大半はガンジャを吸っていた。頻繁にこのゲットーをパトロールしている警察のサイレンは町の音にかき消されていた。
「電話してくれれば迎えに来る。それでいいか?あまりここにはいたくない」ブルが聞いてきた。
「1時間くらいで迎えに来てくれ」
「スキャン、タヨがいない」ページが青ざめた顔でスキャンにタヨを見つけ出してくれと、落ち着かない様子で周りを見渡していた。
「タヨは頭もいいし、英語も出来るから大丈夫だとは思うけど、一応はみんなから見ればミスチンだ。何にもなければいいが」スキャンが激しく動く回り始めた。
20分後タヨが戻って来た。名前は知らなかったが、少し離れた場所でここに住んでいるっていう日本人の女性ダンサーと偶然会って、コミュニ―ティの中をいろいろと連れていってもらった。みんなが住んでる家とか。町がどうやって盗電しているとか、別のダンスも見て来た。
「心配した?ごめん。スマホの音聞こえなくて」
「何してたんだ。タヨ。何があってもおかしくないところだ。俺から離れるなと言っただろう。お前たちのことカズから預かってきてるんだ、気をつけろ」スキャンが本気で怒っている。
「本当にごめんなさい。ちょっとだけだと思って。会ったのも日本人だったし、大丈夫だと思ったの」
「僕も心配した。お前は将来の院長夫人なんだぞ」
「え?」
「うん、まあ、そうなるかもしれないと思っただけだ」
何だろう、この震え。プロポーズされたの、私?美雪さんのことどうするの?レゲエは?このプロジェクトは?些細な好奇心が起こした自分の行動をひどく反省した。ページに寄り添って手をつないだ。震えていた。
「何もなくてよかった、本当。スキャンの方から、カズさんには伝えておくと言ってた」
「みんなに迷惑かけたね」タヨは自分を取り戻したようにいつもの冷静さを装っているが、内心もの凄く後悔していた。ページにも、タヨの後悔はつないだ手からはっきりと感じ取れた。
「今日は、このままホテルに戻ろう。スキャン、僕達をホテルに落として、スタジオに戻ってくれ。今日は済まなかった、それとタヨのアドリブはマイアミでやるって言っておいてくれ」
「わかった。オレもタヨから目を離して悪かった。ごめん」
「今日はこのまま一人で部屋にいられない。一緒にいてくれる、ページ?」
ページは優しくタヨを抱いてベッドに横になった。二人とも急に疲れがでて来た。時差も混じっていた。あっと今に眠りに陥った。目が覚めたのは朝七時。
「昨夜は泊めてくれてありがとう。部屋に帰ってシャワー浴びてくる。三十分後に朝ご飯でいい?」
「僕もシャワー浴びる。三十分後で」
私は、彼ら二人と朝食を取った。
「昨夜、色々あったそうですね。スキャンから聞きました」
「ご迷惑おかけしました」
「ジャマイカを軽視してはプロジェクトが進みません。君たちに何かあれば、困る人がたくさんいます。自分は自分で守るしかありませんが、頼れる人にはどんどん頼って下さい。まあ、何もなくて何よりです」
「有難うございます。今日はどうします。僕はスタジオに行ってラフを聞いたり、スライと話したりして過ごしたいと思ってます。タヨも一緒に来るよね?」
「私も一旦スタジオに行きます。ジャッキーと今後の打ち合わせがたくさん有りますから」
「では、お昼はケンタッキーでいいですか?十二時ここを出発で」
「ブルにはその時間に迎えに来るよう、私から連絡しておきます」
「突然ですが、明日の便で帰国しようと思います。もちろんみなさんもです。もうすこしここで過ごしたいとは思いますが、お願いします。日本でやらなければならない事がたくさんあります」
「大丈夫です。直ぐにまた来れるのだし」「私も大丈夫です」二人とも納得している。
「ジャッキー、我々の日本までのフライトを変更してくれ。ルートは同じでいい」
「ニューヨークのホテルも同じでいいですか?」ジャッキーはいつもと変わらず手際がよい。日本まで連れていきたいくらいだ。結局明朝六時発の便に変更ができた。
ローリーが割と早めにスタジオに現れ、ラフミックが出来た、クラウドには上げてあると告げた。
「スタジオのモニターで聞いてみたいな」ページもタヨもそれを楽しみにしてきた。
「五分待ってくれ。準備をする」ローリーはスタジオのコンピューター、ボード、アンプ、スピーカーに電源を入れていき、モニターの準備が整った。
「ラフ、かけてもいいかな」
「お願いします」
ラフミックスとは言うが、素晴らしく調整された音が、ラージスピーカーから流れだした。何度も何度も聞いた。一時間くらいたった。まだ全く飽きなかった。
「ベースもまだロビーのじゃないし、ヴォーカルなどまだいろいろと変更が入ります。最終的にはもっと凄い曲になるでしょう。本当に楽しみです」タヨはステージで自分が歌い、踊っている姿を想像した。
ニューヨークのマジソン・スクエア・ガーデンで何万人の観客が一緒に踊っている、そんなことを考えている。そして独り言のように「よし、絶対に実現して見せるわ」と拳を握った。ページは徐々にタヨとは離れなくなるだろうと、まだ漠然としているが、そんな想いを抱いていた。
スタジオに遊びに来るミュージシャンやアーティストたちと楽しく話をして時間が過ぎていった。私は、ローリーとジャッキーに残り五曲はリモートで制作する、その時のギャラは次回来るときに全額キャッシュで払うなどなど、話をしっかりと固めておいた。
「今晩は打ち上げにしよう。ジャークチキンでいいかな?参加人数は多くてもいい。六時半に現地集合」バナナの葉っぱで蒸し焼きにしたチキン。こちらも大変おいしい。とりあえず我々日本側は一旦ホテルに戻ることにした。
早朝の便で明日の朝も早い。今晩の打ち上げがどこまで続くかわからないので、三人には今のうちからパッキングをしておいた方がいいと勧めた。
タヨ本人から聞いたことだが、彼女は完全無欠な女性に見られているが、実は部屋の中は散らかり放題、洋服は脱ぎっぱなし、下着もホテルのベッドの上に散乱しているらしい。
彼女の違った一面を見れた気がしてなぜかほっとした。今のところ、これ以外の弱点は未だ発見できていないと付け加えておこう。
たった三日の滞在だったが、とても多くのことを経験出来たと、ページとタヨはみんなと乾杯した。ローリーもジャッキーもスキャンも他のみんなも、とても楽しそうだった。珍しくスライも顔を出してくれた。
しきりにタヨと話をしていた。ページはこの時とばかりに体を寄せてくるジャッキーにもさやしく接していた。タヨはちらちらその様子をみていた。
「私は嫉妬深い女なのだろうか。でも、まあ、今晩は打ち上げだ。大目に見てやろう」自分を納得させていた。
パッキングは終わっていた。今夜もページの部屋で朝を待つことにした。誰も寄せつけなかった。
ブルはスキャンとジャッキーを先に迎えに行って、ホテルの駐車場で待っていた。
一番後ろの席にページが座った直後、隙を見ててジャッキーがページの横に乗り込んだ。タヨはしかたなくスキャンの横に座った。
スキャンは空港までの三十分間絶えることなく、次来るときは二人だけの時間を作ってくれとか、俺に家に来ないかとかあからさまな態度で口説いてくる。タヨのことよく理解できていたはず、無駄だと分かっているはずだ。
ジャマイカ的なエンターテイメントなのだろう。そんなことより、タヨには後ろの席が気になった。ジャッキーは相変わらず隙間なくページに身を寄せいる。
恐らく彼の股間もさわっていると思った。ページの表情もまんざらではないように見えた。ページに流れているジャマイカ人の血をもっと濃くしようと種の保存を企んでいるのではないかと勘繰ってしまった。
落ち着かない気分のまま三十分が過ぎ、空港に着いた。搭乗手続きを済ませ、セキュリティーを抜けて、初めてページと二人になれた。私に見てもらおうとするかのように、タヨはページと手をつないだ。ページは嫌がらなかったし、私も二人の感情の変化はいつも感じていた。
密度の濃い時間を過ごした場所からの旅立ちは悲しいものだ。タヨの目には涙がたまった。我々三人は二週間後にはまたこの地に立っているはず。既にその準備も進行中だ。
帰りもニューヨークに一泊した。時間が充分にあったので、マンハッタンまで足を延ばしてみた。場所は彼らに任せた。相当の期間この地に住んでいた彼らはここをよく知っていた。
ミッドタウンでアメリカ人がやっているアメリカ風の日本食を食べに行った。いやらしい内装の店内から想像した料理より、実物はずっとおいしかった。メインを食べ終え、デザートを待つ間にページとタヨが改まって話が有りますと、神妙に背筋を伸ばしている。
「何でしょうか、音楽のことですか、それとも人間関係か何か?」
「ステージネームの件です。ページ&タヨではだめですか?」
「いいですよ。みんなには私の方から言っておきます。医学生と看護師という部分は隠しておきたいと思います。すくなくとも今は」
「君らのことはまだチーム内だけの情報として、外部に漏れないよう、日本に帰って改めてみんなに周知徹底しておきましょう。この点は大丈夫ですか、君らの中で?」
「僕らも今は身分を隠しておきたいです。ばれたからって困ることはありませんが、今のネット社会では、お坊ちゃんのお遊びとも取られかねません」
「世界中で今回の素晴らしい曲がリリースされ、注目を浴びる事になる、その後の発表でいいですか?まじめに取り組んでいることを、色つきの眼鏡を通して見られたくないです」
「タヨの場合は、美しすぎる看護師みたいな扱われかをされる可能性も否定できません。どうタヨは?」
「私も、純粋にエンターテイメントで勝負したいと思います。美しすぎる看護師は、今のところ封印でお願いします」
経済的裏付けがあるからだろうか、タヨに余裕が見て取れる。別に悪い事ではないが、音楽で生きていこうとする多くの者にとって、とてもうらやましい環境であることには間違いない。
「それと、私はとやかく言うつもりはありませんが、二人の関係、どうですか?一応お聞かせ願えませんか」二人がもし、既に将来的にも一緒という状態であれば、それはそれで何らかの情報操作も必要だと思った。
「まだ、長い階段の第一段目に足をかけたところです。お互いたくさんの魅力的な人々に言い寄られてます」
「私は、もう少し上の方まで登っていると思います。でも、私、思うにページは浮気性ですよ、きっと」
「そんなことはありませんが、世間的にはここは謎でお願いします」
「情報の出し方、一番いい方法で実現できるよう、みんなで考えましょう。とにかくまずは一曲目です」
この後少しの間マンハッタンの中を十分ほど歩いて、タクシーに乗り空港の近くのホテルまで帰った。明日は正午初の飛行機なので、九時半にホテルを出れば十分に間に合う。
「では、また明日の朝、一応ですが私は八時ごろ朝食を取ります。その後チェックアウトです」
「わかりました。私たちも明日の朝、同じ時間にレストランに行きます。おやすみなさい」
私はエレベーターを八階で降り、彼らは九階で降りた。
「ページ。私。今日は一人で部屋にいる。少し考えたいことがあって。心配しないで、別に変なことじゃないから」タヨは、今回のレコーディングを自分なりに振り返ってみたくなった。
今までとは全く違う緊張を経験できたこと。恵まれたプロジェクトの中で自分の置かれている立ち位置。将来のこと。唯一の親族である妹のこと。そして、ページのこと。
「いいよ。じゃあ明日の朝」ページはあっさりと返事をした。タヨは少し寂しかった。
帰りは二人とも窓際がいいといって前後の席に変更してもらい、私がタヨの横に座った。十三時間の長いフライトの間、私とページが席を変わったり、映画を見たり、居眠りしたりと、いつも通り時間をつぶした。ビジネスクラスでの豪華な食事が下げられた後、コーヒーが運ばれてきた。
「ねえカズさん、外務省時代のお話を聞かけて下さい」前にもタヨから聞かれたことがあった。その時は軽くスルーした記憶がある。大した話はできないと思ったが、時間もたっぷりあったし、隠し事が無いわけでもないが、話を始めた
。
「私は、キャリアではありませんでした。キャリアってわかりますか?上級職の試験に合格した者だけに将来を約束するシステムです」
「私も一応は試験を受けましたが、人事課の応接室で一人きりでの試験でした。当時の自民党幹事長の推しもあっての中途採用です」
「あら、裏口入学みたいな感じ?グラミー賞で暗躍するようになった素地はこのころからあったのね」タヨはため口になっていた。何の問題もない。
「まあ、そんなところかもしれませんね。でも人事院の進言に基づいた登用だと通知された記憶があります」タヨは興味を持ったようで、続けてと言った。
「仲の良かったキャリアの方からアドバイスがありました。このままここにいても、こことは外務省のことです、将来はない。何か考えた方がいいと。その後レゲエに足を踏み入れるまでに十五年かかりました」
「十五年か。楽しい事も、嫌なことも、いろいろとあったでしょうね?」
「最も悲しかった出来事のこと話していいですか?この瞬間には最もふさわしくない内容ですが」
「怖い話?聞かせて」コーヒーを一口含んで、準備完了ですと、告げて来た。
「マイアミ総領事館に赴任して数日後のことです。民間の飛行機学校で訓練を受け、パイロットの免許を取った邦人がいました。マイアミで恋人と結婚式を挙げるため、双方の両親と兄弟全員の合計七人がマイアミに来ました」
「挙式の後自分が操縦する十人乗りのセスナにみんなを乗せてオーランドに向かいました。両家族みんなで何日か遊び、マイアミに戻るのも彼の飛行でした。これから後のことは、警察の人から聞いた話です」
「マイアミに帰る途中、機体に派生したトラブルを回避できなかったらしく、車道への着陸を試みたそうです。その最中地上数メートルのところで一方の翼が電線にひっかかり機体が反転し、墜落、炎上しました。乗客乗員全員九名が即死でした」
「上司からの連絡で、私は部下の若い女性を伴って現場に直行。車で4時間くらいかかりました。現地では事情聴取と現場検証を行いました」
「墜落したのは民家の庭先で、不幸中の幸いでしたが、他にこの事故に巻き込まれた人はいませんでした。我々が現場に到着する前に墜落場所からは既に機体は撤去されていました」
「現場では、更に遺品の捜索を行いました。指輪一つとほとんど燃えてしまったパスポートの一部、それと一つかみの長い髪の毛をみつけました」
「安置所に向かい、検視官から遺体は体の部分もわかないほど損傷が激しいが、見ますかと言われ、私は断りました。でも一緒に行った若い部下、そうですね、タヨさんと同じくらいの年齢の女性でした、代わりにご遺体に会って来てくれました」
「どこが頭で、どこが足かもわからないほど焼け焦げていたそうです。後日、両家の遠い親戚と言われた方々がマイアミに来られ葬儀と行いました。もちろん、その準備も手伝いました」
「本当にあった話です。こういうことも領事業務といって、日常の仕事の一つです」
「あら、いやだー。本当この瞬間にはふさわしくないわね。もう到着するまで眠れないよう。他には?何か楽しい話はないの?」
「そりゃあ、たくさんありますよ。でも、表には出してはいけないことばかりです。バレれば週刊誌に喜ばれます。それこそ今思えば、かなり暗躍していましたね」
私たちは何時間も、いろんな話をした。タヨは、そんなこともあったの、と驚きの連続だった。概ね私の黒歴史パート1を語り終え、ページと席を代わった。
タヨは、今私から聞いた話をページに話しているようだった。途中二人の笑い声か聞こえた。この一週間で凝縮された時間を過ごしたことが、二人の距離感を縮めたことは間違いないと思った。
長いフライトも終わりを告げ、ようやく成田に到着した。滑走路の横に空港のビル群が見えてきた。日本を出発して日本の裏側まで行って、一週間で日本に戻ってきたことになる。
やっと時差が無くなって来たところにまた同じ時差が来る。一番きつい日程だ。ベルトコンベアから荷物を受け取り、税関を過ぎ、既に連絡しておいた左側のドアを使って外に出た。
間違いなくファッションモデルと思われる装いの千代が中田社長の隣で我々を迎えてくれた。
「いやー。皆さん、お疲れ様。カズさん体は大丈夫?」第一声は中田社長から。
「久しぶりのジャマイカはとても楽しかったですよ。若い二人に刺激されっぱなしでした」
「ページ、おかえりなさい。あ、お姉ちゃんも」
「千代、何よその格好は。もっと地味なのにしてよ、次からは」
「だって、ページにはいつも最高の私を見てもいたいのです。わかって下さいよ、お姉さま」千代は、ページとタヨが二人仲よさそうにゲートから出て来たのを見て、堂々とライバル意識を前面に出すことに躊躇はなかった。
「車は用意してある?早く帰りたい。、やっぱり疲れた」ページが千代をせかせた。
「もう外に用意してある。カズさんのホテルは青山でいいよね?タヨは千代のところでいいのかな」
「有難うございます。助かります。私も少々疲れました。みんな機内ではほとんど一睡もしてませんから」この辺は中田社長の一流の気配りだ。実際あの話の後、タヨは帰りの空の旅の最中ずっと緊張していたようだ。
車の中では、千代が無理やりページの横に座った。後ろに座っているタヨに分からないように体を寄せてきたが、ページはわずかに動いて千代の体をかわした。
実はそれほど悪い気はしていないページだった。高速道路は思ったより混んでなくて、一時間半で青山に着いた。中華街のホテルにチェックインした。
「晩飯、いつもの中華」帰国の報告は出来るだけ早めにするのがマナーだ。ページもタヨもこの辺は心得いるようで、気持ちよく受け答えした。将生さんも来ているらしい。
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