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大嫌いな男
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「離して下さい!!」
(離せって言ってんだろうがぁ!!)
「俺と付き合うって言ったら離してやる」
「はぁ?!言ってる事、めちゃくちゃです!!」
「じゃあ、離さない」
愛美を抱きしめた緒川支部長の唇が、愛美の耳に触れた。
「やっ……!!」
偶然にも弱い所を刺激され、愛美は緒川支部長の腕の中で小さな声を上げて身をよじった。
「へぇ……耳、弱いんだ」
緒川支部長は愛美の耳にそっと唇を這わせた。
唇からもれる吐息に反応して、愛美はさらに身をよじる。
「やっ……!ダメ……やめ……て……」
執拗に耳を攻められた愛美は、全身の力が抜けて頭が真っ白になってしまい、緒川支部長の腕から逃れられずにいた。
「俺と付き合うならやめてやる」
「や……だ……」
「じゃあ……もっと……?」
反対側の耳も指先で刺激され、愛美はもう立っていることもできなくなって、緒川支部長の背中にしがみついた。
「俺と付き合う?」
耳元で囁く緒川支部長の低い声にどうにかなりそうになりながら、愛美はとにかくこの場を切り抜けようと、屈辱ではあったが力なくうなずいた。
「じゃ、今日からおまえ、俺の彼女な」
ようやく解放されるとホッとしたのも束の間、緒川支部長は愛美の頬にキスをした。
全身の毛が逆立つような不快な感覚に襲われ、愛美は声にならない声で叫ぶ。
「イヤって言わせねぇから」
そう言って緒川支部長は愛美の頭を引き寄せるようにして、強引に唇を塞いだ。
(ギャーッ!!イヤーっ!!やめてーっ!!)
やっと唇が離れると、愛美は緒川支部長をにらみつけて、怒りに震える拳でみぞおちを思いっきり殴った。
思いのほか強烈にヒットしたらしく、緒川支部長はみぞおちを押さえて苦しそうにしている。
「イヤがってる相手に無理やりこんな事するなんて最低……。絶対イヤです」
「普通……女がみぞおち殴るか……?」
「まだ殴り足りませんけどね。とにかく私は支部長と付き合う気なんてまったくありません」
「付き合うって言っただろ?」
「一言も言ってません。そういうところが大嫌いです。二度と私に構わないで下さい」
愛美は吐き捨てるようにそう言うと、必要なパンフレットを手にさっさと倉庫を後にした。
「高瀬FP、お待たせしました」
「ありがとうございます」
愛美が頼まれていたパンフレットを手渡すと、高瀬FPは不思議そうに首をかしげた。
「あれ……支部長は?」
「知りません。まだ倉庫じゃないですか?私は先に戻ったので」
「ふーん……?じゃあ、僕は企業訪問に行ってきます」
「行ってらっしゃい」
高瀬FPを笑顔で送り出した愛美は、内勤席に着いた。
高瀬FPと入れ違いで支部に戻ってきた緒川支部長の姿に気が付くと、愛美は思いきり顔をそむける。
(戻ってくんな!!)
緒川支部長は愛美の席のすぐそばに立って、机に手をついた。
「菅谷……」
返事もしないで席を立った愛美の腕を、緒川支部長が掴んだ。
「触らないで下さい」
冷たい声で愛美が呟くと、緒川支部長は両手で愛美の肩をガシッとつかむ。
「俺はおまえが好きだ」
「私は嫌いです」
「なんでそんなに嫌う?」
「生理的に受け付けません」
「なんだそれ?そんな理由があるか!!」
そんなことを言われても、嫌いなものは嫌いなのだからしかたがない。
この際だから嫌いだということを徹底的にわからせてやることにする。
「無理なものは無理なんです!!猫アレルギーの私に猫を飼えって言ってるのと同じです!!」
「俺は猫じゃない!!」
「猫の方がましです!!」
「だいたい俺の事をよく知りもせずに生理的に無理とかおかしいだろう!!」
「じゃあ支部長は私の事をよく知りもせずに、なんで私なんですか?!」
「好きなものは好きなんだからしょうがないだろう!!」
「嫌いなものは嫌いなんだから仕方ないでしょう!!」
口論は平行線のまま二人がにらみあっていると、廊下の向こうから賑やかなオバサマたちの声が聞こえて来て、緒川支部長は愛美から手を離した。
「俺はあきらめない。絶対に好きだって言わせてやる」
「絶対に言いません。大嫌いです、迷惑です」
愛美は席について、冷めきったコーヒーを一気に飲み干した。
(ああもう最悪だ!!なんなんだ、あの男は?!絶対好きになんかなるわけねぇっつーの!!むしろこの上なく大嫌いだ!!)
「ただいま帰りましたー」
「お帰りなさい、お疲れ様です」
さっきとは打って変わって、明るい笑顔をオバサマたちに向ける愛美に、緒川支部長は眉間にシワを寄せて苦虫を噛み潰したような顔をした。
「菅谷さん、この書類お願いします」
「はい、わかりました」
愛美は何食わぬ顔でオバサマたちに笑顔を振りまき、書類を受け取ってパソコンに向かう。
書類を確認してパソコンに入力しながら、愛美はなんとかして緒川支部長を叩きのめす方法はないものかと考えていた。
(こうなったら、さっさと彼氏でもなんでも作っちゃうか……。とにかくあの男だけは絶対にイヤだ!!)
もし高瀬FPと付き合ったら絶大なるショックを受けるかなとも考えたが、こんな事に高瀬FPを巻き込むのも申し訳ないと思う。
(マスターのとこで誰か見つけるか……。どうせならあいつよりずっと見た目のいい男にしよう)
(離せって言ってんだろうがぁ!!)
「俺と付き合うって言ったら離してやる」
「はぁ?!言ってる事、めちゃくちゃです!!」
「じゃあ、離さない」
愛美を抱きしめた緒川支部長の唇が、愛美の耳に触れた。
「やっ……!!」
偶然にも弱い所を刺激され、愛美は緒川支部長の腕の中で小さな声を上げて身をよじった。
「へぇ……耳、弱いんだ」
緒川支部長は愛美の耳にそっと唇を這わせた。
唇からもれる吐息に反応して、愛美はさらに身をよじる。
「やっ……!ダメ……やめ……て……」
執拗に耳を攻められた愛美は、全身の力が抜けて頭が真っ白になってしまい、緒川支部長の腕から逃れられずにいた。
「俺と付き合うならやめてやる」
「や……だ……」
「じゃあ……もっと……?」
反対側の耳も指先で刺激され、愛美はもう立っていることもできなくなって、緒川支部長の背中にしがみついた。
「俺と付き合う?」
耳元で囁く緒川支部長の低い声にどうにかなりそうになりながら、愛美はとにかくこの場を切り抜けようと、屈辱ではあったが力なくうなずいた。
「じゃ、今日からおまえ、俺の彼女な」
ようやく解放されるとホッとしたのも束の間、緒川支部長は愛美の頬にキスをした。
全身の毛が逆立つような不快な感覚に襲われ、愛美は声にならない声で叫ぶ。
「イヤって言わせねぇから」
そう言って緒川支部長は愛美の頭を引き寄せるようにして、強引に唇を塞いだ。
(ギャーッ!!イヤーっ!!やめてーっ!!)
やっと唇が離れると、愛美は緒川支部長をにらみつけて、怒りに震える拳でみぞおちを思いっきり殴った。
思いのほか強烈にヒットしたらしく、緒川支部長はみぞおちを押さえて苦しそうにしている。
「イヤがってる相手に無理やりこんな事するなんて最低……。絶対イヤです」
「普通……女がみぞおち殴るか……?」
「まだ殴り足りませんけどね。とにかく私は支部長と付き合う気なんてまったくありません」
「付き合うって言っただろ?」
「一言も言ってません。そういうところが大嫌いです。二度と私に構わないで下さい」
愛美は吐き捨てるようにそう言うと、必要なパンフレットを手にさっさと倉庫を後にした。
「高瀬FP、お待たせしました」
「ありがとうございます」
愛美が頼まれていたパンフレットを手渡すと、高瀬FPは不思議そうに首をかしげた。
「あれ……支部長は?」
「知りません。まだ倉庫じゃないですか?私は先に戻ったので」
「ふーん……?じゃあ、僕は企業訪問に行ってきます」
「行ってらっしゃい」
高瀬FPを笑顔で送り出した愛美は、内勤席に着いた。
高瀬FPと入れ違いで支部に戻ってきた緒川支部長の姿に気が付くと、愛美は思いきり顔をそむける。
(戻ってくんな!!)
緒川支部長は愛美の席のすぐそばに立って、机に手をついた。
「菅谷……」
返事もしないで席を立った愛美の腕を、緒川支部長が掴んだ。
「触らないで下さい」
冷たい声で愛美が呟くと、緒川支部長は両手で愛美の肩をガシッとつかむ。
「俺はおまえが好きだ」
「私は嫌いです」
「なんでそんなに嫌う?」
「生理的に受け付けません」
「なんだそれ?そんな理由があるか!!」
そんなことを言われても、嫌いなものは嫌いなのだからしかたがない。
この際だから嫌いだということを徹底的にわからせてやることにする。
「無理なものは無理なんです!!猫アレルギーの私に猫を飼えって言ってるのと同じです!!」
「俺は猫じゃない!!」
「猫の方がましです!!」
「だいたい俺の事をよく知りもせずに生理的に無理とかおかしいだろう!!」
「じゃあ支部長は私の事をよく知りもせずに、なんで私なんですか?!」
「好きなものは好きなんだからしょうがないだろう!!」
「嫌いなものは嫌いなんだから仕方ないでしょう!!」
口論は平行線のまま二人がにらみあっていると、廊下の向こうから賑やかなオバサマたちの声が聞こえて来て、緒川支部長は愛美から手を離した。
「俺はあきらめない。絶対に好きだって言わせてやる」
「絶対に言いません。大嫌いです、迷惑です」
愛美は席について、冷めきったコーヒーを一気に飲み干した。
(ああもう最悪だ!!なんなんだ、あの男は?!絶対好きになんかなるわけねぇっつーの!!むしろこの上なく大嫌いだ!!)
「ただいま帰りましたー」
「お帰りなさい、お疲れ様です」
さっきとは打って変わって、明るい笑顔をオバサマたちに向ける愛美に、緒川支部長は眉間にシワを寄せて苦虫を噛み潰したような顔をした。
「菅谷さん、この書類お願いします」
「はい、わかりました」
愛美は何食わぬ顔でオバサマたちに笑顔を振りまき、書類を受け取ってパソコンに向かう。
書類を確認してパソコンに入力しながら、愛美はなんとかして緒川支部長を叩きのめす方法はないものかと考えていた。
(こうなったら、さっさと彼氏でもなんでも作っちゃうか……。とにかくあの男だけは絶対にイヤだ!!)
もし高瀬FPと付き合ったら絶大なるショックを受けるかなとも考えたが、こんな事に高瀬FPを巻き込むのも申し訳ないと思う。
(マスターのとこで誰か見つけるか……。どうせならあいつよりずっと見た目のいい男にしよう)
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