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男友達の裏の顔
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「なっ……!自分で食べなよ!」
「芙佳に食べさせてもらいたかったんだよ」
「甘えるな。私は應汰のオカンじゃないんだからね」
「オカンなんて思ってないって、さっきから言ってんじゃん。俺は芙佳に甘えたいし、それ以上にめちゃくちゃ甘やかしたい」
一体なんの冗談のつもりだ?
だいたい、今まで私が好きだとか一度も言わなかったじゃないか。
いくら酔っているとは言えあまりにも質が悪い。
「なぁ、どうすれば芙佳の恋愛対象になれる?」
「だから……應汰は無理。應汰とは想像できないもん」
「何を?」
「何を?って……」
現実的に、キスとかセックスとかしたいと思えない相手とは付き合えないし、それに何より好きじゃなかったらそんなことをしようなんて思わないでしょうが。
……とは言いづらいな。
「芙佳、俺の事、男と思ってないだろ」
「生物学的には男だと認識してるけど?」
「そういう意味じゃなくて。俺だって芙佳の彼氏と同じ男だってこと。試してみる?」
應汰はいつもとは違う男の顔をして私の目を見つめながら、テーブルの上で私の右手を握った。
ずっと友達だと思ってきた相手から、異性であることを突然アピールされてもリアクションに困る。
私は應汰の手を払いのけたその手で、應汰の額を思いきり弾いた。
「いてっ!なんだよ!」
「断る」
キッパリと断ると、應汰は額をさすりながらうなだれた。
「断るの早すぎじゃね……?」
「当たり前でしょ?とりあえず、私は應汰とは付き合えないよ。友達だと思ってるし。彼氏もいるし」
正確には彼氏じゃないけれど、と心の中で呟くと、應汰は面白くなさそうに顔をしかめる。
「ふーん……。じゃあ早く彼氏と別れろ」
「何それ、バカじゃないの?」
「芙佳がもうやめようかなって思ってるって言ったんだろ?」
「言ったけど……。それとこれとは別」
「別じゃねぇよ。さっきも言ったけど、俺は男だからな。あわよくば芙佳をモノにしようとずっと思ってた」
まさかのカミングアウトに度肝を抜かれた。
なんちゅう大胆な……。
ということは、何か?
應汰は彼女のノロケ話をしながら、私にいつ襲いかかってやろうかとタイミングを見計らっていたと、そういうこと?
「……信じられない!スケベ!!」
「なんとでも言え。男はみんなスケベなの。もう隠しとくの面倒だから言っとくわ。俺は芙佳が好き。下心大有りだからな。覚悟してろ」
「バカッ!!知らない!」
いきなりそんな事言われても、『ハイ、そうですか』とは言えない。
應汰の事は嫌いじゃないし、どちらかと言えば好きだとは思うけど、それは友達だと思っていたからだ。
「それはさておき、どんどん飲め!!ベロベロに酔い潰れちまえ!心置きなく襲ってやる!!」
「させるか!!」
なんだこのスケベなのに色気のない会話は?
こんな会話ができるのも、應汰が気の置けない友達だからだ。
應汰とはこれくらいの関係がちょうどいい。
友達なら、誰かと結婚すると言われても素直に喜べると思うから。
結局、なんだかんだと言い合いながら、二人ともかなりの量のビールを飲んだ。
約束通り應汰にキッチリ奢ってもらって、二人して陽気に笑いながら店を出た。
應汰が期待していたほどのベロベロ状態ではないけれど、私も應汰もかなり酔っている。
歩き出すと、應汰は私を羽交い締めにして甘えた声で頬をすり寄せた。
「帰るのめんどくさい。芙佳、どっか泊まって一緒に寝ようよ」
「そんな事言って襲う気だな……?」
「当たり前だ。よし、行こう」
應汰は私の腕を掴んで意気揚々と歩き出す。
私は思いきり足を踏ん張って必死で抵抗した。
「芙佳に食べさせてもらいたかったんだよ」
「甘えるな。私は應汰のオカンじゃないんだからね」
「オカンなんて思ってないって、さっきから言ってんじゃん。俺は芙佳に甘えたいし、それ以上にめちゃくちゃ甘やかしたい」
一体なんの冗談のつもりだ?
だいたい、今まで私が好きだとか一度も言わなかったじゃないか。
いくら酔っているとは言えあまりにも質が悪い。
「なぁ、どうすれば芙佳の恋愛対象になれる?」
「だから……應汰は無理。應汰とは想像できないもん」
「何を?」
「何を?って……」
現実的に、キスとかセックスとかしたいと思えない相手とは付き合えないし、それに何より好きじゃなかったらそんなことをしようなんて思わないでしょうが。
……とは言いづらいな。
「芙佳、俺の事、男と思ってないだろ」
「生物学的には男だと認識してるけど?」
「そういう意味じゃなくて。俺だって芙佳の彼氏と同じ男だってこと。試してみる?」
應汰はいつもとは違う男の顔をして私の目を見つめながら、テーブルの上で私の右手を握った。
ずっと友達だと思ってきた相手から、異性であることを突然アピールされてもリアクションに困る。
私は應汰の手を払いのけたその手で、應汰の額を思いきり弾いた。
「いてっ!なんだよ!」
「断る」
キッパリと断ると、應汰は額をさすりながらうなだれた。
「断るの早すぎじゃね……?」
「当たり前でしょ?とりあえず、私は應汰とは付き合えないよ。友達だと思ってるし。彼氏もいるし」
正確には彼氏じゃないけれど、と心の中で呟くと、應汰は面白くなさそうに顔をしかめる。
「ふーん……。じゃあ早く彼氏と別れろ」
「何それ、バカじゃないの?」
「芙佳がもうやめようかなって思ってるって言ったんだろ?」
「言ったけど……。それとこれとは別」
「別じゃねぇよ。さっきも言ったけど、俺は男だからな。あわよくば芙佳をモノにしようとずっと思ってた」
まさかのカミングアウトに度肝を抜かれた。
なんちゅう大胆な……。
ということは、何か?
應汰は彼女のノロケ話をしながら、私にいつ襲いかかってやろうかとタイミングを見計らっていたと、そういうこと?
「……信じられない!スケベ!!」
「なんとでも言え。男はみんなスケベなの。もう隠しとくの面倒だから言っとくわ。俺は芙佳が好き。下心大有りだからな。覚悟してろ」
「バカッ!!知らない!」
いきなりそんな事言われても、『ハイ、そうですか』とは言えない。
應汰の事は嫌いじゃないし、どちらかと言えば好きだとは思うけど、それは友達だと思っていたからだ。
「それはさておき、どんどん飲め!!ベロベロに酔い潰れちまえ!心置きなく襲ってやる!!」
「させるか!!」
なんだこのスケベなのに色気のない会話は?
こんな会話ができるのも、應汰が気の置けない友達だからだ。
應汰とはこれくらいの関係がちょうどいい。
友達なら、誰かと結婚すると言われても素直に喜べると思うから。
結局、なんだかんだと言い合いながら、二人ともかなりの量のビールを飲んだ。
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歩き出すと、應汰は私を羽交い締めにして甘えた声で頬をすり寄せた。
「帰るのめんどくさい。芙佳、どっか泊まって一緒に寝ようよ」
「そんな事言って襲う気だな……?」
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私は思いきり足を踏ん張って必死で抵抗した。
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