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男友達の裏の顔
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「やだ、帰る。應汰とはしない」
「なんで?俺、めちゃくちゃ優しいよ?」
「好きでもない人とはしない」
「したら好きになるかも」
「ならないよ」
「ホントに……?」
應汰の手が突然私の頭を引き寄せた。
驚く間もなく、唇を強引に塞がれる。
いきなり舌を絡めた激しいキスをされて、体の力が抜けそうになった。
ビールの味がする……。
酔った頭がボーッとなって、私はされるがままに應汰のキスを受け入れた。
長いキスの後、應汰は唇を離し、私の唇を親指でなぞった。
「芙佳……その顔エロい。もっとしたい」
「……バカ」
應汰はさっきよりも色っぽい男の顔をして、私の目を覗き込んだ。
「ダメ?」
「……ダメ」
「ダメって顔じゃないけど?」
「……バカ」
應汰は私の手を引いて歩き出した。
私は獣に捕らえられた子ウサギみたいに大人しく、應汰に手を引かれて歩く。
ここに来て一気に酔いが回り始めた。
何がなんだか、わけがわからない。
気が付くと私は、見慣れぬ部屋のベッドの上にいた。
ここどこだ……?
隣では應汰が眠っている。
「え……なんで……?」
まさか……いや、そのまさかなのか?
意味もなくキョロキョロと辺りを見回した。
ホテルとかではなさそうだ。
もしかして、ここ應汰の部屋なの?
私は慌てて自分の格好を確認する。
少々乱れてはいるものの、とりあえず服を着ている事にホッとした。
いや、しかし着たままって事も……。
私のバカ!!
なーんにも思い出せん!!
そっと布団をめくってみると、應汰は上半身裸だけど、下は履いている。
未遂……?
夕べはかなり酔っていたから、二人とも酔いが回って眠っちゃったとか?
そうだ、きっとそうに違いない。
應汰もきっと、酔って悪ふざけをしたんだ。
應汰が私を本気で襲っちゃおうなんて思っているわけがない。
……このまま黙って帰っちゃおうかな?
って言うか、外まだ暗いけど、今何時なの?
どこかに時計はないかと、辺りを見回した。
ベッドサイドの目覚まし時計はまだ2時半を回ったところを指している。
夜中だよ……電車ないよ……。
その辺でタクシー拾って帰るか……?
しばらく腕組みをして考えた末、なんとなくバカらしくなって、もう一度ベッドに体を投げ出した。
ベッドのスプリングがきしんで、應汰がモソモソと体を動かした。
初めて見るけど……かわいい寝顔。
夕べ突然私の唇を塞いだ、形のいい唇。
ずっと隠してたけど、應汰は私の事が好きで、私を自分のものにしたいんだって。
酔ってたとは言え、應汰にキスされても、手を引かれてどこかへ連れて行かれても、私は抵抗しなかった。
よく考えてみたら、私が誰とどこで何をしようと、自由なんだよね?
勲に気を遣う必要なんてない。
子供じゃあるまいし、お酒の勢いで男友達の應汰と一夜の過ちがあっても、誰も咎めたりはしないはず。
勲だって七海としてる。
あちらは浮気相手ではなくて本妻だ。
むしろ私との関係の方が間違ってる。
いっそのこと、いい加減ここらで勲との関係を断ち切って、應汰の口車に乗ってみようか。
應汰の事を恋愛対象と思った事はなかったけれど、正直言うと、キスをされた時は少しドキドキして、これも有りかもと思った。
思えば長い間、勲以外の人にときめいた事も、もちろん体の関係もなかったけれど、他の人に抱かれて、幸せって思えるのかな?
そればっかりは試してみないとわからない。
恋人同士の時ならまだしも、今は勲に抱かれたって、虚しさが募るだけだ。
今なら私、勲との不毛な関係から抜け出せる?
「なんで?俺、めちゃくちゃ優しいよ?」
「好きでもない人とはしない」
「したら好きになるかも」
「ならないよ」
「ホントに……?」
應汰の手が突然私の頭を引き寄せた。
驚く間もなく、唇を強引に塞がれる。
いきなり舌を絡めた激しいキスをされて、体の力が抜けそうになった。
ビールの味がする……。
酔った頭がボーッとなって、私はされるがままに應汰のキスを受け入れた。
長いキスの後、應汰は唇を離し、私の唇を親指でなぞった。
「芙佳……その顔エロい。もっとしたい」
「……バカ」
應汰はさっきよりも色っぽい男の顔をして、私の目を覗き込んだ。
「ダメ?」
「……ダメ」
「ダメって顔じゃないけど?」
「……バカ」
應汰は私の手を引いて歩き出した。
私は獣に捕らえられた子ウサギみたいに大人しく、應汰に手を引かれて歩く。
ここに来て一気に酔いが回り始めた。
何がなんだか、わけがわからない。
気が付くと私は、見慣れぬ部屋のベッドの上にいた。
ここどこだ……?
隣では應汰が眠っている。
「え……なんで……?」
まさか……いや、そのまさかなのか?
意味もなくキョロキョロと辺りを見回した。
ホテルとかではなさそうだ。
もしかして、ここ應汰の部屋なの?
私は慌てて自分の格好を確認する。
少々乱れてはいるものの、とりあえず服を着ている事にホッとした。
いや、しかし着たままって事も……。
私のバカ!!
なーんにも思い出せん!!
そっと布団をめくってみると、應汰は上半身裸だけど、下は履いている。
未遂……?
夕べはかなり酔っていたから、二人とも酔いが回って眠っちゃったとか?
そうだ、きっとそうに違いない。
應汰もきっと、酔って悪ふざけをしたんだ。
應汰が私を本気で襲っちゃおうなんて思っているわけがない。
……このまま黙って帰っちゃおうかな?
って言うか、外まだ暗いけど、今何時なの?
どこかに時計はないかと、辺りを見回した。
ベッドサイドの目覚まし時計はまだ2時半を回ったところを指している。
夜中だよ……電車ないよ……。
その辺でタクシー拾って帰るか……?
しばらく腕組みをして考えた末、なんとなくバカらしくなって、もう一度ベッドに体を投げ出した。
ベッドのスプリングがきしんで、應汰がモソモソと体を動かした。
初めて見るけど……かわいい寝顔。
夕べ突然私の唇を塞いだ、形のいい唇。
ずっと隠してたけど、應汰は私の事が好きで、私を自分のものにしたいんだって。
酔ってたとは言え、應汰にキスされても、手を引かれてどこかへ連れて行かれても、私は抵抗しなかった。
よく考えてみたら、私が誰とどこで何をしようと、自由なんだよね?
勲に気を遣う必要なんてない。
子供じゃあるまいし、お酒の勢いで男友達の應汰と一夜の過ちがあっても、誰も咎めたりはしないはず。
勲だって七海としてる。
あちらは浮気相手ではなくて本妻だ。
むしろ私との関係の方が間違ってる。
いっそのこと、いい加減ここらで勲との関係を断ち切って、應汰の口車に乗ってみようか。
應汰の事を恋愛対象と思った事はなかったけれど、正直言うと、キスをされた時は少しドキドキして、これも有りかもと思った。
思えば長い間、勲以外の人にときめいた事も、もちろん体の関係もなかったけれど、他の人に抱かれて、幸せって思えるのかな?
そればっかりは試してみないとわからない。
恋人同士の時ならまだしも、今は勲に抱かれたって、虚しさが募るだけだ。
今なら私、勲との不毛な関係から抜け出せる?
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