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諸刃の剣
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「関係なくなんかない!俺は芙佳が好きだって言ってるだろ!」
「……もうよしてよ。聞きたくない」
腕の中から逃れようと身をよじっても、勲の腕は強い力で私を捕らえて離さない。
「苦しいよ、離して」
「離さない。芙佳は誰にも渡さない」
どの口がその言葉を吐けるの?
私はあなたの物じゃない!!
今まで抑え込んできた気持ちが一気に押し寄せる。
「いい加減にしてよ!!私と付き合ってたくせに他の人と結婚したのはあなたでしょ?!」
「俺だって……好きで七海と結婚したんじゃない。本当は芙佳と……」
今更そんな言葉は聞きたくない。
私はありったけの力を振り絞って勲の体を押し返した。
「もういい、帰って!!二度と来ないで!!」
「……イヤだ」
勲は投げ出すように私をベッドに押し倒して覆い被さった。
私の体を動けないように押さえ込み、強引にシャツをたくしあげて肌に舌を這わせる。
「いや!やめて!!」
「俺が好きなのは芙佳だけだ。他の男になんか絶対に渡さない」
勲の手は乱暴に私の体をまさぐり、性急にその先を求める。
鎖骨の辺りや首筋に押しあてられた勲の唇は、痕が残るほど強い力で肌に吸い付いた。
「芙佳……好きだ……。どこへも行くな……」
「もうやだ……やめてよ……」
私がどんなに勲を好きでも手に入らないのに、勲は私を手放そうとしない。
私が求めても手に入るのは、欲情に駆られた勲の体だけだ。
それなのに私の体は熱に浮かされ、また勲を受け入れてしまう。
勲は焦りと苛立ちをぶつけるように、私の体を乱暴に貪り、強引に突き上げた。
こんなの愛でもなんでもない。
どんなに好きでも、どうにもならない。
何度となく秘密の逢瀬を重ねても、募るのは寂しさと虚しさばかり。
勲が私を好きだと言えば言うほど、私の心は虚しさに蝕まれて行く。
ベッドの上で激しく揺さぶられながら、あとからあとから涙が溢れた。
繋がっていられるのは体だけ。
私たちは互いを求めるほどに罪を重ねる。
何度果てても満たされない想いは、行く宛もなく宙をさまよっている。
「芙佳……ごめん……」
勲は泣きじゃくる私を抱きしめた。
こんな関係、望んでいない。
お互いの事だけを想って抱き合えたあの頃とは違う。
本当に私が好きなら、もうこの手から解放して欲しい。
こんなふうに優しく抱きしめられたら、私は愚かにも、まだ勲との未来はあるのではないかと勘違いしてしまう。
そんなものあるはずもないのに。
勲は困り果てた顔で、私を抱きしめながら優しく髪を撫でた。
「芙佳、ごめん……。もう泣かないで……」
勲の腕の中で涙はとどまる事なく流れ続ける。
ただ、胸が痛い。
わかってる。
もう終わりにしなくちゃ。
こんな関係、許されるわけがない。
だけど、今この時だけはすべて忘れて、私だけの勲でいて欲しい。
どうしようもないほど、勲が好きだ。
私、矛盾してる。
勲は『芙佳、好きだよ』と何度もくりかえしながら、私の唇に優しいキスをした。
何時間か前に應汰と重ねた唇に、何も知らない勲は何度も何度もその唇を重ねる。
そのたびに私の胸はザラザラとしたイヤな音をたてる。
これはきっと、勲と應汰に対する罪悪感。
そしてそこに自分自身に対する嫌悪感が混ざりあって、言葉ではとても言い表せないほどの不快感が込み上げる。
「……もうよしてよ。聞きたくない」
腕の中から逃れようと身をよじっても、勲の腕は強い力で私を捕らえて離さない。
「苦しいよ、離して」
「離さない。芙佳は誰にも渡さない」
どの口がその言葉を吐けるの?
私はあなたの物じゃない!!
今まで抑え込んできた気持ちが一気に押し寄せる。
「いい加減にしてよ!!私と付き合ってたくせに他の人と結婚したのはあなたでしょ?!」
「俺だって……好きで七海と結婚したんじゃない。本当は芙佳と……」
今更そんな言葉は聞きたくない。
私はありったけの力を振り絞って勲の体を押し返した。
「もういい、帰って!!二度と来ないで!!」
「……イヤだ」
勲は投げ出すように私をベッドに押し倒して覆い被さった。
私の体を動けないように押さえ込み、強引にシャツをたくしあげて肌に舌を這わせる。
「いや!やめて!!」
「俺が好きなのは芙佳だけだ。他の男になんか絶対に渡さない」
勲の手は乱暴に私の体をまさぐり、性急にその先を求める。
鎖骨の辺りや首筋に押しあてられた勲の唇は、痕が残るほど強い力で肌に吸い付いた。
「芙佳……好きだ……。どこへも行くな……」
「もうやだ……やめてよ……」
私がどんなに勲を好きでも手に入らないのに、勲は私を手放そうとしない。
私が求めても手に入るのは、欲情に駆られた勲の体だけだ。
それなのに私の体は熱に浮かされ、また勲を受け入れてしまう。
勲は焦りと苛立ちをぶつけるように、私の体を乱暴に貪り、強引に突き上げた。
こんなの愛でもなんでもない。
どんなに好きでも、どうにもならない。
何度となく秘密の逢瀬を重ねても、募るのは寂しさと虚しさばかり。
勲が私を好きだと言えば言うほど、私の心は虚しさに蝕まれて行く。
ベッドの上で激しく揺さぶられながら、あとからあとから涙が溢れた。
繋がっていられるのは体だけ。
私たちは互いを求めるほどに罪を重ねる。
何度果てても満たされない想いは、行く宛もなく宙をさまよっている。
「芙佳……ごめん……」
勲は泣きじゃくる私を抱きしめた。
こんな関係、望んでいない。
お互いの事だけを想って抱き合えたあの頃とは違う。
本当に私が好きなら、もうこの手から解放して欲しい。
こんなふうに優しく抱きしめられたら、私は愚かにも、まだ勲との未来はあるのではないかと勘違いしてしまう。
そんなものあるはずもないのに。
勲は困り果てた顔で、私を抱きしめながら優しく髪を撫でた。
「芙佳、ごめん……。もう泣かないで……」
勲の腕の中で涙はとどまる事なく流れ続ける。
ただ、胸が痛い。
わかってる。
もう終わりにしなくちゃ。
こんな関係、許されるわけがない。
だけど、今この時だけはすべて忘れて、私だけの勲でいて欲しい。
どうしようもないほど、勲が好きだ。
私、矛盾してる。
勲は『芙佳、好きだよ』と何度もくりかえしながら、私の唇に優しいキスをした。
何時間か前に應汰と重ねた唇に、何も知らない勲は何度も何度もその唇を重ねる。
そのたびに私の胸はザラザラとしたイヤな音をたてる。
これはきっと、勲と應汰に対する罪悪感。
そしてそこに自分自身に対する嫌悪感が混ざりあって、言葉ではとても言い表せないほどの不快感が込み上げる。
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