血に濡れた約束は廃墟に眠る

まちにゃ

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出会い

平穏

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薄暗い地下の朝。

まだ陽の光も届かない早朝、マチルダはゆっくりと目を覚ました。

肌寒さに身をすくめながら、すぐ隣にいる温もりに気づく。視線を横にずらすと、そこには静かに眠るレヴィアの顔。

(……信じらんないな)
誰かとこんなに近くで寝るなんて、自分には無縁のことだと思っていた。

しかも、無防備に。ナイフも握ってない。
――いや、熟睡はしてないから、何かあればすぐに動ける自信はあるけど。

マチルダはじっとレヴィアの顔を見つめた。
まつげは意外と長いし、鼻も高い。
(……観察癖、抜けないな)
殺し屋時代に叩き込まれた職業病。人間の特徴を一瞬で捉える癖が、無意識のうちに出てしまう。

そろそろ起きようと体を起こしかけた、その瞬間。

――ギュッ。

「ッ……」

レヴィアの腕が、自然な動作でマチルダの体を引き寄せた。
柔らかく、でも逃げられないようにしっかりと。
目の前にはレヴィアの胸。
温かくて、妙に落ち着く鼓動の音が耳に響く。

「……まだ寝てろ」

頭上から、少し眠たげな声。
マチルダは顔をしかめた。

「……ホントに刺されたいの?」

(ナイフがあったら、反射で刺してたかもしれない。危なかった)

「刺さなかっただろ」

「ナイフがあったら刺してた」

「そうかよ」

短いやり取り。
レヴィアはあいかわらずマチルダを離す気はないようだった。

「……ねぇ、レヴィアだって熟睡してないじゃん」

「俺はいいんだよ。お前と違って、成長期はとっくに終わってる大人だからな」

「……じゃあもう身長止まっちゃったの?」
無表情のまま、ぼそりとつぶやく。

レヴィアはぴくりと眉を動かす。

「……ぶっ飛ばされてぇか?」

「怖~い」
抑揚のない声で返すマチルダ。だが、その口元はかすかに緩んでいた。

こんな何でもない時間。
だけど、マチルダにとっては――生まれて初めて味わう“平穏”の感覚だった。
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