血に濡れた約束は廃墟に眠る

まちにゃ

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出会い

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レヴィアは無言のまま、布団の端を少し持ち上げた。
「来い」
低く、しかしどこか優しさを滲ませた声だった。

マチルダはその声に眉をひそめた。
「……?」

「俺がお前を寝かしつける。強制的に熟睡させる」

「……刺されたいの?」

「ちげぇよ。ナイフも今日は没収だ。ガキはガキらしく布団にくるまって寝ろ」

渋々立ち上がりながら、マチルダは小さくため息を吐いた。
「えー……分かった」

抵抗しても無駄だと分かっている。
マチルダはそっと枕元にナイフを置き、レヴィアの隣に静かに潜り込んだ。布団の端が柔らかくめくれて、温かい空気が身体を包む。

「目ぇ閉じろ」

「……見られてたら寝づらい」
閉じた瞼越しに、視線や気配を読み取る訓練は染みついている。眠ることすら、長年の戦闘の一部だった。

「視線を感じとるな。寝ることに集中しろ。しっかり睡眠しねぇと体壊すぞ」

「……別に平気だから気にしなくていいのに……」
マチルダは拗ねるように小声でブツブツ文句を言いながら、目を閉じた。

そのまま数分が過ぎた。

マチルダの呼吸は浅いままだった。
レヴィアは横目で彼女を確認する。目は閉じているが、眉間に力が入り、全身に無意識の緊張が走っている。

「……ったく」
心の中で小さく舌打ちした。

けれど、怒っていたわけじゃない。
――仕方ねぇよな。
長年、誰も信用せず、ただ殺すか殺されるかの中で生きてきたガキだ。布団に入ったからって、すぐ眠れるような状態じゃない。

レヴィアはそっと自分の呼吸を整える。
深く、ゆっくりとした息を繰り返し、マチルダの呼吸に同調するように整えていく。

そして心の中で、そっと誓った。

――明日も同じ布団に引きずり込んでやる。
お前が俺の隣でだけでも熟睡できるようにしてやる。
時間がかかってもいい。
少しずつでいい。
いつかきっと、このガキが“眠る”ってことを思い出せるようにしてやる。
この場所が、ちゃんと「安心できる場所」になるように。

レヴィアは薄く目を閉じ、マチルダの浅い呼吸の音を聞きながら、夜の静けさに身を預けた。
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