血に濡れた約束は廃墟に眠る

まちにゃ

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仲間

4人の夜

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就寝前・寝る位置を巡る攻防戦

布団を敷くと、即座に場所争いが始まった。

「兄貴の隣がいい! マチルダとも一緒がいい! ラナードは嫌だ!」
イリナが声高に主張する。

「はぁ!? 俺だってお前の隣は寝相悪そうで嫌だ! 蹴られるのはゴメンだ!」

「蹴られた方が悪いんだろ!?」

「うるさい! 勝手に寝てろ!!」

2人のやり取りに、マチルダは視線を宙にさまよわせながら、思った。

(……何でもいいから早く決めてくれないかなぁ……)

そのとき――

風呂場からレヴィアが戻ってきた。

まだ髪の先から滴が落ちるレヴィアが、タオルを肩に掛けたまま言い放つ。

「マチルダは俺の隣。お前らはそこら辺で勝手に寝ろ。……うるせぇ」

「ぐ……はーい……」
イリナは唇を尖らせながらも素直に従う。

「すみませんでした……」
ラナードも反省した風で毛布を引き寄せる。

マチルダは静かにレヴィアの隣に座って、くすりと笑った。

「……やっぱりレヴィアが一番こわいね」

「うるせぇ。寝る前くらい静かにしろ」

それでも――

レヴィアの隣にいるこの場所が、一番安心できる。
騒がしいけど、温かい初めての“家族の夜”は、こうしてふけていった。





夜、寝る時間

イリナとラナードは、信じられないくらいの音量で寝息を立てながら爆睡していた。

イリナは布団から片足が飛び出してるし、ラナードはゴロゴロ寝返りを打ってうるさい。

(こいつら……寝相もガキだな)

俺の隣ではマチルダが目を閉じていた。
が、わかってる。寝てねぇ。

「……寝れねぇのか」

「ん? うん。1週間くらい寝なくても平気だし……」

ぼそっと返ってきた声は、思ったよりも落ち着いていた。

(……ったく)

マチルダが殺し屋だった過去。
極限状態で1週間以上寝ずに動く訓練を受けていたことくらい、もう知ってる。

だが――

「……それでも、ちゃんと寝とけ。身体は正直だ。限界はいつか来る」

「大丈夫だよ、すぐ慣れる」

マチルダは静かに笑った。
けど、その笑顔の奥にある“何か”が、俺にはどうしても見逃せなかった。

本当は怖いんだろ。
本当は、誰かがそばにいることに、まだ戸惑ってる。

そう思った俺は、そっとマチルダを引き寄せた。

「……?」
驚いたように俺を見上げるその瞳に、ゆっくりと言った。

「こうすれば……俺しか見えねぇだろ」

マチルダの体が少し震えた。

すぐに、ほんの少しだけ照れたように笑って――

「ふふ、ありがとう」

小さく呟いたその声は、いつもより年相応だった。

マチルダの小さな手が、そっと俺の背中に回される。

力はない。
だけどその仕草は、信頼そのものだった。

(……守ってやるよ、お前が本当に“人間”として眠れるまで)

その夜、マチルダは――熟睡はできなかったにしても、微かに寝息を立てて、少しだけ眠れたようだった。

俺の腕の中で、やっと安心したような顔をして。
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