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彼女は世界に愛されていた
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8月。うだるような暑さが体を支配する中で僕は彼女に出会った。
*******
「何か用?」
額を濡らした汗を拭い、蓮は答える。
最高気温が更新されている為汗が滝のようだ。
担任の熱中症への注意を聞きながしながら蓮は、
帰ってアイスを食べようとずいぶん前からから決めていた。放課後の教室では生徒がぽつぽつと残り、雑談を繰り広げている。
昨日のテレビ、誰々が好きだとか会話は非常に富んでる。
雑談する気もいので足早に教室から立ち去ろうとしていた。
今思えばあの時彼女に声をかけられる前に立ち去ってしまえば良かった。
彼女との関わりが蓮の人生を大きく狂わすことなど知りもしなかった。
彼女に声をかけられたのは教室から出るまであと数歩という時だった。
*******
少しムッとしたが流石に高校生にもなって少々の事では苛立ちを覚えない。
何せ、彼女はクラスの中心的人物で、彼女と何か起こしたら面倒だ。
それでも早く帰りたい。急用があるからとその場を立ち去ってしまおうか。
だが、余計な嘘をつくことは危険だ。
嘘は人を滅ぼしうる。
いろいろ考えたあげく何の用か問いただすと事にした。
すると彼女は笑った。
その笑顔に不信感を覚えた。
その笑顔はいつも通りのクラスの中心にいる彼女だった。
だが理由が解らないが何かが違う。
そう感じた。
まるで諦めたような苦笑に近い笑顔だった。
そして彼女はゆっくりと口を開き「それ」を口にした。
「ねぇ、蓮君って能力持ちだよね。」
時が止まった。小説のような表現が何故かしっくりくる。
思考が暴力的に停止し、次の瞬間にはどこで知られたのか。そんな考えが頭の中を回り出した。
しかしそんな事を考えたのは一瞬だった。
「だったらなんだ。」
帰らせない事もあったが能力持ちが知られたということが自身の声を驚くほど冷たくした。
小さい声だが彼女にはしっかり届いているだろう。
蓮は能力持ちだと言うことは誰にも教えていない。それどころか僕自身能力持ちだということは徹底的に知られないようにしていた。
ぽろっと言ってしまわないように近所の人とも関わり合いを持たなかったし、極力人には喋らないようにしていた。
しかし、能力持ちの人間は自然とどれだけ隠してもバレてしまうらしい。
その証拠に能力持ちの噂は途絶えない。
能力持ちの人間は警察からの監視がついているという理由もある。
しかし彼女は、僕の声が聞こえていないように話を続けた。
「私能力持ちに興味があるの。だからさ蓮君の能力教えてよ。」
まるで友達のメールアドレスを聞くようなノリで彼女は聞いてくる。
「簡単に教えるわけ無いだろ」
「良いじゃん。減るわけでもないし。」
話が平行線だ。
「悪いけど、今日は予定があるんだ。今度にしてくれ。」
「予定ってどんな予定?私もついて行って良い?」
「それは辞めた方が良い。」
「どうして?」
「僕がお墓にでも行ったら君は後悔する。」
他人のプライバシーに土足で入ることは怖い。
それがもし、命に関わる物だったらなおさらだ。
知ることは暴力的だ。
もちろん知って良いこともあるがそれ以上に世界は知らないことが良い物がたくさんある。
「ふーん、そこまで教えたくないんだ。」
すると彼女は蓮の顔をジッと見た。
彼女は蓮の顔を見て何かを感じたのか大げさに肩をすぼめ、ため息をついた。
普通の人間がやれば胡散臭い仕草だが彼女にはその仕草がとても似合うと感じた。
「今日は諦めるよ。」
そう言い彼女は友達の輪に帰って行った。
*******
「何か用?」
額を濡らした汗を拭い、蓮は答える。
最高気温が更新されている為汗が滝のようだ。
担任の熱中症への注意を聞きながしながら蓮は、
帰ってアイスを食べようとずいぶん前からから決めていた。放課後の教室では生徒がぽつぽつと残り、雑談を繰り広げている。
昨日のテレビ、誰々が好きだとか会話は非常に富んでる。
雑談する気もいので足早に教室から立ち去ろうとしていた。
今思えばあの時彼女に声をかけられる前に立ち去ってしまえば良かった。
彼女との関わりが蓮の人生を大きく狂わすことなど知りもしなかった。
彼女に声をかけられたのは教室から出るまであと数歩という時だった。
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少しムッとしたが流石に高校生にもなって少々の事では苛立ちを覚えない。
何せ、彼女はクラスの中心的人物で、彼女と何か起こしたら面倒だ。
それでも早く帰りたい。急用があるからとその場を立ち去ってしまおうか。
だが、余計な嘘をつくことは危険だ。
嘘は人を滅ぼしうる。
いろいろ考えたあげく何の用か問いただすと事にした。
すると彼女は笑った。
その笑顔に不信感を覚えた。
その笑顔はいつも通りのクラスの中心にいる彼女だった。
だが理由が解らないが何かが違う。
そう感じた。
まるで諦めたような苦笑に近い笑顔だった。
そして彼女はゆっくりと口を開き「それ」を口にした。
「ねぇ、蓮君って能力持ちだよね。」
時が止まった。小説のような表現が何故かしっくりくる。
思考が暴力的に停止し、次の瞬間にはどこで知られたのか。そんな考えが頭の中を回り出した。
しかしそんな事を考えたのは一瞬だった。
「だったらなんだ。」
帰らせない事もあったが能力持ちが知られたということが自身の声を驚くほど冷たくした。
小さい声だが彼女にはしっかり届いているだろう。
蓮は能力持ちだと言うことは誰にも教えていない。それどころか僕自身能力持ちだということは徹底的に知られないようにしていた。
ぽろっと言ってしまわないように近所の人とも関わり合いを持たなかったし、極力人には喋らないようにしていた。
しかし、能力持ちの人間は自然とどれだけ隠してもバレてしまうらしい。
その証拠に能力持ちの噂は途絶えない。
能力持ちの人間は警察からの監視がついているという理由もある。
しかし彼女は、僕の声が聞こえていないように話を続けた。
「私能力持ちに興味があるの。だからさ蓮君の能力教えてよ。」
まるで友達のメールアドレスを聞くようなノリで彼女は聞いてくる。
「簡単に教えるわけ無いだろ」
「良いじゃん。減るわけでもないし。」
話が平行線だ。
「悪いけど、今日は予定があるんだ。今度にしてくれ。」
「予定ってどんな予定?私もついて行って良い?」
「それは辞めた方が良い。」
「どうして?」
「僕がお墓にでも行ったら君は後悔する。」
他人のプライバシーに土足で入ることは怖い。
それがもし、命に関わる物だったらなおさらだ。
知ることは暴力的だ。
もちろん知って良いこともあるがそれ以上に世界は知らないことが良い物がたくさんある。
「ふーん、そこまで教えたくないんだ。」
すると彼女は蓮の顔をジッと見た。
彼女は蓮の顔を見て何かを感じたのか大げさに肩をすぼめ、ため息をついた。
普通の人間がやれば胡散臭い仕草だが彼女にはその仕草がとても似合うと感じた。
「今日は諦めるよ。」
そう言い彼女は友達の輪に帰って行った。
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