【完結】アイドル俳優は裏の顔を暴かれたい〜愛に飢えた僕をミーハー社長が囲って溺愛するまで〜

大竹あやめ

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27 嬉しくても泣けるんだ★

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 ズン! と永井の楔が中に入ってくる。その勢いと圧迫感、衝撃に遥は呼吸もままならないほど喘ぎ、目尻から涙が零れた。

「……っ、ヨウ、痛くないか? 痛かったら言ってくれ……っ」

 苦しそうな永井の顔が間近にある。彼の呼吸から彼も限界なんだと知れた。遥は力が入らない腕を懸命に伸ばし、首にしがみつく。

「……ない、痛く、ない……っ!」
「すまない、苦しいよな……っ」

 こんな時でも遥を気遣う永井に、遥は嬉しくて声を上げて泣く。こんな風に扱われるのは初めてだと。

「それに、僕が抱いてって言ったんだから……っ」

 正直、後ろは解しきれておらず、キツいし苦しい。でも永井が欲しくて、急かしたのは遥だ。互いの間に空気も入らないほど合わさりたい。そう思って彼に抱きつく。

「できるだけ、ゆっくり動くから、……な?」

 そう言って、永井は動き出した。粘膜が擦れる感覚にゾクゾクし、熱く甘い吐息を永井の耳に吹き込む。

「ああ……、はぁ……っ」
「ヨウ……ヨウ、好きだ。私が、きみのものだと、しるしをもっと付けてくれ……っ」

 永井の言葉と同時に、彼は遥を激しく揺さぶった。一体どこにそんな激しい感情が隠れていたのか。遥は思わず近くにあった永井の細い肩口に噛みつき、嗚咽と喘ぎ声を堪えた。

「んん! んんんんー!! ──ああ!」

 けれど、それもすぐに離してしまう。遥は覚えのある感覚が迫ってきたことに気付き、永井の広い背中に爪を立てた。

 くる。大きくて強い波が。

「ああ……っ! 和博さ……! いく、いっちゃう……!」
「……っ、ヨウ……っ!」

 遥が細い悲鳴を上げて達したのと、永井が唸り声を上げて達したのはほぼ同時だった。二人ともしばらく息を詰めて射精の快感を味わい、それが過ぎたあとは声を上げて呼吸する。

「はぁっ、和博さ……、んん……!」

 そして落ち着く間もなくキスをされた。ちゅくちゅくと舌が絡み、唾液が混ざり、吐息も混ざってまた、意識が落ちていく。

「和博さん、好き……。僕を一番に愛して……!」
「ああ。ヨウは私の一番だ。ずっと……これからも」

 眼鏡をしていない永井の顔が、また近付いた。そして、中に入っていた彼が再び動き出す。遥はまた深い快楽の海に沈み、汗と涙でぐちゃぐちゃの顔を歪ませた。

 やっと手に入れた自分を一番に愛してくれるひと。このひとがそばにいてくれるなら、弱くて空っぽな素の自分も好きになれるかもしれない。

「和博さん……っ、僕を好きになってくれてありがとう……!」


 二人はそれから日付けが変わる頃まで激しく、甘くまぐわい、遥は十数年ぶりにぐっすり眠った。

◇◇

 陽射しが目に入って目が覚める。春の陽気らしい光は柔らかく、遥はむくりと起き上がった。

「あれ……いま何時……?」

 時間を忘れて眠るなんていつぶりだろう? 視線を巡らせると、部屋の時計は午前九時を指していた。

 今日が珍しく一日オフというのもある。眠って満足したのは本当に久しぶりだ。遥は伸びをすると、自分が裸でいることに気付く。

 色んなところにある鬱血痕。足の付け根の際どいところにもあり、まさか服で隠れないようなところにもないよな、とあちこち身体を見てみる。すると、部屋のドアが開いた。

「おはよう、よく眠れたか?」
「うん……」

 永井はすでに普段着に着替えている。彼はベッドの端に座って頬にキスをくれた。

「誕生日、おめでとう」
「……え?」

 柔らかく目を細めてそう言われ、自分が今日誕生日だったことに気付く。いつもは仕事で、当然谷本に祝われるはずもなく過ぎていたので、直接祝われたのも記憶がある限り初めてだ。

 しかも、この誕生日前後のスケジュールを決めていたのは雅樹か菅野だ。どうりでここだけぽっかりと空いていると思った、と遥は永井に抱きつく。

「ありがと」
「出かけるぞ。……離れなさい甘えん坊さん」

 遥はぎゅうぎゅうと永井を抱きしめていると、クスクスと笑った永井が背中を撫でてくれた。その甘い仕草にキュンとし、もう一度ギュッと力を込める。

「ご飯は?」
「出先で食べる。ほら、着替えを手伝おうか?」

 何だかすっかり甘やかされてるなぁ、と遥は彼から離れた。記憶はないけれどシャワーは浴びていたらしく、永井が持ってきてくれた服に腕を通す。

「……あれ? これ昨日の……」

 昨日永井が買ってくれた服だった。カーディガンのボタンを留めた永井は嬉しそうにしている。

「誕生日プレゼント。お返しは昨晩盛大にもらったから、遠慮するな」

 そう言われて、かあっと顔が熱くなった。もしかして、初めからそういう流れにするつもりでデートに誘われたのだろうか、といたたまれなくなる。

 でもいいのだろうか? 同居させてもらっているのにも関わらず、世話まで焼かれて、その上誕生日プレゼントまでもらって。

 そんなことを考えていると、永井は苦笑した。何かおかしな反応をしたのだろうか。遥は彼を見る。

「『小井出遥』なら、嬉しい、とすぐに喜んでくれるのに、素だと戸惑っているのが、きみの環境の複雑さを思い知らされるよ」
「……ごめんなさい」
「いや、謝らなくていい。私がしたくてしてるから」

 全部、と微笑んだ永井は付け足した。

「本当は、閉じ込めてがんじがらめにして、私だけのヨウでいて欲しいけど……『遥』はみんなのものだからな」
「ちょ、それは……」

 真面目な顔をしてそれを言われると怖い、と遥は引く。彼の表情が乏しいのは表向きだけで、本当は激しい気性の持ち主なのかもしれない。

「さあ準備して出かけよう。このままだとまたきみを襲いたくなる」
「う……」

 そう言われて、昨晩遥の裸体を見た永井が、感動していたのを思い出す。

(本当に、僕のこと好きなんだな……)

 あんなに愛されることを望んでいたのに、昨晩の永井の様子に少し引いてしまった。

 それでも、生活丸ごと抱えてもいいと言ってくれるひとなら、信じてもいいのかもしれない。

「……どこに行くの?」
「木村さんの家。ヨウの誕生日パーティをするそうだ」

 遥は思わず笑った。それから、なぜか泣けてくる。

 みんな、僕を愛してくれている。それが嬉しくて。

「もう……みんな僕のこと好き過ぎでしょ」


 大丈夫。このひととなら……このひとたちとなら、負った傷も乗り越えられる。

 遥は腕を伸ばし、微笑んだ永井の顔を引き寄せキスをした。


《番外編へ続く》
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