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7 身代わりの存在 ★
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その日、祐輔の家に来た蓮香は、とてもしつこかった。
何度も何度も乳首でイカされ、何度も射精させられ、もう無理と言っても、蓮香は止めてくれなかったのだ。
蓮香はやはり、昼に会議室でしたように、縋るような、懇願するような声で、態度で祐輔を求めていた。
「どーして、俺なんだ……?」
ようやく蓮香の気が済んだところで、祐輔は今にも落ちそうな意識を捕まえながら聞く。こんなに激しく求められては、ただの脅しで付き合ってくれと言っている訳じゃないことは、さすがに分かる。認めよう。
ではなぜ、蓮香は祐輔と本気で付き合いたいのか。そこが分からない。
「祐輔さんは、俺の憧れだったんです」
狭いベッドに二人で横になって、蓮香は祐輔を抱きしめながら言う。髪の毛を優しく梳かれ、祐輔はその心地良さに意識が遠のきそうになった。
名前呼びは、家の中という限定された空間なら呼んでもいいことにした。そうでもしないと、また会社で迫られて、蓮香との関係がバレるリスクが高くなるからだ。
「新卒代表で、社員インタビューがホームページに載ってましたよね」
そういえばそんなことあったな、と祐輔は思う。新卒代表と言っても、その年の入社は五人で、そのうち三人はもう退職している。七年も前のことなのによく覚えているな、と半分微睡みながら言うと、支社では祐輔さんは有名でしたから、と言われて少し目が覚めた。
「は? 何で……?」
「筧部長が支社に来る度、祐輔さんの自慢ばかりしてましたよ」
「……」
開いた口が塞がらない。確かに筧は全支社の人事の統括もしているから、出張で支社を回ることもあった。
「だから、頑張って本社にいる祐輔さんと並べるように……それか、一緒に仕事ができるようになりたいって思ってたんです」
「そ、それは……どうも……」
顔が熱い。完璧人間を演じていただけで順調に昇進していたのは、筧が本当に自分を買っていてくれていたからだと思うと、ますますTANAKAとしてあんな動画をアップロードしているなんて、バレたくない。
「……ん? ちょっと待て。お前最初から俺がTANAKAだって言ってたよな?」
まさか本社に来る前から、祐輔イコールTANAKAだと分かっていたんだろうか、と蓮香を見ると、彼は目を細めて笑った。
「ああ、それは本当に偶然です。ホームページに写真は載っていなかったし、TANAKAさんが祐輔さんだと知って、俺も止まれなくて」
それは会社で再会した時に身を持って知った。けれど、祐輔は肝心な「どうやってTANAKAを知ったのか」が聞けなくて、眉根を寄せる。
初めて会った時、蓮香は祐輔の身体を見ただけでTANAKAだと言い切った。ということは、TANAKAの動画をよく見ていた、ということだろうか?
身バレしにくいように、あえてありふれた名前にしたのに、まさか言い当てられるなんて、とため息をつく。
「そこはもういい。俺は黙ってくれさえすればいいから。蓮香、お前もしかして、ゲイなのか?」
祐輔がそう言うと、蓮香は分かりやすく嬉しそうに上にのしかかってきた。彼の下半身の熱に気付いて、まだ勃つのかよ、と文句を言うと、目の前の男はもう、瞳に欲情を乗せて軽くキスをしてくる。
「祐輔さんからそんな質問してくれるなんて……俺に興味持ってくれました?」
「ねぇよ。仕事するにも、お前ばかり俺のこと知ってて、フェアじゃないと思ったからだ」
祐輔はそう言って、また近付いてきた蓮香の顔を手で退けようとした。けれどその手は大きな彼の手に取られ、ベッドに押さえつけられる。そして呼吸を奪われ、また胸を撫でられた。
「……っ、もう俺は出ないぞっ」
「でも、乳首でイケますもんね。大丈夫です」
「何、が大丈夫だっ。お前ももう四回出してるだろっ」
「そんなの、祐輔さん相手なら何回でも出せますよ……」
何だよそれ、という言葉は発せられず、再び唇を重ねられ胸の突起を弾かれた。くぐもった声を上げて腰をうねらせると、蓮香の硬く、熱いものが自分のと擦れる。
「祐輔さん、気持ちいい? 俺は祐輔さんの、心が欲しいんです……」
俺を好きになって、と呟く彼に、だからどうして、と祐輔はやってくる快感の波に飲まれながら思った。TANAKAを知ったきっかけも聞けていないし、ここは流されないできちんと聞きたい。
「……すか、蓮香っ、待て、話は終わってないっ」
しかし蓮香はもう祐輔の声が聞こえていないらしく、片手でピンク色の突起を指で弾き、もう片方を口に含んで舌で転がしていた。散々いじられて敏感になっていたそこは、呆気なく祐輔を絶頂へと向かわせる。
「──ンッ! あああっ!」
「……ほら、まだイケるじゃないですか」
そう言って、蓮香はまた祐輔の柔らかい雄を、彼のそれと一緒に扱き始めた。祐輔は一気に快楽へと引きずられ、無理だから、と首を左右に振ると、蓮香は祐輔の手を彼の肉棒に持っていく。
正直、蓮香が自分を触れと示してきたのは初めてで、祐輔は戸惑い手を引こうとした。けれど蓮香の手は逃げることを許さず、そのまま怒張を握らされてしまう。
「……っ」
蓮香のそこはもう、ガチガチに昂っていた。あんなにしたのにと思って彼を見ると、くっきりした二重の目が祐輔を見ていることに気付く。
「好きです、祐輔さん……」
そう言って蓮香は祐輔の手を離さないまま、熱く滾った怒張を扱き始めた。祐輔は男のブツを触ったのも初めてなうえ、自分の手で切なげに顔を歪める蓮香がなぜかかわいく見えて、大いに戸惑う。
「……ん」
少し息が上がった蓮香がキスをしてきた。少し肉厚な唇が優しく祐輔のそれを撫で、ゾクリと腰の奥が疼く。
(どうして……? 今まで何も思わなかったのに……)
目の前の男が、ふうふうと息を弾ませているのが自分のせいだと思うと、こちらまで切なくなった。それに、そんな蓮香を見ていて自分の中心も少し勃ち上がってしまい、さらにそれに気付いた蓮香に扱かれてしまう。
「……っ、蓮香、だからもう俺は……っ」
「好きです。もう俺はあなたを失いたくない……っ」
ぱた、と何かが頬に落ちた。目の前にある男の瞳から、涙が零れている。
どうして彼は泣いているのだろう? そして、それを見て祐輔は、抱き締めて慰めたくなるのだ。でもなぜ?
祐輔は空いた片手で蓮香の顔を引き寄せる。彼の唇に吸い付きながら、彼の中心をさらに追い詰めると、蓮香は泣きながら果てた。
「祐輔さん……っ」
蓮香が体重をかけて抱きついてきて、祐輔は拒否せず背中を撫でる。肩口に顔をうずめた蓮香は、鼻をすすり、小さく嗚咽を漏らしていた。
(もう俺を失いたくないって……俺は蓮香と会ったばかりだけど)
彼が不安定になっている理由と、今零した言葉が深く結びついているような気がして、祐輔はこっそりため息をつく。人に安易に言えないものを抱えていると察してしまえば、簡単に蓮香を追い払うことなんてできない、と思ってしまったのだ。
そして祐輔は思う。蓮香は、祐輔を誰かの代わりにしているのでは、と。
何度も何度も乳首でイカされ、何度も射精させられ、もう無理と言っても、蓮香は止めてくれなかったのだ。
蓮香はやはり、昼に会議室でしたように、縋るような、懇願するような声で、態度で祐輔を求めていた。
「どーして、俺なんだ……?」
ようやく蓮香の気が済んだところで、祐輔は今にも落ちそうな意識を捕まえながら聞く。こんなに激しく求められては、ただの脅しで付き合ってくれと言っている訳じゃないことは、さすがに分かる。認めよう。
ではなぜ、蓮香は祐輔と本気で付き合いたいのか。そこが分からない。
「祐輔さんは、俺の憧れだったんです」
狭いベッドに二人で横になって、蓮香は祐輔を抱きしめながら言う。髪の毛を優しく梳かれ、祐輔はその心地良さに意識が遠のきそうになった。
名前呼びは、家の中という限定された空間なら呼んでもいいことにした。そうでもしないと、また会社で迫られて、蓮香との関係がバレるリスクが高くなるからだ。
「新卒代表で、社員インタビューがホームページに載ってましたよね」
そういえばそんなことあったな、と祐輔は思う。新卒代表と言っても、その年の入社は五人で、そのうち三人はもう退職している。七年も前のことなのによく覚えているな、と半分微睡みながら言うと、支社では祐輔さんは有名でしたから、と言われて少し目が覚めた。
「は? 何で……?」
「筧部長が支社に来る度、祐輔さんの自慢ばかりしてましたよ」
「……」
開いた口が塞がらない。確かに筧は全支社の人事の統括もしているから、出張で支社を回ることもあった。
「だから、頑張って本社にいる祐輔さんと並べるように……それか、一緒に仕事ができるようになりたいって思ってたんです」
「そ、それは……どうも……」
顔が熱い。完璧人間を演じていただけで順調に昇進していたのは、筧が本当に自分を買っていてくれていたからだと思うと、ますますTANAKAとしてあんな動画をアップロードしているなんて、バレたくない。
「……ん? ちょっと待て。お前最初から俺がTANAKAだって言ってたよな?」
まさか本社に来る前から、祐輔イコールTANAKAだと分かっていたんだろうか、と蓮香を見ると、彼は目を細めて笑った。
「ああ、それは本当に偶然です。ホームページに写真は載っていなかったし、TANAKAさんが祐輔さんだと知って、俺も止まれなくて」
それは会社で再会した時に身を持って知った。けれど、祐輔は肝心な「どうやってTANAKAを知ったのか」が聞けなくて、眉根を寄せる。
初めて会った時、蓮香は祐輔の身体を見ただけでTANAKAだと言い切った。ということは、TANAKAの動画をよく見ていた、ということだろうか?
身バレしにくいように、あえてありふれた名前にしたのに、まさか言い当てられるなんて、とため息をつく。
「そこはもういい。俺は黙ってくれさえすればいいから。蓮香、お前もしかして、ゲイなのか?」
祐輔がそう言うと、蓮香は分かりやすく嬉しそうに上にのしかかってきた。彼の下半身の熱に気付いて、まだ勃つのかよ、と文句を言うと、目の前の男はもう、瞳に欲情を乗せて軽くキスをしてくる。
「祐輔さんからそんな質問してくれるなんて……俺に興味持ってくれました?」
「ねぇよ。仕事するにも、お前ばかり俺のこと知ってて、フェアじゃないと思ったからだ」
祐輔はそう言って、また近付いてきた蓮香の顔を手で退けようとした。けれどその手は大きな彼の手に取られ、ベッドに押さえつけられる。そして呼吸を奪われ、また胸を撫でられた。
「……っ、もう俺は出ないぞっ」
「でも、乳首でイケますもんね。大丈夫です」
「何、が大丈夫だっ。お前ももう四回出してるだろっ」
「そんなの、祐輔さん相手なら何回でも出せますよ……」
何だよそれ、という言葉は発せられず、再び唇を重ねられ胸の突起を弾かれた。くぐもった声を上げて腰をうねらせると、蓮香の硬く、熱いものが自分のと擦れる。
「祐輔さん、気持ちいい? 俺は祐輔さんの、心が欲しいんです……」
俺を好きになって、と呟く彼に、だからどうして、と祐輔はやってくる快感の波に飲まれながら思った。TANAKAを知ったきっかけも聞けていないし、ここは流されないできちんと聞きたい。
「……すか、蓮香っ、待て、話は終わってないっ」
しかし蓮香はもう祐輔の声が聞こえていないらしく、片手でピンク色の突起を指で弾き、もう片方を口に含んで舌で転がしていた。散々いじられて敏感になっていたそこは、呆気なく祐輔を絶頂へと向かわせる。
「──ンッ! あああっ!」
「……ほら、まだイケるじゃないですか」
そう言って、蓮香はまた祐輔の柔らかい雄を、彼のそれと一緒に扱き始めた。祐輔は一気に快楽へと引きずられ、無理だから、と首を左右に振ると、蓮香は祐輔の手を彼の肉棒に持っていく。
正直、蓮香が自分を触れと示してきたのは初めてで、祐輔は戸惑い手を引こうとした。けれど蓮香の手は逃げることを許さず、そのまま怒張を握らされてしまう。
「……っ」
蓮香のそこはもう、ガチガチに昂っていた。あんなにしたのにと思って彼を見ると、くっきりした二重の目が祐輔を見ていることに気付く。
「好きです、祐輔さん……」
そう言って蓮香は祐輔の手を離さないまま、熱く滾った怒張を扱き始めた。祐輔は男のブツを触ったのも初めてなうえ、自分の手で切なげに顔を歪める蓮香がなぜかかわいく見えて、大いに戸惑う。
「……ん」
少し息が上がった蓮香がキスをしてきた。少し肉厚な唇が優しく祐輔のそれを撫で、ゾクリと腰の奥が疼く。
(どうして……? 今まで何も思わなかったのに……)
目の前の男が、ふうふうと息を弾ませているのが自分のせいだと思うと、こちらまで切なくなった。それに、そんな蓮香を見ていて自分の中心も少し勃ち上がってしまい、さらにそれに気付いた蓮香に扱かれてしまう。
「……っ、蓮香、だからもう俺は……っ」
「好きです。もう俺はあなたを失いたくない……っ」
ぱた、と何かが頬に落ちた。目の前にある男の瞳から、涙が零れている。
どうして彼は泣いているのだろう? そして、それを見て祐輔は、抱き締めて慰めたくなるのだ。でもなぜ?
祐輔は空いた片手で蓮香の顔を引き寄せる。彼の唇に吸い付きながら、彼の中心をさらに追い詰めると、蓮香は泣きながら果てた。
「祐輔さん……っ」
蓮香が体重をかけて抱きついてきて、祐輔は拒否せず背中を撫でる。肩口に顔をうずめた蓮香は、鼻をすすり、小さく嗚咽を漏らしていた。
(もう俺を失いたくないって……俺は蓮香と会ったばかりだけど)
彼が不安定になっている理由と、今零した言葉が深く結びついているような気がして、祐輔はこっそりため息をつく。人に安易に言えないものを抱えていると察してしまえば、簡単に蓮香を追い払うことなんてできない、と思ってしまったのだ。
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