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第10話 選択領域
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新たな魔法を手に入れようと、草原から違うエリアにやってきた。
廃墟。
ここには、炎や水など属性を操ることが得意な魔物が巣食っている。
木箱に隠れた火の玉の魔物――キャンドラ。
僕が今日、狙っている魔物だ。
いつものように、【強化の矢】と【腕力強化《小》】を組み合わた魔法進化で倒そうとしたのだが、放った矢にオーラは纏われていなかった。
それどころか普通の矢。
魔法が発動すらしていない。
「どういうことだ?」
キャンドラが木箱から飛び出して火の玉を吐き出す。
プププ。
三連続で吐き出された拳大の火球を、廃墟の影に隠れてやり過ごす。
「魔法が発動しないんだけど、どういうこと?」
廃墟となった建築物の屋上で日光を浴びてロウは微睡んでいた。どうせ寝てるだけなら、付いてこなくてもいいのにと思ってたけど、きっと、こういう時のために一緒に居てくれるんだろうなぁ。
偉そうだけど優しいのだ。
パチリと目を開けると地上に飛び降りた。
「そりゃ、単純にどっちかの魔法が手札に来てなかっただけだ」
「手札?」
「ああ。やっぱ魔法のストックが増えてきたのは良いけど、【選択領域】を使えないと厳しいか」
「選択領域?」
またも、知らない言葉が湧いてきた。
魔法と僕たちは使っていたけど、知っていたのはほんの一角にしか過ぎなかったんだな。
「しょうがない。今回は俺が開いてやる!! お前は好きに選んで見せろ!!」
「へ? 開くってなに、どういうこと?」
どんどん話を進めていく。
ロウがワオォーンと吠えると、周囲の景色か一段階暗くなった。それだけじゃなく、魔物の動きも止まっていた。
「これが選択領域……?」
相手が停止しているなら、攻撃するチャンスだ。弓で攻撃しようとするが、手が動かない。まさか、僕の動きも止まってしまうのか?
「そういうこと。この領域は魔法を選択することしか許されない、最も平等な空間なんだよ」
「なんだよ、それ……。なんでそんな空間が魔法に?」
「さあな。そればっかりは分からねぇ。だが、お前の目の前に6枚の魔法《カード》が表示されてるはずだぜ?」
落ち着きを取り戻した僕の前に、六枚の札が浮かび上がってきた。それは、これまで戦闘の最中に、相手の頭上に浮かんでいた魔法と同じモノだった。
横に二列、縦に三列並んでいた。
□□
□□
□□
「良いか? この領域で選べる魔法は三パターン。縦、横、同じ魔法だ。今度こそ魔法進化が並んでいるから、使ってみろ」
「うん」
僕は縦に並んだ三つの内、【強化の矢】【腕力強化《小》】を選ぶ。すると、選んだ魔法《カード》の色が暗転した。
■□
■□
□□
選択を終えると闇の幕が上がったかのように視界がクリアになった。
動き出した魔物の火球を躱し、【強化の矢】と【腕力強化《小》】を発動する。
ドカァン。
強化された矢は木箱を貫き、魔物を倒した。
「はぁ……。はぁ……」
「と、まあ、これが【選択領域】だ。ここに入るにはある条件が必要だからな。大抵の奴はここまでが成長限界だ」
「ちょっと、ちょっと待って。でも、今まで僕は普通に魔法使えてたじゃないか」
「そりゃ、枚数が少なかったから、手札に使いたい魔法が入ってただけだ」
僕が最初に持っていた魔法は【強化の矢】が二つだけ。だから、無意識で選択していたらしい。確かに、6つ以上、魔法を持っている人は見たことないから、誰も知らないかったのかも……。
「って、ちょっと待てよ。てことは、僕はこれから自分がどの魔法を使えるか分からない状態で集めて行かなきゃいけないの?」
「まあ、そうなるな」
「そんなの難しいじゃないか!」
「だから、俺が言っただろう! 普通の奴はここが成長限界だって」
急に使いたい魔法が扱えないタイミングがやってくる。
考えただけでもぞっとする。
「だが、お前は余計な心配するな。俺が付いてるからな。必要なタイミングで【選択領域】を開いてやる」
「本当!?」
「ああ。そのために一緒にいるようなもんだ。それより、新しい魔法、手に入ったんじゃないのか?」
「う、うん」
ステータス画面を開く。
□■□■□■□■□■□■□■□■
【強化の矢】×3
【泡弾《フォーム・ショット》】×4
【腕力強化《小》】×3
【腕力強化《中》】
【三連火弾《トリプルファイア》】
□■□■□■□■□■□■□■□■
全部の魔法合わせて12枚。
なるほど。
半数は【選択領域】で選べる手札からあぶれてしまうことになる。
「……もう一回位なら魔物を倒せんだろ。一刻も早く魔法を集めるために頑張るぞぉ!!」
「う、うん……」
僕は他の魔物を倒すべく探し始めた。
すると、また同じモンスターが廃墟を徘徊していた。頭の上には四角いカードが三枚浮かんでいる。
魔法はカードという概念をロウから聞いてから、僕の持っていた力――【手札看破】で気付いたことがある。
最初は枚数しか分からないのだが、最後の一枚になると浮かぶ札に模様が浮かび上がるのだ。僕が【選択領域】で魔法を選ぶ時と同じように。
「だから、どのマークがどの魔法かも覚えておいた方がいいよね」
そこだけは、これまでと変わらないか。
やることが沢山あって大変だ。
だけど、バニス達のパーティーに所属してた時よりも毎日が楽しいかも。【占星の騎士団】という肩書は、彼らの言う通り僕には重かったんだな。
彼らは今頃、どうしてるだろう? 【手札看破】がないから、普通の魔物に苦戦していたりして。
「なんて……それはないか」
人よりも自分だ。
僕はキャンドラに意識を戻す。すると頭上に浮かんでいた魔法が「ひゅん」と消える。
三連火球《トリプルファイア》は、数が多く厄介だけど攻撃は直線的。発動のタイミングが分かれば躱すのは容易い。
軌道上からいち早く抜け出し、火球が脇をすり抜けると同時に矢を放つ。魔法進化で強化された矢は、一撃でキャンドラを倒した。
「やった! 三連火球《トリプルファイア》、二枚目ゲット!!」
努力しても成長が見られなかった今までと違い、僕が今やってることは魔法の枚数が目に見えて分かる。
それが何よりも嬉しくて楽しい。
楽しく強くなれるってなんて――最高だ。
□■□■□■□■□■□■□■□■
【強化の矢】×3
【泡弾《フォーム・ショット》】×4
【腕力強化《小》】×3
【腕力強化《中》】
【三連火弾《トリプルファイア》】×2
□■□■□■□■□■□■□■□■
廃墟。
ここには、炎や水など属性を操ることが得意な魔物が巣食っている。
木箱に隠れた火の玉の魔物――キャンドラ。
僕が今日、狙っている魔物だ。
いつものように、【強化の矢】と【腕力強化《小》】を組み合わた魔法進化で倒そうとしたのだが、放った矢にオーラは纏われていなかった。
それどころか普通の矢。
魔法が発動すらしていない。
「どういうことだ?」
キャンドラが木箱から飛び出して火の玉を吐き出す。
プププ。
三連続で吐き出された拳大の火球を、廃墟の影に隠れてやり過ごす。
「魔法が発動しないんだけど、どういうこと?」
廃墟となった建築物の屋上で日光を浴びてロウは微睡んでいた。どうせ寝てるだけなら、付いてこなくてもいいのにと思ってたけど、きっと、こういう時のために一緒に居てくれるんだろうなぁ。
偉そうだけど優しいのだ。
パチリと目を開けると地上に飛び降りた。
「そりゃ、単純にどっちかの魔法が手札に来てなかっただけだ」
「手札?」
「ああ。やっぱ魔法のストックが増えてきたのは良いけど、【選択領域】を使えないと厳しいか」
「選択領域?」
またも、知らない言葉が湧いてきた。
魔法と僕たちは使っていたけど、知っていたのはほんの一角にしか過ぎなかったんだな。
「しょうがない。今回は俺が開いてやる!! お前は好きに選んで見せろ!!」
「へ? 開くってなに、どういうこと?」
どんどん話を進めていく。
ロウがワオォーンと吠えると、周囲の景色か一段階暗くなった。それだけじゃなく、魔物の動きも止まっていた。
「これが選択領域……?」
相手が停止しているなら、攻撃するチャンスだ。弓で攻撃しようとするが、手が動かない。まさか、僕の動きも止まってしまうのか?
「そういうこと。この領域は魔法を選択することしか許されない、最も平等な空間なんだよ」
「なんだよ、それ……。なんでそんな空間が魔法に?」
「さあな。そればっかりは分からねぇ。だが、お前の目の前に6枚の魔法《カード》が表示されてるはずだぜ?」
落ち着きを取り戻した僕の前に、六枚の札が浮かび上がってきた。それは、これまで戦闘の最中に、相手の頭上に浮かんでいた魔法と同じモノだった。
横に二列、縦に三列並んでいた。
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「良いか? この領域で選べる魔法は三パターン。縦、横、同じ魔法だ。今度こそ魔法進化が並んでいるから、使ってみろ」
「うん」
僕は縦に並んだ三つの内、【強化の矢】【腕力強化《小》】を選ぶ。すると、選んだ魔法《カード》の色が暗転した。
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選択を終えると闇の幕が上がったかのように視界がクリアになった。
動き出した魔物の火球を躱し、【強化の矢】と【腕力強化《小》】を発動する。
ドカァン。
強化された矢は木箱を貫き、魔物を倒した。
「はぁ……。はぁ……」
「と、まあ、これが【選択領域】だ。ここに入るにはある条件が必要だからな。大抵の奴はここまでが成長限界だ」
「ちょっと、ちょっと待って。でも、今まで僕は普通に魔法使えてたじゃないか」
「そりゃ、枚数が少なかったから、手札に使いたい魔法が入ってただけだ」
僕が最初に持っていた魔法は【強化の矢】が二つだけ。だから、無意識で選択していたらしい。確かに、6つ以上、魔法を持っている人は見たことないから、誰も知らないかったのかも……。
「って、ちょっと待てよ。てことは、僕はこれから自分がどの魔法を使えるか分からない状態で集めて行かなきゃいけないの?」
「まあ、そうなるな」
「そんなの難しいじゃないか!」
「だから、俺が言っただろう! 普通の奴はここが成長限界だって」
急に使いたい魔法が扱えないタイミングがやってくる。
考えただけでもぞっとする。
「だが、お前は余計な心配するな。俺が付いてるからな。必要なタイミングで【選択領域】を開いてやる」
「本当!?」
「ああ。そのために一緒にいるようなもんだ。それより、新しい魔法、手に入ったんじゃないのか?」
「う、うん」
ステータス画面を開く。
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【強化の矢】×3
【泡弾《フォーム・ショット》】×4
【腕力強化《小》】×3
【腕力強化《中》】
【三連火弾《トリプルファイア》】
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全部の魔法合わせて12枚。
なるほど。
半数は【選択領域】で選べる手札からあぶれてしまうことになる。
「……もう一回位なら魔物を倒せんだろ。一刻も早く魔法を集めるために頑張るぞぉ!!」
「う、うん……」
僕は他の魔物を倒すべく探し始めた。
すると、また同じモンスターが廃墟を徘徊していた。頭の上には四角いカードが三枚浮かんでいる。
魔法はカードという概念をロウから聞いてから、僕の持っていた力――【手札看破】で気付いたことがある。
最初は枚数しか分からないのだが、最後の一枚になると浮かぶ札に模様が浮かび上がるのだ。僕が【選択領域】で魔法を選ぶ時と同じように。
「だから、どのマークがどの魔法かも覚えておいた方がいいよね」
そこだけは、これまでと変わらないか。
やることが沢山あって大変だ。
だけど、バニス達のパーティーに所属してた時よりも毎日が楽しいかも。【占星の騎士団】という肩書は、彼らの言う通り僕には重かったんだな。
彼らは今頃、どうしてるだろう? 【手札看破】がないから、普通の魔物に苦戦していたりして。
「なんて……それはないか」
人よりも自分だ。
僕はキャンドラに意識を戻す。すると頭上に浮かんでいた魔法が「ひゅん」と消える。
三連火球《トリプルファイア》は、数が多く厄介だけど攻撃は直線的。発動のタイミングが分かれば躱すのは容易い。
軌道上からいち早く抜け出し、火球が脇をすり抜けると同時に矢を放つ。魔法進化で強化された矢は、一撃でキャンドラを倒した。
「やった! 三連火球《トリプルファイア》、二枚目ゲット!!」
努力しても成長が見られなかった今までと違い、僕が今やってることは魔法の枚数が目に見えて分かる。
それが何よりも嬉しくて楽しい。
楽しく強くなれるってなんて――最高だ。
□■□■□■□■□■□■□■□■
【強化の矢】×3
【泡弾《フォーム・ショット》】×4
【腕力強化《小》】×3
【腕力強化《中》】
【三連火弾《トリプルファイア》】×2
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