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第9話 最終テスト 【追放Side】
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王に迎えられた俺達は城の中に入る。
案内されたのは大広間。そこには剣を腰に携えた一人の男が立っていた。
「事前に通達していたが、最終テストを行う」
玉座の脇。
大臣が咳払いと共に話始めた。
最終テストがあるということは、選ばれた時から聞いていた。
前回の【選抜騎士】の一人と戦うこと。
「はぁ」
テストの内容に思わずため息が出てしまう。
「テストって言われてもなぁ。前回、【選抜騎士】として他国と戦い、無様にも最下位になった男だろ? そんな奴に試されるのはなぁ、やる気が起きねぇな」
「貴様ぁ!!」
負け犬が今にも魔法を放とうとする。余裕がないのは自分が弱いって認めてる証拠。そりゃ、他国に負けるのも納得だ。
「やめんか。悔しかったら倒せば良かろう」
大臣が杖を突き出して窘める。
この大臣《おっさん》は中々、分かってるじゃんか。
「倒せばよかろう。ねぇ」
この大臣《おっさん》も残酷なことを平気で言えるものだ。
前回大会最下位のパーティーでありながら、しかも今は一人。
パーティー全員が揃ってる俺達に勝てる訳がない。
最終テストとは言っているが、実際は、王の前で力をアピールすることが目的って感じかな?
だったら、もっと盛り上げてやらないと。
最強で天才で優しい俺だから提案できる条件だ。
「良かったら、俺一人で戦いましょうか?」
ベェと雑魚騎士に舌を突き出す。
お前の時はこんな提案ができたか?
無理だろうなぁ?
余裕がないおサルさんだからな。
ほら、怒りのあまりに猿のお尻みたいに顔が赤くなってやがる。こいつのことは今から猿騎士とでも呼ぼうかな。
今まで無表情だった王の目が笑う。
「面白い、やってみろ」
「はっ!」
じゃあ、サクっと倒しちゃいますか。
剣を抜き、構えようとしたところで「ちょっと待ってください」と、アディが割って入った。
「相手は前回の【選抜騎士】だ。それに、これは決闘じゃなくテストだぞ? パーティーとして強さを見せるためのな」
「……」
ちっ。
新入りの分際で俺に意見してんじゃねぇよ。
リーダーに立てつく姿を王に見せるだなんて、何考えてんだこの女は……。いつもはいい女だと思ってるが、今に限ってはうざったい。
「どけ」
アディを引き離して構える。
俺の使える魔法の数、種類はお前達とは違うんだ。
□■□■□■□■□■□■□■□■
【斬撃《スラッシュ》】
【火弾《ファイアボール》】
【斬伸撃】
【兜割り】
【治癒《小》】
□■□■□■□■□■□■□■□■
普通の奴らは魔法は使えて一個か二個。
だが、俺は5つも使える。
【斬撃《スラッシュ》に至っては二回も使用可能だ。
剣士として斬撃系が中心だが、治癒も使えるのは世界広しと云えど俺だけだろうなぁ。
扱える魔法だけでレベルが違うのに、それに加えてこの剣。火龍が守っていた剣は熱を帯び炎を纏う。魔法なくとも発火する最強の武器だ。
最強の魔法と武器が揃っているんだ。どう考えても俺が負ける要素が見当たらない。
「うおおおお!」
先手必勝!
俺は猿騎士の頭を砕こうと【兜割り】を発動する。頭上から勢いよく振り下ろす斬撃の威力を強化する魔法。
これは例え鎧があろうと砕いて刃が肉体に届く。猿騎士は大怪我をするだろうが、テスト中の不幸な事故。
仕方のないことだ。
ビシャっ。
赤い血が舞う。
やれやれ。
ざまぁないぜ……。
「て、ギャアアアア!」
切られていたのは俺の腹部だった。
猿騎士が驚いたように目を丸くしていた。まさか、あっさりと斬撃が決まると思ってなかったような面持ちだ。
なんだよ、その顔は――ムカツク。
ムカツクけど……、
「うおおおおおぉ、イテェよぉ……。血が止まらねぇよ~。治癒《小》でも治んねぇよぉぉぉぉ」
治癒《小》で回復したのが駄目だった。結果的に意識を繋ぎとめる役割をしてしまっていた。あまりの痛みにゴロゴロと床を這う。
くそ。
相手の魔法のタイミングが全く分からなかった。俺だって色んな魔物と戦い経験を積んできてるのに。
それに……。
本当に、仲間たちは見てるだけしかしないのかよ。タイミングくらい教えてくれてもいいじゃんかよぉ。
早く治癒してくれてもいいじゃんかよぉ。
「みっともない。早く片付けろ」
王が猿騎士に指示を出す。
片付けろってどういうことだ?
猿騎士が、ニヤリと笑い剣を振り上げる。まさか、俺を殺す気なのか?
逃げなきゃ。
でも、痛くて動けない。
嘘だろ?
俺はこんなところで死ぬのか? ようやく【選抜騎士】になったというのに……。嫌だ、死にたくない。
怖い、怖いよぉ。
「おい、漏らすなよ。片付ける手間が増えるじゃないか」
ああ、暖かい。
血と尿に塗れた俺は胎児に戻った気持ちになる。
「ママ、ママァ!!」
振り上げた剣が首をはねようとした時、
「お待ちください。今一度、私たちにチャンスを頂けないでしょうか?」
猿騎士の前にアディが膝を付いた。
「テストはパーティーで前回騎士様を倒すことが内容だったはずです。正式なテストを受けさせてください」
「ふざけるな! そいつが俺をコケにして一人で良いと言ったんだ。大体、俺に負ける奴が【選抜騎士】を名乗るなんてふざけが過ぎるぞ!」
猿騎士が吠える。
アディを手助けするようにオストラも膝を付いた。俺が握っていた剣を拾い上げて高々と掲げる。
「実は私たちは王に手ぶらで会うのは申し訳ないと、火龍の巣に寄った次第であります。そこで、バニスは怪我を負っていたのです。ただ、どうしてもこの剣の効果を王に見せたいと」
オストラは何を言ってるんだ?
それは俺の剣だ。
王にだって渡すつもりはない。何とか、火龍を倒した証じゃないか。
「……一週間、時間をやる。今度は万全な状態で挑んで見せろ」
猿騎士は王の意を組んでか不服そうな表情で剣を収めた。
くそ。
なんだ、その目は。
俺を馬鹿にしやがって。
ママに言いつけるぞ!!
「お前なんか、お前なんかぁ!!」
アディとプリスが二人で怪我の治癒を始める。
こんなはずじゃなかった。
泣いて詫びてるのは前回大会で結果を残せなかった猿騎士の筈だった。
なのに、なんで俺が血を流して倒れてる?
俺はどこで間違えた?
お荷物を追放したところまでは上手く言っていたのに――。
「そうか! お前か? お前が疫病神なんだな!」
アディが入ってからおかしくなったんだ。
こんな女、さっさと遊んで捨てれば良かった。
後悔の叫びが広間に響いた。
案内されたのは大広間。そこには剣を腰に携えた一人の男が立っていた。
「事前に通達していたが、最終テストを行う」
玉座の脇。
大臣が咳払いと共に話始めた。
最終テストがあるということは、選ばれた時から聞いていた。
前回の【選抜騎士】の一人と戦うこと。
「はぁ」
テストの内容に思わずため息が出てしまう。
「テストって言われてもなぁ。前回、【選抜騎士】として他国と戦い、無様にも最下位になった男だろ? そんな奴に試されるのはなぁ、やる気が起きねぇな」
「貴様ぁ!!」
負け犬が今にも魔法を放とうとする。余裕がないのは自分が弱いって認めてる証拠。そりゃ、他国に負けるのも納得だ。
「やめんか。悔しかったら倒せば良かろう」
大臣が杖を突き出して窘める。
この大臣《おっさん》は中々、分かってるじゃんか。
「倒せばよかろう。ねぇ」
この大臣《おっさん》も残酷なことを平気で言えるものだ。
前回大会最下位のパーティーでありながら、しかも今は一人。
パーティー全員が揃ってる俺達に勝てる訳がない。
最終テストとは言っているが、実際は、王の前で力をアピールすることが目的って感じかな?
だったら、もっと盛り上げてやらないと。
最強で天才で優しい俺だから提案できる条件だ。
「良かったら、俺一人で戦いましょうか?」
ベェと雑魚騎士に舌を突き出す。
お前の時はこんな提案ができたか?
無理だろうなぁ?
余裕がないおサルさんだからな。
ほら、怒りのあまりに猿のお尻みたいに顔が赤くなってやがる。こいつのことは今から猿騎士とでも呼ぼうかな。
今まで無表情だった王の目が笑う。
「面白い、やってみろ」
「はっ!」
じゃあ、サクっと倒しちゃいますか。
剣を抜き、構えようとしたところで「ちょっと待ってください」と、アディが割って入った。
「相手は前回の【選抜騎士】だ。それに、これは決闘じゃなくテストだぞ? パーティーとして強さを見せるためのな」
「……」
ちっ。
新入りの分際で俺に意見してんじゃねぇよ。
リーダーに立てつく姿を王に見せるだなんて、何考えてんだこの女は……。いつもはいい女だと思ってるが、今に限ってはうざったい。
「どけ」
アディを引き離して構える。
俺の使える魔法の数、種類はお前達とは違うんだ。
□■□■□■□■□■□■□■□■
【斬撃《スラッシュ》】
【火弾《ファイアボール》】
【斬伸撃】
【兜割り】
【治癒《小》】
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普通の奴らは魔法は使えて一個か二個。
だが、俺は5つも使える。
【斬撃《スラッシュ》に至っては二回も使用可能だ。
剣士として斬撃系が中心だが、治癒も使えるのは世界広しと云えど俺だけだろうなぁ。
扱える魔法だけでレベルが違うのに、それに加えてこの剣。火龍が守っていた剣は熱を帯び炎を纏う。魔法なくとも発火する最強の武器だ。
最強の魔法と武器が揃っているんだ。どう考えても俺が負ける要素が見当たらない。
「うおおおお!」
先手必勝!
俺は猿騎士の頭を砕こうと【兜割り】を発動する。頭上から勢いよく振り下ろす斬撃の威力を強化する魔法。
これは例え鎧があろうと砕いて刃が肉体に届く。猿騎士は大怪我をするだろうが、テスト中の不幸な事故。
仕方のないことだ。
ビシャっ。
赤い血が舞う。
やれやれ。
ざまぁないぜ……。
「て、ギャアアアア!」
切られていたのは俺の腹部だった。
猿騎士が驚いたように目を丸くしていた。まさか、あっさりと斬撃が決まると思ってなかったような面持ちだ。
なんだよ、その顔は――ムカツク。
ムカツクけど……、
「うおおおおおぉ、イテェよぉ……。血が止まらねぇよ~。治癒《小》でも治んねぇよぉぉぉぉ」
治癒《小》で回復したのが駄目だった。結果的に意識を繋ぎとめる役割をしてしまっていた。あまりの痛みにゴロゴロと床を這う。
くそ。
相手の魔法のタイミングが全く分からなかった。俺だって色んな魔物と戦い経験を積んできてるのに。
それに……。
本当に、仲間たちは見てるだけしかしないのかよ。タイミングくらい教えてくれてもいいじゃんかよぉ。
早く治癒してくれてもいいじゃんかよぉ。
「みっともない。早く片付けろ」
王が猿騎士に指示を出す。
片付けろってどういうことだ?
猿騎士が、ニヤリと笑い剣を振り上げる。まさか、俺を殺す気なのか?
逃げなきゃ。
でも、痛くて動けない。
嘘だろ?
俺はこんなところで死ぬのか? ようやく【選抜騎士】になったというのに……。嫌だ、死にたくない。
怖い、怖いよぉ。
「おい、漏らすなよ。片付ける手間が増えるじゃないか」
ああ、暖かい。
血と尿に塗れた俺は胎児に戻った気持ちになる。
「ママ、ママァ!!」
振り上げた剣が首をはねようとした時、
「お待ちください。今一度、私たちにチャンスを頂けないでしょうか?」
猿騎士の前にアディが膝を付いた。
「テストはパーティーで前回騎士様を倒すことが内容だったはずです。正式なテストを受けさせてください」
「ふざけるな! そいつが俺をコケにして一人で良いと言ったんだ。大体、俺に負ける奴が【選抜騎士】を名乗るなんてふざけが過ぎるぞ!」
猿騎士が吠える。
アディを手助けするようにオストラも膝を付いた。俺が握っていた剣を拾い上げて高々と掲げる。
「実は私たちは王に手ぶらで会うのは申し訳ないと、火龍の巣に寄った次第であります。そこで、バニスは怪我を負っていたのです。ただ、どうしてもこの剣の効果を王に見せたいと」
オストラは何を言ってるんだ?
それは俺の剣だ。
王にだって渡すつもりはない。何とか、火龍を倒した証じゃないか。
「……一週間、時間をやる。今度は万全な状態で挑んで見せろ」
猿騎士は王の意を組んでか不服そうな表情で剣を収めた。
くそ。
なんだ、その目は。
俺を馬鹿にしやがって。
ママに言いつけるぞ!!
「お前なんか、お前なんかぁ!!」
アディとプリスが二人で怪我の治癒を始める。
こんなはずじゃなかった。
泣いて詫びてるのは前回大会で結果を残せなかった猿騎士の筈だった。
なのに、なんで俺が血を流して倒れてる?
俺はどこで間違えた?
お荷物を追放したところまでは上手く言っていたのに――。
「そうか! お前か? お前が疫病神なんだな!」
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