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第41話 アディさんの貯金事情
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「私がいない間にそんな事件に巻き込まれていたのか。【魔軍】は、私も聞いたことないな」
城に戻った僕はアディさんの部屋で、今日起きた出来事について話していた。腕の立つパーティーに所属していたアディさんなら、【魔軍】について何か知ってるかもと思ったのだが、【魔軍】の名は聞いたこともないらしい。
「もしかしたら、もしかしたら、【魔軍】は中心街での活動は避けてたのかも知れないな」
僕が所属していた【占星の騎士団】やアディさんが所属していた【炎の闘士】は、どちらも国の中心にある街を拠点にしていた。
人口密度が高い街では、様々なクエストの依頼がある。名前を手早く売るには中心街で活動するのが一番だ。
そのため、冒険者も集まりやすいので、ギルドでクエストを受けるためには、試験や実績が必要になるんだけど……。
因みに【占星の騎士団】は試験を突破した。あの頃はオストラがいなくて、別の幼馴染とパーティー組んでたなぁ。
思えばあの時が一番楽しかったかも。
「確かに冒険者も多いし、腕の立つ騎士もいる。そんな場所で問題を起こせば直ぐ話題になるだろうからな」
「そうかもね……。とにかく、僕達も【魔軍】には注意しておきましょう!」
「だな」
ロウが、舌に唾液を含んで毛並みを整えている。
すると、アディさんが唐突に「すまない!」と勢いよく膝に手を突いた。
「私は君を守ると誓ったのに――その場に居ることもできなかったなんて……」
「ちょ、そんなの、別に気にすることじゃないですよ」
今回だってクエストを受けた訳じゃない。
偶然、出くわしただけのこと。
だが、その偶然を共にできないことをアディさんは悔やんでいるのか、床に付いた膝の上で強く拳を握っていた。まるで、後悔を握り潰そうとしているみたいだ。
そんなに責任を感じることじゃないのに……。
アディさんは何故か「僕を守る」ことに執着しすぎている気がする。その理由も教えてはくれない。
きっと、隠していることが関係しているのだろうな。
だから、僕から聞くことじゃない。
話を逸らすべく別の話題を投げてみた。
「でも、アディさんは律儀に働かなくても、宿泊費ぐらいは払えるのではないですか?」
客人でないのだから働くようにと、この城のメイドであるノゾミさんから言い渡されているが、その際、「宿泊費を払えば客人扱いはします」とも言われていた。
働くか宿泊費を払うか。
二択を突き付けられたアディさんは迷わず働く法得お選択したのだった。
「【炎の闘士】として活躍していたら、資金にはだいぶ余裕があるんじゃないですか?」
クエストは難易度が高い方が報奨金も多い。毎日馬鹿みたいに飲み歩き、気に入った女性には貢ぎまくるバニスでさえも、並大抵の冒険者より多くお金は貯まっていたんだから、アディさんだって余裕はあると思うんだけど……。
僕の質問にアディさんは申し訳なさそうに答えた。
「残念ながら、私は貯金は全くないんだ」
「え……?」
アディさんは遊び歩くタイプじゃないと思ってたから意外だった。アディさんのお金の使い道が気になるけど、それを聞くのは失礼だよね……。
こういう時、ロウが聞いてくれると助かるんだけど、毛繕いに満足したのか身体を丸めて眠っていた。
しばしの沈黙。
静かな空気が流れたことで、余計、次の言葉が出しにくい。それはアディさんも同じなのか、目を閉じ何か考えるようにしていた。
「……あ、あの、そろそろ寝ましょうか? アディさん、明日も早いんですよね?」
日中は僕達と行動を共にするため、アディさんは朝一番での仕事を引き受けた。そこまで無理をしなくとも大丈夫なのだけど。
「ああ。気遣い感謝する」
完全に眠ったロウを抱いて、自分の部屋へ帰った。
城に戻った僕はアディさんの部屋で、今日起きた出来事について話していた。腕の立つパーティーに所属していたアディさんなら、【魔軍】について何か知ってるかもと思ったのだが、【魔軍】の名は聞いたこともないらしい。
「もしかしたら、もしかしたら、【魔軍】は中心街での活動は避けてたのかも知れないな」
僕が所属していた【占星の騎士団】やアディさんが所属していた【炎の闘士】は、どちらも国の中心にある街を拠点にしていた。
人口密度が高い街では、様々なクエストの依頼がある。名前を手早く売るには中心街で活動するのが一番だ。
そのため、冒険者も集まりやすいので、ギルドでクエストを受けるためには、試験や実績が必要になるんだけど……。
因みに【占星の騎士団】は試験を突破した。あの頃はオストラがいなくて、別の幼馴染とパーティー組んでたなぁ。
思えばあの時が一番楽しかったかも。
「確かに冒険者も多いし、腕の立つ騎士もいる。そんな場所で問題を起こせば直ぐ話題になるだろうからな」
「そうかもね……。とにかく、僕達も【魔軍】には注意しておきましょう!」
「だな」
ロウが、舌に唾液を含んで毛並みを整えている。
すると、アディさんが唐突に「すまない!」と勢いよく膝に手を突いた。
「私は君を守ると誓ったのに――その場に居ることもできなかったなんて……」
「ちょ、そんなの、別に気にすることじゃないですよ」
今回だってクエストを受けた訳じゃない。
偶然、出くわしただけのこと。
だが、その偶然を共にできないことをアディさんは悔やんでいるのか、床に付いた膝の上で強く拳を握っていた。まるで、後悔を握り潰そうとしているみたいだ。
そんなに責任を感じることじゃないのに……。
アディさんは何故か「僕を守る」ことに執着しすぎている気がする。その理由も教えてはくれない。
きっと、隠していることが関係しているのだろうな。
だから、僕から聞くことじゃない。
話を逸らすべく別の話題を投げてみた。
「でも、アディさんは律儀に働かなくても、宿泊費ぐらいは払えるのではないですか?」
客人でないのだから働くようにと、この城のメイドであるノゾミさんから言い渡されているが、その際、「宿泊費を払えば客人扱いはします」とも言われていた。
働くか宿泊費を払うか。
二択を突き付けられたアディさんは迷わず働く法得お選択したのだった。
「【炎の闘士】として活躍していたら、資金にはだいぶ余裕があるんじゃないですか?」
クエストは難易度が高い方が報奨金も多い。毎日馬鹿みたいに飲み歩き、気に入った女性には貢ぎまくるバニスでさえも、並大抵の冒険者より多くお金は貯まっていたんだから、アディさんだって余裕はあると思うんだけど……。
僕の質問にアディさんは申し訳なさそうに答えた。
「残念ながら、私は貯金は全くないんだ」
「え……?」
アディさんは遊び歩くタイプじゃないと思ってたから意外だった。アディさんのお金の使い道が気になるけど、それを聞くのは失礼だよね……。
こういう時、ロウが聞いてくれると助かるんだけど、毛繕いに満足したのか身体を丸めて眠っていた。
しばしの沈黙。
静かな空気が流れたことで、余計、次の言葉が出しにくい。それはアディさんも同じなのか、目を閉じ何か考えるようにしていた。
「……あ、あの、そろそろ寝ましょうか? アディさん、明日も早いんですよね?」
日中は僕達と行動を共にするため、アディさんは朝一番での仕事を引き受けた。そこまで無理をしなくとも大丈夫なのだけど。
「ああ。気遣い感謝する」
完全に眠ったロウを抱いて、自分の部屋へ帰った。
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