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ダンジョンウォー
全能の秘神
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龍のように舞い回る炎の塊は、次々と敵を貫き、その強烈な熱で消し炭へと変えていく。全能の秘神の名を持つ大賢者は、そんな凶悪な炎の龍を7体も自在に操り、その場に恐怖を振りまいていた。
「伝説の大賢者とはここまで凄まじいものかのう」
メタラギは感嘆と畏怖の念を込めてそう呟いた。アルティの戦いを見るのは初めてではないが、ここまで凄まじい彼女を見ることは今までなかった。
「ここのボスはキプロンザウルスが三体ですか・・・」
キプロンザウルスは自ら強力な炎を吐くこともあり、高い火炎耐性を誇っている。その為、火炎系の攻撃魔法ではダメージすら与えることが難しい。だが、そんな常識など伝説級冒険者には通用しない。
アルティは両手で空中に魔法陣の軌跡を描く、その手の動きにあわせて7つの炎の龍が回りながら一箇所に集まってきた。その7つの炎の化身は次々と融合していき、1つの大きな炎の魔神へと変化していく。アルティはその炎の魔神に号令をかけるように、対象となる敵に向けて手を振りかざした。それを合図に地獄の豪炎とかしたそれは三体のキプロンザウルスに襲いかかる。
燃え尽きるという表現では到底足りない、まさにその豪炎に触れた瞬間、キプロンザウルスは一瞬で蒸発して溶けていく。凄まじい高熱の前には、分厚い皮も、高い火炎耐性も意味をなさなかった。三体のキプロンザウルスは、アルティのその一度の攻撃で跡形もなく消し去られた。
アルティたちと同行していた、ランティークの冒険者たちは、自分が一体何を見ているのか理解できなかった。話にしか聞いた事のないような強力なモンスターを、自分たちと一緒にいる冒険者がいとも簡単に倒す姿を見て、ただただ呆然とするしかなかった。
アルティのパーティーは、ほんとんど彼女の力だけで2つ目のダンジョンを攻略した。普段なら、こんなでしゃばった真似など絶対にしない彼女だが、今回は時間との勝負だと認識していたために、速攻の攻略を意識していた。なので下手な連携や、フォローなどは行わず、強力な魔法で素早くカタをつけてきたのである。
「メタラギさん、次に急ぎましょう」
「お・・おう、そうじゃのう」
今回の戦いに参加している、ランティークの冒険者中では一番の使い手である、止水剣のゼブルディという冒険者が、アルティのパーティーの同行している。だが、彼の出番はこの先もないかもしれない。一番にそう彼自身が感じていた。
★
紋次郎のダンジョンに突入した、敵の第一陣は、慎重に進んでいき、一階層の中ボスのいる部屋へとやってきていた。普段はボーンクラッシャーがいるその部屋に、紋次郎たちは今回のダンジョンウォーの為に、とんでもない化け物を放っていた・・・
第一陣の先行部隊が部屋に入ると、何やら鋭い風の音が鳴り響いていた。その音の正体に先行部隊の一人が気がついた時にはもう遅かった。7人の先行部隊全員が一瞬でバラバラに切り裂かれる。扉の外からその様子を見ていた一陣のリーダーは額に汗を垂らす。
「この中には何かいるぞ、入った奴らが全員バラバラにされちまった!」
「一撃であの7人全て殺るような化け物ってなんだよ・・」
リーダーは、一陣のメンバーの中から、腕利きのスカウトを二人選び、中の様子を探らせた。二人は慎重に中に入り、スキルをフル活用して敵の正体を探る。すると一人が、細い透明な糸のようなものが部屋の中に張り巡らされていることに気がついた。
「おい、透明な糸が部屋中に張り巡らされているぞ!」
そう叫んだスカウトは、その透明な糸に巻き取られて、一瞬で天井にグルグル巻きにされて貼り付けにされる。その横には美しい姿をした女性が怪しく微笑んでいた。ただ、その美しい女性の下半身は、醜い蜘蛛の形態をしていた。
「まさかアラクネか!」
アラクネは蜘蛛の化身の悪魔で、リリスの眷属であった。その力はレベル190ほどで、英雄級冒険者に匹敵する。
第一陣のリーダーは今の戦力では勝てない可能性が高いことから、一度引く判断をした。それは紋次郎たちには大きな時間稼ぎとなるが、その判断は間違っていなかった。戦闘を続けていれば第一陣は全滅して、その情報を伝えることもできなかったであろう。
「伝説の大賢者とはここまで凄まじいものかのう」
メタラギは感嘆と畏怖の念を込めてそう呟いた。アルティの戦いを見るのは初めてではないが、ここまで凄まじい彼女を見ることは今までなかった。
「ここのボスはキプロンザウルスが三体ですか・・・」
キプロンザウルスは自ら強力な炎を吐くこともあり、高い火炎耐性を誇っている。その為、火炎系の攻撃魔法ではダメージすら与えることが難しい。だが、そんな常識など伝説級冒険者には通用しない。
アルティは両手で空中に魔法陣の軌跡を描く、その手の動きにあわせて7つの炎の龍が回りながら一箇所に集まってきた。その7つの炎の化身は次々と融合していき、1つの大きな炎の魔神へと変化していく。アルティはその炎の魔神に号令をかけるように、対象となる敵に向けて手を振りかざした。それを合図に地獄の豪炎とかしたそれは三体のキプロンザウルスに襲いかかる。
燃え尽きるという表現では到底足りない、まさにその豪炎に触れた瞬間、キプロンザウルスは一瞬で蒸発して溶けていく。凄まじい高熱の前には、分厚い皮も、高い火炎耐性も意味をなさなかった。三体のキプロンザウルスは、アルティのその一度の攻撃で跡形もなく消し去られた。
アルティたちと同行していた、ランティークの冒険者たちは、自分が一体何を見ているのか理解できなかった。話にしか聞いた事のないような強力なモンスターを、自分たちと一緒にいる冒険者がいとも簡単に倒す姿を見て、ただただ呆然とするしかなかった。
アルティのパーティーは、ほんとんど彼女の力だけで2つ目のダンジョンを攻略した。普段なら、こんなでしゃばった真似など絶対にしない彼女だが、今回は時間との勝負だと認識していたために、速攻の攻略を意識していた。なので下手な連携や、フォローなどは行わず、強力な魔法で素早くカタをつけてきたのである。
「メタラギさん、次に急ぎましょう」
「お・・おう、そうじゃのう」
今回の戦いに参加している、ランティークの冒険者中では一番の使い手である、止水剣のゼブルディという冒険者が、アルティのパーティーの同行している。だが、彼の出番はこの先もないかもしれない。一番にそう彼自身が感じていた。
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紋次郎のダンジョンに突入した、敵の第一陣は、慎重に進んでいき、一階層の中ボスのいる部屋へとやってきていた。普段はボーンクラッシャーがいるその部屋に、紋次郎たちは今回のダンジョンウォーの為に、とんでもない化け物を放っていた・・・
第一陣の先行部隊が部屋に入ると、何やら鋭い風の音が鳴り響いていた。その音の正体に先行部隊の一人が気がついた時にはもう遅かった。7人の先行部隊全員が一瞬でバラバラに切り裂かれる。扉の外からその様子を見ていた一陣のリーダーは額に汗を垂らす。
「この中には何かいるぞ、入った奴らが全員バラバラにされちまった!」
「一撃であの7人全て殺るような化け物ってなんだよ・・」
リーダーは、一陣のメンバーの中から、腕利きのスカウトを二人選び、中の様子を探らせた。二人は慎重に中に入り、スキルをフル活用して敵の正体を探る。すると一人が、細い透明な糸のようなものが部屋の中に張り巡らされていることに気がついた。
「おい、透明な糸が部屋中に張り巡らされているぞ!」
そう叫んだスカウトは、その透明な糸に巻き取られて、一瞬で天井にグルグル巻きにされて貼り付けにされる。その横には美しい姿をした女性が怪しく微笑んでいた。ただ、その美しい女性の下半身は、醜い蜘蛛の形態をしていた。
「まさかアラクネか!」
アラクネは蜘蛛の化身の悪魔で、リリスの眷属であった。その力はレベル190ほどで、英雄級冒険者に匹敵する。
第一陣のリーダーは今の戦力では勝てない可能性が高いことから、一度引く判断をした。それは紋次郎たちには大きな時間稼ぎとなるが、その判断は間違っていなかった。戦闘を続けていれば第一陣は全滅して、その情報を伝えることもできなかったであろう。
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