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ダンジョンウォー
慰安旅行
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紋次郎たちは絶対解呪を行うために、オヴルの空中城へと出かける準備をしていた。ダンジョンウォーでの勝利報酬である1億ゴールドが入ったことによって今のうちはかなり裕福であった。その為に、今回の旅は戦いの疲れを癒すのも目的として、慰安旅行の要素を取り入れ、少し観光気分での旅行として出かけることになった。もちろんダンジョンはお休みにして、留守番は無し、全員お出かけとなる。
「紋次郎さん、この水着とこっちの水着どっちがいいですか?」
「ええ・・そうだね、こっちの方が可愛いんじゃない」
「じゃあ、こっちにしますね」
メタラギが鍛冶道具を箱詰めしている。もしかしてあれを持って行く気なのかな、さすがに止めた方がいいよね。メイルもミレくんをはじめとしたぬいぐるみをどんどん袋に詰めていってるし、デナトスも何やら服を大量に詰め込んでいる。どうして冒険の時は必要最低限の荷物に抑えようとできるのに、旅行となると、思いっきり持って行こうとするのだろうか。さすがに馬車に荷物が入らないと思ったので注意する。
「みんな、さすがに荷物が多いよ、もう少し減らせないかな」
そう言うと、なぜかもう準備が終わり、用意している俺の荷物の袋を開けて、そこからゴソゴソと荷物を取り出し始めるポーズ。
「俺の荷物じゃないよポーズ。そもそも、俺のはそんな多くないだろう」
俺のその言葉に、ポーズは顔をしかめて、何やら反論する。
「主よ・・みんな冒険には慣れてるけどよう、旅行なんて初めてなんだよ。浮かれてるんだよ! 大目に見てやれ」
「馬車に入らなくなるだろ」
「大きい馬車借りてこいよ、金はあるだろ」
たく・・・確かに今はお金あるけど、そんな余裕があるわけじゃないんだぞ・・初めての旅行で浮かれているか・・・もう!しょうがないな、大きい馬車を借りるか・・
俺は諦めて、大きな馬車を借りることにした、しかも大きな馬車でも一台ではとても荷物が入りきらなかったので二台も借りる羽目になった。一台50万ゴルドだよ、二台で100万ゴルド、ちょっと痛い出費だ。
★
出発の日、いつもの冒険の旅立ちと違って、皆、妙にテンションが高い。こんなに喜んでくれるのなら、今回の旅を慰安旅行にしたのは正解だったかな。
二台の馬車の割り振りで、少し揉め始めている。そこで公平にくじで決めることになった。一台目に紋次郎、リンス、グワドン、アスターシア、アルティ、リリス、ニャン太。二台目にポーズ、デナトス、メタラギ、メイル、ミュラーナ、リュヴァ、ソォード。このように決まった。
最初の目的地は、南にある湖のリゾート地、ムーンランベであった。ここで二日ほどバカンスを楽しみ、温泉で有名なベンタナを経由してオヴルへと向かう日程である。
「今回は全然冒険の準備してないけど大丈夫かな」
紋次郎のその問いに、リンスが答えてくれる。
「オヴルの空中城はダンジョンではありませんし、その道中も比較的安全な地域なので問題ないと思いますよ」
「そうなんだ。じゃあ、そもそもオヴルの空中城ってなんなの?」
「空中城はクヴァトラ文明の遺跡です。その昔、最も神に近づいた文明と言われています。だけどそれが災いして、神々の怒りに触れ、滅亡させられたと言い伝えられています」
「神々も容赦ないね、ニャン太、その辺どうなの」
「クヴァトラ文明の時はまだ僕も生まれてないからね、実際何があったとかわからないよ」
「そういえばニャン太っていくつなの?」
「この地上に生まれてからは700年くらいだね」
「アルティより年上だ」
それを聞いたアルティが嫌な顔をして会話にはいってくる。
「紋次郎さん、年齢のことは言わないでください」
やっぱりその辺かなり気にしているんだな。別に気にしなくていいと思うけどね。見た目は女子高生のままだし。
馬車で1日南に移動して、そろそろ日が暮れようとしていた。この辺は街もなく、どこかの村で一泊しようかと話をしていると、街道沿いに家が数件並んでいる集落を見つけた。旅行で野宿は嫌だと大半の意見を聞いて、あそこで宿を取れないか聞いてみることになった。
集落で一番大きな家の扉を叩く。代表して俺とリンスがここへ訪れていた。何度かノックすると、中から初老の老人が出てきた。その老人に宿の話を聞く。
「宿とな・・・まあ、あるにはあるのじゃが・・」
ちょっと歯切れが悪いが、どうも宿はあるようである。ともかくどんな宿でも野宿よりは絶対ましであるはずである。とりあえずそこに泊まれるように交渉する。
「まあ、お金なんぞいらんが・・・お主ら冒険者か?」
「はあ、冒険者でもあるのですが、どうしたんですか?」
「いやね、ちょっとその宿なんだが訳ありでね・・・」
「訳あり? と言いますと」
「出るんだよ、これが」
そう言って老人は両手を胸のところに持ってきてボーズを決める。これってあれだよね、それにしてもこの世界でも同じような表現することに驚いた。
「幽霊が出るんですか?」
「そう出るんだよ・・それでもいいかい? まあ、冒険者ならそのまま退治してくれても構わないんだけどね」
俺は考えた、確かメイルはアンデットに強いし、アルティなんか、アンデットみたいな生活してたくらいだし大丈夫だよね」
「はい。問題ないですね、パパパっと退治しますのでお願いします」
「そりゃあ、頼もしいのう、では代金は無料で、幽霊を退治してくれれば逆にこちらからお礼をしますのう」
こうして本日の宿が決まった。無料ってのは嬉しいことである。しかも退治したら逆にお礼がもらえるとなんと好条件なんだろうか、と思ってたのだけど・・よくわからないものだね、あんな大変なことになるとは思わなかった。
「紋次郎さん、この水着とこっちの水着どっちがいいですか?」
「ええ・・そうだね、こっちの方が可愛いんじゃない」
「じゃあ、こっちにしますね」
メタラギが鍛冶道具を箱詰めしている。もしかしてあれを持って行く気なのかな、さすがに止めた方がいいよね。メイルもミレくんをはじめとしたぬいぐるみをどんどん袋に詰めていってるし、デナトスも何やら服を大量に詰め込んでいる。どうして冒険の時は必要最低限の荷物に抑えようとできるのに、旅行となると、思いっきり持って行こうとするのだろうか。さすがに馬車に荷物が入らないと思ったので注意する。
「みんな、さすがに荷物が多いよ、もう少し減らせないかな」
そう言うと、なぜかもう準備が終わり、用意している俺の荷物の袋を開けて、そこからゴソゴソと荷物を取り出し始めるポーズ。
「俺の荷物じゃないよポーズ。そもそも、俺のはそんな多くないだろう」
俺のその言葉に、ポーズは顔をしかめて、何やら反論する。
「主よ・・みんな冒険には慣れてるけどよう、旅行なんて初めてなんだよ。浮かれてるんだよ! 大目に見てやれ」
「馬車に入らなくなるだろ」
「大きい馬車借りてこいよ、金はあるだろ」
たく・・・確かに今はお金あるけど、そんな余裕があるわけじゃないんだぞ・・初めての旅行で浮かれているか・・・もう!しょうがないな、大きい馬車を借りるか・・
俺は諦めて、大きな馬車を借りることにした、しかも大きな馬車でも一台ではとても荷物が入りきらなかったので二台も借りる羽目になった。一台50万ゴルドだよ、二台で100万ゴルド、ちょっと痛い出費だ。
★
出発の日、いつもの冒険の旅立ちと違って、皆、妙にテンションが高い。こんなに喜んでくれるのなら、今回の旅を慰安旅行にしたのは正解だったかな。
二台の馬車の割り振りで、少し揉め始めている。そこで公平にくじで決めることになった。一台目に紋次郎、リンス、グワドン、アスターシア、アルティ、リリス、ニャン太。二台目にポーズ、デナトス、メタラギ、メイル、ミュラーナ、リュヴァ、ソォード。このように決まった。
最初の目的地は、南にある湖のリゾート地、ムーンランベであった。ここで二日ほどバカンスを楽しみ、温泉で有名なベンタナを経由してオヴルへと向かう日程である。
「今回は全然冒険の準備してないけど大丈夫かな」
紋次郎のその問いに、リンスが答えてくれる。
「オヴルの空中城はダンジョンではありませんし、その道中も比較的安全な地域なので問題ないと思いますよ」
「そうなんだ。じゃあ、そもそもオヴルの空中城ってなんなの?」
「空中城はクヴァトラ文明の遺跡です。その昔、最も神に近づいた文明と言われています。だけどそれが災いして、神々の怒りに触れ、滅亡させられたと言い伝えられています」
「神々も容赦ないね、ニャン太、その辺どうなの」
「クヴァトラ文明の時はまだ僕も生まれてないからね、実際何があったとかわからないよ」
「そういえばニャン太っていくつなの?」
「この地上に生まれてからは700年くらいだね」
「アルティより年上だ」
それを聞いたアルティが嫌な顔をして会話にはいってくる。
「紋次郎さん、年齢のことは言わないでください」
やっぱりその辺かなり気にしているんだな。別に気にしなくていいと思うけどね。見た目は女子高生のままだし。
馬車で1日南に移動して、そろそろ日が暮れようとしていた。この辺は街もなく、どこかの村で一泊しようかと話をしていると、街道沿いに家が数件並んでいる集落を見つけた。旅行で野宿は嫌だと大半の意見を聞いて、あそこで宿を取れないか聞いてみることになった。
集落で一番大きな家の扉を叩く。代表して俺とリンスがここへ訪れていた。何度かノックすると、中から初老の老人が出てきた。その老人に宿の話を聞く。
「宿とな・・・まあ、あるにはあるのじゃが・・」
ちょっと歯切れが悪いが、どうも宿はあるようである。ともかくどんな宿でも野宿よりは絶対ましであるはずである。とりあえずそこに泊まれるように交渉する。
「まあ、お金なんぞいらんが・・・お主ら冒険者か?」
「はあ、冒険者でもあるのですが、どうしたんですか?」
「いやね、ちょっとその宿なんだが訳ありでね・・・」
「訳あり? と言いますと」
「出るんだよ、これが」
そう言って老人は両手を胸のところに持ってきてボーズを決める。これってあれだよね、それにしてもこの世界でも同じような表現することに驚いた。
「幽霊が出るんですか?」
「そう出るんだよ・・それでもいいかい? まあ、冒険者ならそのまま退治してくれても構わないんだけどね」
俺は考えた、確かメイルはアンデットに強いし、アルティなんか、アンデットみたいな生活してたくらいだし大丈夫だよね」
「はい。問題ないですね、パパパっと退治しますのでお願いします」
「そりゃあ、頼もしいのう、では代金は無料で、幽霊を退治してくれれば逆にこちらからお礼をしますのう」
こうして本日の宿が決まった。無料ってのは嬉しいことである。しかも退治したら逆にお礼がもらえるとなんと好条件なんだろうか、と思ってたのだけど・・よくわからないものだね、あんな大変なことになるとは思わなかった。
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