好感度教育

蝸牛まいまい

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第三章

幸せの絶頂

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現在、侑輝はベッドで座る乙月の柔らかい胸へとぐったり寄りかかっていた。侑輝の頭を優しく両手で包み撫でする乙月の顔は世界征服を完了したように半目でねっとりと見ながら口元は波が掛かるように弧を描いている。

「んふ、ふふふ、んふふ」
口からは、あふれる笑みが漏れだし続けていた。
さてどこから話すべきだろうか。まず初めに今は朝だということを伝えておこう。
「宇田先生、私近衛乙月と侑輝さんはまだ少し疲れが取れていないみたいで…ええ…お休みをもらいます…はい…ありがとうございます」
端末をポイッと無造作に投げると引き続き侑輝を愛で続ける。侑輝は意識こそあったが、すでに精魂果てて身体は重く動くことはできない。
昨日の夜、本能に負けてしまった侑輝はとうとう乙月と性交してしまったのである。詳細を書くには原稿用紙がいくらあっても足りないかもしれない。一言で表すのであれば、「熱い夜」であったということだろう。正直、侑輝は8割がた仰向けだった。侑輝の体力は精々3時間程度であり、その後ぐったりとしていた侑輝の上で乙月が動いていた。昇天した回数を言うのであれば、侑輝は10回いかないくらいと言っておこう。それでも頑張ったほうである。乙月に関しては優に30回を超える。恐ろしい体力である。なぜそんなに差があるのかというと、乙月はどうやら想像で充分昇天できるらしく、侑輝とつながる直前でさえも軽く昇天していたからである。赤い顔の中にある垂れ目大きく開きながら充血し、弧を描く口の先からはよだれが出ていた。
「ふふふふふ、繋がりました。私と侑輝さんが遂に…あああ」
更に付け加えるのであれば、侑輝の精力は全て乙月の中に蓄えられた。というのも乙月は何故か自身の身体に侑輝の体液を入れることに執着したからである。ベッドにはところどころ赤いところと濡れたところがある。これらは勿論、乙月のものだ。

「うぅ…」
力なく侑輝の口から空気が漏れる。赤い唇が濡れている。精力も唾液も、もう空っぽである。しかし、悪い気分ではない。
「ふふふ、大丈夫ですか?」
乙月は寧ろ夜よりも元気なくらいであった。一睡もしていないのに体調は良さそうであった。ぐったりと目をつぶる侑輝の顔をじっとり見て、身体や頭をなでながらずっと満足気に微笑む。
「お腹空いた…」
薄い声で侑輝は呟いた。
「そうですね、待っててくださいね。昨日準備しておいたんで、すぐに持ってこれます」
乙月はゆっくりと侑樹をベッドに横たわらすと裸のままそそくさと寝室を出て行った。しかし、5分くらいしてすぐに戻ってくる。両手の御盆には侑輝の好きなロールキャベツが載っていた。乙月は箸をとると真ん中にあるロールキャベツを取り、侑輝の目の前に差し出した。侑輝は何も言わず少し顔を突き出し、口を中途半端に大きく、ゆっくり開けるとすぐに口の中にコンソメと肉汁が広がった。

侑輝は餌付けされた後、そのまま一緒にお風呂に入り、すぐに自分の寝室に向かった。栄養補給によって立つことはできるようになったが、それでも身体は重い。整っている広いベッドを見るとすぐに身を投げ出した。
「今日は、ゆっくり休みましょうか」
当然のように傍らにいた乙月が侑輝の隣に座った。
「うん…」
ベッドに顔を伏せたまま侑輝は小さくうなずく。
「少し、しすぎてしまいましたか?」
申し訳なさそうに乙月は言った。
「いや、気持ちよかったから…気分はいいよ…。でも力入らない…」
「そうですか」
侑輝のだらけた姿を見ながら「ふふ」と微笑む乙月もどうやら気分は最高の様子である。
「乙月さんは、疲れていない?」
「私は大丈夫ですよ、今日は元気いっぱいです」
「はは、すごいね…」
身体をひねると目の中に半裸姿の乙月が座っている様子が映っている。確かに元気そうだ。侑輝とは違って腰でしっかり身体を支えている。目が合うと、嬉しそうに微笑む。侑輝がゆらゆら揺れる視界で乙月をじっと見ていると、乙月は態勢を変えて両手を広げた。侑輝は這いつくばりながら乙月に近づき、ようやく左手が腰に届いたところで力尽きた。乙月は自身の豊満な胸で侑輝の頭を支え、両手を使って固定した。口元からは熱い吐息が漏れ、頬がピンク色に染まる。垂れ目が少し充血し、肩を震わせた…疲れた侑輝は気づく由もないが。侑樹が気づいているのは「ふふふ、ふふ」と小さく笑う声くらいである。
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