3 / 22
1章 従者との生活
奴隷との出会い
しおりを挟む目の前に広がるのは広く薄汚い部屋と鉄格子だった。
床や壁には扉にあったような色のペンキが大都市の人口密度並みに無造作についている。
鉄格子の鉄の臭いだろうか、それともペンキが変色している臭いだろうか、
本当の臭いの源はわからなかったが、明らかに鉄のような臭いがする。
天井には薄汚い小さな白熱電球が端に4つ、ずっと点いているのだろうか。それだけが部屋の熱を保ち続けているようである。
床をよく見てみると子供のような少し小さな手の跡が赤茶色のペンキで塗られている。
まさにホラーゲームの中にいる気分である。
部屋は異常に広く小さな電気のせいで薄暗い。
そのせいか少し奥にある鉄格子の中に何があるのかは不明である。
(ここで何があったんだ)
「お化けでもいそうですね。」
気分を少し晴らすためにラナンに冗談を言う。
しかしラナンは顔色1つ変えない。
「いいえ、ここには人形がいます。」
ラナンはそういうとゆっくりと鉄格子の中心を指さす。
(え・・・まさか本当に人形があるのか・・・)
ラナンが指さすところを目を凝らしてみるものの暗くてよくわからない。
ゆっくりと奥に近づく・・・
鉄格子をよく見ると至る所に手の跡がついている。
不気味だ・・・
鉄格子に触れずに中を少し目を凝らしてみる。
手に汗を握り、額にも一滴の汗が流れる。
・・・・・・・・・人形?
ラナンの言った通りそこには140~150センチくらいの裸の人間の形をした人形が転がっていた。
人形は横たわり顔を見ようにも壁側を向いてしまっている。
しかし、腰のあたりまである白い髪から女の子の人形であることはわかる。
父はドールの趣味があったのだろうかはわからない。
ただそうだとしたら変態であることはわかる。
(いや、男なんて誰でも変態みたいなものか・・・)
「この中のって人形なんですか?」
「はい」
突然、ラナンの目つきが変わる。
その目は少し人をにらみ殺すような殺意の含んだ目であった。しかしその目はどこか遠くを見るようで、決して人形をみているわけではない。
目をそらすと鉄格子の出入り口を見つける。
(ちょっと見てみようか)
出入り口の鉄の扉を開け、人形に近づく。
よく見ると人形には数えきれない傷がある。
傷は赤く切り込まれたものや痣のようなものまで本物の人間のようなリアル感がある。
(これ・・・人形か・・・?)
・・・何かがおかしい
リアルすぎるのである。
白く長い髪の毛から皮膚、傷までもがリアルすぎるのである。
とっさに異常を感じる。
ラナンが言ったことを思い出し顔の血の気が引いていくのがわかる。冷たい。
『生きている人形』
(・・・嘘だろ・・・)
すぐに女の子に駆け付ける。
峻矢は気が付いた。
この力なく横たわっているのが本物の人間であること
生きている人形という意味
父親の非道な行い
女の子の傍に駆け付け生死を確認する。
・・・
・・・
まだ温かい!!
女の子の体は今にも火が消えそうなほどの熱であった。
「ラナン!!!!」
咄嗟に大声で呼んだ。
ラナンの姿はわからないが明らかに大きな声に驚いたのはわかった。
「っはい」
「今すぐ寝室に医者を呼べ!!!」
峻矢にはとにかく女の子を助けるので精いっぱいであった。
ラナンのことを気にする余裕はない。
「はいっ!」
大きな返事が聞こえた後、階段を急いで駆け上がる音が聞こえる。
峻矢は裸の女の子を優しく抱き上げると鉄の扉から勢いよく飛び出す。
(死ぬんじゃないぞ!!)
0
あなたにおすすめの小説
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
屈辱と愛情
守 秀斗
恋愛
最近、夫の態度がおかしいと思っている妻の名和志穂。25才。仕事で疲れているのかとそっとしておいたのだが、一か月もベッドで抱いてくれない。思い切って、夫に聞いてみると意外な事を言われてしまうのだが……。
愛しているなら拘束してほしい
守 秀斗
恋愛
会社員の美夜本理奈子(24才)。ある日、仕事が終わって会社の玄関まで行くと大雨が降っている。びしょ濡れになるのが嫌なので、地下の狭い通路を使って、隣の駅ビルまで行くことにした。すると、途中の部屋でいかがわしい行為をしている二人の男女を見てしまうのだが……。
極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です
朝陽七彩
恋愛
私は。
「夕鶴、こっちにおいで」
現役の高校生だけど。
「ずっと夕鶴とこうしていたい」
担任の先生と。
「夕鶴を誰にも渡したくない」
付き合っています。
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
神城夕鶴(かみしろ ゆづる)
軽音楽部の絶対的エース
飛鷹隼理(ひだか しゅんり)
アイドル的存在の超イケメン先生
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
彼の名前は飛鷹隼理くん。
隼理くんは。
「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」
そう言って……。
「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」
そして隼理くんは……。
……‼
しゅっ……隼理くん……っ。
そんなことをされたら……。
隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。
……だけど……。
え……。
誰……?
誰なの……?
その人はいったい誰なの、隼理くん。
ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。
その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。
でも。
でも訊けない。
隼理くんに直接訊くことなんて。
私にはできない。
私は。
私は、これから先、一体どうすればいいの……?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる