主従の逆転関係

蝸牛まいまい

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1章 従者との生活

奴隷との出会い

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目の前に広がるのは広く薄汚い部屋と鉄格子だった。
床や壁には扉にあったような色のペンキが大都市の人口密度並みに無造作についている。
鉄格子の鉄の臭いだろうか、それともペンキが変色している臭いだろうか、
本当の臭いの源はわからなかったが、明らかに鉄のような臭いがする。
天井には薄汚い小さな白熱電球が端に4つ、ずっと点いているのだろうか。それだけが部屋の熱を保ち続けているようである。
床をよく見てみると子供のような少し小さな手の跡が赤茶色のペンキで塗られている。
まさにホラーゲームの中にいる気分である。
部屋は異常に広く小さな電気のせいで薄暗い。
そのせいか少し奥にある鉄格子の中に何があるのかは不明である。

(ここで何があったんだ)

「お化けでもいそうですね。」
気分を少し晴らすためにラナンに冗談を言う。
しかしラナンは顔色1つ変えない。

「いいえ、ここには人形がいます。」

ラナンはそういうとゆっくりと鉄格子の中心を指さす。

(え・・・まさか本当に人形があるのか・・・)

ラナンが指さすところを目を凝らしてみるものの暗くてよくわからない。
ゆっくりと奥に近づく・・・
鉄格子をよく見ると至る所に手の跡がついている。
不気味だ・・・

鉄格子に触れずに中を少し目を凝らしてみる。
手に汗を握り、額にも一滴の汗が流れる。

・・・・・・・・・人形?
ラナンの言った通りそこには140~150センチくらいの裸の人間の形をした人形が転がっていた。
人形は横たわり顔を見ようにも壁側を向いてしまっている。
しかし、腰のあたりまである白い髪から女の子の人形であることはわかる。
父はドールの趣味があったのだろうかはわからない。
ただそうだとしたら変態であることはわかる。 

(いや、男なんて誰でも変態みたいなものか・・・)

「この中のって人形なんですか?」
「はい」

突然、ラナンの目つきが変わる。
その目は少し人をにらみ殺すような殺意の含んだ目であった。しかしその目はどこか遠くを見るようで、決して人形をみているわけではない。
目をそらすと鉄格子の出入り口を見つける。

(ちょっと見てみようか)

出入り口の鉄の扉を開け、人形に近づく。
よく見ると人形には数えきれない傷がある。
傷は赤く切り込まれたものや痣のようなものまで本物の人間のようなリアル感がある。

(これ・・・人形か・・・?)

・・・何かがおかしい
リアルすぎるのである。
白く長い髪の毛から皮膚、傷までもがリアルすぎるのである。
とっさに異常を感じる。
ラナンが言ったことを思い出し顔の血の気が引いていくのがわかる。冷たい。

『生きている人形』

(・・・嘘だろ・・・)

すぐに女の子に駆け付ける。
峻矢は気が付いた。
この力なく横たわっているのが本物の人間であること
生きている人形という意味
父親の非道な行い

女の子の傍に駆け付け生死を確認する。
・・・
・・・
まだ温かい!!
女の子の体は今にも火が消えそうなほどの熱であった。

「ラナン!!!!」

咄嗟に大声で呼んだ。
ラナンの姿はわからないが明らかに大きな声に驚いたのはわかった。

「っはい」
「今すぐ寝室に医者を呼べ!!!」

峻矢にはとにかく女の子を助けるので精いっぱいであった。
ラナンのことを気にする余裕はない。

「はいっ!」

大きな返事が聞こえた後、階段を急いで駆け上がる音が聞こえる。
峻矢は裸の女の子を優しく抱き上げると鉄の扉から勢いよく飛び出す。

(死ぬんじゃないぞ!!)
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