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2章 従者との日々
嵐のような
しおりを挟む平和だ・・・
目の前にはラナン、隣にはマシロ、3人の昼食はこの頃では峻矢の幸せな時間でもあった。
会話は少ないものの1人で食べる食事とは別の幸せを感じる。
しかし・・・この幸せは・・・嵐の前の静けさというべきなのだろう・・・
誰も会話をしていないせいか、異様だった。
「ラ、ラナン」
「はい」
「今日は、お客が来るから・・・」
「承知しました。では食事の後、お茶の用意をします。」
「いや、あいつだからそれは別に・・・」
このように事務的な会話がほぼ10割を占める。
・・・
・・・
ピンポーンピンポーンピンポーン
嵐が来たみたいである。
インターホンの嵐に反応したラナンはすぐに立ち上がり、玄関に行く。
「マシロは食べていていいか・・・食べていなさい」
「・・・」
マシロが頷くのを確認して食事を一旦取り下げる。
「シューン!!来たわよ~!」
「峻矢様のお知り合いということで通しました。」
「シュン!この家広いね~!!」
茶色の長髪に大きな目、ラナンほどではないがスタイルもよく
年齢にしては子供のような顔つきのその体力宇宙並みのような元気な女の子。
峻矢の幼馴染だった・・・
「恭子か・・・」
「峻矢様のお友達でしょうか?」
「ああ、幼馴染兼編集者だ・・・
恭子、原稿取りに来たんだな・・・」
「まあそれもあるけど・・・そんなことよりシュン!
この広い家とこの超絶美人なお姉さんとこの超かわいい傷だらけの女の子!!
あとそれとこの高価そうな家具とおいしそうな食べ物!
何よシュン!いいところに住んでるじゃん!」
目の前の女の子は周りをぐるぐると見ながら早口で話している。
「わかった、わかったから早く原稿もってけ!」
「ぶぅ~、冷たいなシュン!私もここに住みたいな~
ねえ美人なお姉さん、あなたはシュンの彼女か何かですか~?」
「え!い、いいいえ、私は使用人です。」
ラナンは急な質問のせいだろうか、少し顔を赤らめて自己紹介する。
「そ~なの!?じゃあラナンさんがいればシュン家事とかもしなくていいんだ!
羨ましい!シュンの父親が死んだって聞いたからどうしているかと思ったら、
そのおかげで案外幸せに暮らせてるのね~」
幼馴染は淡々と話し原稿を受け取ろうとする様子はない。
しかし突然、幼馴染は黙ると顔を伏せて何かを考えるように手を顎に付ける。
「そうなんだ・・・」
「早く持っていけ。用はそれだけだろ!」
「・・・シュン!それより今日から一緒にここに住まない?」
いつもの冗談だとわかっている峻矢は軽くあしらう。
しかし残り2人の女性、一人は目を細め、もう一人はフォークを止めた。
「それより・・・っておい、住まない。そもそもお前彼氏いるだろ!あの人気小説家の・・・」
「あー・・・そうだったわ・・・もう別れたわ!ってことで一緒に住もう!」
「ラナン、お客様がお帰りのようだよ!」
峻矢の号令とともにまるで待っていたかのようにラナンが反応する。
「では玄関までご案内します。」
幼馴染に強引に原稿を渡すと帰るように目で合図する。
「何よ~!また絶対来てやるからねー!」
幼馴染はラナンを見た後、原稿を渡した峻矢の目を見て怒ったように
頬を膨らませた。
編集者なら来るのは当然だろうけど。
この幼馴染、恭子は前の家の隣の家でよく遊んだのである。
峻矢は子供の時から小説家になろうと夢見ていた。
そのことを知った幼馴染は何気なく、何も考えずに
約束したのである『なら私はシュンの編集者になってあげるわ!』
と・・・・・・・・・
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