【仮題】VRMMOが世界的競技になった世界 -僕のVR競技専門高校生生活-

星井扇子

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慣れてきた日常

【04-02】中間テスト

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 中間テストを三日後に控えた今日僕は、AWのプレイを封印してテスト勉強をしていた。合宿に参加したくないというのもあるが、勉強が分かるという状況が楽しいだ。拓郎もなんだかんだ赤点は取らないだろうレベルにはなっている。地頭はいいのだ。当然といえば当然なんだろう。
 
 僕はどの教科もまんべんなく勉強していく。平均八十五は固いかもしれない。この学校では初めてのテストなので油断はできないが、結構な自信がある。
 
 僕は今日の分の勉強を終え、少し早いが寝る事にする。分厚い単語帳を開き、就寝前の暗記を行う。僕は英語の単語を発音しながら意味を覚えていく。
 同時通訳の技術が進歩して、現実の会話でもスマホ等の携帯型デバイスで同時通訳してくれるようになっているため、英語を覚える必要というのはすでにあまりない。読めない英文も、翻訳ソフトに書ければ一瞬で日本語に翻訳できる。一昔前は、意味が分からない文が混ざっていたり、脈絡がおかしくなったりしていたそうだが今では、スラングのような流行り言葉も余裕で翻訳できるものになっている。
 生徒専用のVRデバイス(通称:生徒証)にもそう言ったアプリは入っているので、ますます日常では使わないものになっている。それでも、覚えていた方がいいということなのだろう。
 
 ベッドに寝転がりながら行う暗記は思いのほか楽なのだ。適当にやっている暗記も朝になれば半分ぐらいは覚えているだろう。それを続けて行けばこの分厚い単語帳もいつかは全部覚えられるだろう。
 
 翌日、僕はアラームの音を聞いて跳び起きた。いつの間にか眠っていたようだ。ベットの下を見ると単語帳が落ちていた。少し後悔しながら、単語帳を拾い、机の上に置く。
 僕は共有スペースに行き、拓郎と合流してから食堂に行く。
 また日常が始まる。
 
 
 
-------



 今日は待ちに待った中間テストだ。中間テストは今日と明日の二日間。うなだれる拓郎を連れて教室に向かっている。ゴールデンウィーク後も少しの間は嫌な視線を感じていたが、今はそんなこともない。まだ油断はできないが当分は大丈夫だろう。
 あのイベント以来、効率組の一年が誰一人生き残れなかったことを知った効率組の教師陣が地獄のような訓練をしたと聞いている。
 実験組や生産組にはないが、効率組には武術のような戦闘訓練が一年から義務付けられているので、一時期校舎内でも筋肉痛と打ち身で普通に歩けないという生徒が死屍累々といった状況が続いていた。効率を考えると戦闘訓練は必須のものになるので僕たち実験組も二年から訓練が始まる。僕たち実験組は効率組の状況を見て、戦々恐々としていたものだ。
 
 机に座り、拓郎と話しながらもそんなことを考えていると、角田先生と南澤先生が教室に入ってきた。
 
 「全員いるかー?」
 「まだです」
 
 クラスの女子の一人が答えた。名前は確か柿本だったか。この学校は同じクラスでもライバルになるので関わろうとしない限り関わらないという人も出てくるらしい。特に異性だと、話す機会がないので忘れがちになってしまう。
 
 「そうか。まあ、いい。今日のテストはVR空間で行われるから準備しておけ」
 
 角田先生がそう言うと少なくない数の驚きの声が上がる。僕も口ポカンをやってしまった。
 VR空間でのテストなんて初めてだ。僕は抑えきれない興奮を自覚しながら準備を進める。準備が終わったころには胸の鼓動も平常のものに戻っていた。
 
 「VR空間でテストなんて始めてだな」
 
 拓郎が後ろを振り向いて僕の方を向きながら言った。拓郎がそうならVR空間でのテストが最近の標準ということはないだろう。一瞬、「都会スゲー」とかって思ってしまった自分が恥ずかしい。
 
 「どんなかんじなのかな」
 「興味はあるが、テストだからな。早く時間になってほしいけどなってほしくもないな」
 
 そう言いつつも、拓郎の顔をワクワクさせながら、テストの時間を待っていた。
 
 クラスメイトが全員揃うと角田先生が言った。
 
 「よし。時間前だな。では、全員VR接続を行ってくれ。サーバーいつものだ」
 
 僕は慣れた手つきで接続を開始する。サーバー選択画面で『一年十組』を選んでサーバーに接続する。
 VR空間にある教室にはすでに南澤先生がいた。
 この教室は、授業でもたまに使っていた。現実で用意できないようなものを見るときはこの空間で授業を行っていた。科学や物理の授業が特に多かった。危険な実験等もこの空間見ることでリスクを減らせるということだろう。
 
 全員の接続が終わり、角田先生が教卓に現れた。
 
 「じゃあ、テストを始める!」
 
 僕たちが席に着くと僕と机の四方にに壁が現れた。
 
 「テスト配布する! これ以降怪しい行動をとるとカンニングになるかもしれないか注意しろ。何かあれば手を上げるんだ」
 
 この壁はカンニング対策なのだろう。先生が言い終わると同時に机の上にテスト用紙と回答用紙が現れた。最後は英語のようだ。
 
 「では、開始!」
 
 僕は裏になっていたテスト用紙を勢いよくめくり、テストを始めた。
 英文読解でした線を入れながら読んでいく。猫が恋をする物語だった。感動で涙が出そうになるのをこらえながら僕は問題を解いていった。三科目が終わったところで昼休憩を挟み、昼食後、一科目のテストをしたところで今日のテストは終了した。
 授業がある日よりも時間が早いが、明日のテストの勉強をしないといけない。
 
 クラスメイトの中には教師たちが普段いる教員塔に向かう人もいるようだ。教員塔は三つ並ぶ校舎の真ん中にある。僕はまだ行ったことがないので中がどんな感じなのかはわからないが、一般的な職員室と同じ感じなのだろうか。
 
 拓郎たちと寮に戻ってそれぞれの勉強をした。僕は一人で勉強したかったので自室で勉強したが、拓郎は食堂で勉強していたみたいだ。
 今日のテストの難易度を見る限り、明日も大丈夫だと思うが、念には念を入れる。
 僕の集中が切れた時には既に八時近くになっていた。
 僕は勉強をやめ、食堂に行って夕食を取ることにした。
 
 食堂には、いつも以上の人がいた。三分の二以上の席が埋まっていた。僕は夕食をカウンターで受け取って空いた席を探すと、拓郎たちが勉強している場所を見つけたが空いている席は内容だったので、離れた席で夕食を食べ、トレーを片した後、声を掛けた。ちなみに今日の夕食はカレーにした。
 
 「おつかれ」
 「おお。おつかれー」
 
 僕が声をかけると坪田君が返してきた。今、ここにいるのは坪田君に智也そして拓郎だ。勇人の姿は見えない。この一角以外にもクラスメイトの姿が見えるので別のところにいるのかもしれない。
 
 「おお、瑠太。どうしたんだ?」
 
 僕に気づいた拓郎が顔を上げて、そう言った。
 
 「夜ご飯食べに来たんだよ」
 「ああ、なるほど」
 「勉強はどうだ?」
 
 僕が拓郎に返すと、智也が聞いてきた。
 
 「大丈夫だよ。今日と同じ感じであれば問題ないよ」
 「そうか」
 「そんなに簡単だったか?」
 
 安心した様子の智也とは別に拓郎が聞いてきた。拓郎には難しかったのだろうか。
 
 「応用も少なかったし、そこまでは難しくなかったんじゃないかな?」
 「確かに応用は少なかったな」
 
 僕の意見に坪田君が同意した。
 
 「あー。確かに少なかったかも……」
 
 拓郎も気づいたみたいだ。僕の中学の時のテストと比べても今日のテストは簡単なものだったと思う。教科書に書いてあることを覚えておけば点が取れるような問題が多かったのだ。
 
 「瑠太もここで勉強するか?」
 
 智也が僕に聞いてきた。
 
 「いや。部屋に戻るよ」
 
 僕からすると、食堂の中は少しうるさい。音があった方が集中できるという人もいるらしいが、それだとしても音が多すぎる。部屋の方が集中できそうだ。
 
 「そうか」
 「俺はもう少しここで勉強するわ。風呂も共有の方使うから気にしなくていいぞ」
 「分かった」
 
 拓郎の言葉に頷いた僕は三人と別れ、自室に向かった。
 自室に着いた僕は充電していた生徒証に通知が出ているのに気づいた。僕は生徒証のロックを解除して通知の内容を見ると、矢澤コーチからのメールだった。メールといっても個人チャットのようなものだ。明日の放課後に会って話がしたいと書いてあった。何のことだろう。間違いかもとは思ったが、とりあえず明日の放課後行くことにする。場所は、反応速度訓練用施設。後者のすぐそばにある施設だ。僕の能力のことでなにかあったのだろうか。
 あまり気にしても仕方ないので、シャワーを浴びることにした。シャワーを浴びた後はまた勉強することにする。やり残した部分はもうないとは思うが、もしものために見直しておくべきだろう。
 僕は十一時過ぎまで勉強をして、その後に少しのんびりとした時間を過ごしてから、就寝した。
 
 
 
 
 
 
 
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