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選手として
【07-09】会見①
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食堂奥の通路を抜け、食堂を横断する。
僕たち四人を先導するように数人のスタッフらしき人たちが囲んでいる。これが目立たないわけがない。僕たちは食堂に集まっている人たちの注目を受けながらエントランスへ向かっていた。
そんな僕たちを見つけた人の中には、カズさんや置田さんとコンタクトを取るために近寄ってくる人もいたが、その悉くがスタッフさんたちに阻止されていた。「これから会見なので」と告げれば皆、去っていくので大きな問題ではなかったが、僕にとっては初めてのことでびっくりの連続だった。
まるで自分が有名人にでもなった気分だ。僕としては肩身の狭い感覚を抱いているが、もしこの状況で胸を張るような人がいればそれは『威を借る狐』というやつなのかな、等と現実逃避をしながらエントランスへ抜けていった。
-------
エントランスへ続くドアを抜けると、僕たちは眩い光に包まれた。
パシャシャ、と鳴り響く歓声を聞いて、僕の網膜を麻痺させるこの光がカメラのフラッシュだと理解した。現代の技術ではフラッシュなど焚かなくとも鮮明な写真を撮ることが可能なのだ。これは僕の携帯デバイスである『黒川』でもできる。しかし、カメラマンの中には昔からあるフィルムカメラを使う人がいると聞いたことがある。いつかのテレビで流れてた。
実際にフラシュ攻撃を喰らった僕からすると、是非ともデジタルカメラに変えてほしいところだ。聞こえてきた音の数、すべてがフラッシュを焚こうものなら、僕の網膜は一時的に使用不可になっていただろう。
僕は徐々に戻ってきた視界の中に何人もの人がパイプ椅子に座っているのを、その後ろに僕の眼を攻撃した兵器を操りし者たちが僕たちに好奇と期待のまなざしを向けていた。彼らの正面には折り畳み式の長テーブルとパイプ椅子が四つ。テーブルの上にはどこかで見たか意見のように白い布が掛けられていた。
最初の話し合いの際に僕の席は一番手前側だと聞かされている。左端から僕、カズさん、置田さん、三鴨さんの順だ。この順は、記者が一番撮りたいのがカズさんと置田さんだからということだ。
僕は効いていたと通り一番手前なので三鴨さんを先頭にして歩いている三人の後ろに付く様に歩いた。流れるように動きを真似て僕も椅子に座る。背筋を伸ばして深く座った。座ったのは端の席だが、目の前にはノートを以って真剣な表情で僕たちを見つめる人々とカメラを持って一瞬の隙も見逃さないと言わんばかりの視線を向けるカメラマンたち。
さっきの挨拶と比べても今の方が怖い。僕一人だったら無言の圧力で責め立てられているのではないかと思てしまいそうだ。僕はできるだけ気配を消しながら時が過ぎるのを待った。
僕が席に着いてから数分だろうか。最初からここにいたチームのスタッフたちが三鴨さんに何やら耳打ちし、最終調整をしていた。三鴨さんは時にカズさんや置田さんに相談しながら何かを決めていた。僕には関係ないことらしく僕が何かを言われることはなかった。それもそのはず。俺が話すことはすでに決まっているのだ。ズバリ、自己紹介。それと少しの抱負を言えば終わりだ。今度はパニックにならないように「冷静になれ」と心の中で何回も唱えていると時間が来た。
-------
「それでは、時間が来ましたので『VR競技世界大会、日本チームの監督、並びに新キャプテンとこの合宿より加わる新メンバーの発表会見』を始めまさせていただきます」
司会役を任されている人だろうか、僕たちの席から少し離れた場所に置かれているマイクスタンドを使って男の人が会見の開始を告げた。
「まずは、VR競技世界大会、日本チームの監督である三鴨富士男よりご挨拶させていただきます」
そう言って、司会にの人は口を閉じる。それと同時に三鴨さんが口を開いた。
「皆さま、今日はお集りいただきありがとうございます。今年の日本チームの監督を任命された、三鴨富士男です」
三鴨さんが自身の紹介から挨拶を始める。
「一年とは早いものですね。今年も夏がやってきました。去年の大会はいくつかの活躍がありました。今年はそれも経た上での活躍をサポートできるようにしたいと考えています。日本チームは世界と比べても突出したプレイヤーがいません。だからといって、それを補うほどの個性を持ったチームにはなっていません。これは、今の日本チームの課題の一つだと思っています。私としてはこの課題を――」
三鴨さんは自己紹介を軽く済ませた後、今年の日本チーム監督である自身の考えを述べていった。
そして、会見は進み、三鴨さんの話が終わった。
「続きまして、今回、日本チームの新キャプテンになった置田選手からご挨拶させていただきます。置田選手、お願いします」
司会の人が告げたから置田選手が話し始めた。
「紹介にあずかりました置田猛です。えー。この度、日本チームのキャプテンを任命されました。私としては――」
置田さんは先程の三鴨さんと同じようにスラスラと話し始める。
三鴨さんの話で時間が過ぎていたからか、今の僕は少し落ち着き、周りを見る余裕があった。
僕は取材陣の動きを何気なく観察していた。
ペンを持ってノートに何やら殴り書きしている人、カタカタとキーボードを鳴らしながら携帯デバイスかパソコン型インターフェースに入力している人、手持無沙汰に置田さんの話を聞いている人、隣の人と何やら相談している人、そして、カメラを持って一瞬の隙も見逃さないと言わんばかりの視線を向ける人。いろんな人がいる。僕はそれを見て、さらに落ち着いて行った。
会見は進む。質問等は最後に聞くと打ち合わせにあったので、とりあえず僕たちの挨拶だけだ。
置田さんが終われば次は僕。カズさんの挨拶はないと聞いていたので最後は僕だ。
僕は自己紹介をするだけだ。僕は今あるほんの少しの時間を使って自己紹介の内容を考えることにした。そして、順番が来る。
「続きまして、今回、日本チームに新たに加わることになった堤選手からご挨拶させていただきます。堤選手は強化選手として日本チームに加わります。では、お願いします」
来た。僕は長テーブルに置かれているマイクの位置を確認する。そして、僕は記者の方に軽く頭を下げて会釈してから話し始めた。
「はじめまして。堤瑠太です。今年国立VR競技専門高等学校に入学した一年生、十六歳です」
始めに三鴨さんに言われていた『言っておくべきこと』を話してしまう。
「今回、私は強化指定選手としてチームに加わることになりました。私は――」
自分の名前と高校の名称、そして、強化選手であること。この三つだけは忘れないようにと言われていたのだ。だから僕はそれを矢継ぎ早に告げ、あとは選手としてどうなっていきたいかを軽く話す。
「まだ全然未熟な僕ですが、少しでも選手と活躍していけるように頑張っていきたいです」
そう言って、僕は自身の話を終える。話している最中に無意識に前に出していた上半身を後ろに下げ、パイプ椅子の背もたれへと背中を着ける。できる事なら姿勢も崩したいところだが、さすがにそれはできない。僕が一息つく間に司会の人が会見の進行を進めていた。
「では、記者の皆さまから、質問をいくつか受け付けたいと思います。会社名とお名前を言ってから質問してください」
会見は次の段階へと進んでいた。
僕たち四人を先導するように数人のスタッフらしき人たちが囲んでいる。これが目立たないわけがない。僕たちは食堂に集まっている人たちの注目を受けながらエントランスへ向かっていた。
そんな僕たちを見つけた人の中には、カズさんや置田さんとコンタクトを取るために近寄ってくる人もいたが、その悉くがスタッフさんたちに阻止されていた。「これから会見なので」と告げれば皆、去っていくので大きな問題ではなかったが、僕にとっては初めてのことでびっくりの連続だった。
まるで自分が有名人にでもなった気分だ。僕としては肩身の狭い感覚を抱いているが、もしこの状況で胸を張るような人がいればそれは『威を借る狐』というやつなのかな、等と現実逃避をしながらエントランスへ抜けていった。
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エントランスへ続くドアを抜けると、僕たちは眩い光に包まれた。
パシャシャ、と鳴り響く歓声を聞いて、僕の網膜を麻痺させるこの光がカメラのフラッシュだと理解した。現代の技術ではフラッシュなど焚かなくとも鮮明な写真を撮ることが可能なのだ。これは僕の携帯デバイスである『黒川』でもできる。しかし、カメラマンの中には昔からあるフィルムカメラを使う人がいると聞いたことがある。いつかのテレビで流れてた。
実際にフラシュ攻撃を喰らった僕からすると、是非ともデジタルカメラに変えてほしいところだ。聞こえてきた音の数、すべてがフラッシュを焚こうものなら、僕の網膜は一時的に使用不可になっていただろう。
僕は徐々に戻ってきた視界の中に何人もの人がパイプ椅子に座っているのを、その後ろに僕の眼を攻撃した兵器を操りし者たちが僕たちに好奇と期待のまなざしを向けていた。彼らの正面には折り畳み式の長テーブルとパイプ椅子が四つ。テーブルの上にはどこかで見たか意見のように白い布が掛けられていた。
最初の話し合いの際に僕の席は一番手前側だと聞かされている。左端から僕、カズさん、置田さん、三鴨さんの順だ。この順は、記者が一番撮りたいのがカズさんと置田さんだからということだ。
僕は効いていたと通り一番手前なので三鴨さんを先頭にして歩いている三人の後ろに付く様に歩いた。流れるように動きを真似て僕も椅子に座る。背筋を伸ばして深く座った。座ったのは端の席だが、目の前にはノートを以って真剣な表情で僕たちを見つめる人々とカメラを持って一瞬の隙も見逃さないと言わんばかりの視線を向けるカメラマンたち。
さっきの挨拶と比べても今の方が怖い。僕一人だったら無言の圧力で責め立てられているのではないかと思てしまいそうだ。僕はできるだけ気配を消しながら時が過ぎるのを待った。
僕が席に着いてから数分だろうか。最初からここにいたチームのスタッフたちが三鴨さんに何やら耳打ちし、最終調整をしていた。三鴨さんは時にカズさんや置田さんに相談しながら何かを決めていた。僕には関係ないことらしく僕が何かを言われることはなかった。それもそのはず。俺が話すことはすでに決まっているのだ。ズバリ、自己紹介。それと少しの抱負を言えば終わりだ。今度はパニックにならないように「冷静になれ」と心の中で何回も唱えていると時間が来た。
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「それでは、時間が来ましたので『VR競技世界大会、日本チームの監督、並びに新キャプテンとこの合宿より加わる新メンバーの発表会見』を始めまさせていただきます」
司会役を任されている人だろうか、僕たちの席から少し離れた場所に置かれているマイクスタンドを使って男の人が会見の開始を告げた。
「まずは、VR競技世界大会、日本チームの監督である三鴨富士男よりご挨拶させていただきます」
そう言って、司会にの人は口を閉じる。それと同時に三鴨さんが口を開いた。
「皆さま、今日はお集りいただきありがとうございます。今年の日本チームの監督を任命された、三鴨富士男です」
三鴨さんが自身の紹介から挨拶を始める。
「一年とは早いものですね。今年も夏がやってきました。去年の大会はいくつかの活躍がありました。今年はそれも経た上での活躍をサポートできるようにしたいと考えています。日本チームは世界と比べても突出したプレイヤーがいません。だからといって、それを補うほどの個性を持ったチームにはなっていません。これは、今の日本チームの課題の一つだと思っています。私としてはこの課題を――」
三鴨さんは自己紹介を軽く済ませた後、今年の日本チーム監督である自身の考えを述べていった。
そして、会見は進み、三鴨さんの話が終わった。
「続きまして、今回、日本チームの新キャプテンになった置田選手からご挨拶させていただきます。置田選手、お願いします」
司会の人が告げたから置田選手が話し始めた。
「紹介にあずかりました置田猛です。えー。この度、日本チームのキャプテンを任命されました。私としては――」
置田さんは先程の三鴨さんと同じようにスラスラと話し始める。
三鴨さんの話で時間が過ぎていたからか、今の僕は少し落ち着き、周りを見る余裕があった。
僕は取材陣の動きを何気なく観察していた。
ペンを持ってノートに何やら殴り書きしている人、カタカタとキーボードを鳴らしながら携帯デバイスかパソコン型インターフェースに入力している人、手持無沙汰に置田さんの話を聞いている人、隣の人と何やら相談している人、そして、カメラを持って一瞬の隙も見逃さないと言わんばかりの視線を向ける人。いろんな人がいる。僕はそれを見て、さらに落ち着いて行った。
会見は進む。質問等は最後に聞くと打ち合わせにあったので、とりあえず僕たちの挨拶だけだ。
置田さんが終われば次は僕。カズさんの挨拶はないと聞いていたので最後は僕だ。
僕は自己紹介をするだけだ。僕は今あるほんの少しの時間を使って自己紹介の内容を考えることにした。そして、順番が来る。
「続きまして、今回、日本チームに新たに加わることになった堤選手からご挨拶させていただきます。堤選手は強化選手として日本チームに加わります。では、お願いします」
来た。僕は長テーブルに置かれているマイクの位置を確認する。そして、僕は記者の方に軽く頭を下げて会釈してから話し始めた。
「はじめまして。堤瑠太です。今年国立VR競技専門高等学校に入学した一年生、十六歳です」
始めに三鴨さんに言われていた『言っておくべきこと』を話してしまう。
「今回、私は強化指定選手としてチームに加わることになりました。私は――」
自分の名前と高校の名称、そして、強化選手であること。この三つだけは忘れないようにと言われていたのだ。だから僕はそれを矢継ぎ早に告げ、あとは選手としてどうなっていきたいかを軽く話す。
「まだ全然未熟な僕ですが、少しでも選手と活躍していけるように頑張っていきたいです」
そう言って、僕は自身の話を終える。話している最中に無意識に前に出していた上半身を後ろに下げ、パイプ椅子の背もたれへと背中を着ける。できる事なら姿勢も崩したいところだが、さすがにそれはできない。僕が一息つく間に司会の人が会見の進行を進めていた。
「では、記者の皆さまから、質問をいくつか受け付けたいと思います。会社名とお名前を言ってから質問してください」
会見は次の段階へと進んでいた。
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