俺の推し♂が路頭に迷っていたので

木野 章

文字の大きさ
11 / 88
左江内編

「俺の家、来ませんか」

しおりを挟む
琥「実は、本当はアイコレを辞めるつもりはなかったんです。wedgeが解散しても僕はスタッフを務めようと思っていたので。
でも社長さんに使えないから出てけって、脱退になってしまいました。あはは…事実ですから、何も言い返せなくて…」

左「そんな…そんなの、琥珀君は何も悪くないですよ!!!」



あんまりだ

というか何のサポートもなしに放り出すなんて最低だろ…!?

アイコレの社長にふつふつと怒りが湧きつつも、続きの話を聞く


琥「入社したのも変わり種が欲しいからと勧誘が凄くて…断り切れない僕が悪いんです。それに、アイドルやった方が比較的お金入りますし…僕、恥ずかしながら親の借金を返済してて、その為にも入らざるを得なかったんです。…本来、こんな顔と体でアイドルなんか初めから無理だったんですけどね、あはは………」


困ったように眉を八の字に下げて笑う琥珀君がとても儚くて、苦しそうで

思わず抱き締めたくなってしまう


左「借金って、ご両親は…?」

琥「僕を残して何処か行っちゃったみたいです、だから必然的に僕に回ってきちゃって。あでも、心配しないでくださいね!そんなに多くなかったし、返済し切る直前での脱退だったので残りはバイトで何とかなったんですよ。ただ、その……」


そう言って、一度止まってココアを飲んでからまた話し出す


琥「住んでいるアパートの家賃までは手が回らなくて、左江内さんが助けてくれたあの日の朝追い出されちゃったんです。家具は売ってしまっていたし、持ち物もスマホと身分証くらいだったので…もう戻れなかったんです。」

左「…てことは、それからはずっと外で過ごしてたの!?」

琥「は、はい、恥ずかしながら……手持ちがホテルに泊まれる程無かったので…バイトも、応募しようにもスマホの充電がもう無くて出来なかったんです。」

左「ご飯は!?少しは食べましたか…!?」

琥「二日間は、公園のお水で何とかしてました。だから左江内さんが下さったココアが、凄く嬉しくて…えへへ」

こくりとココアを飲んで、大切そうに缶を手で包んだ




周りに振り回されて、琥珀君は何も悪くないのにこんな事になってしまったなんて
余りにも辛過ぎるだろ

 会社の不親切さにかなり憤りを感じて口から悪態が零れたが、

琥珀君が「寧ろ感謝しています、お給料を下さっていましたし…」なんて言うものだから、何も言えなくなる

琥珀君は優し過ぎるんだ

百円のココアなんかで目を潤ませるほど感謝してくれて

待遇の悪い会社にも感謝までして

蒸発した親なんかの借金を全部返済して

かつて追っかけであっただけの怪し過ぎる俺にも、こうして接してくれて


琥珀君は、やっぱり天使なんだ




気がつけば、声に出ていた


左「俺の家、来ませんか?」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

無口なきみの声を聞かせて ~地味で冴えない転校生の正体が大人気メンズアイドルであることを俺だけが知っている~

槿 資紀
BL
 人と少し着眼点がズレていることが密かなコンプレックスである、真面目な高校生、白沢カイリは、クラスの誰も、不自然なくらい気にしない地味な転校生、久瀬瑞葵の正体が、大人気アイドルグループ「ラヴィ」のメインボーカル、ミズキであることに気付く。特徴的で魅力的な声を持つミズキは、頑ななほどに無口を貫いていて、カイリは度々、そんな彼が困っているところをそれとなく助ける毎日を送っていた。  ひょんなことから、そんなミズキに勉強を教えることになったカイリは、それをきっかけに、ミズキとの仲を深めていく。休日も遊びに行くような仲になるも、どうしても、地味な転校生・久瀬の正体に、自分だけは気付いていることが打ち明けられなくて――――。

【完結】元騎士は相棒の元剣闘士となんでも屋さん営業中

虎ノ威きよひ
BL
 ここはドラゴンや魔獣が住み、冒険者や魔術師が職業として存在する世界。  カズユキはある国のある領のある街で「なんでも屋」を営んでいた。  家庭教師に家業の手伝い、貴族の護衛に魔獣退治もなんでもござれ。  そんなある日、相棒のコウが気絶したオッドアイの少年、ミナトを連れて帰ってくる。  この話は、お互い想い合いながらも10年間硬直状態だったふたりが、純真な少年との関わりや事件によって動き出す物語。 ※コウ(黒髪長髪/褐色肌/青目/超高身長/無口美形)×カズユキ(金髪短髪/色白/赤目/高身長/美形)←ミナト(赤髪ベリーショート/金と黒のオッドアイ/細身で元気な15歳) ※受けのカズユキは性に奔放な設定のため、攻めのコウ以外との体の関係を仄めかす表現があります。 ※同性婚が認められている世界観です。

【完結】君とカラフル〜推しとクラスメイトになったと思ったらスキンシップ過多でドキドキします〜

星寝むぎ
BL
お気に入りやハートなど、本当にありがとうございます! ひとつひとつが心から嬉しいです( ; ; ) ✩友人たちからドライと言われる攻め(でも受けにはべったり) × 顔がコンプレックスで前髪で隠す受け✩ スカウトをきっかけに、KEYという芸名でモデルをしている高校生の望月希色。華やかな仕事だが実は顔がコンプレックス。学校では前髪で顔を隠し、仕事のこともバレることなく過ごしている。 そんな希色の癒しはコーヒーショップに行くこと。そこで働く男性店員に憧れを抱き、密かに推している。 高二になった春。新しい教室に行くと、隣の席になんと推し店員がやってきた。客だとは明かせないまま彼と友達になり――

a life of mine ~この道を歩む~

野々乃ぞみ
BL
 ≪腹黒い他国の第二王子×負けず嫌いの転生者≫  第二王子:ブライトル・モルダー・ヴァルマ  主人公の転生者:エドマンド・フィッツパトリック 【第一部】この道を歩む~転生先で真剣に生きていたら、第二王子に真剣に愛された~  エドマンドは13歳の誕生日に日本人だったことを静かに思い出した。  転生先は【エドマンド・フィッツパトリック】で、二年後に死亡フラグが立っていた。  エドマンドに不満を持った隣国の第二王子である【ブライトル・ モルダー・ヴァルマ】と険悪な関係になるものの、いつの間にか友人や悪友のような関係に落ち着く二人。  死亡フラグを折ることで国が負けるのが怖いエドマンドと、必死に生かそうとするブライトル。 「僕は、生きなきゃ、いけないのか……?」 「当たり前だ。俺を残して逝く気だったのか? 恨むぞ」 【第二部】この道を歩む~異文化と感情と、逃げられない運命のようなものと~  必死に手繰り寄せた運命の糸によって、愛や友愛を知り、友人たちなどとの共闘により、見事死亡フラグを折ったエドマンドは、原作とは違いブライトルの母国であるトーカシア国へ行く。  異文化に触れ、余り歓迎されない中、ブライトルの婚約者として過ごす毎日。そして、また新たな敵の陰が現れる。  二部は戦争描写なし。戦闘描写少な目(当社比)です。 全体的にかなりシリアスです。二部以降は、死亡表現やキャラの退場が予想されます。グロではないですが、お気を付け下さい。 闘ったり、負傷したり、国同士の戦争描写があったりします。 本編ド健全です。すみません。 ※ 恋愛までが長いです。バトル小説にBLを添えて。 ※ 閑話休題以外は主人公視点です。 ※ ムーンライトノベルズにも投稿しております。

地味メガネだと思ってた同僚が、眼鏡を外したら国宝級でした~無愛想な美人と、チャラ営業のすれ違い恋愛

中岡 始
BL
誰にも気づかれたくない。 誰の心にも触れたくない。 無表情と無関心を盾に、オフィスの隅で静かに生きる天王寺悠(てんのうじ・ゆう)。 その存在に、誰も興味を持たなかった――彼を除いて。 明るく人懐こい営業マン・梅田隼人(うめだ・はやと)は、 偶然見た「眼鏡を外した天王寺」の姿に、衝撃を受ける。 無機質な顔の奥に隠れていたのは、 誰よりも美しく、誰よりも脆い、ひとりの青年だった。 気づいてしまったから、もう目を逸らせない。 知りたくなったから、もう引き返せない。 すれ違いと無関心、 優しさと孤独、 微かな笑顔と、隠された心。 これは、 触れれば壊れそうな彼に、 それでも手を伸ばしてしまった、 不器用な男たちの恋のはなし。

私の庇護欲を掻き立てるのです

まめ
BL
ぼんやりとした受けが、よく分からないうちに攻めに囲われていく話。

【完結】トリップしてきた元賢者は推し活に忙しい〜魔法提供は我が最推しへの貢物也〜

櫛田こころ
BL
身体が弱い理由で残りの余生を『終活』にしようとしていた、最高位の魔法賢者 ユーディアス=ミンファ。 ある日、魔法召喚で精霊を召喚しようとしたが……出てきたのは扉。どこかの倉庫に通じるそこにはたくさんのぬいぐるみが押し込められていた。 一個一個の手作りに、『魂宿(たまやど)』がきちんと施されているのにも驚いたが……またぬいぐるみを入れてきた男性と遭遇。 ぬいぐるみに精霊との結びつきを繋いだことで、ぬいぐるみたちのいくつかがイケメンや美少女に大変身。実は極度のオタクだった制作者の『江野篤嗣』の長年の夢だった、実写版ジオラマの夢が叶い、衣食住を約束する代わりに……と契約を結んだ。 四十手前のパートナーと言うことで同棲が始まったが、どこまでも互いは『オタク』なんだと認識が多い。 打ち込む姿は眩しいと思っていたが、いつしか推し活以上に気にかける相手となるかどうか。むしろ、推しが人間ではなくとも相応の生命体となってCP率上がってく!? 世界の垣根を越え、いざゆるりと推し活へ!!

血のつながらない弟に誘惑されてしまいました。【完結】

まつも☆きらら
BL
突然できたかわいい弟。素直でおとなしくてすぐに仲良くなったけれど、むじゃきなその弟には実は人には言えない秘密があった。ある夜、俺のベッドに潜り込んできた弟は信じられない告白をする。

処理中です...