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予想外な事に

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「此方でお待ちになっております」

「分かった、ありがと」

「…ナギ様、リギア様達はあの様に仰いましたが、呉々も失礼の無いようにお願い致します」

「分かってるよ、兄様ったら心配性なんだから」


じいやの心配そうな声に笑顔で返して、ドアをノックする


「失礼致します、第四王子ナギです」


中から、どうぞと優しい声が聞こえてきた


ガチャッ



「大変お待たせしました、失礼致しまっ………」


「お会いするのを心待ちにしてました、ナギ様」


椅子から立ち上がって俺を出迎えてくれたのは

本で読んだ、ニホンに多いとされる所謂塩顔男子で
切れ長の目に深い青色の優しい瞳
優しく微笑む薄い桃色の唇
綺麗に通った鼻筋

そして何より、俺が固まってしまったのは


あの本で読んだユカタにそっくりの、碧色の生地にキラキラとした金色の刺繍が施された着物


「…どうかなされましたか?」

「……っあ、も、申し訳ありません、失礼致します!!!」


扉の前で不自然に固まっていた事に気付いて、慌て一礼して中に入る

翠蓮様に促して対面する位置でソファに腰掛け、メイドさんが持って来てくれたお茶を一口飲む

…っさ、さてと、早速断りの話を


「…え、っと、皇太子様」

「翠蓮、と呼んでください」

「えっ、で、でも」

「失礼とは決して思いません、貴方に名前を呼んで頂きたいのです」

「は、ぃ……す、翠蓮様」

「ふふ、ありがとうございます。私もナギ様と呼ばせて下さい」

微笑む顔に思わず顔が赤くなってしまう

す、翠蓮様がこんなに美形だったなんて……!!!

それに、まるで俺の事が、す、好きかのような熱烈な目をしていて
心臓が変な音を立てている気がする

…い、いや負けるな俺、顔は良くても男だ
翠蓮様だって愛想良くしてくれているけれど男と結婚なんて嫌に決まってる筈


「あの、翠蓮様。早速本題に入らせて頂きますが…翠蓮様が俺と、け、結婚するって…」

「はい、急なご連絡で申し訳ありません。その事についてなのですが」


「僕が貴方と結構する事を望んで、僕のお父様伝いに国王陛下へとお願い致しました」

「えっ?」


あ、あれれ、予想外な事に
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