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北欧の章
北欧の章-5…動き出しかけた、歯車
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「そろそろ、街に着く頃だよ…って、おーい?」
「ちょっ…ロキさん、速いですよぉ……」
やっと3色目の茶色の城壁が青と白の平行線上にポツンと浮かんできたのを見てロキが振り返ると、そこには雪の上にだらしなく脚を投げ出して座っていた。
その光景を見てしょうがないなぁ…と苦笑しながら、それじゃあここで一息つこうか、とロキは提案する。
「…はぁぁ……疲れましたぁ…」
「お疲れ…といっても、そこまで歩いた実感もないんだけどね」
「…ここの人たちにとっては、散歩道程度の距離、ってことですか?」
やっぱり厳しい環境に住む人たちは凄いなぁ…と感嘆しながら翔はロキへと聞くと、彼はどこか含みのある笑いをもらした。
「フフフッ…そうかそうか、人ね…多分そうなんじゃないかな」
「……?そうですよね」
ロキの笑った意味が全く分からずに白く輝く太陽に自分の銀髪を照らされながら、翔は首を傾げるしかなかった。
その時だった…何処からか分からないが、地や天を揺るがすような何者かの声が聞こえたのは。
「グラ、ガァァァァァア!」
耳をつんざくのは、今まで聞いたこともないような、金切声や絶叫、断末魔にも近い咆哮であった。それは聞いているだけでも正気を奪われそうな程の禍々しさを感じた。そして
「…」
「あれ…ロキさん?」
不意の咆哮の直前までずっとヘラヘラとしていた紫髪の少年の様子が急変したのだ。彼の瞳は目の前に翔が立っているにも関わらずに何かを映している、という気配が全くないのだ。その上、ボーッと立っていて身体に力が入ってるような気がしない…風が吹いてきたら本当に流されて倒れていきそうである。そんな何処か操り人形めいた姿と化したロキを呆然と見つめながら、翔はこの状況を打破出来そうな方法を考えるも、何も浮かび上がらずに苦悩している。
しかし、そんな状況はまた一瞬で変化することとなる。
「…あれ、僕は一体…?」
「ロキさん!驚きましたよ…いきなりボーッとしてしまったので、てっきり調子でも悪くなったものかと……」
でも無事そうでなによりです…と労う翔の横でロキは内から沸き起こる何かへと戦慄していた。それは“自分自身を丸ごと塗り替えてしまうような何か”、であった。まるで、未知のウイルスに身体の内から自分の存在を食い荒らされ、或いは身体のシステム自体を書き換えられてしまうような恐怖へと襲われて、彼は発狂しかける。
「嫌だ、嫌だ、やめてよっ!!」
その恐怖へと突き動かされて、彼は頭を抱えたままいきなり宙に浮かび上がって何処かへと飛び去ってしまう。その突飛な行動と、突然の失踪とで二重のショックを受けた翔はしばらくの間その場へと立ち尽くし、気がついた時にはもうロキの姿を追う手がかりも存在しなかった。
「ちょっ…ロキさん、速いですよぉ……」
やっと3色目の茶色の城壁が青と白の平行線上にポツンと浮かんできたのを見てロキが振り返ると、そこには雪の上にだらしなく脚を投げ出して座っていた。
その光景を見てしょうがないなぁ…と苦笑しながら、それじゃあここで一息つこうか、とロキは提案する。
「…はぁぁ……疲れましたぁ…」
「お疲れ…といっても、そこまで歩いた実感もないんだけどね」
「…ここの人たちにとっては、散歩道程度の距離、ってことですか?」
やっぱり厳しい環境に住む人たちは凄いなぁ…と感嘆しながら翔はロキへと聞くと、彼はどこか含みのある笑いをもらした。
「フフフッ…そうかそうか、人ね…多分そうなんじゃないかな」
「……?そうですよね」
ロキの笑った意味が全く分からずに白く輝く太陽に自分の銀髪を照らされながら、翔は首を傾げるしかなかった。
その時だった…何処からか分からないが、地や天を揺るがすような何者かの声が聞こえたのは。
「グラ、ガァァァァァア!」
耳をつんざくのは、今まで聞いたこともないような、金切声や絶叫、断末魔にも近い咆哮であった。それは聞いているだけでも正気を奪われそうな程の禍々しさを感じた。そして
「…」
「あれ…ロキさん?」
不意の咆哮の直前までずっとヘラヘラとしていた紫髪の少年の様子が急変したのだ。彼の瞳は目の前に翔が立っているにも関わらずに何かを映している、という気配が全くないのだ。その上、ボーッと立っていて身体に力が入ってるような気がしない…風が吹いてきたら本当に流されて倒れていきそうである。そんな何処か操り人形めいた姿と化したロキを呆然と見つめながら、翔はこの状況を打破出来そうな方法を考えるも、何も浮かび上がらずに苦悩している。
しかし、そんな状況はまた一瞬で変化することとなる。
「…あれ、僕は一体…?」
「ロキさん!驚きましたよ…いきなりボーッとしてしまったので、てっきり調子でも悪くなったものかと……」
でも無事そうでなによりです…と労う翔の横でロキは内から沸き起こる何かへと戦慄していた。それは“自分自身を丸ごと塗り替えてしまうような何か”、であった。まるで、未知のウイルスに身体の内から自分の存在を食い荒らされ、或いは身体のシステム自体を書き換えられてしまうような恐怖へと襲われて、彼は発狂しかける。
「嫌だ、嫌だ、やめてよっ!!」
その恐怖へと突き動かされて、彼は頭を抱えたままいきなり宙に浮かび上がって何処かへと飛び去ってしまう。その突飛な行動と、突然の失踪とで二重のショックを受けた翔はしばらくの間その場へと立ち尽くし、気がついた時にはもうロキの姿を追う手がかりも存在しなかった。
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