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6. やっと
しおりを挟む先輩に抱かれている女を羨ましいと思ったあの日から数日、俺は教室で先輩の話をしている会話に聞き耳を立てながら情報を集めた
瀧本 尚哉先輩
一個上で成績は優秀、だけど素行に問題あり
父親は誰もが聞いたことのある大手企業の社長で母親はいない
ほんの少し意識を向けただけである程度の事は知れた
だけど、教室にいない時に見かける場所としてあの時見た裏庭や空き教室等いくつかの場所の名前は聞くけど屋上は聞かなかった
先輩がたまに屋上に行く事を知っているのは俺だけなのか
そう思ったらそれが堪らなく嬉しくて興奮した
でもすぐに、あの日先輩と一緒に屋上にいた顔も覚えていない女の姿と、先輩のあの一言を思い出し思わず歯を食いしばった
先輩は俺と屋上で会っているあの時間を何とも思っていなかった
"どうしたらあの目が俺だけに向けられるのだろう"
しかし、どれだけ考えても奔放な先輩を振り向かせるいい案なんて浮かんでこなくて、、、
とりあえず存在をちゃんと知ってもらおうと先輩がサボる時に使う場所を毎日回った
なかなか見つけられない時もあれば最中に出くわし女に罵声を浴びせられる時もあった
だけどその時、先輩の目は俺を捕らえていて
それが酷く俺を興奮させた
そんな日々を繰り返していればある日の昼休み
"先輩いるかな" と浮ついた気持ちで屋上への階段を上がれば見えたのは解錠されている扉
扉を開ければ日陰で横になる先輩の姿
"今日は一人だ!" さらに浮上する気持ちで先輩に近付けば物音に気付いた先輩が目を開ける
すると俺の姿を捕らえた先輩が放った一言に俺は硬直した
「あっ、れいじゃん」
今、なんて言った?
聞き間違いかと思った
それぐらいに先輩が発したその一言が信じられなかった
「あれ、違った?きみ篠宮 澪でしょ?」
「なんで、、俺のなまえ、、、」
「そりゃ何度も邪魔されちゃ名前ぐらい調べるよ」
そう言って先輩は俺の目をじっと見つめた
やっと、やっとだ
あの日からずっと焦がれていた
先輩の瞳が今、俺をしっかりと捕らえている
その事実に俺は涙が零れそうなほど感動した
「なんでそんな嬉しそうなの」
「だって、ずっとこの時を待ってた」
「はぁ?」
「初めて先輩を見た時、心を奪われたんです」
「 ⋯⋯ 」
「その後先輩がここで女としているのを見た時、先輩の中で俺の存在はその女以下だと知ってショックを受けました。その後にも先輩の行為を見た時に先輩に見つめられている女が心底羨ましかった、、、その瞳を俺に向けて欲しいって思ってたんです。」
「 ⋯⋯ 」
「だからわざと邪魔をして俺の存在を認知してもらおうと思ったんです。それがやっと、、、あぁ幸せだ」
俺の話を聞いた先輩は黙ったまま俺を見ていた
何を思っているのか分からない
でも、、
"先輩が今も俺を見ている"
その状況がほんとに幸せだった
するとゆっくりと先輩が口を開いた
その瞬間俺は唾をごくりと飲み込んだ
「それでお前はどうしたいの?」
「どうしたい?」
「なんかあるだろ。抱かれたいとか色々」
「抱かれたい、、、むしろ俺が先輩を抱きたいですね」
「はぁ!?お前が俺を?」
「はい!」
「やってらんねぇ。お前顔良いし男もやってみようかと思ったけどやめだ、俺が抱かれるとか冗談じゃねぇ」
そう言って立ち上がり扉へ向かう先輩の手を俺は咄嗟に掴んで自分の方へ引き寄せた
バランスを崩した先輩が俺の胸に飛び込む形で倒れ込めば先輩の唇に自分の唇を重ねた
慌てて俺から離れようとする先輩の腰に手を回しそれを阻止し再び唇を重ねた
「やめ、ろっ、、」
先輩が拒絶の言葉を発したタイミングで舌を滑り込ませ深いキスへと変えていく
すると次第に抵抗する力が弱まり俺に体を預けるようにしてさらに深くなっていくキスを受け入れ始めた
と同時に腰に回していた手を制服のなかに滑り込ませ先輩の肌に触れる
ビクッと動いた体
漏れる甘い声
そっと唇を離せば "もうおわり、、?" と言いたげに蕩けた顔でこちらをみる先輩
その表情に自然と上がる口角
そのまま先輩の耳元へと顔を近づけ囁いた
「先輩ってケーキでしょ?」
俺のその言葉にビクッと肩を揺らしたかと思えば俺から距離をとる
「おまえ、、、フォークか」
「はい」
「知ってたのか、俺がケーキだって」
「いえ、知らなかったですよ。」
「 ⋯⋯ 」
「ほんとですよ、さっきのキスで分かりました。」
「っ⋯⋯ 」
「何を食べても味がしない、正直それでも別にいいと思ってました。なんならもう死のうとすら思ってたぐらい。でも、先輩を初めて見たあの日からそんな事思わなくなったんです!どうやったら先輩と近付けるか、深い仲になれるかそればかり考えてた、、、ようやく一歩近付けたと思ったらまさかこんな事があるなんて、、、」
黙ったままの先輩を見つめながら俺は言葉を続けた
「ねぇ先輩、俺の恋人になって下さい」
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