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第2話 彼氏とのエッチ
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夜。軋むベッドの音が、薄暗いアパートの空気を揺らしていた。
身体の上で彼氏が激しく腰を振る。私は寝転んだまま、されるがままにそれを受け入れていた。
「おい、もっと声出せよ……!」
「……う、うぅ~ん、んん~……あはっ?」
彼氏に言われるがまま喘いだが、恥ずかしかったし、うまくできているのかよくわからなかった。
彼氏の腰の動きが、身体を触る手の動きが、乱れ暴れる。やがて、勝手に始めて勝手に気持ちよくなった彼はイッていた──。
派遣で働き始めて、そろそろ1年近くが経つ。高卒で就職して、いくつか職場を転々として、今は小さな広告代理店に落ち着いている。
仕事は簡単。だからつまらない。つまらないけど、別に嫌いでもない。何も考えずに済むだけ、楽である。
夜になると、たまに彼氏が来る。特別イケメンなわけでもなく、話が面白いわけでもない。知り合いの紹介で飲みに行って、何となく付き合い始めた。
初めて抱かれた日も、今も、特別な感情はなかった。
(……まぁ、こんなもんでしょ)
それが私の、恋愛とセックスに対する正直な感覚だった。
「お前さ、身体はすげーいいんだから、もうちょっと楽しそうにやれよ」
終わったあと、彼氏に責められたが、「そもそも気持ちよくないのにどうしろと」と思った。でも、前にそれを言ったら嫌な顔をされたので、黙っていた。
「AVでも見て勉強したら? ほら俺の見せてやるから」
そう言って、彼氏はスマホを見せてきた。
画面の中には、いろんな女の人の裸が映っていた。
「お前どんなのが好きなの?」
そんなこと訊かれてもわからなかった。
何気なく、画面の端のサムネイルをタップした。ギャルの乱交ものだったらしく、派手な髪とメイクの女優たちが、いきなり画面の中で喘ぎ始める。
「お、お前こういうの好きなの? じゃあ今度こんな感じのメイクしてよ」
少しの間、彼氏と一緒にスマホを覗き込んでいると、またすぐに身体を抱かれ、そのままベッドに押し倒された。
寝転んだ状態で、股を開かれる。ほとんど前戯もなしに、彼のものが膣内に挿入ってくる。
擦れる痛みを受け入れながら、私はぼんやりとスマホを見ていた。
画面の中では、相変わらずギャルたちが喘いでいる。今、ベッドの上で行われていることと同じように……。
しかしその中で、ひとりの女の子が目に留まった。
ひとりだけ黒髪の子。他と同じように派手なメイクに長い巻き髪をしているが、パッと見の印象は、地味である。
身長は低め。胸も尻もそこそこ。特別スタイルがいいわけではない。そんな子が男たちに回されながら喘ぐ姿が、なぜか目に焼きついて離れなかった。
不思議な感覚だった。画面の中では確かにギャルなのだが、その子だけはギャルというより、どこにでもいる「普通の女の子」のように見えた。
「この子、知ってる?」
私は再生を止め、彼氏にスマホを見せた。
「知らね? でも、こんな地味な女がAV出れてんだったら、お前でもいけんじゃね?」
画面の中のその子と、画面の外の私を見比べながら、彼氏は雑に笑った。
「お前さ、胸も尻もデカいじゃん。アソコも気持ちいいし。AV女優、やってみれば? 結構売れるんじゃね?」
彼はそう言うと、また腰を振り始めた。
普段なら、いつもの軽口だと流すところである。しかし今は、その言葉が胸に刺さった。
私はまたスマホの画面に目を落とした。
絡み合う舌。肌を這う指。焦らすような腰の動き。抱かれ震える脚。背中から腰に滲む汗……。そしてときどき、画面のこちら側を見るとろけた笑顔……。
その女の子は、小さな身体で、必死にセックスをしているように見えた。
たぶん、この子は本気でやってるんだろうと思った。それが妙に眩しかった。
激しいセックスが終わる。画面の中の女の子は、白いもので顔を汚されながら、声を震わせイッた。
映像が終わると、私はたくさんいる女の子たちの名前を調べた。
静かな部屋にスマホをタップする音が広がる。彼氏はまた勝手にイッて、今はシャワーを浴びている。
AVのタイトルは『大乱交スプラッシュギャルズSEX!』だった。
パッケージに映るたくさんの裸の中に、その女の子──〇〇メグミ──もいた。
その子の名前と裸だけが、不思議と頭に残った。
彼氏がシャワーからあがり、「返せよ」と言ってスマホを取り上げる。
言われるままスマホを返すと、私は自分のスマホを持ってお風呂に入った。
シャワーを浴びながら、忘れないように、自分のスマホでも『〇〇メグミ AV女優』と検索した。
(……AV女優かぁ)
おっぱいを持ち上げ、乳首をちろちろといじってみる。先端がぷっくりと勃ち、胸の張りが強調される。
アンダーヘアをシャワーで濡らす。柔らかな下腹部と、湿った黒い毛束が妙にエロい。
何気なく、女優のまねをしてポーズを取ってみた。
鏡に映る自分の裸と、画面の中の〇〇メグミの裸を見比べながら、何となく、私は微笑んでいた。
身体の上で彼氏が激しく腰を振る。私は寝転んだまま、されるがままにそれを受け入れていた。
「おい、もっと声出せよ……!」
「……う、うぅ~ん、んん~……あはっ?」
彼氏に言われるがまま喘いだが、恥ずかしかったし、うまくできているのかよくわからなかった。
彼氏の腰の動きが、身体を触る手の動きが、乱れ暴れる。やがて、勝手に始めて勝手に気持ちよくなった彼はイッていた──。
派遣で働き始めて、そろそろ1年近くが経つ。高卒で就職して、いくつか職場を転々として、今は小さな広告代理店に落ち着いている。
仕事は簡単。だからつまらない。つまらないけど、別に嫌いでもない。何も考えずに済むだけ、楽である。
夜になると、たまに彼氏が来る。特別イケメンなわけでもなく、話が面白いわけでもない。知り合いの紹介で飲みに行って、何となく付き合い始めた。
初めて抱かれた日も、今も、特別な感情はなかった。
(……まぁ、こんなもんでしょ)
それが私の、恋愛とセックスに対する正直な感覚だった。
「お前さ、身体はすげーいいんだから、もうちょっと楽しそうにやれよ」
終わったあと、彼氏に責められたが、「そもそも気持ちよくないのにどうしろと」と思った。でも、前にそれを言ったら嫌な顔をされたので、黙っていた。
「AVでも見て勉強したら? ほら俺の見せてやるから」
そう言って、彼氏はスマホを見せてきた。
画面の中には、いろんな女の人の裸が映っていた。
「お前どんなのが好きなの?」
そんなこと訊かれてもわからなかった。
何気なく、画面の端のサムネイルをタップした。ギャルの乱交ものだったらしく、派手な髪とメイクの女優たちが、いきなり画面の中で喘ぎ始める。
「お、お前こういうの好きなの? じゃあ今度こんな感じのメイクしてよ」
少しの間、彼氏と一緒にスマホを覗き込んでいると、またすぐに身体を抱かれ、そのままベッドに押し倒された。
寝転んだ状態で、股を開かれる。ほとんど前戯もなしに、彼のものが膣内に挿入ってくる。
擦れる痛みを受け入れながら、私はぼんやりとスマホを見ていた。
画面の中では、相変わらずギャルたちが喘いでいる。今、ベッドの上で行われていることと同じように……。
しかしその中で、ひとりの女の子が目に留まった。
ひとりだけ黒髪の子。他と同じように派手なメイクに長い巻き髪をしているが、パッと見の印象は、地味である。
身長は低め。胸も尻もそこそこ。特別スタイルがいいわけではない。そんな子が男たちに回されながら喘ぐ姿が、なぜか目に焼きついて離れなかった。
不思議な感覚だった。画面の中では確かにギャルなのだが、その子だけはギャルというより、どこにでもいる「普通の女の子」のように見えた。
「この子、知ってる?」
私は再生を止め、彼氏にスマホを見せた。
「知らね? でも、こんな地味な女がAV出れてんだったら、お前でもいけんじゃね?」
画面の中のその子と、画面の外の私を見比べながら、彼氏は雑に笑った。
「お前さ、胸も尻もデカいじゃん。アソコも気持ちいいし。AV女優、やってみれば? 結構売れるんじゃね?」
彼はそう言うと、また腰を振り始めた。
普段なら、いつもの軽口だと流すところである。しかし今は、その言葉が胸に刺さった。
私はまたスマホの画面に目を落とした。
絡み合う舌。肌を這う指。焦らすような腰の動き。抱かれ震える脚。背中から腰に滲む汗……。そしてときどき、画面のこちら側を見るとろけた笑顔……。
その女の子は、小さな身体で、必死にセックスをしているように見えた。
たぶん、この子は本気でやってるんだろうと思った。それが妙に眩しかった。
激しいセックスが終わる。画面の中の女の子は、白いもので顔を汚されながら、声を震わせイッた。
映像が終わると、私はたくさんいる女の子たちの名前を調べた。
静かな部屋にスマホをタップする音が広がる。彼氏はまた勝手にイッて、今はシャワーを浴びている。
AVのタイトルは『大乱交スプラッシュギャルズSEX!』だった。
パッケージに映るたくさんの裸の中に、その女の子──〇〇メグミ──もいた。
その子の名前と裸だけが、不思議と頭に残った。
彼氏がシャワーからあがり、「返せよ」と言ってスマホを取り上げる。
言われるままスマホを返すと、私は自分のスマホを持ってお風呂に入った。
シャワーを浴びながら、忘れないように、自分のスマホでも『〇〇メグミ AV女優』と検索した。
(……AV女優かぁ)
おっぱいを持ち上げ、乳首をちろちろといじってみる。先端がぷっくりと勃ち、胸の張りが強調される。
アンダーヘアをシャワーで濡らす。柔らかな下腹部と、湿った黒い毛束が妙にエロい。
何気なく、女優のまねをしてポーズを取ってみた。
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