マイのまねごと 〜AVやったきっかけ、やってみた感想、それで今ここ〜

寸陳ハウスのオカア・ハン

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第11話 今日はそんな日

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 吹き抜ける夜風が気持ちよかった。

 スッキリしていた。さっきのお客さんとは、4回した。プレイを思い出しながら、私はご機嫌で夜の街を歩いた。
 AVもデリヘルも、お仕事エッチは大変だ。でもさっきは、それなりに楽しくプレイできた。心も身体も、ちょっとだけ満足したかな。

 「マイのまねごと」なんて、誰にも見られてない。ずっとそう思っていた。
 でも今夜、やっと、本当の自分を知ってもらえた気がする。
 デリヘル嬢・モモカとして。元AV女優・〇〇マイじゃなく、私として……。

 田舎の街のラブホテルを出て、最寄り駅まで歩く。夜の街はまだ明るいが、人通りは来たときよりも少ない。
 歩道を歩きながら、私はスマホを取り出した。
 動画サイトを開き、「〇〇マイ」の名前を検索する。さっきのお客さんが見せてくれた、かつての自分が出演した作品が画面いっぱいに出てくる。

 私はスマホの画面を眺めながら、ぼーっと歩いた。メッセージアプリの通知画面には、メグちゃんの名前があった。

 何気なく「〇〇メグミ」の名前も検索した。新着欄には『円熟痴女の濃密ご奉仕ソープ 〇〇メグミ』というタイトルが表示されていた。

(ソープかぁ……。メグちゃん、タフだなぁ……)

 バカみたいなタイトル、隠すところのない下着、おマンコおっ広げた恥ずかしいポーズの裸。でも、ジャケットに映るメグちゃんの表情は、やっぱり本気で演じているように見えた。

 AV女優を引退してからも、メグちゃんとは定期的に連絡を取り合っていた。でも今は、メッセージを読む気になれなかった。

 嫌いなわけじゃないし、鬱陶しいとも思ってない。大切な親友。いろんなことを本音で話し合えるくらいには深い関係だった。
 相談すれば、メグちゃんは昔と同じように真剣に話を聞いてくれると思う。でも、今の私にはそれが重い。

(今の私は、ちゃんとしてるのかな……?)

 スマホの画面とにらめっこする。メグちゃんや、カナちゃんとの別れ際の言葉を思い出す。

(あー、もうっ……。もうちょっとちゃんとしてからじゃないと、連絡なんて取れないよ~)

 私はため息をつきながら、スマホをカバンにしまった。

 駅。夜の雑踏の中に、電車が揺れる音と、無機質なアナウンスが広がる。

 夜の光はきれいだった。プラットホームの風に当たる心は、どこか軽い。

 細かいことを気にしてもしょうがない。AVは、自分で始めて、自分で終わらせた。今日のお客さんは超優良顧客だったけど、それでもたぶん、デリヘルもいつかは辞める。

 過去は過去。今は今。マイはモモカで、モモカはマイ。

 そんなモモカも、結局は「マイのまねごと」なのかもしれない……。ただ、ここにいる私が本物なのは間違いない。

 別に何か特別なことが起こったわけじゃない。でも、今日はそんな日なんだと、私は思った。
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