396 / 411
蜜月
後輩の補習
しおりを挟む
「今日、絶対に一発ヤってから寝るからな」
電気ストーブの前にせっせと簡易ソファー(畳んだ布団)を用意する背中にそう言い放つと、一瞬ぴたりと動きが止まった後、聞き流す事にしたのか、黙ったまま先輩は作業を再開した。
無防備な背中に抱きつくと、何か言いたげな気配は感じたが、特に反応もなく準備出来た簡易ソファーに下された。離してなるものかと四肢を使い先輩にしがみついていると、焦れたのかオレごと先輩はソファーの上に寝転んだ。
「そんなに嫌なの……オレとヤルの」
先輩に押し潰されながら弱気な声で聞くと「嫌な訳じゃない」と一応は否定してくれた。
「俺を甘やかすな、セイシュン」
オレの拘束を解いて、一人で起き上がった先輩は冗談が混じらない声で言う。オレも体を起こし先輩の隣に座り、その顔を覗き込んでやると少し強張ったクソ真面目な表情が張り付いていた。
「今まではこんな事、なかったんだ。お前が俺以外の誰かと一緒にいるのを見ても平気だった」
ぽつりぽつりと呟く声。一応こちらも真面目に聞いてやろうと姿勢を正すと、オレを視界から追い出すように、少し視線を逸らせた。
「先輩が無駄な心配してるのは分かった。でも、マジで無駄だからな。寮長にとってオレは空気だし、オレにとってスバルは排気ガスみたいなもんだから」
視線の先に回り込むように、先輩の上を跨いで、いやそれじゃあ足りそうにないので、先輩の上に陣取って断言してやる。触れる体が強張るのを感じながらも、遠慮せず息のかかる距離で返事を待つ。
「……空気ないと死んじまうだろ」
なんだこの屁理屈。真っ当に『そういう意味じゃあない』と言うのも馬鹿らしく思えて、先輩の目をじっと見ていてやると、強張っていた顔が諦めたように緩んだ。今にも泣き出しそうな顔で先輩はオレを見た。
「自分の気持ちが分からないんだ。お前が関わるとおかしくなる」
先輩の肩に頭を寄せる。嫌がる気配はなかったので、ついでに服の中へ手を忍び込ませ腹を撫でてみた。
「寒いか?」
冷え切った指先は冷たい。オレが寒さから服の中に手を入れたと思ったのか、先輩は少しだけいつもの調子を取り戻して、服の上からオレの手を押さえ、自分の体温を与えようとしてくれる。じんわり温まる指先が焦ったい。もっとくれと言うように、温かい場所を求めて背中に腕を回すと、気持ちと一緒に体も萎んだのか逞しすぎる体のはずが、素直にオレの腕の中でおさまった。
「なぁ、しようよ先輩」
先輩の返事を待たずにオレは言いたい事を言う。
「オレも先輩と出会ってから、ずっとおかしいままだよ……似てるんじゃね? オレたち」
合図のように、スイッチのように、先輩の背中の傷痕に爪を立てる。下らない言い訳を喉を鳴らして飲み込むのが分かった。オレの冷たい指先が奪った体温があっという間に戻る。先輩の興奮に自然と同調し、こちらのスイッチも入ってしまった。
「放課後の続き、しようぜ」
引き寄せた耳元で開始を宣言した……つもりだったのだが、乗っていた体が唐突に岩のように固くなった。
「おい、どういうつもりだ?」
全身を強張らせ、強く目を閉じ、呼吸すらも止めている奴に抗議する。すると、気まずそうな口元がもごもごと動き「今日は反省の意味を込めて我慢したい」と言い出した。
「反省してんなら、しっかり相手しろ!」
反省という言葉で補習をサボろうとする奴の股間を遠慮なく弄ってやる。固くなり出したちんこを先輩好みの強めに掴んでやると、先輩は止めていた呼吸をゆっくり再開し始めた。空気でも抜くような息を長々と吐き出すと、気のせいではなく手のひらの感触が変わってくる。
電気ストーブの前にせっせと簡易ソファー(畳んだ布団)を用意する背中にそう言い放つと、一瞬ぴたりと動きが止まった後、聞き流す事にしたのか、黙ったまま先輩は作業を再開した。
無防備な背中に抱きつくと、何か言いたげな気配は感じたが、特に反応もなく準備出来た簡易ソファーに下された。離してなるものかと四肢を使い先輩にしがみついていると、焦れたのかオレごと先輩はソファーの上に寝転んだ。
「そんなに嫌なの……オレとヤルの」
先輩に押し潰されながら弱気な声で聞くと「嫌な訳じゃない」と一応は否定してくれた。
「俺を甘やかすな、セイシュン」
オレの拘束を解いて、一人で起き上がった先輩は冗談が混じらない声で言う。オレも体を起こし先輩の隣に座り、その顔を覗き込んでやると少し強張ったクソ真面目な表情が張り付いていた。
「今まではこんな事、なかったんだ。お前が俺以外の誰かと一緒にいるのを見ても平気だった」
ぽつりぽつりと呟く声。一応こちらも真面目に聞いてやろうと姿勢を正すと、オレを視界から追い出すように、少し視線を逸らせた。
「先輩が無駄な心配してるのは分かった。でも、マジで無駄だからな。寮長にとってオレは空気だし、オレにとってスバルは排気ガスみたいなもんだから」
視線の先に回り込むように、先輩の上を跨いで、いやそれじゃあ足りそうにないので、先輩の上に陣取って断言してやる。触れる体が強張るのを感じながらも、遠慮せず息のかかる距離で返事を待つ。
「……空気ないと死んじまうだろ」
なんだこの屁理屈。真っ当に『そういう意味じゃあない』と言うのも馬鹿らしく思えて、先輩の目をじっと見ていてやると、強張っていた顔が諦めたように緩んだ。今にも泣き出しそうな顔で先輩はオレを見た。
「自分の気持ちが分からないんだ。お前が関わるとおかしくなる」
先輩の肩に頭を寄せる。嫌がる気配はなかったので、ついでに服の中へ手を忍び込ませ腹を撫でてみた。
「寒いか?」
冷え切った指先は冷たい。オレが寒さから服の中に手を入れたと思ったのか、先輩は少しだけいつもの調子を取り戻して、服の上からオレの手を押さえ、自分の体温を与えようとしてくれる。じんわり温まる指先が焦ったい。もっとくれと言うように、温かい場所を求めて背中に腕を回すと、気持ちと一緒に体も萎んだのか逞しすぎる体のはずが、素直にオレの腕の中でおさまった。
「なぁ、しようよ先輩」
先輩の返事を待たずにオレは言いたい事を言う。
「オレも先輩と出会ってから、ずっとおかしいままだよ……似てるんじゃね? オレたち」
合図のように、スイッチのように、先輩の背中の傷痕に爪を立てる。下らない言い訳を喉を鳴らして飲み込むのが分かった。オレの冷たい指先が奪った体温があっという間に戻る。先輩の興奮に自然と同調し、こちらのスイッチも入ってしまった。
「放課後の続き、しようぜ」
引き寄せた耳元で開始を宣言した……つもりだったのだが、乗っていた体が唐突に岩のように固くなった。
「おい、どういうつもりだ?」
全身を強張らせ、強く目を閉じ、呼吸すらも止めている奴に抗議する。すると、気まずそうな口元がもごもごと動き「今日は反省の意味を込めて我慢したい」と言い出した。
「反省してんなら、しっかり相手しろ!」
反省という言葉で補習をサボろうとする奴の股間を遠慮なく弄ってやる。固くなり出したちんこを先輩好みの強めに掴んでやると、先輩は止めていた呼吸をゆっくり再開し始めた。空気でも抜くような息を長々と吐き出すと、気のせいではなく手のひらの感触が変わってくる。
0
あなたにおすすめの小説
春を拒む【完結】
璃々丸
BL
日本有数の財閥三男でΩの北條院環(ほうじょういん たまき)の目の前には見るからに可憐で儚げなΩの女子大生、桜雛子(さくら ひなこ)が座っていた。
「ケイト君を解放してあげてください!」
大きなおめめをうるうるさせながらそう訴えかけてきた。
ケイト君────諏訪恵都(すわ けいと)は環の婚約者であるαだった。
環とはひとまわり歳の差がある。この女はそんな環の負い目を突いてきたつもりだろうが、『こちとらお前等より人生経験それなりに積んどんねん────!』
そう簡単に譲って堪るか、と大人げない反撃を開始するのであった。
オメガバな設定ですが設定は緩めで独自設定があります、ご注意。
不定期更新になります。
BL 男達の性事情
蔵屋
BL
漁師の仕事は、海や川で魚介類を獲ることである。
漁獲だけでなく、養殖業に携わる漁師もいる。
漁師の仕事は多岐にわたる。
例えば漁船の操縦や漁具の準備や漁獲物の処理等。
陸上での魚の選別や船や漁具の手入れなど、
多彩だ。
漁師の日常は毎日漁に出て魚介類を獲るのが主な業務だ。
漁獲とは海や川で魚介類を獲ること。
養殖の場合は魚介類を育ててから出荷する養殖業もある。
陸上作業の場合は獲った魚の選別、船や漁具の手入れを行うことだ。
漁業の種類と言われる仕事がある。
漁師の仕事だ。
仕事の内容は漁を行う場所や方法によって多様である。
沿岸漁業と言われる比較的に浜から近い漁場で行われ、日帰りが基本。
日本の漁師の多くがこの形態なのだ。
沖合(近海)漁業という仕事もある。
沿岸漁業よりも遠い漁場で行われる。
遠洋漁業は数ヶ月以上漁船で生活することになる。
内水面漁業というのは川や湖で行われる漁業のことだ。
漁師の働き方は、さまざま。
漁業の種類や狙う魚によって異なるのだ。
出漁時間は早朝や深夜に出漁し、市場が開くまでに港に戻り魚の選別を終えるという仕事が日常である。
休日でも釣りをしたり、漁具の手入れをしたりと、海を愛する男達が多い。
個人事業主になれば漁船や漁具を自分で用意し、漁業権などの資格も必要になってくる。
漁師には、豊富な知識と経験が必要だ。
専門知識は魚類の生態や漁場に関する知識、漁法の技術と言えるだろう。
資格は小型船舶操縦士免許、海上特殊無線技士免許、潜水士免許などの資格があれば役に立つ。
漁師の仕事は、自然を相手にする厳しさもあるが大きなやりがいがある。
食の提供は人々の毎日の食卓に新鮮な海の幸を届ける重要な役割を担っているのだ。
地域との連携も必要である。
沿岸漁業では地域社会との結びつきが強く、地元のイベントにも関わってくる。
この物語の主人公は極楽翔太。18歳。
翔太は来年4月から地元で漁師となり働くことが決まっている。
もう一人の主人公は木下英二。28歳。
地元で料理旅館を経営するオーナー。
翔太がアルバイトしている地元のガソリンスタンドで英二と偶然あったのだ。
この物語の始まりである。
この物語はフィクションです。
この物語に出てくる団体名や個人名など同じであってもまったく関係ありません。
【完結・BL】俺をフッた初恋相手が、転勤して上司になったんだが?【先輩×後輩】
彩華
BL
『俺、そんな目でお前のこと見れない』
高校一年の冬。俺の初恋は、見事に玉砕した。
その後、俺は見事にDTのまま。あっという間に25になり。何の変化もないまま、ごくごくありふれたサラリーマンになった俺。
そんな俺の前に、運命の悪戯か。再び初恋相手は現れて────!?
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…
しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。
高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。
数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。
そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…
貢がせて、ハニー!
わこ
BL
隣の部屋のサラリーマンがしょっちゅう貢ぎにやって来る。
隣人のストレートな求愛活動に困惑する男子学生の話。
社会人×大学生の日常系年の差ラブコメ。
※この物語はフィクションです。
※現時点で小説の公開対象範囲は全年齢となっております。しばらくはこのまま指定なしで更新を続ける予定ですが、アルファポリスさんのガイドラインに合わせて今後変更する場合があります。(2020.11.8)
■2025.12.14 285話のタイトルを「おみやげ何にする? Ⅲ」から変更しました。
■2025.11.29 294話のタイトルを「赤い川」から変更しました。
■2024.03.09 2月2日にわざわざサイトの方へ誤変換のお知らせをくださった方、どうもありがとうございました。瀬名さんの名前が僧侶みたいになっていたのに全く気付いていなかったので助かりました!
■2024.03.09 195話/196話のタイトルを変更しました。
■2020.10.25 25話目「帰り道」追加(差し込み)しました。話の流れに変更はありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる