8 / 59
第一章
復讐を誓ってやりました。
しおりを挟む
探偵さんから報告書を受け取った後、私は一月ほど寝込みました。
聖女と呼ばれるフィアという女性の経歴を見てショックを受け、その上エイダンと彼女のゴシップ記事が立て続けに新聞に載り、私を打ちのめしたのです。
聖職者であるフィア嬢は、隣国への援軍に召集された医療班の一員だそうで、新聞によれば、道中、援軍を察した魔王が使わせた魔獣によって、フィア嬢たちは襲撃されました。そこへ我が婚約者であるエイダンが、自称勇者ご一行が助っ人に入り、魔獣を打ち倒したそうでございます。
そこで元から持ち合わせていらっしゃったのか存じませんが、奇跡の力とやらでエイダンの傷を癒やし、何故か本来の仕事を放棄して、彼らと共に魔王討伐の旅に同行する事になってしまったのです。
傷の治療をして下さる方が同行するのは、彼の健康を思えばありがたいことだと、私も必死で思い込もうとしました。
しかし、報告書にあった彼女の写真を見て、全てを悟ったのでございます。
聖女フィアは全身を女という凶器で武装した、正に兵器だったのです。
神話の女神様が顕現されたのかと思うほどに目映い美貌。
同じ女性として比較すら出来ない扇情的な肉体。
特に胸元などは豊満すぎて、私のような慎ましい胸元の人間が直視すれば、目が潰れてしまうのではないかと思うほど、立派な物をお持ちなのです。
それを布地の非常に少ないお洋服で隠しておいでなのですから、本当に一体何を討伐に行くおつもりですの、と問いただしてやりたい気持ちで一杯です。
ええ、ええ、見事に私の婚約者を討伐されましたよ。きっと骨抜きでしょう。あの胸元を目の前にしたら、きっと私だって拝んでしまうでしょうからね。エイダンを責めることは出来ません。
「聖女様……私が必ず、呪い殺してやりますとも」
フッフッフ。落ち込んでいた気持ちが、盛り上がって参りました。
景気づけに報告書に挟んであった写真を握り潰してやります。実に爽快です。
聖女と呼ばれるフィアという女性の経歴を見てショックを受け、その上エイダンと彼女のゴシップ記事が立て続けに新聞に載り、私を打ちのめしたのです。
聖職者であるフィア嬢は、隣国への援軍に召集された医療班の一員だそうで、新聞によれば、道中、援軍を察した魔王が使わせた魔獣によって、フィア嬢たちは襲撃されました。そこへ我が婚約者であるエイダンが、自称勇者ご一行が助っ人に入り、魔獣を打ち倒したそうでございます。
そこで元から持ち合わせていらっしゃったのか存じませんが、奇跡の力とやらでエイダンの傷を癒やし、何故か本来の仕事を放棄して、彼らと共に魔王討伐の旅に同行する事になってしまったのです。
傷の治療をして下さる方が同行するのは、彼の健康を思えばありがたいことだと、私も必死で思い込もうとしました。
しかし、報告書にあった彼女の写真を見て、全てを悟ったのでございます。
聖女フィアは全身を女という凶器で武装した、正に兵器だったのです。
神話の女神様が顕現されたのかと思うほどに目映い美貌。
同じ女性として比較すら出来ない扇情的な肉体。
特に胸元などは豊満すぎて、私のような慎ましい胸元の人間が直視すれば、目が潰れてしまうのではないかと思うほど、立派な物をお持ちなのです。
それを布地の非常に少ないお洋服で隠しておいでなのですから、本当に一体何を討伐に行くおつもりですの、と問いただしてやりたい気持ちで一杯です。
ええ、ええ、見事に私の婚約者を討伐されましたよ。きっと骨抜きでしょう。あの胸元を目の前にしたら、きっと私だって拝んでしまうでしょうからね。エイダンを責めることは出来ません。
「聖女様……私が必ず、呪い殺してやりますとも」
フッフッフ。落ち込んでいた気持ちが、盛り上がって参りました。
景気づけに報告書に挟んであった写真を握り潰してやります。実に爽快です。
0
あなたにおすすめの小説
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
復讐のための五つの方法
炭田おと
恋愛
皇后として皇帝カエキリウスのもとに嫁いだイネスは、カエキリウスに愛人ルジェナがいることを知った。皇宮ではルジェナが権威を誇示していて、イネスは肩身が狭い思いをすることになる。
それでも耐えていたイネスだったが、父親に反逆の罪を着せられ、家族も、彼女自身も、処断されることが決まった。
グレゴリウス卿の手を借りて、一人生き残ったイネスは復讐を誓う。
72話で完結です。
愚者による愚行と愚策の結果……《完結》
アーエル
ファンタジー
その愚者は無知だった。
それが転落の始まり……ではなかった。
本当の愚者は誰だったのか。
誰を相手にしていたのか。
後悔は……してもし足りない。
全13話
☆他社でも公開します
【完結】王妃を廃した、その後は……
かずきりり
恋愛
私にはもう何もない。何もかもなくなってしまった。
地位や名誉……権力でさえ。
否、最初からそんなものを欲していたわけではないのに……。
望んだものは、ただ一つ。
――あの人からの愛。
ただ、それだけだったというのに……。
「ラウラ! お前を廃妃とする!」
国王陛下であるホセに、いきなり告げられた言葉。
隣には妹のパウラ。
お腹には子どもが居ると言う。
何一つ持たず王城から追い出された私は……
静かな海へと身を沈める。
唯一愛したパウラを王妃の座に座らせたホセは……
そしてパウラは……
最期に笑うのは……?
それとも……救いは誰の手にもないのか
***************************
こちらの作品はカクヨムにも掲載しています。
王子を身籠りました
青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。
王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。
再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。
【完結】20年後の真実
ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。
マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。
それから20年。
マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。
そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。
おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。
全4話書き上げ済み。
甘そうな話は甘くない
ねこまんまときみどりのことり
ファンタジー
「君には失望したよ。ミレイ傷つけるなんて酷いことを! 婚約解消の通知は君の両親にさせて貰うから、もう会うこともないだろうな!」
言い捨てるような突然の婚約解消に、困惑しかないアマリリス・クライド公爵令嬢。
「ミレイ様とは、どなたのことでしょうか? 私(わたくし)には分かりかねますわ」
「とぼけるのも程ほどにしろっ。まったくこれだから気位の高い女は好かんのだ」
先程から散々不満を並べ立てるのが、アマリリスの婚約者のデバン・クラッチ侯爵令息だ。煌めく碧眼と艶々の長い金髪を腰まで伸ばした長身の全身筋肉。
彼の家門は武に長けた者が多く輩出され、彼もそれに漏れないのだが脳筋過ぎた。
だけど顔は普通。
10人に1人くらいは見かける顔である。
そして自分とは真逆の、大人しくか弱い女性が好みなのだ。
前述のアマリリス・クライド公爵令嬢は猫目で菫色、銀糸のサラサラ髪を持つ美しい令嬢だ。祖母似の容姿の為、特に父方の祖父母に溺愛されている。
そんな彼女は言葉が通じない婚約者に、些かの疲労感を覚えた。
「ミレイ様のことは覚えがないのですが、お話は両親に伝えますわ。それでは」
彼女(アマリリス)が淑女の礼の最中に、それを見終えることなく歩き出したデバンの足取りは軽やかだった。
(漸くだ。あいつの有責で、やっと婚約解消が出来る。こちらに非がなければ、父上も同意するだろう)
この婚約はデバン・クラッチの父親、グラナス・クラッチ侯爵からの申し込みであった。クライド公爵家はアマリリスの兄が継ぐので、侯爵家を継ぐデバンは嫁入り先として丁度良いと整ったものだった。
カクヨムさん、小説家になろうさんにも載せています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる