『雨天殺人事件』

篠崎俊樹

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最終話。

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     FIN
 そして、秋吉亮太の遺体発見から、四日後。農家の古賀さんが、俺の新聞店への出勤途中で、声を掛けてきた。
「都筑君。例の殺人事件の犯人が捕まったぞ。市内在住の大島公三という男だった。秋吉亮太を、通り魔的に殺害して、死体を遺棄したそうだ」
「そうですか?……では、事件は解決ですね?」
「ああ。安心していいぞ。君も、怯えないで、新聞店に行って、仕事をしなさい」
「ありがとうございます」
 俺は、古賀さんに一礼し、新聞店へと向かった。二月の朝倉市は、早朝は暗いが、何とか、視界は見えている。これから、仕事だ。だが、よかった。事件は解決した。橋本や横田、今川ら警察は、今頃、大島公三の自宅に行って、犯人を逮捕し、追って、取り調べるだろう。俺は安堵した。謎も残ってない。遺体わきにあったダガーナイフが凶器だったと、警察は見ているらしい。また、朝倉市は、街路に防犯カメラ等も付いてないので、警察が、執念で事件を追った結果が、今回の大島逮捕劇へと繋がった。これで、俺も、日常の新聞店の業務へと戻れる。一安心だ。
 今後、また、同様の事件が起きないとも限らない。だが、その時はその時だ。俺は、いつでも、この朝倉市で、戦うつもりでいる。また、それが、俺にとって、できることなのだ。
 ちょうど、新聞店に着くと、視界に、二月の空気が靄って、霞ができているのが見えた。俺は、出入り口から中に入り、入口に積んであった新聞の束を中に入れて、仕分け場でばらし始めた。また、俺の仕事が始まる。俺は、また、日常へと戻った。この雨天殺人事件ともお別れだ。そして、たった一週間足らずだったけど、関わった事件ともお別れで、また、仕事をすることになる。ちなみに、この一週間ちょっとのことを書き綴った、この小説は、俺にとって記録であって、書き留めたので、某小説の賞に応募することとする。最後に言っておくと、俺は、また、ここ朝倉市で、平和な日々を送れることになる。ありがたい。これが、この小説の結びの言葉だ。
                                  (了)
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