『福岡県朝倉市新道に』

篠崎俊樹

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福岡県朝倉市新道に

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 金本金属商会という会社がある。いわゆる、地元朝倉市の地金屋で、最近、そこのオヤジの奥さんが、ご病気で亡くなった。ご葬儀があったようだが、ほとんど人は行かなかった。旧甘木市にある、セレモニーさとうというところで、家族葬があり、人はほとんど参列しないまま、奥さんのご遺体は、荼毘に付されたようだ。もちろん、ボクも行かなかったし、英子さんも、比良松に在住する住人も、ほとんど行かれなかった。多分、猿渡新聞店のオーナーである、猿渡さんも行かなかったと思う。地金屋のオヤジは、乱暴で粗暴。はっきり言うと、第三国から来た人間で、ダイレックス朝倉店にしょっちゅう、お弁当を買いに来る、性質の悪いオヤジ。いわゆる、嫌われ者だ。英子さんも、あのオヤジに関しては、嫌気が差されているような感じだし、実際、比良松の住人は、よく言ってない。もちろん、ご葬儀は閑散としたものだったようで、参列者はほとんどおらず、葬儀屋も、閑古鳥だったようだ。ああなれば、終わりだと思う。ボクは文人で、元々、孤独なほうだけど、英子さんがいてくださるし、心強い。これから先、ボクは、安室奈美恵さんとか、宇多田ヒカルさん、北村夕起さんのような、素敵な女性みたいな人たちに憧れていて、地金屋のオヤジとか、うちの父親とか、いわゆる、悪い見本は嫌いなのだ。また、ああいう人たちは、人が嫌う。実際、地金屋には、人は寄り付かない。朝鮮だから……。はっきり言えばね。ボクも、朝日とか、毎日は、絶対見ない。また、見るわけもない。支持している自由民主党の敵だから……。ということで、ボクが、猿渡新聞店から委託を受けて配っている新聞だって、いい新聞と、そうじゃない新聞があって、区別をしているのだ。ただし、以前も言った通り、そして、今でも思っていることなのだけど、中宮野地区とか、八坂、山後には、聖教新聞を配るお家が、二、三軒あって、そこの方たちは、決して悪い方じゃない。それは、はっきりと申し上げておく。先ほど、夜の比良松を池田家に行って、ボクのドライヤーを、英子さんにプレゼントして差し上げた。自分で言うのもなんだけど、ボクの株は上がる。父親は、ヤケ酒を飲んで、タコ部屋で寝ている。あれが、豚まん屋カネキチヤを潰してしまった張本人であって、絶対に真似しちゃいけない。現に、朝倉市のほとんどすべての人が、父親から離れていったと思う。もう、誰も、「あなたが篠崎陽一さんですか?」と父に向かって、気さくに尋ねることはない。もう、父親のことは、誰も相手にしないのだ。最後に決定的に言っておくと、近くのご老人などは、「陽ちゃん(父の仇名)が一番悪い」と言って、決定的に口を利かれなくなった。その点、「俊ちゃん(ボクのこと)は、頑張っとるね」と言われる。自分で言うのもなんだけど、父親とボクは、いつしか、関係がシンメトリーになった。これは、ごく自然なことだと思う。だって、父は働かずに、もしくは、もう働けずに、鞭みちこさんとかいうオバチャンにストーカーして、演奏会とか、音楽会に嫌がらせもどきに行って、お金と時間をドブに捨ててくるのだから……。妹の優子だって、離れていった。もう、誰も、父親を相手しないだろう。地金屋の亡くなった奥さんと、同じ運命・末路を辿ること、必定だ。以上。
                             (了)
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