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永遠の約束
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翌朝、雪明が出仕して独りになった後、あやめはいろいろな考えを思い巡らせていた。
もし、なんとかして結界をくぐり抜けて在御門家に入れたとしても、どうしたら私が『あやめ』だと分かってもらえるのか?
例えあやめだと分かってもらえたとしても、それから…
『どうしよう…』
どうしても最後には自分が誰の式神になるのか? という問いかけが残ってしまう。
忠保と雪明の顔が思い浮かぶ。
二人共、表面的には冷静沈着なくせに。
ごくたまに、内に秘めた熱い思いを露わにすることがある。
そういう所、『似ているなぁ』と、思う。
忠保の本心はあやめを自分のものにしたいという強い思い。
雪明は内面では、あやめの存在すら忠保に知らせたくないという思いを抱いている。
『どうにかして、雪明の式神のまま、忠保様達の所にもいつでも行けるようにすることはできないだろうか?』
伝えたい事とは、
『いつでも傍にいるから』
という思い。
『人の心が無くなった後でも、あの人達を見守りたい』
これがあやめの本心だった。
しばらく悩んでため息をついた。
『やはりあの方に頼むしかないかな』
あやめは目を瞑って祈った。
『龍様…』
しばらくすると、目の前が光輝いて、人型の龍様が姿を現した。
『やあ、その後どうだい?』
鈴が転がるようにコロコロと笑う。
『龍様、私が在御門家で人型を取る方法はありませんか? 雪明は教えてくれませんでした』
『雪明は、あるには、ある、と言ったのだろう?』
『はい、そうなんです』
『うん、確かに、あるにはあるよ』
『え?』
急に龍様は人型から元の龍の姿に変わった。
『あやめがね、人の心が無くなって元の式神に戻れば、式神としての霊力が戻るんだよ、そうしたら姿も変える事ができるよ』
あやめは自分と同じように透明な龍様の姿を見上げた。
『どうしても、人の心がある内に人型になってお伝えしたいのです、その場合は?』
『在御門家で雪明の霊力を使えばいいんだよ』
龍様にサラっと言われて、一瞬あやめは目を見開いた。
雪明のあの歯切れの悪い『あるにはある』の意味はこういう事だったのか、と。
今まで雪明は、在御門家には式神としてあやめ独りで行かせてきた、しかも気づかれないように。
本人も独りで行っていた。
決して一緒に行こうとはしなかったのである。
恐らく、雪明があやめと一緒に行かなかった理由は、忠保に知られたくない一心からだろう。
どうすれば、一緒に行ってくれるのか?
さらに、そこで雪明には霊力を使ってもらわなければならない。
気が付くと隙間から、傾いた夕陽が差し込んできていた。
もうすぐ雪明が帰って来る頃だろう。
『龍様、私からの最後のお願いです、私はこれから妖狐の姿で在御門家に向かいます、雪明は私が調伏されるのは絶対に見過ごさないと思うんです』
『だから?』
『雪明を在御門家に向かわせてください、そこで霊力を使うようにと伝えてください、龍様の言う事なら雪明も否やとは言わないでしょう』
『うん』
『それから、これは、交換条件なのですけど、どんなに忠保様が私を人間にしたいと願ったとしても私を雪明の式神のままにしておいてください』
『分かったよ、あやめ』
ふふふと軽やかな笑声が聞こえてきた。
もし、なんとかして結界をくぐり抜けて在御門家に入れたとしても、どうしたら私が『あやめ』だと分かってもらえるのか?
例えあやめだと分かってもらえたとしても、それから…
『どうしよう…』
どうしても最後には自分が誰の式神になるのか? という問いかけが残ってしまう。
忠保と雪明の顔が思い浮かぶ。
二人共、表面的には冷静沈着なくせに。
ごくたまに、内に秘めた熱い思いを露わにすることがある。
そういう所、『似ているなぁ』と、思う。
忠保の本心はあやめを自分のものにしたいという強い思い。
雪明は内面では、あやめの存在すら忠保に知らせたくないという思いを抱いている。
『どうにかして、雪明の式神のまま、忠保様達の所にもいつでも行けるようにすることはできないだろうか?』
伝えたい事とは、
『いつでも傍にいるから』
という思い。
『人の心が無くなった後でも、あの人達を見守りたい』
これがあやめの本心だった。
しばらく悩んでため息をついた。
『やはりあの方に頼むしかないかな』
あやめは目を瞑って祈った。
『龍様…』
しばらくすると、目の前が光輝いて、人型の龍様が姿を現した。
『やあ、その後どうだい?』
鈴が転がるようにコロコロと笑う。
『龍様、私が在御門家で人型を取る方法はありませんか? 雪明は教えてくれませんでした』
『雪明は、あるには、ある、と言ったのだろう?』
『はい、そうなんです』
『うん、確かに、あるにはあるよ』
『え?』
急に龍様は人型から元の龍の姿に変わった。
『あやめがね、人の心が無くなって元の式神に戻れば、式神としての霊力が戻るんだよ、そうしたら姿も変える事ができるよ』
あやめは自分と同じように透明な龍様の姿を見上げた。
『どうしても、人の心がある内に人型になってお伝えしたいのです、その場合は?』
『在御門家で雪明の霊力を使えばいいんだよ』
龍様にサラっと言われて、一瞬あやめは目を見開いた。
雪明のあの歯切れの悪い『あるにはある』の意味はこういう事だったのか、と。
今まで雪明は、在御門家には式神としてあやめ独りで行かせてきた、しかも気づかれないように。
本人も独りで行っていた。
決して一緒に行こうとはしなかったのである。
恐らく、雪明があやめと一緒に行かなかった理由は、忠保に知られたくない一心からだろう。
どうすれば、一緒に行ってくれるのか?
さらに、そこで雪明には霊力を使ってもらわなければならない。
気が付くと隙間から、傾いた夕陽が差し込んできていた。
もうすぐ雪明が帰って来る頃だろう。
『龍様、私からの最後のお願いです、私はこれから妖狐の姿で在御門家に向かいます、雪明は私が調伏されるのは絶対に見過ごさないと思うんです』
『だから?』
『雪明を在御門家に向かわせてください、そこで霊力を使うようにと伝えてください、龍様の言う事なら雪明も否やとは言わないでしょう』
『うん』
『それから、これは、交換条件なのですけど、どんなに忠保様が私を人間にしたいと願ったとしても私を雪明の式神のままにしておいてください』
『分かったよ、あやめ』
ふふふと軽やかな笑声が聞こえてきた。
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