ダンジョン島へようこそ! 創造スキル持ちの転生者、ダンジョン島を改造し、ほのぼのライフを満喫したい! 

あ、まん。

文字の大きさ
8 / 49

✜08 沐浴

しおりを挟む

 ふーん、ここが人間の街かぁ~。

 ダンジョン島と呼ばれているこの島唯一の街で、ふたつの大陸からそれぞれ色々な人がこの島へやってきて自然とできた街。冒険者がダンジョン島を探索するために宿屋や酒場、冒険者ギルドなどが、集まっており、どこの国の領土にも属していないため、治安はあまりいいようには見えない。

 いちおう冒険者ギルドが雇った自警団がいるが、金で雇われている冒険者なので、賄賂なんて当たり前で、法を定めておらず、渾沌とした街ながら、冒険者がダンジョンを探索して稼いでくる財宝などで潤い、なんとか街として成り立っているといった印象を受けた。

 さっそく用件を済ませる。薬草店、魔法具店、武器屋、防具屋、宿屋を順番に回った。

 品物を買う必要はなく、クリエイティブで後で作りたいものを触ったり、ニオイを嗅いだり、どれくらいの重さなのか持ち上げたりして「認識」するだけで、いくらでも作ることができる。

 この日、最後に向かったのは街のほぼ中央にある十数軒も並んでいる宿屋のひとつ。目的は宿泊を兼ねて、家具や調度品などを認識するため。

 部屋はひとつだがベッドはふたつある。浴室はなく、宿屋の人が適度な温度に温めた水の入った桶を持ってきたので、シュリに先に入ってくださいと言われたので、一足先に沐浴することにした。

 携帯するのに便利な旅行用の小さな洗顔、シャンプー、リンスセットとボディソープもクリエイティブで作って準備は万端、沐浴だが川で入るよりあったかいし落ち着いて入ることができる。

「アラタ様、お背中を流します」
「え、え、え?」

 洗髪して、身体を洗おうとしたら、シュリがカーテンをめくり湯あみ用のタイルが張られたスペースへ入ってきた。
 
 宿屋の身体拭きの布を使い、背中をゴシゴシと洗ってもらった。

 正直、恥ずかしい。シュリの顔も真っ赤だった。恥ずかしいんだったら無理なんてしなくていいのに……。

「あ、ありがとう」
「いえ……その……私の背中もあとでお願いできないでしょうか?」
「え?」
「無理なら大丈夫です! 申し訳ありません変なこと口走っちゃって」
「いや、いいよ」

 彼女の顔がまともに見れない。恥ずかしすぎて気を失いそう。──でも、背中を流して欲しいと滅多にお願いなんてしてこないシュリが頼まれたんだ。ちゃんと応えてあげないと。

 自分の番が終わり、シュリが湯あみをする番になった。カーテンの向こうで衣擦れの音が微かに聞こえてくる。

「アラタ様、お願いします」
「う、うん」

 前に薄い布を当てた状態でこちらに背中を向けて座っている。12歳と年齢どおりの線の細いカラダ。いつも丸まっている白い尻尾が濡れて垂れ下がっている。

「──んっ!」
「ゴメン、痛かった?」
「いえ、その背中がかゆくなってしまって」

 びっくりした。直視するのが耐えられないので、はやく済ませようと顔を背けながら背中を洗っていたら、シュリが声を出したので、心臓が飛び出るほど驚いてしまった。

「じゃ続けるよ?」
「はい、お願いします」

 シュリの国は奴隷である証の首輪がついている。きつく締まっている訳ではなく、指一本くらいは差し込めるほどは余裕はあるので、手が届きにくいであろう下側の方から布を潜り込ませて入念に洗ってあげる。

 奴隷っていったいなんなんだろうな? 種族は違うけど同じ言葉を話す人間同士、なぜ人は奴隷を欲するのか?

 ボディーソープを身体拭きの布へ充分染みこませてシュリの背中を洗い流し終わった。

 ふたりとも湯あみを済ませて、就寝した。こんなにふかふかなベッドに寝たのは久しぶりだ。拠点化したゴブリンの集落にこのベッドを作るのも、わる……く……。



 ちゅんちゅん、という鳥の鳴き声で目が覚めた。いつの間に寝入ったのかわからないぐらいによく眠れた。やはり管理下に置いているとはいえ、ゴブリンの集落のど真ん中で寝るよりはるかに安心感が得られたからだと思う。

 って、うわぁぁぁッ。

 シュリが自分のベッドへ潜り込んで寝ている。微かな寝息が聞こえ、自分の肩へおでこをぴったりとくっつけて寝ている姿はとても愛くるしい。──ってそんな悠長な感想を呟いている場合じゃなかった。

 問題はベッドがふたつあるし、寝る時はもうひとつのベッドに寝ていたはずのシュリがなぜ自分のベッドで寝ているか、だ。

 夢かもしれない……もう少し寝てみようかな。

 次に目覚めた時には、隣にシュリはおらず、朝食を部屋まで運んでくれていた。

「シュリ、朝って」
「はい?」
「いや、なんでもない」

 隣で寝てた? と聞きたかったが、寝ぼけて夢だったらとても恥ずかしい。黙っておくことにした。

 有耶無耶になったまま、それ以上、シュリに問うこともせず、朝食を終え、準備を済まし、宿屋を出た。

「おや? シュリではありませんか?」

 誰? 通りを歩いていたら眼鏡をかけた恰幅のいい老人が近づいてきた。

「今のご主人ですかな?」
「アナタは?」

 シュリが、老人の顔を見て自分の背中へ隠れた。手を広げて老人の接近を防いだ。

「申し遅れました。私はブンゲル、奴隷商人をやっている者です」

 奴隷商人……人間を品物として売り買いを生業としている一生、接点がなくてもいい人種。

「これでも商人の端くれ、商品を見る目は持っているつもりです」
「なにが言いたい?」

 眼鏡の奥にあるヘの字をした目がうっすらと開いて、シュリを見定める。

「いえですね、ずいぶんと価値が上がったようですから、是非買い戻させて頂けないかと……」
「断る」
「そうですか、なら結構です。それより……」

 本題は最初から違った? 畳みかけるように言葉を紡ぐ速度があがり、こちらの反応に気に留めることなく話を続けた。

「どうやら貴男様は『上客』のご様子、いかがですかな? もう一人奴隷をってみては?」




しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

外れスキルは、レベル1!~異世界転生したのに、外れスキルでした!

武蔵野純平
ファンタジー
異世界転生したユウトは、十三歳になり成人の儀式を受け神様からスキルを授かった。 しかし、授かったスキルは『レベル1』という聞いたこともないスキルだった。 『ハズレスキルだ!』 同世代の仲間からバカにされるが、ユウトが冒険者として活動を始めると『レベル1』はとんでもないチートスキルだった。ユウトは仲間と一緒にダンジョンを探索し成り上がっていく。 そんなユウトたちに一人の少女た頼み事をする。『お父さんを助けて!』

異世界転生したらたくさんスキルもらったけど今まで選ばれなかったものだった~魔王討伐は無理な気がする~

宝者来価
ファンタジー
俺は異世界転生者カドマツ。 転生理由は幼い少女を交通事故からかばったこと。 良いとこなしの日々を送っていたが女神様から異世界に転生すると説明された時にはアニメやゲームのような展開を期待したりもした。 例えばモンスターを倒して国を救いヒロインと結ばれるなど。 けれど与えられた【今まで選ばれなかったスキルが使える】 戦闘はおろか日常の役にも立つ気がしない余りものばかり。 同じ転生者でイケメン王子のレイニーに出迎えられ歓迎される。 彼は【スキル:水】を使う最強で理想的な異世界転生者に思えたのだが―――!? ※小説家になろう様にも掲載しています。

【完結】転生したら最強の魔法使いでした~元ブラック企業OLの異世界無双~

きゅちゃん
ファンタジー
過労死寸前のブラック企業OL・田中美咲(28歳)が、残業中に倒れて異世界に転生。転生先では「セリア・アルクライト」という名前で、なんと世界最強クラスの魔法使いとして生まれ変わる。 前世で我慢し続けた鬱憤を晴らすかのように、理不尽な権力者たちを魔法でバッサバッサと成敗し、困っている人々を助けていく。持ち前の社会人経験と常識、そして圧倒的な魔法力で、この世界の様々な問題を解決していく痛快ストーリー。

セーブポイント転生 ~寿命が無い石なので千年修行したらレベル上限突破してしまった~

空色蜻蛉
ファンタジー
枢は目覚めるとクリスタルの中で魂だけの状態になっていた。どうやらダンジョンのセーブポイントに転生してしまったらしい。身動きできない状態に悲嘆に暮れた枢だが、やがて開き直ってレベルアップ作業に明け暮れることにした。百年経ち、二百年経ち……やがて国の礎である「聖なるクリスタル」として崇められるまでになる。 もう元の世界に戻れないと腹をくくって自分の国を見守る枢だが、千年経った時、衝撃のどんでん返しが待ち受けていて……。 【お知らせ】6/22 完結しました!

レベルアップは異世界がおすすめ!

まったりー
ファンタジー
レベルの上がらない世界にダンジョンが出現し、誰もが装備や技術を鍛えて攻略していました。 そんな中、異世界ではレベルが上がることを記憶で知っていた主人公は、手芸スキルと言う生産スキルで異世界に行ける手段を作り、自分たちだけレベルを上げてダンジョンに挑むお話です。

神様の忘れ物

mizuno sei
ファンタジー
 仕事中に急死した三十二歳の独身OLが、前世の記憶を持ったまま異世界に転生した。  わりとお気楽で、ポジティブな主人公が、異世界で懸命に生きる中で巻き起こされる、笑いあり、涙あり(?)の珍騒動記。

悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる

竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。 評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。 身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。

転生したら鎧だった〜リビングアーマーになったけど弱すぎるので、ダンジョンをさまよってパーツを集め最強を目指します

三門鉄狼
ファンタジー
目覚めると、リビングアーマーだった。 身体は鎧、中身はなし。しかもレベルは1で超弱い。 そんな状態でダンジョンに迷い込んでしまったから、なんとか生き残らないと! これは、いつか英雄になるかもしれない、さまよう鎧の冒険譚。 ※小説家になろう、カクヨム、待ラノ、ノベルアップ+、NOVEL DAYS、ラノベストリート、アルファポリス、ノベリズムで掲載しています。

処理中です...