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# 26 異常だらけのダンジョンの日常
しおりを挟む「キリッ」、「ニャー」、「ツタツタッ」、「ゴリゴリィィ」、「グー」
5体のモリがおじいちゃんの後を追って、暗い穴の中に飛び込んでいった。
「パーッ!」、「……」、「チョキ」、「……」、「アベベ」
残ったのは、パー犬、チョキ犬、野良サル2体とアベベという葉っぱのモリ……。
(わたし、ここでしんじゃうのかな?)
隠れていた白い包帯を巻いた気持ち悪い怪物がいっぱい出てきた。
(おじいちゃんがいなくなったから?)
「アベベ」
「パーッ」
葉っぱのモリが、パー犬に何か伝えた。
返事をしたパー犬が、歩茶を崩れていない建物の中へと押しやった。
建物の出入り口は狭くできているので、一度に入ってくる白い包帯を巻いた化け物は少ない。チョキ犬と野良サル達が入ってきた化け物を片っ端から倒していく。それでもやはり数が多いので3体で仕留められない時だけパー犬が投網で動きを止めるといった連携を見せている。
(……こわい)
白い化け物の姿は人間にも見える。ただ手足の関節の曲がる向きがおかしく人がブリッジした状態で四足歩行をしているようにみえて気持ち悪い。
しばらくすると外が騒がしくなってきた。
白い包帯を巻いた化け物が建物の中に入って来なくなったので、建物から出てみることにした。
どうやら散らばっていたモリ達がこの廃墟エリアに続々と集まっているらしく、あちこちでモリ達が化け物と戦っている。
「キリッ」
「あっ──」
(ゆだんしちゃった)
建物の上にいた化け物が、飛び降りてきたらしく、斬リッ株が1体、私をかばって犠牲になった。
「ごめんね……いたっ」
「べべッ、べーーーッ」
斬リッ株の手を取り、消えていくのを見守っていたら、アベベに頭を叩かれた。
(すごくおこってる。あるさのせい? ──そうだ。いまはあるさががんばらなきゃ……)
斬リッ株が遺した斧を髪を操作して拾い上げる。そして、髪束を足代わりにして、近くの化け物を襲った。
歩茶の髪を操作した時の移動は、熟練のツタ忍並みの速さなので、不意打ちに遭った化け物はあっさりと歩茶の斧で真っ二つにされた。
その後、歩茶は全体的にやや不利な状況を覆した。他に倒れた斬リッ株の斧も拾い上げ、二刀流で化け物をたくさん仕留めた。
(これならかてる!)
そう思った次の瞬間、微かに聞こえるキリキリと鳴る音。
その音を聞いた途端、すべての白い四足歩行の化け物は戦闘をやめ、ある横穴の方向に走っていった。
(なにあれ?)
巨大な人間に似た化け物。
5、6メートルくらいの身長で全裸。犬を散歩させるように首輪のついた巨大な蛇頭で、体が翼の生えたライオンのような怪物と一緒に横穴から姿を見せた。
白い化け物たちはその巨人の元へ行き、その場で跳ねたりして、喜んでいるかのよう。
ドサッと、何かを投げた。
鹿のような生き物の死骸。その死骸に白い化け物達が群がっていく。
「しゅる?」
(こわい。ちょっと目があった?)
巨大な蛇頭の化け物。
大きさだけなら、馬よりも少しデカい。
歩茶は、すかさず建物の裏に隠れた。
「にゃにゃにゃにゃっ!」
(ニャース? なんでそんなにあわてているの?)
「しゅるるるっ」
「──っ⁉」
いつの間にか、歩茶が隠れていた建物の上にやってきて、歩茶を見下ろしていた。
「ボムボムボムっ、ゴリィ~~~ゴリッ⁉」
建物の上から首だけ伸ばし、歩茶を襲ったが、ゴリ親方のドラミングショットが炸裂し、歩茶に噛みつく瞬間、蛇の頭を真横に吹き飛ばした。
(きいてない⁉)
ゴリ親方のドラミングショットは、これまで何度か見たことがあるが、コンクリートの壁くらいなら簡単に穴を開けるほどの威力がある。それなのに全力のパンチが効かないとなると、どうやってこの化け物を倒していいのか、方法がわからない。
「ベベ~~っ!」
アベベ。
いつの間にか、遠く離れたこの空洞の中で一番大きな建物の入り口まで避難して、歩茶の方に手を振っている。
(むこうにおいでってこと?)
考える時間はない。
歩茶は自分の髪の毛をしなやかで俊足のチーターの脚をイメージして、ダッシュでアベベのところへ向かう。
後方では、もう一度、ゴリ親方のパンチ音が聞こえた。おそらく足止めしてくれている。
(ふぁぁぁっ⁉)
全速力で、まっすぐアベベの元へ向かっていたので、建物が死角になって見えていなかった巨人が建物の陰から巨大な手を振り下ろした。
潰されるっ──そう思ったが、危険を察知したツタ忍の蔦が歩茶のお腹に巻かれ、進行方向を直角に曲げてくれたので、巨人の手に潰されずに済んだ。
動きは鈍い。なので、巨人を無視してアベベの待つ建物に向かったが、イヤな予感がしたので体と首をやや強引に曲げて巨人の方を確認した。
巨人は振り下ろしたその手で、ボウリングの球くらいの石を掬いながら投げた後だった。急速に歩茶に迫る大きな石。避けるか受けないと体に当たったら無事では済まない質量に速度が加わっている。
「んぅぅぅ~~っ……やあああっ!」
足代りに使っていた髪の毛をすべて石を受け止めるために巨人側の方に集める。石が歩茶に着弾、しかし、押し込まれた風船の中心のように弾丸と化した石礫の衝撃を髪の毛で吸収して、その反動を利用して、巨人の右目に石の塊が直撃した。
「wvX'(S^.er7Cnf8p⁉」
右目を押さえて苦しんでる。
その間に歩茶は、アベベの待つ建物の中に逃げ込めた。
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