異世界でスキルを奪います ~技能奪取は最強のチート~

星天

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第五章 迷宮都市

第三十九話 迷宮用備品

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 俺たちは組合《ギルド》を出た後、街へ繰り出した。

 街は喧噪感が漂っている。辺り一面でがなる声が聞こえてくる。特に商店が立ち並ぶ商売区の辺りまでいくと、それは顕著になっていた。自分の店に一人でも多く取り込もうとしてるのがわかるほど激しい声が聞こえてくる。
 閑静な迷宮内と喧噪な商売区。まるで氷と炎のように全く違う。同じ街の中とは思えない。

 俺たちは比較的高級な店に入る。さすがに店の中で怒声は聞こえない。

 カウンターに何人かの店員がいる。恐らく注文すれば持ってきてくれる仕組みだろう。

 「いらっしゃいませ。何をお求めでしょうか」

 丁寧な口調で話しかけてくる。

 「迷宮用のテント、それ用の結界護石。後は【流水】の魔術が刻まれた水筒を二つ。保存食も三日分」
 「かしこまりました」

 迷宮用のテントは普通のテントとは違う。魔獣の危険性がより高い迷宮内では、より強靭で、より単純な仕組みのテントが重宝される。

 結界護石は勿論の通り、ある程度の範囲に結界系統の魔術が刻印されている石だ。これを使うことで結界をすぐ張れる。

 水筒と保存食は言うまでもない。

 注文すると店員は逡巡した。恐らく、俺たちを見定めているのだろう。そして、すぐに流暢に説明を始めた。

 「まず、迷宮用テントです。こちらには、飛竜《ワイバーン》の皮が一部に織り込まれており、高い物理耐久性と魔術耐久性を持ちます。さらに付与として、【軽量化】がかけられており、持ち運びも楽になっています。金貨四十七枚です」

 正直、【軽量化】の付与《エンチャント》はいらない。【虚空庫之指輪《リング・オブ・アイテムボックス》】があるから重量関係無く、物を運べる。

 王女様もそれを思ったのか、声をかけてくる。

 「もうちょっと耐久性があるテントの方がいいのではないでしょうか」
 「そうだね」

 俺は店員を向いて訊ねた。

 「耐久性に優れているテントはありませんか?」

 店の在庫を考えているのだろう。少し考えこんでいる。

 「耐久性に特化させた、岩飛竜《ストーンワイバーン》の皮で作ったものがあります。付与《エンチャント》として、【耐熱】【耐寒】がかけられています。先ほどより高くなりますが耐久性は一級です。金貨五十五枚です」

 【耐熱】【耐寒】の付与は正直、微妙だ。別にこの迷宮は特別な環境変化があるわけではない。そう考えると、これも微妙か……

 俺は店員にそう伝えた。

 「そうですね。では、この店の中で一番、耐久力のあるテントでいかがでしょうか。巨岩緋龍《レッドジャイアント》の皮で作られた逸品です。付与は何もかけられておりません。ですが、それでも金貨七十五枚です。どうでしょうか」

 先ほどより高くなったが、王からのお金で大丈夫だろう。

 「それでお願いします」
 「では、次は結界護石です。【風結界】の金貨三枚のものでよろしかったですか。」

 結界護石は基本的に値が高い方がより強力なものとなっている。金貨クラスは相当な性能だから、十五階層までは魔物は近づくことさえ憚るだろう。二十階層でも大丈夫だろう。

 「はい。それでよろしくお願いします」
 「わかりました。では、次は水筒ですね。こちらは二つで金貨二枚です。保存食は三日分で金貨一枚です。合計で金貨六十一枚です」
 「これで」

 俺は【虚空庫之指輪《リング・オブ・アイテムボックス》】から金貨を出す。さすがに金貨八十一枚にもなると、金色に鈍く光る小さな山となった。

 「かしこまりました」

 店員は見事な手つきで金貨十枚の山をどんどんと作っていた。八つの山と一枚の金貨に分けられた。代金の確認が済んだ店員は紙を手に取った。

 「では、商品をとって参ります」

 そう言って、店の奥に消えた。

 しばらくして、大きめなバックパックに商品を詰めて現れた。俺らは商品の確認をしっかりとする。

 「バックパックはサービスでお付けさせて頂きます。またのご利用をお待ちしています」

 店員は笑顔で俺たちを見送った。
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