41 / 60
第五章 迷宮都市
第四十話 紅い化け物
しおりを挟む
迷宮の第十一階層まで来た。【身体強化|《フィジカルアップ》・極】と【俊敏超強化】の無属性術式を使ったので、意外とあっという間についた。第十一階層は草原で木々が所々に生えている平和な場所だった。
魔獣の種類も増え、遭遇した新しい魔獣として、下位吸血鬼や黄金狼。【五階層階層主】の緑子鬼王などだ。特に【五階層階層主】緑子鬼王は初めての階層主だったので、手こずった。ノーリスクで家来|《ゴブリン》を呼び出せるのはチートだと思う。まぁ、勿論、技能は奪ったんだけどね。
第十一階層からは地図が売ってなかったので、【状況解析】を使いながら移動している。おかげで、行軍速度は鈍っている。恐らく、今夜はここで一夜を過ごすことになるだろう。
「敵発見…前方、左右に三匹、真横に五匹、後方、左に三匹。囲まれた」
考え事をしていたら、雄牛人に囲まれたらしい。
「【転移】」
俺は王女様と一緒に空中に転移した。
雄牛人たちは俺たちの気配が急に無くなったことに驚いている。俺は【虚空庫之指輪】から 【金聖剣】を取り出し、久しぶりに【形状変化】を使う。
「【形状変化:形態:超長剣】」
長すぎる剣を作り出す。長剣というには長すぎる。剣と呼ぶことすらできないような代物。
俺はそれを振るう。
「【疑似武技・旋風斬】ッ!」
剣が旋風を纏い、それを解放する。爆撃でも起きたのかと思わせるほど、辺りが爆音と衝撃で染まった。ただ、それでも一匹残った。
「万の素よ。炎と風の混合。渦巻き、踊り狂うは螺旋となり、敵を穿て。【炎嵐】」
王女様の詠唱と共に炎の嵐が飛んでくる。……ってここも範囲じゃんか!
「【転移】」
俺は間一髪で炎の嵐を避け、王女の隣に戻った。
「当たりそうになったんだけど」
「すみません。コントロールが難しくて」
雄牛人の群れは可哀想に上からの強烈な風の斬撃と炎の嵐に焼かれて消えた。蹂躙劇といった方が正しい。
俺たち二人は余裕すぎて、魔獣の群れを処理するだけになっていた。
「雄牛人は十匹追加で、一匹は燃えたから回収不可だし」
「すみません。雄牛人は五十七匹目であってますか」
「うん」
俺は頷く。ここまで雄牛人の群れに三回あって、全滅させた。
「第十二階層に降りる階段がありませんね」
「うん。そろそろ見つけてもいい頃なんだけどな」
一時間近く、走っても見つけれなかったため、空中からの【状況解析】でも見つけれなかった。
なぜだろう。
「もう隠蔽術式でも使われてるんでしょうか」
「幻惑術式かもしれないぞ。隠蔽術式なら技能|《スキル》でわかるし」
幻惑術式なら闇属性の魔獣が使えないこともないかもしれない。
「うん?」
俺は直感的にあることを思った。
「【反響】」
無属性魔術の【反響】で物理的障害物を探査する。ただ、物理的障害物はない。恐らくは術式による阻害。
「【空間探査】」
うん? 空間が歪だ。空間がねじ曲がっているのか?
「しかも、一つの地点に収束している」
「魔術的にだまされていましたか」
【術理】で術式の解析を図る。
「取りあえず、魔獣か魔者だな。とりあえず、倒してしまおう」
「そうですね。しかし、魔者だとすると、一体どうしてこんな低階層にいるのでしょうか」
「確かに。五十より下でもいいはずなのに……」
などと話していると解析が終わった。
【空間偽装】Ⅴ~Ⅶ『空間属性』+『闇属性』
空間ごと変化させ、隠蔽する。最低でもⅤの超難解な合成術式。隠蔽範囲によって難度変更。解除方法は術者討伐か術式を壊す。
「は?」
「どうしたのですか」
王女様が俺のうっかり漏らした声に反応する。俺は王女様にこの内容を伝える。
「最低Ⅴランクの魔術? 御伽話のような話です」
「迷宮の階層を丸々偽装したと考えるとⅦランクの魔術かもしれない」
とすると、これより下の階層に何か隠蔽したいものでもあるのか……
「とりあえず、術式を壊す。【形態:】」
俺は【金聖剣】に魔力を集中させる。術式が一カ所に収束している点を細剣で貫く。
「ハッ!」
かけ声と共に収束点を突く。
パキンッ
ガラスが割れるような音が響いた。
「なっ、下等生物如きが術式破壊を行っただと!?」
少女? 黒と紅のドレスを身に纏っている姿は可愛らしい。しかし、その姿は異質だ。黒い気配の様なものを身に纏い、紅く流動性のある―恐らくは血だろう―球体を八つほど下僕のように浮かせている。
魔者。恐らくは超高位の吸血鬼|。
「【原祖】? いや【神祖】?」
「まずい。攻撃が来る」
勘が告げる。不味いと。
しかし、彼女は俺らが戦闘体勢をする前に声を発す。
「永久の安寧を!【血鎖夜想曲】」
魔獣の種類も増え、遭遇した新しい魔獣として、下位吸血鬼や黄金狼。【五階層階層主】の緑子鬼王などだ。特に【五階層階層主】緑子鬼王は初めての階層主だったので、手こずった。ノーリスクで家来|《ゴブリン》を呼び出せるのはチートだと思う。まぁ、勿論、技能は奪ったんだけどね。
第十一階層からは地図が売ってなかったので、【状況解析】を使いながら移動している。おかげで、行軍速度は鈍っている。恐らく、今夜はここで一夜を過ごすことになるだろう。
「敵発見…前方、左右に三匹、真横に五匹、後方、左に三匹。囲まれた」
考え事をしていたら、雄牛人に囲まれたらしい。
「【転移】」
俺は王女様と一緒に空中に転移した。
雄牛人たちは俺たちの気配が急に無くなったことに驚いている。俺は【虚空庫之指輪】から 【金聖剣】を取り出し、久しぶりに【形状変化】を使う。
「【形状変化:形態:超長剣】」
長すぎる剣を作り出す。長剣というには長すぎる。剣と呼ぶことすらできないような代物。
俺はそれを振るう。
「【疑似武技・旋風斬】ッ!」
剣が旋風を纏い、それを解放する。爆撃でも起きたのかと思わせるほど、辺りが爆音と衝撃で染まった。ただ、それでも一匹残った。
「万の素よ。炎と風の混合。渦巻き、踊り狂うは螺旋となり、敵を穿て。【炎嵐】」
王女様の詠唱と共に炎の嵐が飛んでくる。……ってここも範囲じゃんか!
「【転移】」
俺は間一髪で炎の嵐を避け、王女の隣に戻った。
「当たりそうになったんだけど」
「すみません。コントロールが難しくて」
雄牛人の群れは可哀想に上からの強烈な風の斬撃と炎の嵐に焼かれて消えた。蹂躙劇といった方が正しい。
俺たち二人は余裕すぎて、魔獣の群れを処理するだけになっていた。
「雄牛人は十匹追加で、一匹は燃えたから回収不可だし」
「すみません。雄牛人は五十七匹目であってますか」
「うん」
俺は頷く。ここまで雄牛人の群れに三回あって、全滅させた。
「第十二階層に降りる階段がありませんね」
「うん。そろそろ見つけてもいい頃なんだけどな」
一時間近く、走っても見つけれなかったため、空中からの【状況解析】でも見つけれなかった。
なぜだろう。
「もう隠蔽術式でも使われてるんでしょうか」
「幻惑術式かもしれないぞ。隠蔽術式なら技能|《スキル》でわかるし」
幻惑術式なら闇属性の魔獣が使えないこともないかもしれない。
「うん?」
俺は直感的にあることを思った。
「【反響】」
無属性魔術の【反響】で物理的障害物を探査する。ただ、物理的障害物はない。恐らくは術式による阻害。
「【空間探査】」
うん? 空間が歪だ。空間がねじ曲がっているのか?
「しかも、一つの地点に収束している」
「魔術的にだまされていましたか」
【術理】で術式の解析を図る。
「取りあえず、魔獣か魔者だな。とりあえず、倒してしまおう」
「そうですね。しかし、魔者だとすると、一体どうしてこんな低階層にいるのでしょうか」
「確かに。五十より下でもいいはずなのに……」
などと話していると解析が終わった。
【空間偽装】Ⅴ~Ⅶ『空間属性』+『闇属性』
空間ごと変化させ、隠蔽する。最低でもⅤの超難解な合成術式。隠蔽範囲によって難度変更。解除方法は術者討伐か術式を壊す。
「は?」
「どうしたのですか」
王女様が俺のうっかり漏らした声に反応する。俺は王女様にこの内容を伝える。
「最低Ⅴランクの魔術? 御伽話のような話です」
「迷宮の階層を丸々偽装したと考えるとⅦランクの魔術かもしれない」
とすると、これより下の階層に何か隠蔽したいものでもあるのか……
「とりあえず、術式を壊す。【形態:】」
俺は【金聖剣】に魔力を集中させる。術式が一カ所に収束している点を細剣で貫く。
「ハッ!」
かけ声と共に収束点を突く。
パキンッ
ガラスが割れるような音が響いた。
「なっ、下等生物如きが術式破壊を行っただと!?」
少女? 黒と紅のドレスを身に纏っている姿は可愛らしい。しかし、その姿は異質だ。黒い気配の様なものを身に纏い、紅く流動性のある―恐らくは血だろう―球体を八つほど下僕のように浮かせている。
魔者。恐らくは超高位の吸血鬼|。
「【原祖】? いや【神祖】?」
「まずい。攻撃が来る」
勘が告げる。不味いと。
しかし、彼女は俺らが戦闘体勢をする前に声を発す。
「永久の安寧を!【血鎖夜想曲】」
24
あなたにおすすめの小説
クラス転移したら種族が変化してたけどとりあえず生きる
アルカス
ファンタジー
16歳になったばかりの高校2年の主人公。
でも、主人公は昔から体が弱くなかなか学校に通えなかった。
でも学校には、行っても俺に声をかけてくれる親友はいた。
その日も体の調子が良くなり、親友と久しぶりの学校に行きHRが終わり先生が出ていったとき、クラスが眩しい光に包まれた。
そして僕は一人、違う場所に飛ばされいた。
バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します
namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。
マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。
その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。
「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。
しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。
「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」
公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。
前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。
これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。
第5皇子に転生した俺は前世の医学と知識や魔法を使い世界を変える。
黒ハット
ファンタジー
前世は予防医学の専門の医者が飛行機事故で結婚したばかりの妻と亡くなり異世界の帝国の皇帝の5番目の子供に転生する。子供の生存率50%という文明の遅れた世界に転生した主人公が前世の知識と魔法を使い乱世の世界を戦いながら前世の奥さんと巡り合い世界を変えて行く。
神様から転生スキルとして鑑定能力とリペア能力を授けられた理由
瀬乃一空
ファンタジー
普通の闇バイトだと思って気軽に応募したところ俺は某国の傭兵部隊に入れられた。しかし、ちょっとした俺のミスから呆気なく仲間7人とともに爆死。気が付くと目の前に神様が……。
神様は俺を異世界転生させる代わりに「罪業の柩」なるものを探すよう命じる。鑑定スキルや修復スキル、イケメン、その他を与えられることを条件に取りあえず承諾したものの、どうしたらよいか分からず、転生した途端、途方にくれるエルン。
出来損ない貴族の三男は、謎スキル【サブスク】で世界最強へと成り上がる〜今日も僕は、無能を演じながら能力を徴収する〜
シマセイ
ファンタジー
実力至上主義の貴族家に転生したものの、何の才能も持たない三男のルキウスは、「出来損ない」として優秀な兄たちから虐げられる日々を送っていた。
起死回生を願った五歳の「スキルの儀」で彼が授かったのは、【サブスクリプション】という誰も聞いたことのない謎のスキル。
その結果、彼の立場はさらに悪化。完全な「クズ」の烙印を押され、家族から存在しない者として扱われるようになってしまう。
絶望の淵で彼に寄り添うのは、心優しき専属メイドただ一人。
役立たずと蔑まれたこの謎のスキルが、やがて少年の運命を、そして世界を静かに揺るがしていくことを、まだ誰も知らない。
この度異世界に転生して貴族に生まれ変わりました
okiraku
ファンタジー
地球世界の日本の一般国民の息子に生まれた藤堂晴馬は、生まれつきのエスパーで透視能力者だった。彼は親から独立してアパートを借りて住みながら某有名国立大学にかよっていた。4年生の時、酔っ払いの無免許運転の車にはねられこの世を去り、異世界アールディアのバリアス王国貴族の子として転生した。幸せで平和な人生を今世で歩むかに見えたが、国内は王族派と貴族派、中立派に分かれそれに国王が王位継承者を定めぬまま重い病に倒れ王子たちによる王位継承争いが起こり国内は不安定な状態となった。そのため貴族間で領地争いが起こり転生した晴馬の家もまきこまれ領地を失うこととなるが、もともと転生者である晴馬は逞しく生き家族を支えて生き抜くのであった。
セーブポイント転生 ~寿命が無い石なので千年修行したらレベル上限突破してしまった~
空色蜻蛉
ファンタジー
枢は目覚めるとクリスタルの中で魂だけの状態になっていた。どうやらダンジョンのセーブポイントに転生してしまったらしい。身動きできない状態に悲嘆に暮れた枢だが、やがて開き直ってレベルアップ作業に明け暮れることにした。百年経ち、二百年経ち……やがて国の礎である「聖なるクリスタル」として崇められるまでになる。
もう元の世界に戻れないと腹をくくって自分の国を見守る枢だが、千年経った時、衝撃のどんでん返しが待ち受けていて……。
【お知らせ】6/22 完結しました!
転生したら名家の次男になりましたが、俺は汚点らしいです
NEXTブレイブ
ファンタジー
ただの人間、野上良は名家であるグリモワール家の次男に転生したが、その次男には名家の人間でありながら、汚点であるが、兄、姉、母からは愛されていたが、父親からは嫌われていた
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる