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まんちこさんと裸で語ろう
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(不覚! こんなヤツから一瞬でも色気を感じてしまった!)
沈黙。ひたひたと、かすかな水音がするだけ。
気詰まりになった征矢が、つい口を開く。
「お前、ほんとに国に帰らないでいいのか。親兄弟はいないのか?」
「うん、いないぞ」
あっけらかんと応えるメルシャ。
いきなり立ち入りすぎたかもしれない。征矢は少し後悔。
「すまん。余計なこと聞いたか」
「なにがだ?」
メルシャは本当に不思議そうな顔をしていた。
「いや、なんかデリケートな話題だったかなと」
「家族がいないことがか? 別にふつうだぞ。マンティコアは基本的に孤立生活だから、乳離して母のテリトリーから自立して以来、母とは一度も会ってない。兄弟はいないし、父は名前も知らない。マンティコアはそれがふつうだ」
からりと明るく、メルシャは言った。
「そういうもんなのか」
「そうだぞ。そのー、征矢どののことを聞いてもいいか? どうして椿どのの家で暮らすことになった?」
バスタブのへりに背中をあずけ、征矢は天井を見上げた。
「おれか? まあお前の家庭環境に多少似てなくもない」
「なんと」
軽い調子で、征矢は話しだす。
「うちは親父が超クズ人間でなー。一応プロのロックミュージシャンで、若い頃はちょっとは売れたらしいが、中年以降は才能が枯れ果てて鳴かず飛ばずになった。当時の仲間はみんな音楽に見切りをつけて転職したそうだが、うちの親父だけはおれが生まれた後も一度たりとも定職に就かず中年ニートを決め込んでた。高校出てから一回もちゃんと働いたことないんだぞ。すごいだろ」
「よくわからん……」
「そのうえ異常な女好きでな。見てくれだけはよかったから、あっちこっちに女を作っては捨てて修羅場になったり訴えられたり。半年くらい音信不通で家に帰ってこないこともしょっちゅうだった」
「それはクズだな!」
「だろ? お袋は実質ひとりでおれを育てたみたいなもんさ。でも、とうとうたまりかねて離婚することになった。それが半年くらい前かな。で、お袋はもう再婚を決めてる相手がいてな。親父は速攻で親権を放棄したから、おれはお袋の再婚相手の家に入ることになったんだけど、すぐにおれは出ていくことに決めた」
メルシャは腕組みをしてうんうんとうなずく。
「あー、そういう話はパンタゲアでも聞いたことあるぞ。相手の男がイヤなヤツだったんだろ? よくある継子いじめだ」
「いや、それがめちゃくちゃいい人でな。ふつうに仲良くなれた。ぜんぜん同居できる」
「えっ、そうなのか? じゃあ、どうして……」
「うーん、まあ向こうにも思春期の子供がいたし、こんなうすらでかいのが転がり込んで、なにかと気を遣わせるのがかえって心苦しくてなあ。世の中、おれと同世代で自活して働いてるやつだっていっぱいいるしな。お前じゃないけど、おれもいい機会だから自立しようと思ってさ。お袋は長年おれの世話で苦労したし、そろそろ身軽になって自分の幸せを追ってもいいだろ」
「征矢どの、オットナだぞー。ひゅーひゅー」
ニヤニヤ顔で、メルシャは征矢の腕を指先でつつく。
が、征矢にひとにらみされてサッと引っ込めた。
「……スイマセン」
「で、おれはマジで高校やめて、就職先と部屋を探すことにした。そしたら話を聞いた椿さんが声をかけてくれたんだ。部屋は空いてるからうちに住めばいい、条件は家事と店の手伝いをすること、それと高校は卒業すること、ってな。椿さんは親父の年の離れた妹でな、親父のクズ人間ぶりはよく知ってたから、気を回してくれたんだな。子供の頃はよく遊んでくれたし」
「へええ」
「正直、そんなに甘えていいのかとも思ったけど、おれも偉そうなこと吹く割には部屋借りるカネも、まともな働き口の当てもなかったし、多少貯金ができるまではここに厄介になることにしたんだよ。まさかお前みたいなポンコツ幻獣の世話まで仕事に入ってるとは思わなかったけどな」
最後に征矢は、メルシャを軽くもうひとにらみする。
メルシャは両手で口を押さえて、妙な笑い方をした。
「むっふっふっふっ」
「なに笑ってんだ」
「だって、今のはオレと征矢どの、ふたりだけの秘密だろう。もうふたりは秘密を共有する仲。うれしいな」
征矢の顔に、さっと赤みが差した。
「はあ!?」
「こうして一緒にお風呂にも入ったし、これはもうオレ、身も心も征矢どのの肉奴隷になったと言って過言ではないかと」
「過言だよ! ああっ、おれとしたことが、どうしてこんなやつにこんな話を!」
痛恨の失敗。征矢は頭を抱える。
図に乗ったメルシャは、征矢の肩に「ぴとっ」と頭をくっつける。
「なあなあ征矢どのー。オレにも、アダ名つけてほしいぞ」
「ああ?」
「ほら、ほかの子たちを牛子とか馬子とか呼んでいるだろ? あれ、いいなー。なんか距離感近くて。オレにもつけてくれよう、ああいうの」
即座に征矢は吐き捨てた。
「じゃあバカ子」
「そういう核心突く系じゃなくてー!」
「じゃあ毒汁モレ子」
「なんか汚いー! もっと ほら、見た目で、ほら」
メルシャはとびきりカワイイ顔を作って征矢に向ける。
征矢は心底面倒くさそうな目つきだ。
「見た目ってお前、要素が散らばりすぎてるんだよ。ライオンだったりコウモリだったり毒針だったり。特徴一個に絞れよ。だからマンティコアってなんか今いちメジャーモンスターになりきれないんだ。ユニコーンとかフェニックスはおれでも聞いたことあったけど、なんだよマンティコアって」
「今そんなこと言われても! お願いだからちゃんと考えてくれ!」
「じゃあマンティコアだからまんち子だ。よし、決定」
「雑! やっつけもいいところだ!」
激しく抗議するメルシャだが、征矢は取り合わない。
「うるさい、お前なんかまんち子で充分だ。だいたいもうみんなそう呼んでるじゃないか。おれはもう出る」
征矢はバスタブをまたぐと、浴室のドアを開け放った。
なぜか幻獣娘たちが全員、そこにいた。目を覆って脱衣場を転げ回る。
「キャーーーーーッ!」
征矢は両手で股間を押さえて叫ぶ。
「な、なんだ君らは!? なにやってる!?」
ユニカが、目だけ逸しながら征矢にバスタオルを渡す。
「えっとねえ、征矢さんがまんちこの処女を奪おうとしたら乱入してアナル拡張してやろうと思って、ドアの陰で立ち聞きしてたの」
タオルを腰に巻きながら、あきれて征矢は尋ねる。
「ほかの子たちは?」
ミノン、アルル、ポエニッサが顔を真っ赤にしてうつむく。
「ごめんなさい……なんだかつい……」
遠慮がちに、ミノンが手を挙げる。
「まんちこさん、一緒にお風呂、いいんだなも。あの、うちも今度征矢さんと入りたいんだなも……」
「いや困る。すごく困る」
アルルも元気よく小さな手を挙げた。
「はい、はい! アルルも一緒にお風呂入るのです!」
「いや君は特にダメだ。いろんな意味でアウトになる」
「えー。なんでなのですー」
話しながらも、征矢はいそいそと衣服を身に着けていく。
そして幻獣娘たちは、顔を背けているフリをして、チラチラと征矢の体を観察しているのであった。
下着と部屋着に着替え終わった征矢は、バツの悪そうな顔で言った。
「じゃ、じゃあみんな、おやすみ」
「はあい。おやすみなさーい」
征矢が自室に戻ってしまうと、あとには幻獣娘たちと、まだ全裸のメルシャが残った。
どえらくショックを受けた顔で、濡れたままのメルシャが浴室から出てくる。
「お前たち……まさか今の話、全部聞いたのか……?」
この上なく無邪気なてへぺろ顔で、ユニカがうなずく。
「うん。聞いちゃった」
「征矢どのの身の上話も!?」
「モチのロンよ」
「うわああああん、あれはふたりだけの秘密の話だったのにいいいい!」
裸のままその場にへたり込んで、メルシャはほろほろと泣き出す。
その背中にタオルを掛けてやり、ミノンがすまなそうに言った。
「つい聞こえちゃって……悪かったんだなも」
アルルも気遣わしげに声をかける。
「ごめんなさいなのです」
ポエニッサはいくぶん顔の赤みを残したまま、メルシャを冷たく見下ろす。
「ところであなた、征矢さんと、い、一緒にお風呂に入っていた件について、詳しく説明していただきたいものですわ」
メルシャの泣きっ面が、一瞬で消える。バスタオルを肩に掛けただけの全裸で、メルシャはさりげなく逃亡を図る。
「あー、なんだか眠くなったなあ。ではオレも失礼して就寝させていただくとするかな。はっはっは」
「ミノン、確保して」
「んもっ」
ミノンが背後からメルシャを羽交い締めにする。馬力には多少自信のあるメルシャも、ミノタウロスの怪力の前にはもはや逃げられない。
「わたくしのお部屋で徹底聴取をいたしますわ。連れてきて」
看守長よろしくポエニッサが指示を下す。ミノンは軽々とメルシャを持ち上げる。
「ひっ」
最後の手向かいをしようとメルシャは毒針しっぽを持ち上げるが、ユニカがすかさず横からそれをつまんで、厚手のタオルでぐるぐる巻きにしてしまう。
「おとなしくしてね、うふふ」
「た、頼む……せ、せめて服を……」
メルシャはまだ半泣きで懇願するが、ユニカは薄笑いで受け流す。
「えー、どうして? どうせすぐ脱がされるのにぃ」
「オレなにされるの!? やめろ! 放せ! いやああ助けてえええ!」
抵抗するすべもなく、ついに荷物のように連行されていく全裸のメルシャであった。
沈黙。ひたひたと、かすかな水音がするだけ。
気詰まりになった征矢が、つい口を開く。
「お前、ほんとに国に帰らないでいいのか。親兄弟はいないのか?」
「うん、いないぞ」
あっけらかんと応えるメルシャ。
いきなり立ち入りすぎたかもしれない。征矢は少し後悔。
「すまん。余計なこと聞いたか」
「なにがだ?」
メルシャは本当に不思議そうな顔をしていた。
「いや、なんかデリケートな話題だったかなと」
「家族がいないことがか? 別にふつうだぞ。マンティコアは基本的に孤立生活だから、乳離して母のテリトリーから自立して以来、母とは一度も会ってない。兄弟はいないし、父は名前も知らない。マンティコアはそれがふつうだ」
からりと明るく、メルシャは言った。
「そういうもんなのか」
「そうだぞ。そのー、征矢どののことを聞いてもいいか? どうして椿どのの家で暮らすことになった?」
バスタブのへりに背中をあずけ、征矢は天井を見上げた。
「おれか? まあお前の家庭環境に多少似てなくもない」
「なんと」
軽い調子で、征矢は話しだす。
「うちは親父が超クズ人間でなー。一応プロのロックミュージシャンで、若い頃はちょっとは売れたらしいが、中年以降は才能が枯れ果てて鳴かず飛ばずになった。当時の仲間はみんな音楽に見切りをつけて転職したそうだが、うちの親父だけはおれが生まれた後も一度たりとも定職に就かず中年ニートを決め込んでた。高校出てから一回もちゃんと働いたことないんだぞ。すごいだろ」
「よくわからん……」
「そのうえ異常な女好きでな。見てくれだけはよかったから、あっちこっちに女を作っては捨てて修羅場になったり訴えられたり。半年くらい音信不通で家に帰ってこないこともしょっちゅうだった」
「それはクズだな!」
「だろ? お袋は実質ひとりでおれを育てたみたいなもんさ。でも、とうとうたまりかねて離婚することになった。それが半年くらい前かな。で、お袋はもう再婚を決めてる相手がいてな。親父は速攻で親権を放棄したから、おれはお袋の再婚相手の家に入ることになったんだけど、すぐにおれは出ていくことに決めた」
メルシャは腕組みをしてうんうんとうなずく。
「あー、そういう話はパンタゲアでも聞いたことあるぞ。相手の男がイヤなヤツだったんだろ? よくある継子いじめだ」
「いや、それがめちゃくちゃいい人でな。ふつうに仲良くなれた。ぜんぜん同居できる」
「えっ、そうなのか? じゃあ、どうして……」
「うーん、まあ向こうにも思春期の子供がいたし、こんなうすらでかいのが転がり込んで、なにかと気を遣わせるのがかえって心苦しくてなあ。世の中、おれと同世代で自活して働いてるやつだっていっぱいいるしな。お前じゃないけど、おれもいい機会だから自立しようと思ってさ。お袋は長年おれの世話で苦労したし、そろそろ身軽になって自分の幸せを追ってもいいだろ」
「征矢どの、オットナだぞー。ひゅーひゅー」
ニヤニヤ顔で、メルシャは征矢の腕を指先でつつく。
が、征矢にひとにらみされてサッと引っ込めた。
「……スイマセン」
「で、おれはマジで高校やめて、就職先と部屋を探すことにした。そしたら話を聞いた椿さんが声をかけてくれたんだ。部屋は空いてるからうちに住めばいい、条件は家事と店の手伝いをすること、それと高校は卒業すること、ってな。椿さんは親父の年の離れた妹でな、親父のクズ人間ぶりはよく知ってたから、気を回してくれたんだな。子供の頃はよく遊んでくれたし」
「へええ」
「正直、そんなに甘えていいのかとも思ったけど、おれも偉そうなこと吹く割には部屋借りるカネも、まともな働き口の当てもなかったし、多少貯金ができるまではここに厄介になることにしたんだよ。まさかお前みたいなポンコツ幻獣の世話まで仕事に入ってるとは思わなかったけどな」
最後に征矢は、メルシャを軽くもうひとにらみする。
メルシャは両手で口を押さえて、妙な笑い方をした。
「むっふっふっふっ」
「なに笑ってんだ」
「だって、今のはオレと征矢どの、ふたりだけの秘密だろう。もうふたりは秘密を共有する仲。うれしいな」
征矢の顔に、さっと赤みが差した。
「はあ!?」
「こうして一緒にお風呂にも入ったし、これはもうオレ、身も心も征矢どのの肉奴隷になったと言って過言ではないかと」
「過言だよ! ああっ、おれとしたことが、どうしてこんなやつにこんな話を!」
痛恨の失敗。征矢は頭を抱える。
図に乗ったメルシャは、征矢の肩に「ぴとっ」と頭をくっつける。
「なあなあ征矢どのー。オレにも、アダ名つけてほしいぞ」
「ああ?」
「ほら、ほかの子たちを牛子とか馬子とか呼んでいるだろ? あれ、いいなー。なんか距離感近くて。オレにもつけてくれよう、ああいうの」
即座に征矢は吐き捨てた。
「じゃあバカ子」
「そういう核心突く系じゃなくてー!」
「じゃあ毒汁モレ子」
「なんか汚いー! もっと ほら、見た目で、ほら」
メルシャはとびきりカワイイ顔を作って征矢に向ける。
征矢は心底面倒くさそうな目つきだ。
「見た目ってお前、要素が散らばりすぎてるんだよ。ライオンだったりコウモリだったり毒針だったり。特徴一個に絞れよ。だからマンティコアってなんか今いちメジャーモンスターになりきれないんだ。ユニコーンとかフェニックスはおれでも聞いたことあったけど、なんだよマンティコアって」
「今そんなこと言われても! お願いだからちゃんと考えてくれ!」
「じゃあマンティコアだからまんち子だ。よし、決定」
「雑! やっつけもいいところだ!」
激しく抗議するメルシャだが、征矢は取り合わない。
「うるさい、お前なんかまんち子で充分だ。だいたいもうみんなそう呼んでるじゃないか。おれはもう出る」
征矢はバスタブをまたぐと、浴室のドアを開け放った。
なぜか幻獣娘たちが全員、そこにいた。目を覆って脱衣場を転げ回る。
「キャーーーーーッ!」
征矢は両手で股間を押さえて叫ぶ。
「な、なんだ君らは!? なにやってる!?」
ユニカが、目だけ逸しながら征矢にバスタオルを渡す。
「えっとねえ、征矢さんがまんちこの処女を奪おうとしたら乱入してアナル拡張してやろうと思って、ドアの陰で立ち聞きしてたの」
タオルを腰に巻きながら、あきれて征矢は尋ねる。
「ほかの子たちは?」
ミノン、アルル、ポエニッサが顔を真っ赤にしてうつむく。
「ごめんなさい……なんだかつい……」
遠慮がちに、ミノンが手を挙げる。
「まんちこさん、一緒にお風呂、いいんだなも。あの、うちも今度征矢さんと入りたいんだなも……」
「いや困る。すごく困る」
アルルも元気よく小さな手を挙げた。
「はい、はい! アルルも一緒にお風呂入るのです!」
「いや君は特にダメだ。いろんな意味でアウトになる」
「えー。なんでなのですー」
話しながらも、征矢はいそいそと衣服を身に着けていく。
そして幻獣娘たちは、顔を背けているフリをして、チラチラと征矢の体を観察しているのであった。
下着と部屋着に着替え終わった征矢は、バツの悪そうな顔で言った。
「じゃ、じゃあみんな、おやすみ」
「はあい。おやすみなさーい」
征矢が自室に戻ってしまうと、あとには幻獣娘たちと、まだ全裸のメルシャが残った。
どえらくショックを受けた顔で、濡れたままのメルシャが浴室から出てくる。
「お前たち……まさか今の話、全部聞いたのか……?」
この上なく無邪気なてへぺろ顔で、ユニカがうなずく。
「うん。聞いちゃった」
「征矢どのの身の上話も!?」
「モチのロンよ」
「うわああああん、あれはふたりだけの秘密の話だったのにいいいい!」
裸のままその場にへたり込んで、メルシャはほろほろと泣き出す。
その背中にタオルを掛けてやり、ミノンがすまなそうに言った。
「つい聞こえちゃって……悪かったんだなも」
アルルも気遣わしげに声をかける。
「ごめんなさいなのです」
ポエニッサはいくぶん顔の赤みを残したまま、メルシャを冷たく見下ろす。
「ところであなた、征矢さんと、い、一緒にお風呂に入っていた件について、詳しく説明していただきたいものですわ」
メルシャの泣きっ面が、一瞬で消える。バスタオルを肩に掛けただけの全裸で、メルシャはさりげなく逃亡を図る。
「あー、なんだか眠くなったなあ。ではオレも失礼して就寝させていただくとするかな。はっはっは」
「ミノン、確保して」
「んもっ」
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「わたくしのお部屋で徹底聴取をいたしますわ。連れてきて」
看守長よろしくポエニッサが指示を下す。ミノンは軽々とメルシャを持ち上げる。
「ひっ」
最後の手向かいをしようとメルシャは毒針しっぽを持ち上げるが、ユニカがすかさず横からそれをつまんで、厚手のタオルでぐるぐる巻きにしてしまう。
「おとなしくしてね、うふふ」
「た、頼む……せ、せめて服を……」
メルシャはまだ半泣きで懇願するが、ユニカは薄笑いで受け流す。
「えー、どうして? どうせすぐ脱がされるのにぃ」
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