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光莉のユ・ウ・ワ・ク
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征矢が通されたのは、二階にある光莉の自室だった。
意外にもごくごく普通な女子高生の部屋だった。
ほどほど可愛くて、とても清潔。
もうちょっとエキセントリックな部屋を予想していた征矢は、ちょっと拍子抜けする。
「どうぞ座ってください、征矢さま」
と言われても、椅子も座布団もない。征矢は床の適当な場所に腰を下ろした。
「違います。こっちです」
光莉はちょっと怒った様子で、自分の隣をぽんぽんと叩いた。
そこは、光莉のベッドだった。
うーむ。初めてお邪魔した異性の部屋で、それはあまりに距離感詰めすぎじゃあるまいか。征矢はためらう。
「早く。こっちです」
ベッドのへりに腰掛けた光莉は、またぽんぽんと催促。
よくわからんけど、こういうもんなのか。
征矢はおそるおそる、光莉の横に座り直す。
即座に、光莉は「ぴとっ」と体をくっつけてくる。もちろん手は征矢の手にしっかり重ねている。
「お部屋に男の方を入れたの、初めてです……」
光莉は、潤んだ声でささやく。
予想を上回る悩ましい空気感。
征矢は必死に話を逸らす。
「い、いいお部屋ですよね。きれいに整頓されてて」
言いながら、征矢はなんともいえない違和感を覚えていた。
整頓されすぎている。あまりにも生活感がない。生活臭もしない。まるで作ったばかりのモデルルームのようだ。
隣室に面した引き戸も、なんとなく気になる。
説明し難いイヤな気配が、戸の隙間から洩れてくる。
「と、隣は続き部屋ですか? それとも物入れかな? 広いお部屋でうらやましいな、はは」
光莉の両手が征矢の頬を包み、いきなりぐいっと顔の向きを変えられる。
「そんなことどうでもいいでしょう? こちらを見てください、征矢さま」
かすみがかかったような光莉の瞳が、まっすぐに征矢を見上げる。
近い。またしても。
征矢の声がかすれる。
「あの……なにを……」
「こんな時間に男の子が女の子の部屋に上がったら、することはひとつでしょう? わかってるクセに」
思わず、征矢の腰が引ける。
「いや、どうでしょう。それはちょっと気が早いのでは……」
ぐっと光莉は乗り出す。
「ここまで来て男の子がお茶だけ飲んで帰るワケないでしょう? 子供じゃないんですから、ね?」
光莉の両腕が、征矢の首に絡みつく。ほっそりした体が、征矢の胸にもたれてくる。
甘い髪の香りが、鼻孔を心地よくくすぐる。
「いや、その、困ります」
「またそんなことを……本当はこうなるのを期待してたんでしょう?」
「あの、台詞が完全に女の子を押し倒そうとするときの男のソレなんですが」
「はい。そのつもりです」
んー。
光莉の淡桃色の唇が迫ってくる。
できる限り穏当に、征矢はそっと光莉を押し返そうとする。
すると光莉はその手をつかんで、自分の胸のふくらみに当てさせる。
うっ。
大きすぎず小さすぎず、ぶっちゃけ征矢がいちばんストライクなバストサイズ。ブラウスの下で心地いい弾力が息づいている。
「あのっ、ちょっと、奥屋敷さん!?」
「またそんな呼び方。光莉と呼んでくださらなきゃいやです」
とうとう光莉は、本当に征矢にのしかかってくる。
馬乗りポジションになった光莉は、息を荒げながらぷちぷちと自分のブラウスのボタンを外し始める。
大胆な黒レースのブラジャーに包まれた、形のいいバストが「ぷるん」と征矢の前に露わになる。
「あの、ちょっと待って! 冷静に奥屋敷さん!」
光莉の目つきは興奮に酔い、完全にタガが外れた状態だ。
征矢は光莉を押しのけ、はずみでベッドから転げ落ちた。
今度はスカートを脱ぎながら、光莉は取り憑かれたように言う。
「征矢さま、光莉は、征矢さまとセックスがしたいのです」
「奥屋敷さん言葉のオブラートって知ってます!? 前々から思ってたけど!!」
征矢は床にへたり込んだまま、さらにじわじわ後ずさる。
なまめかしい黒の下着姿になった光莉は、立ったまま迫ってくる。
「征矢さまはセックスお嫌いですか」
「どうでしょう! 恥ずかしながら経験がないもので!」
その方面に関しては、征矢も人並みの興味と欲望はあるつもりだが、この空気では無理だ。
どん。
征矢の背中が、なにかにぶつかった。
隣の部屋につながっているとおぼしき、例の引き戸だった。
逃げ場を求めて、征矢は本能的にその戸に手をかける。
鍵はかかっていない。がらりと引き戸が開いた。
征矢は後先考えず、その中に飛び込んだ。
そこは、六畳ほどの暗い部屋だった。
部屋の様子が見えてくると同時に、征矢は凍りついた。
「なんだ……この部屋は……!?」
意外にもごくごく普通な女子高生の部屋だった。
ほどほど可愛くて、とても清潔。
もうちょっとエキセントリックな部屋を予想していた征矢は、ちょっと拍子抜けする。
「どうぞ座ってください、征矢さま」
と言われても、椅子も座布団もない。征矢は床の適当な場所に腰を下ろした。
「違います。こっちです」
光莉はちょっと怒った様子で、自分の隣をぽんぽんと叩いた。
そこは、光莉のベッドだった。
うーむ。初めてお邪魔した異性の部屋で、それはあまりに距離感詰めすぎじゃあるまいか。征矢はためらう。
「早く。こっちです」
ベッドのへりに腰掛けた光莉は、またぽんぽんと催促。
よくわからんけど、こういうもんなのか。
征矢はおそるおそる、光莉の横に座り直す。
即座に、光莉は「ぴとっ」と体をくっつけてくる。もちろん手は征矢の手にしっかり重ねている。
「お部屋に男の方を入れたの、初めてです……」
光莉は、潤んだ声でささやく。
予想を上回る悩ましい空気感。
征矢は必死に話を逸らす。
「い、いいお部屋ですよね。きれいに整頓されてて」
言いながら、征矢はなんともいえない違和感を覚えていた。
整頓されすぎている。あまりにも生活感がない。生活臭もしない。まるで作ったばかりのモデルルームのようだ。
隣室に面した引き戸も、なんとなく気になる。
説明し難いイヤな気配が、戸の隙間から洩れてくる。
「と、隣は続き部屋ですか? それとも物入れかな? 広いお部屋でうらやましいな、はは」
光莉の両手が征矢の頬を包み、いきなりぐいっと顔の向きを変えられる。
「そんなことどうでもいいでしょう? こちらを見てください、征矢さま」
かすみがかかったような光莉の瞳が、まっすぐに征矢を見上げる。
近い。またしても。
征矢の声がかすれる。
「あの……なにを……」
「こんな時間に男の子が女の子の部屋に上がったら、することはひとつでしょう? わかってるクセに」
思わず、征矢の腰が引ける。
「いや、どうでしょう。それはちょっと気が早いのでは……」
ぐっと光莉は乗り出す。
「ここまで来て男の子がお茶だけ飲んで帰るワケないでしょう? 子供じゃないんですから、ね?」
光莉の両腕が、征矢の首に絡みつく。ほっそりした体が、征矢の胸にもたれてくる。
甘い髪の香りが、鼻孔を心地よくくすぐる。
「いや、その、困ります」
「またそんなことを……本当はこうなるのを期待してたんでしょう?」
「あの、台詞が完全に女の子を押し倒そうとするときの男のソレなんですが」
「はい。そのつもりです」
んー。
光莉の淡桃色の唇が迫ってくる。
できる限り穏当に、征矢はそっと光莉を押し返そうとする。
すると光莉はその手をつかんで、自分の胸のふくらみに当てさせる。
うっ。
大きすぎず小さすぎず、ぶっちゃけ征矢がいちばんストライクなバストサイズ。ブラウスの下で心地いい弾力が息づいている。
「あのっ、ちょっと、奥屋敷さん!?」
「またそんな呼び方。光莉と呼んでくださらなきゃいやです」
とうとう光莉は、本当に征矢にのしかかってくる。
馬乗りポジションになった光莉は、息を荒げながらぷちぷちと自分のブラウスのボタンを外し始める。
大胆な黒レースのブラジャーに包まれた、形のいいバストが「ぷるん」と征矢の前に露わになる。
「あの、ちょっと待って! 冷静に奥屋敷さん!」
光莉の目つきは興奮に酔い、完全にタガが外れた状態だ。
征矢は光莉を押しのけ、はずみでベッドから転げ落ちた。
今度はスカートを脱ぎながら、光莉は取り憑かれたように言う。
「征矢さま、光莉は、征矢さまとセックスがしたいのです」
「奥屋敷さん言葉のオブラートって知ってます!? 前々から思ってたけど!!」
征矢は床にへたり込んだまま、さらにじわじわ後ずさる。
なまめかしい黒の下着姿になった光莉は、立ったまま迫ってくる。
「征矢さまはセックスお嫌いですか」
「どうでしょう! 恥ずかしながら経験がないもので!」
その方面に関しては、征矢も人並みの興味と欲望はあるつもりだが、この空気では無理だ。
どん。
征矢の背中が、なにかにぶつかった。
隣の部屋につながっているとおぼしき、例の引き戸だった。
逃げ場を求めて、征矢は本能的にその戸に手をかける。
鍵はかかっていない。がらりと引き戸が開いた。
征矢は後先考えず、その中に飛び込んだ。
そこは、六畳ほどの暗い部屋だった。
部屋の様子が見えてくると同時に、征矢は凍りついた。
「なんだ……この部屋は……!?」
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