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まんちこさん、ついにやる気出す
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メルシャが、目を開けた。
建築中の住宅の陰だった。
「な、なにが……どうなったのだ?」
横にアルルが寝ていた。
その隣には、ポエニッサも。ポエニッサは顔が土で汚れ、表情が苦しそうだ。すでに全身の炎は消え、翼も人間の手になっている。裸の体には建築現場にあった養生シートを巻きつけている。
「やっとお目覚め? のん気なもんね」
呆れ顔でユニカが言った。ユニカの美しい白い髪も顔もやはり泥とススでひどいありさまだった。
似たような姿で座り込んでいるミノンが、住宅の向こうを指差す。
「あいつらから、必死で逃げてきたんだなも……」
「ミノンがあんたとアルルをまとめて担いできたんだからね」
ユニカがつけ加える。
メルシャは物陰からその方向をそっと伺う。
羊頭の巨人が二体、光莉の家の前を守っている。
「うわっ、でかっ! なんだあれ!」
叫ぶメルシャ。ユニカが小声で説明する。
「でかいだけじゃないの。超つよい。動きも素早いし、特にツノから出る電撃がやばいったら」
「今は……動いてないな」
「わたしたちがここにじっとしてる限りね。動くものを見ると追っかけてくるの」
メルシャは、ぐったりと横たわっている二人に目を向ける。
「アルルとポエニッサはどうした? やられたのか?」
メルシャの問いに、ミノンがかぶりを振る。
「アルちゃんはお薬が切れて寝てるだけだなも。ポーちゃんは逃げる途中で電撃が……」
「怪我はひどいのか」
ポエニッサ本人が、脇腹を押さえて弱々しく答える。
「かすっただけですわ……でも衝撃波でやられたみたい……」
さすがにポンコツなメルシャにも、現状の深刻さは堪えたようだった。沈痛な面持ちで黙り込む。
ユニカが話を切り替える。
「で、これからどうするかって話よ。もうわたしたちの手に負える事態じゃないでしょ。こっちの警察なり境界警士なりに通報するしかないけど、携帯電話は誰も持ってない。助けを呼びに行こうにもあのでっかいヒツジ頭ががんばってるから動けない。そもそもあの魔女が征矢をどうするつもりなのかもわからない。でも、単に一発パコパコしたいだけならこんな騒ぎを起こす必要ないわよね? なにかよくないことを企んでるのは間違いない」
ミノンからも、ポエニッサからも、返事はなかった。アルルはこんこんと眠り込んだままだ。
どうすればいいのか、誰にもわからなかった。
メルシャも地べたに座り込んで、だらんと投げ出された自分のしっぽをじっと見つめていた。
「あ」
ぽつりと、メルシャがつぶやく。
「どうかしたなも? なにかアイデアあるんだなも?」
ミノンが尋ねるが、メルシャの視線はしっぽに向けられたままだ。
「リボン……なくなってしまった……」
それは、征矢にもらった小さなスカーフだった。
征矢が自分で巻いてくれた、大切なおまじないのリボン。
さっきの乱戦でちぎれてしまったのだ。
ぐっ。メルシャは、小さく唇を噛む。
「大事なものだったなも?」
ミノンがやさしく気遣う。ミノンたちは、それがどういう素性のものかは知らない。
「征矢どのが……くれたんだ。お守りだって……」
カサカサした小さな声で、メルシャは応えた。
だしぬけにメルシャは、弾かれたように立ち上がった。
「うわーーーーーーっ!」
叫びだし、建築中の家の柱にガンガンと自分の頭を叩きつける。
太い木の柱には一筋ひびが入り、未完成の家の骨組みがぐらぐらと揺れる。
「な、なにやってるんだなも!」
「やめてよバカ! あいつらが来ちゃうじゃない!」
ミノンとユニカが慌てて左右から頭突きを止める。
メルシャはわめいた。
「オレはバカだあー!」
「知ってますけど!?」
メルシャの口調から、すっと熱が抜ける。
「全部……オレのせいだ……」
ミノンがそっと尋ねる。
「どういうことなんだなも?」
「あの魔女が恐ろしくて、あいつがなにか企んでいるのを知っていたのに、誰にも言えなかった……オレが……オレが無能で惰弱であったばかりに、征矢どのは拐われ、ポエニッサは怪我をし、皆を危険にさらしている……」
「まんち子さん……」
剥き出しの柱に額を押しつけたまま、メルシャは続ける。
「さっき、アルルが言ったことは正しい」
「なも?」
「オレは『それでも軍人』だった。軍人はときに、敵が我より強大であると知ってなお恐れを捨てて立ち向かわねばならない。さもなくば――――」
メルシャは、リボンがなくなったしっぽをじっと凝視していた。
「――――なによりも大切なものを失うことになる」
決然と、メルシャは顔を上げた。
目が、据わっている。
メルシャはいきなり、大股に歩きだした。
その腕を、ユニカが慌ててつかむ。
「ちょ、ちょっと、どこ行く気?」
「知れたこと。あの家だ。征矢どのを助けに行く」
「いやいやいやいや。無理無理無理無理。無理だってば」
メルシャはユニカの腕をやんわり振り払うと、進み続ける。
一度だけ、肩越しにちらりと振り返って言う。
「あいつらがオレに反応したら、その隙に離脱しろ」
「あんた、わたしたちにもコテンパンにされたのよ? あんなでかいの相手に勝てると思ってるの?」
歩みを止めず、メルシャはただ右手を振ってみせた。しっぽを軍旗のように高々と上げて。
「それでも行くのだ――――オレは軍人なのでな」
(やだこの子カッコいい……濡れちゃう)
不覚にもキュンときてしまうユニカである。
「でもまんち子さん……あの子勝算はあるんだなも?」
ユニカと並んで、ミノンもメルシャの遠ざかる後ろ姿を心配そうに見守る。ポエニッサまで、痛む脇腹を押さえて顔を出す。
「うおおおおおおっ!」
メルシャは雄叫びをあげ、真っ直ぐ二体の羊巨人へ突進する。
すぐに羊巨人、プリクソスとモプソスが反応する。
二体の角から、強烈な電撃が放たれる。
直撃される寸前、メルシャは翼を開いて飛翔した。電撃はむなしく土を弾けさせただけだ。
「すごい! かわしたわ!」
ユニカが息を呑む。
敵の頭上を取ったメルシャは、しっぽから大量の毒針を放つ。
長さ十五センチにもなる鋭い針が、羊巨人たちを狙う。
二体は反射的に腕で顔をかばう。針の群れはその腕にぷすぷすと突き刺さる。
たちまち巨人たちの足元が、酒に酔ったみたいにふらつきだした。
「ど、毒が回ったんだなも! やったなもまんち子さん!」
ミノンが快哉を上げる。
が。
倒れるかと思った羊巨人たちは、頭をぶるっと振るうとすぐに元の不動のスタンスを取り戻す。
空中のメルシャも、露骨に「あれっ?」という表情。
「あ、相手が大きすぎるんですわ。毒の絶対量が足りないか、毒の種類を間違えたか……やっぱりバカですわ、あの子」
かすれた声でポエニッサがうめく。
羊巨人たちは直ちに反撃に移った。
左右から同時に放たれた電撃が、バンッ! という空気の破裂音とともにメルシャを貫く。
メルシャの体は、誘蛾灯にぶつかった虫けらのように吹き飛ばされ、ぽとりと地面に転がった。
「あ、やられた。冷めるわあ、あの子」
白けた顔でユニカがつぶやく。
二体の羊巨人は、倒れたメルシャに向かって、さらに続けざまの電撃を発し始めた。完全に息の根を止めるつもりのようだった。
「ど、どうするんだなも!? このままじゃまんち子さんが死んじゃう!」
「そんなこと言ったって、あの化け物の真ん中にのこのこ出ていったらわたしたちだって危険なのよ?」
ユニカはお手上げのジェスチャー。
ミノンがユニカを泣きそうな顔で見つめる。
「ユニちゃん……!」
うんざりした表情で、ユニカは白い長い髪をかき上げた。
「わかったわよ行きますよ一緒に助けに行けばいいんでしょ? あーもう、ほんっとやだ。手かかるわあ、あの子!」
ユニカとミノンは、倒れたメルシャ目指して猛然と駆け出した。
建築中の住宅の陰だった。
「な、なにが……どうなったのだ?」
横にアルルが寝ていた。
その隣には、ポエニッサも。ポエニッサは顔が土で汚れ、表情が苦しそうだ。すでに全身の炎は消え、翼も人間の手になっている。裸の体には建築現場にあった養生シートを巻きつけている。
「やっとお目覚め? のん気なもんね」
呆れ顔でユニカが言った。ユニカの美しい白い髪も顔もやはり泥とススでひどいありさまだった。
似たような姿で座り込んでいるミノンが、住宅の向こうを指差す。
「あいつらから、必死で逃げてきたんだなも……」
「ミノンがあんたとアルルをまとめて担いできたんだからね」
ユニカがつけ加える。
メルシャは物陰からその方向をそっと伺う。
羊頭の巨人が二体、光莉の家の前を守っている。
「うわっ、でかっ! なんだあれ!」
叫ぶメルシャ。ユニカが小声で説明する。
「でかいだけじゃないの。超つよい。動きも素早いし、特にツノから出る電撃がやばいったら」
「今は……動いてないな」
「わたしたちがここにじっとしてる限りね。動くものを見ると追っかけてくるの」
メルシャは、ぐったりと横たわっている二人に目を向ける。
「アルルとポエニッサはどうした? やられたのか?」
メルシャの問いに、ミノンがかぶりを振る。
「アルちゃんはお薬が切れて寝てるだけだなも。ポーちゃんは逃げる途中で電撃が……」
「怪我はひどいのか」
ポエニッサ本人が、脇腹を押さえて弱々しく答える。
「かすっただけですわ……でも衝撃波でやられたみたい……」
さすがにポンコツなメルシャにも、現状の深刻さは堪えたようだった。沈痛な面持ちで黙り込む。
ユニカが話を切り替える。
「で、これからどうするかって話よ。もうわたしたちの手に負える事態じゃないでしょ。こっちの警察なり境界警士なりに通報するしかないけど、携帯電話は誰も持ってない。助けを呼びに行こうにもあのでっかいヒツジ頭ががんばってるから動けない。そもそもあの魔女が征矢をどうするつもりなのかもわからない。でも、単に一発パコパコしたいだけならこんな騒ぎを起こす必要ないわよね? なにかよくないことを企んでるのは間違いない」
ミノンからも、ポエニッサからも、返事はなかった。アルルはこんこんと眠り込んだままだ。
どうすればいいのか、誰にもわからなかった。
メルシャも地べたに座り込んで、だらんと投げ出された自分のしっぽをじっと見つめていた。
「あ」
ぽつりと、メルシャがつぶやく。
「どうかしたなも? なにかアイデアあるんだなも?」
ミノンが尋ねるが、メルシャの視線はしっぽに向けられたままだ。
「リボン……なくなってしまった……」
それは、征矢にもらった小さなスカーフだった。
征矢が自分で巻いてくれた、大切なおまじないのリボン。
さっきの乱戦でちぎれてしまったのだ。
ぐっ。メルシャは、小さく唇を噛む。
「大事なものだったなも?」
ミノンがやさしく気遣う。ミノンたちは、それがどういう素性のものかは知らない。
「征矢どのが……くれたんだ。お守りだって……」
カサカサした小さな声で、メルシャは応えた。
だしぬけにメルシャは、弾かれたように立ち上がった。
「うわーーーーーーっ!」
叫びだし、建築中の家の柱にガンガンと自分の頭を叩きつける。
太い木の柱には一筋ひびが入り、未完成の家の骨組みがぐらぐらと揺れる。
「な、なにやってるんだなも!」
「やめてよバカ! あいつらが来ちゃうじゃない!」
ミノンとユニカが慌てて左右から頭突きを止める。
メルシャはわめいた。
「オレはバカだあー!」
「知ってますけど!?」
メルシャの口調から、すっと熱が抜ける。
「全部……オレのせいだ……」
ミノンがそっと尋ねる。
「どういうことなんだなも?」
「あの魔女が恐ろしくて、あいつがなにか企んでいるのを知っていたのに、誰にも言えなかった……オレが……オレが無能で惰弱であったばかりに、征矢どのは拐われ、ポエニッサは怪我をし、皆を危険にさらしている……」
「まんち子さん……」
剥き出しの柱に額を押しつけたまま、メルシャは続ける。
「さっき、アルルが言ったことは正しい」
「なも?」
「オレは『それでも軍人』だった。軍人はときに、敵が我より強大であると知ってなお恐れを捨てて立ち向かわねばならない。さもなくば――――」
メルシャは、リボンがなくなったしっぽをじっと凝視していた。
「――――なによりも大切なものを失うことになる」
決然と、メルシャは顔を上げた。
目が、据わっている。
メルシャはいきなり、大股に歩きだした。
その腕を、ユニカが慌ててつかむ。
「ちょ、ちょっと、どこ行く気?」
「知れたこと。あの家だ。征矢どのを助けに行く」
「いやいやいやいや。無理無理無理無理。無理だってば」
メルシャはユニカの腕をやんわり振り払うと、進み続ける。
一度だけ、肩越しにちらりと振り返って言う。
「あいつらがオレに反応したら、その隙に離脱しろ」
「あんた、わたしたちにもコテンパンにされたのよ? あんなでかいの相手に勝てると思ってるの?」
歩みを止めず、メルシャはただ右手を振ってみせた。しっぽを軍旗のように高々と上げて。
「それでも行くのだ――――オレは軍人なのでな」
(やだこの子カッコいい……濡れちゃう)
不覚にもキュンときてしまうユニカである。
「でもまんち子さん……あの子勝算はあるんだなも?」
ユニカと並んで、ミノンもメルシャの遠ざかる後ろ姿を心配そうに見守る。ポエニッサまで、痛む脇腹を押さえて顔を出す。
「うおおおおおおっ!」
メルシャは雄叫びをあげ、真っ直ぐ二体の羊巨人へ突進する。
すぐに羊巨人、プリクソスとモプソスが反応する。
二体の角から、強烈な電撃が放たれる。
直撃される寸前、メルシャは翼を開いて飛翔した。電撃はむなしく土を弾けさせただけだ。
「すごい! かわしたわ!」
ユニカが息を呑む。
敵の頭上を取ったメルシャは、しっぽから大量の毒針を放つ。
長さ十五センチにもなる鋭い針が、羊巨人たちを狙う。
二体は反射的に腕で顔をかばう。針の群れはその腕にぷすぷすと突き刺さる。
たちまち巨人たちの足元が、酒に酔ったみたいにふらつきだした。
「ど、毒が回ったんだなも! やったなもまんち子さん!」
ミノンが快哉を上げる。
が。
倒れるかと思った羊巨人たちは、頭をぶるっと振るうとすぐに元の不動のスタンスを取り戻す。
空中のメルシャも、露骨に「あれっ?」という表情。
「あ、相手が大きすぎるんですわ。毒の絶対量が足りないか、毒の種類を間違えたか……やっぱりバカですわ、あの子」
かすれた声でポエニッサがうめく。
羊巨人たちは直ちに反撃に移った。
左右から同時に放たれた電撃が、バンッ! という空気の破裂音とともにメルシャを貫く。
メルシャの体は、誘蛾灯にぶつかった虫けらのように吹き飛ばされ、ぽとりと地面に転がった。
「あ、やられた。冷めるわあ、あの子」
白けた顔でユニカがつぶやく。
二体の羊巨人は、倒れたメルシャに向かって、さらに続けざまの電撃を発し始めた。完全に息の根を止めるつもりのようだった。
「ど、どうするんだなも!? このままじゃまんち子さんが死んじゃう!」
「そんなこと言ったって、あの化け物の真ん中にのこのこ出ていったらわたしたちだって危険なのよ?」
ユニカはお手上げのジェスチャー。
ミノンがユニカを泣きそうな顔で見つめる。
「ユニちゃん……!」
うんざりした表情で、ユニカは白い長い髪をかき上げた。
「わかったわよ行きますよ一緒に助けに行けばいいんでしょ? あーもう、ほんっとやだ。手かかるわあ、あの子!」
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