34 / 64
33 手合わせ
しおりを挟む
ダンジョンからの帰路、赤い花緑のペガサスの紋章の馬車がある木陰にさしかかった時、その女がひっそりとたたずんでいるのが見えた。
先行していた冒険者パーティ〈銀狼の牙〉は馬車を止め、斥候ヒュッテが声をかけた
「どうしたっすかゴブさん?なんか忘れ物っすか?」
先程M’s cuteでこちらを見送っていた店員のゴブであった。馬車より先に周りこんだにしては化粧の乱れもなく、フリルたっぷりの服も白いヒールも先程のまま汚れひとつない
「当方が呼びたてしたのだ」
答えたのは侯爵家の侍女のエーダだ。侍女とはいっても戦士のような体つきをしている。
「奥様がお呼びだ、ついてこい。
おまえ達は先にスノークへ戻れ」
明らかに護衛を必要としない侯爵家の一行を見て、〈銀狼の牙〉と侯爵家の侍従2人を乗せた馬車はゆっくりと動き出した
「ゴブ、おまえを呼び出したのには理由があります
おまえはあのダンジョンではなかなかの手練れと見ました
それなりの武があると見て頼みがあります」
「なんでございましょう」
「この2人は私が育てた侯爵家の精鋭部隊の者です。日々しっかり訓練はしておりますが、実戦には乏しいのです
経験を積むため、2人と手合わせをしてみてはくれないかしら」
「承ります。
今からでしょうか?私は構いませんが」
「おまえはその格好でよろしいの?得物は?」
「このままで何の問題もございません
ただ一つ私が勝ちましたらお願いがございます。
それはー 」
はたして、馬車道で手合わせは行われた。
アイノとエーダの実戦を積むためとは、てい良い言い訳で、実はダンジョンの実力を測る為の手合わせだった。
「はじめ!」
御者の掛け声でまずはエーダとの対戦が行われた
「キエエエーーイ、、ぐぅ」
エーダがゴブに向かっていった一瞬の後、エーダは後ろを取られ地面に転がされていた。早すぎて何がなんだかよくわからなかった
「ご自身でも気付いておられるだろうが踏み込む時、軸がぶれます。
左の腕の支えが弱いです」
アイノの時も決着は早かった
2、3度アイノが切りかかったが、ゴブはするするとかわしたのち、後ろに回りこみアイノの首をロックした
「ウッ」
「あなたは脇が甘い。もう少し軽い剣に替えて攻撃の後の体勢を素早く戻すべきです」
「ほほほ、手合わせというより指導であったわね
アイノ、エーダ、良かったわね。
ゴブ、褒美としてあなたの希望は叶えてさしあげましょう
次回までに準備を整えてまいります」
「ありがとうございます。何卒よろしくお願いいたします」
侯爵家の馬車は再び走りだした
「「侯爵夫人、ぶざまな姿をさらして申し訳ございません」」
アイノとエーダは車中でタルトの入った箱を支えながら平身低頭していた。ゴブとの手合わせがあまりにも一方的な結果に終わったからだ。
「よいのです。あの者の気配はおそらく人外。こうなることは薄々わかっておりました。
あれにかなうとなると、おそらく王都の騎士隊長クラスでしょうね
それにこれであのダンジョンの力もうかがい知れました。」
「しかし、何故でしょうね?
あのゴブという者ののぞみ」
「ええ、そうね
刺繍を習いたいなんて
ダンジョンで刺繍なんてきっと有史以来じゃないかしら」
先行していた冒険者パーティ〈銀狼の牙〉は馬車を止め、斥候ヒュッテが声をかけた
「どうしたっすかゴブさん?なんか忘れ物っすか?」
先程M’s cuteでこちらを見送っていた店員のゴブであった。馬車より先に周りこんだにしては化粧の乱れもなく、フリルたっぷりの服も白いヒールも先程のまま汚れひとつない
「当方が呼びたてしたのだ」
答えたのは侯爵家の侍女のエーダだ。侍女とはいっても戦士のような体つきをしている。
「奥様がお呼びだ、ついてこい。
おまえ達は先にスノークへ戻れ」
明らかに護衛を必要としない侯爵家の一行を見て、〈銀狼の牙〉と侯爵家の侍従2人を乗せた馬車はゆっくりと動き出した
「ゴブ、おまえを呼び出したのには理由があります
おまえはあのダンジョンではなかなかの手練れと見ました
それなりの武があると見て頼みがあります」
「なんでございましょう」
「この2人は私が育てた侯爵家の精鋭部隊の者です。日々しっかり訓練はしておりますが、実戦には乏しいのです
経験を積むため、2人と手合わせをしてみてはくれないかしら」
「承ります。
今からでしょうか?私は構いませんが」
「おまえはその格好でよろしいの?得物は?」
「このままで何の問題もございません
ただ一つ私が勝ちましたらお願いがございます。
それはー 」
はたして、馬車道で手合わせは行われた。
アイノとエーダの実戦を積むためとは、てい良い言い訳で、実はダンジョンの実力を測る為の手合わせだった。
「はじめ!」
御者の掛け声でまずはエーダとの対戦が行われた
「キエエエーーイ、、ぐぅ」
エーダがゴブに向かっていった一瞬の後、エーダは後ろを取られ地面に転がされていた。早すぎて何がなんだかよくわからなかった
「ご自身でも気付いておられるだろうが踏み込む時、軸がぶれます。
左の腕の支えが弱いです」
アイノの時も決着は早かった
2、3度アイノが切りかかったが、ゴブはするするとかわしたのち、後ろに回りこみアイノの首をロックした
「ウッ」
「あなたは脇が甘い。もう少し軽い剣に替えて攻撃の後の体勢を素早く戻すべきです」
「ほほほ、手合わせというより指導であったわね
アイノ、エーダ、良かったわね。
ゴブ、褒美としてあなたの希望は叶えてさしあげましょう
次回までに準備を整えてまいります」
「ありがとうございます。何卒よろしくお願いいたします」
侯爵家の馬車は再び走りだした
「「侯爵夫人、ぶざまな姿をさらして申し訳ございません」」
アイノとエーダは車中でタルトの入った箱を支えながら平身低頭していた。ゴブとの手合わせがあまりにも一方的な結果に終わったからだ。
「よいのです。あの者の気配はおそらく人外。こうなることは薄々わかっておりました。
あれにかなうとなると、おそらく王都の騎士隊長クラスでしょうね
それにこれであのダンジョンの力もうかがい知れました。」
「しかし、何故でしょうね?
あのゴブという者ののぞみ」
「ええ、そうね
刺繍を習いたいなんて
ダンジョンで刺繍なんてきっと有史以来じゃないかしら」
0
あなたにおすすめの小説
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
三十年後に届いた白い手紙
RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。
彼は最後まで、何も語らなかった。
その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。
戴冠舞踏会の夜。
公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。
それは復讐でも、告発でもない。
三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、
「渡されなかった約束」のための手紙だった。
沈黙のまま命を捨てた男と、
三十年、ただ待ち続けた女。
そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。
これは、
遅れて届いた手紙が、
人生と運命を静かに書き換えていく物語。
「がっかりです」——その一言で終わる夫婦が、王宮にはある
柴田はつみ
恋愛
妃の席を踏みにじったのは令嬢——けれど妃の心を折ったのは、夫のたった一言だった
王太子妃リディアの唯一の安らぎは、王太子アーヴィンと交わす午後の茶会。だが新しく王宮に出入りする伯爵令嬢ミレーユは、妃の席に先に座り、殿下を私的に呼び、距離感のない振る舞いを重ねる。
リディアは王宮の礼節としてその場で正す——正しいはずだった。けれど夫は「リディア、そこまで言わなくても……」と、妃を止めた。
「わかりました。あなたには、がっかりです」
微笑んで去ったその日から、夫婦の茶会は終わる。沈黙の王宮で、言葉を失った王太子は、初めて“追う”ことを選ぶが——遅すぎた。
転生したら世界一の御曹司だった〜巨乳エルフメイド10人と美少女騎士に溺愛されています〜
まさき
青春
異世界転生した最強の金持ち嫡男、
専属エルフメイドと美少女騎士に囲まれて至福のハーレム生活
現代日本で「地味だが実は超大富豪」という特殊な人生を送っていた青年は、ある日事故で命を落とす。
しかし目を覚ますと、そこは魔法と様々な種族が存在する異世界だった。
彼は大陸一の富を誇る名門貴族――
ヴァン・バレンティン家の嫡男カイルとして転生していたのだ。
カイルに与えられたのは
・世界一とも言える圧倒的な財力
・財力に比例して増大する規格外の魔力
そして何より彼を驚かせたのは――
彼に仕える十人の専属メイド全員が、巨乳美少女だったことである。
献身的なエルフのメイド長リリア。
護衛騎士でありながら隙あらば誘惑してくる女騎士シルヴィア。
さらに個性豊かな巨乳メイドたち。
カイルは持ち前の財力で彼女たちの願いを叶え、最高級の装備や生活を与えていく。
すると彼女たちの忠誠心と愛情はどんどん加速していき――
「カイル様……今日は私が、お世話をさせてください」
領地を狙う貴族を金と魔力で圧倒し、
時にはメイドたちの愛が暴走して甘すぎる時間に巻き込まれながらも、
最強の御曹司カイルは
世界一幸せなハーレムを築いていく。
最後までお読みいただきありがとうございました。よろしければ応援をお願いいたします。
白い結婚だったので、勝手に離婚しました。何か問題あります?
夢窓(ゆめまど)
恋愛
「――離婚届、受理されました。お疲れさまでした」
教会の事務官がそう言ったとき、私は心の底からこう思った。
ああ、これでようやく三年分の無視に終止符を打てるわ。
王命による“形式結婚”。
夫の顔も知らず、手紙もなし、戦地から帰ってきたという噂すらない。
だから、はい、離婚。勝手に。
白い結婚だったので、勝手に離婚しました。
何か問題あります?
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ため息ひとつ――王宮に散る花びらのように
柴田はつみ
恋愛
「離縁を、お願いしたいのです」
笑顔で、震えずに、エレナはそう言った。
夫は言葉を失った。泣いてくれれば、怒ってくれれば、まだ受け止め方があった。しかしあの静けさは、エレナがもう十分に泣き終わった後の顔だと、ヴィクトルにはわかった。
幼なじみと結ばれた三年間。すれ違いは静かに始まり、深紅のドレスの令嬢によって加速した。ため息を飲み込み、完璧な微笑みを保ち続けた公爵夫人が、最後に選んだのは――。
王宮に散る花びらのような、夫婦の崩壊と再生の物語。
はじめまして、私の知らない婚約者様
有木珠乃@『ヒロ弟』コミカライズ配信中
ファンタジー
ミルドレッド・カーマイン公爵令嬢は突然、学園の食堂で話しかけられる。
見覚えのない男性。傍らには豊満な体型の女性がいる。
けれどその女性から発せられた男性の名前には、聞き覚えがあった。
ミルドレッドの婚約者であるブルーノ王子であることを。
けれどミルドレッドの反応は薄い。なぜなら彼女は……。
この世界を乙女ゲームだと知った人々による、悪役令嬢とヒロイン、魔女の入れ替え話です。
悪役令嬢を救いたかったはずなのに、どうしてこんなことに?
※他サイトにも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる