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第一部
第三十話 ハイドランジアの戦い
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オニキスの目的については、ここではまだ人の目や耳が多すぎるのでハイドランジア攻略後に聞けることとなった。
山岳を越えた俺たちはハイドランジアの王都を目の前にしている。
王都の周りには、そこまで数は多くはないが騎兵や魔導士の部隊が見えた。外壁の上には明らかに人数が足りないと判る弓兵部隊も配置されている。
ハイドランジアの王都には闘技場という腕自慢が集まる盛り場があるので各地から猛者が集まることが多い。傭兵が名を売るのに丁度いい場所でもある。
しかしこのような状況で全く傭兵の姿が見えないのを不思議に思っていたが、ハイドランジアの王都ではすでに戦闘が起こっているそうだ。しかし肉眼で確認できる範囲の敵兵の殆んどが戦う気はないようだ。
潜り込んでいた密偵によると聖女アガーテの命を狙う国王ダドリー派と、アガーテを護ろうとする民と傭兵たちが衝突しているらしい。しかも軍からの離脱者がアガーテ側に着いているとかで、ダドリーの人気の低さが露呈したようだ。
視認できる範囲の敵兵の指揮が総じて低く感じるのは投降するか悩んでいるところなのだろう。
「壁の外に布陣している部隊は総じて士気が低いようだ。降伏してくるようなら受け入れて不要な戦闘を避けよう。戦意の無いものにまで刃を向ける必要はない」
「一気に突入してアガーテ様と合流。その後はダドリーを討つという事ですな」
「隊を大まかに三つに分ける。激戦が予想される中央通りは精鋭部隊を。アガーテ様が匿われていると思われる辺りには他の騎兵たちを先行させて、歩兵には討ち漏らしの処理をしてもらう。残りは重騎士など機動力の低い者たちが中心になると思うが、念の為に退路の確保と外部から援軍が来た際に対応してもらうことになる」
原作ゲームでは第六章にあたるのが、ここハイドランジアでの戦いだ。章タイトルは【聖女アガーテ】。
内容としてはアガーテと護衛の魔導騎士が章開始時にルイス王子に助けを求めてきて仲間になり、その後は初期からマップに配置されている敵兵を倒しつつ増援へも対処しながら、敵軍にいる流れ者の剣士を説得して仲間にするという章だ。
王であるダドリーは咬ませ犬でしかないので、魔導士系の経験値に消えて貰った覚えがある。
ちなみに仲間になる剣士――ゲールノートは特殊なAIで行動するので、女子供で接近すれば攻撃されない。うっかり成人男性が近づくと必殺剣の餌食になりリセットボタンを押すことになる。
リセットボタンはレギンレイヴシリーズでは、とてもよくお世話になるボタンだ。俺としてはソフトリセットを使うことをお勧めする。
なおこのゲールノートはベルトラムのライバル的存在で、力と守備が伸びやすいベルトラムに対しゲールノートは速さと幸運が伸びやすい。
流れ者の剣士である彼は強い者との手合わせを求めて放浪しているので今この地にいるかは分からないが、もし居たとしたら心強い戦力になる。
ここで話を戻して、バーナード将軍率いる騎兵部隊が門を突破して城下に突入するようだ。アイリス軍が突撃の準備を整えたところで、いくつかの部隊が逃走しているのが見えた。
装備からして民兵の部隊か新米の兵士あたりだろう。外壁上にいた弓兵たちも最初は攻撃を加えてきたが、騎兵部隊が門を突破したところで抵抗をやめたようだ。
突入後は先ほど決めた通りに部隊が分かれる。俺はベルトラムと一緒にアガーテの救援組になる。傭兵たちが彼女の護衛を進んでしているというのなら、俺たちの顔見知りが一人や二人居ても可笑しくない。
しかしベルトラムとゲールノートが遭遇した場合が心配だ。ベルトラムはともかくとして、ゲールノートはベルトラムに一直線で突撃してくる可能性がある。
それでなくとも強者が好きな男だから、他にも彼のお眼鏡にかなう猛者が居たら注意して行動しなくては。
「騎兵たちが先行してるが俺たちも急ごうぜ?」
「あぁ、そうだな。アガーテ様の保護は最優先だ」
聖女アガーテが匿われているとされる場所は、この城下町にある神殿の一角だ。軍神であるハール神を祀るこの神殿には多くの戦士たちがよく参拝に訪れる。
かく言う俺も、もともとはハール神の信徒だった。だった、というのは俺が女神アストレアの加護を受けてしまったので、神殿に出入りがし辛くなったからだ。半ば強制的に改宗させられたようなものだが、俺としては特に問題はない。
ハール神の信徒たちでも敬虔な信者というのは僧侶以外だと王族・貴族ぐらいだからだ。傭兵なんかだと前世でいう新年の初詣程度の感覚で、一般市民なんかだとハール神以外を知らないなんてことが多い。
「そうだエリアス。お前、気を付けとけよ? 今この国にゲールノートが来てるって噂を商人から聞いてるぜ」
「そっちこそ。ライバル視されてるんだろ?」
「はははっ! それもそうだな。だがよ、竜殺しの勇者だなんて聞いたらアイツも目の色変えんじゃねぇの?」
「勘弁してくれ……」
原作ゲームではゲールノートを仲間にするのにアガーテの説得が必要になる。女子供を切る剣を持っていないというゲールノートは彼女の必死の説得により仲間になってくれるのだが、前世では「なんでこの二人くっつかないんだよ!」とエンディングでブチ切れた覚えがある。
他にもそういう組み合わせは居たのだが、この二人は二番目くらいに好きな組み合わせだった。ちなみに一番くっついてほしかったのは氷の貴公子とフェイス王女。
騎兵たちの討ち漏らした敵兵を切り捨てながら、俺たちは町の奥へと進んでいく。
アイリス軍の旗を靡かせた騎兵の一団は予定通り、神殿前の制圧に動いているようだ。近くにはハイドランジア軍と戦う傭兵や民兵の姿が見える。
中には農機具や調理器具で敵兵に殴り掛かる御夫人たちもいた。体格からして肝っ玉母ちゃんと言いたくなる感じの屈強な御夫人たちだ。
「聖女様がいなけりゃ、あたしらはダドリーになんて従うもんか!」
「そうだそうだ! 聖女様は怪我をして死にそうになった俺を助けてくれたんだぞ!」
「今度は俺たちがお助けするんだ!」
傭兵たちに混ざり戦う市民たちは口々にそう叫び、現在のハイドランジア王ダドリーへの不満を漏らしている。
生活が苦しい時にアガーテは手を差し伸べ助けてくれたが、ダドリーは民から搾取するだけで何もしてこなかったと。魔物に襲われそうになっても、この国は助けてくれなかったと。
ハイドランジア王国は南方に位置するアイリス王国に比べて過酷な環境にある。そのせいでよく飢饉などが発生するのだ。
さらに北方にあるシスルに比べれば豪雪に見舞われないぶん過ごしやすいのだろうが、食料や衛生面の問題はどこに行っても一番の心配事だろう。
「はぁ~、さすがは聖女アガーテ。民に大人気だな」
「現王とは腹違いの妹なんだっけか。母親が違うだけでこんなに評価が変わるとはな」
神殿に詰め掛けている敵兵の中にもアガーテを慕う兵が一定数居るようで、武器を持ってはいるが攻撃出来ずにいる者の姿がちらほら見える。
しかし一部の兵――おそらくダドリーに親しいと思われる騎士は、相手が女子供であろうと関係なく攻撃を仕掛けているようだ。これは見過ごせない。
「ベルトラム、俺はあっちの親子に助太刀するから、お前は向こうの兄弟っぽいの頼む」
「おう。……ありゃあ、この街の修理屋の倅たちだな。あとで修理代サービスしてもらうか」
「現金な奴だな」
「節約は大事だぞ」
「まぁ、そうだな」
一通りの敵を片付けたところでベルトラムと別れると、俺はフライパンで兵士に殴り掛かっている親子に加勢した。
鎧と兜を装備している相手だとそこまでダメージが通らないだろうが、フライパンで殴られるのは結構痛そうだ。だが相手は槍を装備している。子供のほうなんて武器はお玉だ。
相手の兵種はソルジャーなので一気に接近し懐に飛び込むのが一番だろう。戦場で槍は広い範囲を薙ぎ払うことができるが、その代わり小回りが利かない。剣と槍では相性のうえでこちらが不利になるのだが、相手は下級職なので経験の差だけでゴリ押しできるだろう。
兵士は重騎士の下級職なので守備が高めなのだが、二撃攻撃を加えると倒すことができた。
「ここは俺たちに任せて下がってろ!」
「あんたアイリス軍の人かい?」
「あぁ、そうだ。ルイス王子の軍のものだ」
「あたしらじゃ邪魔にしかならないみたいだし、悔しいけど隠れてることにするよ。アガーテ様は神殿の奥に隠れてらっしゃるから早くこいつらをやっつけとくれよ?」
フライパン装備だった母親は息子の手を引くと、敵軍が居なくなった辺りを通って神殿のほうへと逃げて行った。
おそらく神殿内に隠れているアガーテにルイス王子が来たという事を伝えに行ったのだろう。
他にも危ない状況のものがいないかと視線を巡らせていたところで、一人の剣士が俺の前に立ちはだかった。
「銀色の髪に翠の瞳の剣士……お前が翠緑の勇者か?」
茶色の乱雑に伸ばされた髪に、血のような真っ赤な眼。そして瞳と同じ真っ赤な装束の剣士。
血に飢えた獣のような雰囲気を持つこの男こそが、剣を扱うものたちの間では知らないものが居ないと言われる流れ者の剣士ゲールノートだ。
「わが剣が切るに相応しい強者とみた。いざ、尋常に勝負!」
すらりと剣を引き抜き構えると素早い身のこなしで攻撃を繰り出してくる。
原作でも初期に仲間になる彼と、中盤で中途半端なステータスで仲間になる俺とではステータスに雲泥の差があるはずだ。
周囲の敵は殆どいなくなっているし、出来れば早めにアガーテに説得してもらいたいなと思いつつも剣を構えた。
山岳を越えた俺たちはハイドランジアの王都を目の前にしている。
王都の周りには、そこまで数は多くはないが騎兵や魔導士の部隊が見えた。外壁の上には明らかに人数が足りないと判る弓兵部隊も配置されている。
ハイドランジアの王都には闘技場という腕自慢が集まる盛り場があるので各地から猛者が集まることが多い。傭兵が名を売るのに丁度いい場所でもある。
しかしこのような状況で全く傭兵の姿が見えないのを不思議に思っていたが、ハイドランジアの王都ではすでに戦闘が起こっているそうだ。しかし肉眼で確認できる範囲の敵兵の殆んどが戦う気はないようだ。
潜り込んでいた密偵によると聖女アガーテの命を狙う国王ダドリー派と、アガーテを護ろうとする民と傭兵たちが衝突しているらしい。しかも軍からの離脱者がアガーテ側に着いているとかで、ダドリーの人気の低さが露呈したようだ。
視認できる範囲の敵兵の指揮が総じて低く感じるのは投降するか悩んでいるところなのだろう。
「壁の外に布陣している部隊は総じて士気が低いようだ。降伏してくるようなら受け入れて不要な戦闘を避けよう。戦意の無いものにまで刃を向ける必要はない」
「一気に突入してアガーテ様と合流。その後はダドリーを討つという事ですな」
「隊を大まかに三つに分ける。激戦が予想される中央通りは精鋭部隊を。アガーテ様が匿われていると思われる辺りには他の騎兵たちを先行させて、歩兵には討ち漏らしの処理をしてもらう。残りは重騎士など機動力の低い者たちが中心になると思うが、念の為に退路の確保と外部から援軍が来た際に対応してもらうことになる」
原作ゲームでは第六章にあたるのが、ここハイドランジアでの戦いだ。章タイトルは【聖女アガーテ】。
内容としてはアガーテと護衛の魔導騎士が章開始時にルイス王子に助けを求めてきて仲間になり、その後は初期からマップに配置されている敵兵を倒しつつ増援へも対処しながら、敵軍にいる流れ者の剣士を説得して仲間にするという章だ。
王であるダドリーは咬ませ犬でしかないので、魔導士系の経験値に消えて貰った覚えがある。
ちなみに仲間になる剣士――ゲールノートは特殊なAIで行動するので、女子供で接近すれば攻撃されない。うっかり成人男性が近づくと必殺剣の餌食になりリセットボタンを押すことになる。
リセットボタンはレギンレイヴシリーズでは、とてもよくお世話になるボタンだ。俺としてはソフトリセットを使うことをお勧めする。
なおこのゲールノートはベルトラムのライバル的存在で、力と守備が伸びやすいベルトラムに対しゲールノートは速さと幸運が伸びやすい。
流れ者の剣士である彼は強い者との手合わせを求めて放浪しているので今この地にいるかは分からないが、もし居たとしたら心強い戦力になる。
ここで話を戻して、バーナード将軍率いる騎兵部隊が門を突破して城下に突入するようだ。アイリス軍が突撃の準備を整えたところで、いくつかの部隊が逃走しているのが見えた。
装備からして民兵の部隊か新米の兵士あたりだろう。外壁上にいた弓兵たちも最初は攻撃を加えてきたが、騎兵部隊が門を突破したところで抵抗をやめたようだ。
突入後は先ほど決めた通りに部隊が分かれる。俺はベルトラムと一緒にアガーテの救援組になる。傭兵たちが彼女の護衛を進んでしているというのなら、俺たちの顔見知りが一人や二人居ても可笑しくない。
しかしベルトラムとゲールノートが遭遇した場合が心配だ。ベルトラムはともかくとして、ゲールノートはベルトラムに一直線で突撃してくる可能性がある。
それでなくとも強者が好きな男だから、他にも彼のお眼鏡にかなう猛者が居たら注意して行動しなくては。
「騎兵たちが先行してるが俺たちも急ごうぜ?」
「あぁ、そうだな。アガーテ様の保護は最優先だ」
聖女アガーテが匿われているとされる場所は、この城下町にある神殿の一角だ。軍神であるハール神を祀るこの神殿には多くの戦士たちがよく参拝に訪れる。
かく言う俺も、もともとはハール神の信徒だった。だった、というのは俺が女神アストレアの加護を受けてしまったので、神殿に出入りがし辛くなったからだ。半ば強制的に改宗させられたようなものだが、俺としては特に問題はない。
ハール神の信徒たちでも敬虔な信者というのは僧侶以外だと王族・貴族ぐらいだからだ。傭兵なんかだと前世でいう新年の初詣程度の感覚で、一般市民なんかだとハール神以外を知らないなんてことが多い。
「そうだエリアス。お前、気を付けとけよ? 今この国にゲールノートが来てるって噂を商人から聞いてるぜ」
「そっちこそ。ライバル視されてるんだろ?」
「はははっ! それもそうだな。だがよ、竜殺しの勇者だなんて聞いたらアイツも目の色変えんじゃねぇの?」
「勘弁してくれ……」
原作ゲームではゲールノートを仲間にするのにアガーテの説得が必要になる。女子供を切る剣を持っていないというゲールノートは彼女の必死の説得により仲間になってくれるのだが、前世では「なんでこの二人くっつかないんだよ!」とエンディングでブチ切れた覚えがある。
他にもそういう組み合わせは居たのだが、この二人は二番目くらいに好きな組み合わせだった。ちなみに一番くっついてほしかったのは氷の貴公子とフェイス王女。
騎兵たちの討ち漏らした敵兵を切り捨てながら、俺たちは町の奥へと進んでいく。
アイリス軍の旗を靡かせた騎兵の一団は予定通り、神殿前の制圧に動いているようだ。近くにはハイドランジア軍と戦う傭兵や民兵の姿が見える。
中には農機具や調理器具で敵兵に殴り掛かる御夫人たちもいた。体格からして肝っ玉母ちゃんと言いたくなる感じの屈強な御夫人たちだ。
「聖女様がいなけりゃ、あたしらはダドリーになんて従うもんか!」
「そうだそうだ! 聖女様は怪我をして死にそうになった俺を助けてくれたんだぞ!」
「今度は俺たちがお助けするんだ!」
傭兵たちに混ざり戦う市民たちは口々にそう叫び、現在のハイドランジア王ダドリーへの不満を漏らしている。
生活が苦しい時にアガーテは手を差し伸べ助けてくれたが、ダドリーは民から搾取するだけで何もしてこなかったと。魔物に襲われそうになっても、この国は助けてくれなかったと。
ハイドランジア王国は南方に位置するアイリス王国に比べて過酷な環境にある。そのせいでよく飢饉などが発生するのだ。
さらに北方にあるシスルに比べれば豪雪に見舞われないぶん過ごしやすいのだろうが、食料や衛生面の問題はどこに行っても一番の心配事だろう。
「はぁ~、さすがは聖女アガーテ。民に大人気だな」
「現王とは腹違いの妹なんだっけか。母親が違うだけでこんなに評価が変わるとはな」
神殿に詰め掛けている敵兵の中にもアガーテを慕う兵が一定数居るようで、武器を持ってはいるが攻撃出来ずにいる者の姿がちらほら見える。
しかし一部の兵――おそらくダドリーに親しいと思われる騎士は、相手が女子供であろうと関係なく攻撃を仕掛けているようだ。これは見過ごせない。
「ベルトラム、俺はあっちの親子に助太刀するから、お前は向こうの兄弟っぽいの頼む」
「おう。……ありゃあ、この街の修理屋の倅たちだな。あとで修理代サービスしてもらうか」
「現金な奴だな」
「節約は大事だぞ」
「まぁ、そうだな」
一通りの敵を片付けたところでベルトラムと別れると、俺はフライパンで兵士に殴り掛かっている親子に加勢した。
鎧と兜を装備している相手だとそこまでダメージが通らないだろうが、フライパンで殴られるのは結構痛そうだ。だが相手は槍を装備している。子供のほうなんて武器はお玉だ。
相手の兵種はソルジャーなので一気に接近し懐に飛び込むのが一番だろう。戦場で槍は広い範囲を薙ぎ払うことができるが、その代わり小回りが利かない。剣と槍では相性のうえでこちらが不利になるのだが、相手は下級職なので経験の差だけでゴリ押しできるだろう。
兵士は重騎士の下級職なので守備が高めなのだが、二撃攻撃を加えると倒すことができた。
「ここは俺たちに任せて下がってろ!」
「あんたアイリス軍の人かい?」
「あぁ、そうだ。ルイス王子の軍のものだ」
「あたしらじゃ邪魔にしかならないみたいだし、悔しいけど隠れてることにするよ。アガーテ様は神殿の奥に隠れてらっしゃるから早くこいつらをやっつけとくれよ?」
フライパン装備だった母親は息子の手を引くと、敵軍が居なくなった辺りを通って神殿のほうへと逃げて行った。
おそらく神殿内に隠れているアガーテにルイス王子が来たという事を伝えに行ったのだろう。
他にも危ない状況のものがいないかと視線を巡らせていたところで、一人の剣士が俺の前に立ちはだかった。
「銀色の髪に翠の瞳の剣士……お前が翠緑の勇者か?」
茶色の乱雑に伸ばされた髪に、血のような真っ赤な眼。そして瞳と同じ真っ赤な装束の剣士。
血に飢えた獣のような雰囲気を持つこの男こそが、剣を扱うものたちの間では知らないものが居ないと言われる流れ者の剣士ゲールノートだ。
「わが剣が切るに相応しい強者とみた。いざ、尋常に勝負!」
すらりと剣を引き抜き構えると素早い身のこなしで攻撃を繰り出してくる。
原作でも初期に仲間になる彼と、中盤で中途半端なステータスで仲間になる俺とではステータスに雲泥の差があるはずだ。
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