恋人が天使すぎて大変です

あめ ２

　優は無言で彰を見る。その顔はきれいで、どこか無機質さを感じさせる。優はさっと春樹に向き直る。無言で無も言わずに見つめ続ける。
「あめ？⋯ああ、そうだね～。今日、雨降るって言ってたもんね。もうすぐ降りそう？」
　優は無言のまま、瞬きをして、その場を離れようと背を向けた。それを阻止するように、春樹が優の背中に抱きつく。
「そっか～。そうなんだね。」
　春樹は嬉しそうに、優の頭に顎を乗せた。
「いや待って、今ので何でわかんの？あめが雨までは、まだわかる。でもそのあと、何があった？」
「え～。優がそうだよ。って顔したじゃん。ね～。」
　春樹は、優の頭の上で優を伺うように首を傾げる。優は相変わらず、無表情だ。
「いや、完全に無表情だったじゃん。瞬きをしたくらいだったじゃん。」
「え～。何でわかんないの～。」
　至極不思議そうに春樹が言う。すると、優が徐ろに窓の方へ首を動かした。春樹も、優の頭に連動して窓を見る。彰は優の行動の真意がわからず、窓を見た。さっきまで晴れ間がのぞいていたのに、窓の外は、曇天だ。数時間もすれば、本当に雨が降るんだろうな⋯とぼんやりと眺める。十数秒後、パラパラと音がし始めた。それから、１分もしないうちに土砂降りに変わった。